【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
「うわ、夕暮れ」
「きれい」
「えぇ、こんな時に……?」
地下水路を抜け、外に出ると、きれいな夕焼けに街が染まっていた。
懺罪宮なんて真っ白だからめちゃくちゃオレンジ色だよ、きれい。
「そんな感動するか? あれ?」
「あれ一応罪人の入れられる場所なんですけど……」
「はぁ? お前ら外からみて中の罪人見れるんですかっての~」
「なんでそこで源氏は喧嘩腰なんだ?」
一護のツッコミにボケるのをやめながらも、俺はマントのフードを被り直し、
「それじゃ、このまま突き進んでいく、ってことで」
「あぁ」
「僕は案内します。
三人はついてきてください」
「あ、それに関しては大丈夫。
好きに進んでいって」
「え?」
「一応ここの地理は全部頭に入ってるから、俺が先回りして雑兵は倒しておくわ。
騒ぎになられる方がだめでしょ?」
「ま、まぁそれができるならそうしたほうが良いですけど」
それなら、と俺は先程から使っている常中:無呼吸を使い、軽々と城壁の上に登る。
マントは呼吸に反応して姿と霊圧を消してくれるので、俺の姿は誰にも見つけられなくなる。
「え、今……。
…………行きましょう!」
「あ、諦めた」
「え?! あれってスルーするやつなの?!」
「岩鷲さん。
諦めって大事ですよ」
「諦めろ。
あれが源氏って生き物だ」
「え?! 俺が悪いの!?」
岩鷲さんは俺の行動に疑問を抱いているようだが、別に不思議なことをしたわけではない。
姿を消して、霊圧消して、こっそりしているだけだ。
……普通だろ。
自分に言い聞かせながらも、俺は脚を進める。
恐らく、花太郎は本当に真っすぐ進んでいくつもりだ。
おそらくは、時間帯的に隊士が入れ替わる時間だと踏んでいるから。
でも、少し宛が違っていたな。
おそらくは、さっきの副隊長を倒したことで、かなりの人数の隊士が警戒してるよ。
「えっ、なんで今……」
「カッ……」
「アッ……」
花太郎が見つけた隊士は片っ端から気絶させていく。
もちろん、攻撃の瞬間はなるべく最小最短で。
型を使うと透明化解除されるから少し面倒くさいんだよな、これ。
「え、今……」
「源氏だ」
「えっ」
岩鷲さんと花太郎は驚いているけど、俺言うたやん。
やるって。
フードを脱ぎ、透明化を解除して、
「安心して進んでもろて」
「あ、はい」
「おい一護、お前の仲間なのか? 本当に?
忍者とかじゃなくて?」
「……それに関しては判定が微妙だな」
「判定が微妙ってどういうことだよ!?」
岩鷲さんのツッコミが光る。
すごいなぁ。
俺は再度フードを被り直し、姿を消す。
このペースだと、おそらくは30分もかからずに到着することができる。
もしかしたら、ここに兵を固めている可能性を考えていたんだけど……。
トントン眠らせて進んでいると、
「「「ッ?!」」」
三人の足が止まった。
俺も脚を止めて、三人から距離を取る。
「あぁー。
面倒くさかったぜ? 待つのは」
三人の振り向いた方に居たのは、ガタイのいい男。
だけど、岩鷲さんなんて比にならないほどの長身。
小学生のお日様のような髪型に、鈴の音。
白い羽織を着けているところから、隊長であることはわかった。
だけど、なんで気づかな……なんだ、あの”両目の眼帯”は。
「お前らの中にやけに感知が上手いやつがいるからなぁ。
俺とやりあってもらえねぇかと思ったから、少し頭を使わせてもらったぁ」
その男は、片目の眼帯を外す。
その瞬間、あふれる霊圧。
これは…………。
最初に俺が危険だと判断したヤツの、一人。
特段バカみたいな霊圧を持つ、危険人物。
恐らくあの眼帯が霊圧を押さえる道具。
それを使用して隠れて待っていたってわけか。
「少しは三番隊隊長さんにも感謝しねぇとなぁ。
その御蔭でこうして、遊べそうだ」
男は、背中から刀を取り出す。
いや、それは刀と判断して良いものなのだろうか。
刃先はこぼれ、すでに鉄の塊。
本来、その切れ味と技で相手を切るはずの刀が、まるで相手の悲鳴を聞くためだけに作った拷問道具の様な形状をしている。
「花太郎ッ?!」
気づけば、後ろで岩鷲さんが声を上げていた。
花太郎が倒れている。
そりゃそうだ。
普通に生きていてこんなもん食らうことなんてそうない。
それこそ、それに反応しきらないように、体が自衛で意識を途切れさせる。
「っ! 岩鷲! 花太郎連れて先行ってろ! 後で追いつく!」
「おまッ! こんなやつ倒せるとでも……」
「行け」
「……死ぬんじゃねぇぞ」
「すぐ追いつく」
一護の判断は正しい。
二人が居ても、何かに成るということはない。
ここでの正解は、誰かが食い止める、もしくはこいつを倒す。
……正直、結構むずいとは思うけど……。
「てめぇだな、オレンジ頭」
「……んだよ」
「オメェが一角を倒したやつか」
「あぁ……あんたんとこの隊員だったか」
「礼を言うぜ。
一角を無傷でやれるってことは、俺とはそこそこいい勝負ができるんだろ?」
遠目で見ているだけだけど、吹き荒れる霊圧で目を瞑ってしまいそうだ。
それにこの殺気。
ジジイで慣れてるとはいえ、これほどの殺気と霊圧を喰らえば……。
一護は男から目を離さないようにする。
そりゃそうだ。
こんなもん浴び続けて目を離せという方が異常だ。
かく言う俺も、自分に殺気が向けられていないにもかかわらず、身構えている。
俺も手助けに入るとして、勝てるか? あの化け物に。
「ふぅ」
「準備はできたか?
気を抜くな。
注意しろ。
すぐ終わらないようにな」
次の瞬間、男は走り出す。
いきなりの行動に俺と一護は反応することができなかった。
いや、その殺気の増大に気を取られた。
まるですでに殺されたかのような感覚。
「へぇ」
だけど、大丈夫だ。
「すまねぇな」
これくらいで止まるほど
「すぐ終わらせるぜ」
「楽しもうやぁ!」
俺らは地獄を見ていない。
男の正面からの唐竹を、一護は斬月で受け止める。
俺も加勢して……。
「見つけた」
あ?
後ろを向くと、そこには黒尽くめの集団が俺に向かってきていた。
くっそ、あの化け物のせいで感知できなかったか。
しかしまぁ、俺の姿は見えない……あぁ。
「なんか作ったのね」
囲まれるその瞬間、俺は前に乗り出し、一人をぶん殴る。
地面に叩きつけられた黒装束。
俺はその体を踏みつけ、前に乗り出した。
囲まれていたはずなのに、俺はそれを正面から突破する。
後ろを振り向き、誰も居ない空間に襲いかかった黒装束たちを見て、
「囲うときはしっかりとカバーリング考えろって」
「同意だ」
くっ
そぉ! 反応遅れた!
どうにもバカ霊圧同士が戦っているせいで感覚が鈍る。
本能で避けたけどかすったわ。
頬から血が滴る。
「この様に映るのか。
あの連中も偶には良いものを作る」
そこに居たのは、
「うっわ」
「その反応、よほど死にたいように思える……」
少女隊長だった。
もはや羽織すら羽織ってない。
黒装束を来ている。
……なんで肩出し? それ本当に隠密の服?
少し疑問に思いながらも、俺の視線はとある場所に向く。
少女隊長の左手。
そこには、黄色いとんがりコーンみたいなのがあった。
「聞く必要はない。
後一撃で貴様は死ぬ」
次の瞬間、俺の体に少しの異変が起きる。
体に、異物が混入した感覚。
これは……さっき攻撃があたった頬……。
「シッ!」
次の瞬間、怪我をした方からの攻撃。
今度はしっかりと警戒しているため、体をのけぞらせて躱しきれる。
よく見るとしっかり武器やん、とんがりコーン。
ってか、なんかあまりにも静かすぎない? その武器。
普通霊圧とかビンビンに感じるんだけど。
でもさ、
「それ、危ないな」
「気づくのが……」
やばい感じはすごいのよ。
背後に移動した。
っぱ速い。
だけど、躱せる。
拳を流す。
「はぁ!」
それはブラフ。
わかってる。
俺の本能がビンビンに言ってるんだわ、その左手の危険性。
だから姿勢に余裕作るために、拳を流したのよ。
躱す。
次が来ると身構えていたが、来ない。
少女隊長は、武器の着いてない方の指をこちらに向けて
「縛道の三十『嘴突三閃(しとつさんせん)』」
なんか声を出した。
力の流れから、何かをされるのはわかっていたけど、何が来るのか分からない。
次の瞬間、少女隊長の指先から、3つの嘴が出現し、こちらに向かってくる。
どこに避け……
「は?」
「捕まえた!」
後ろから誰かに羽交い締めにされる。
気づかなかった……黒装束の人……
やばい?!
嘴は俺と後ろの捕まえた人をもろとも壁に叩きつける。
両腕、腰を縫い付けられる。
やば。
「詰みだ」
死……