【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

62 / 84
っぱ持つべきものは友ってこと(イキリ)

「ッ?!」

 

 はい死んだ。

 この瞬間死んだと意識した瞬間、少女隊長は、横に向かって蹴りを繰り出した。

 

 何かが飛んできて、それを少女隊長が蹴り飛ばしたのだろう。

 

 何だったのかは見えなかったけど、

 

「おいおい」

 

 隙。

 

 天に祝福されてるとかどういうことだよマジ。

 俺そういうキャラじゃないでしょ。

 

 シィィィィィィィィ

 

 雷の呼吸

 

 伍の型

 

 熱界雷

 

 脚を振り下ろす。

 

 下に?

 

 いや、壁に。

 

 熱界雷はその技の特性上、一瞬における脚力も凄まじい。

 それこそ、本気でやれば脚が埋まる。

 

 今回は脚を埋めるとか悠長なことを考えない。

 

 本気で脚力だけに注力して、

 

「グバァ!!」

 

 後ろの羽交い締めのやつ越しに、壁を蹴る。

 すまんだけど死にかけてくれ。

 

 俺と同じくらいの背丈の黒装束の人が、背後の壁に埋まる。

 

 それはつまり、少しだけ空間に余裕ができるということで、

 

「どりゃ!」

 

 両腕を引き抜くことに成功した。

 

 最初は胴体も抜くつもりで居たけど、この嘴って力の塊だからかできた隙間をすぐ埋めてきやがった。

 

「小細工を……チッ」

 

 何かを蹴飛ばした後、少女隊長は俺の姿を見て、舌打ちをするも、

 

「見る限り、スピードに能力を重視しているのだろう。

 拘束には弱い」

 

 おっしゃる通りで。

 

 俺は単体能力的な力はない。

 それこそ型っていう技で補っているだけで、腕力的なパワーはそんな無い。

 

 だからこそ、こうやって捕まえられると厳しい。

 

「両手が空いていようが、構わん」

 

 俺の今の状態は、胴体を壁と縫い付けられた状態で、恐らくやばい武器を保った少女隊長と相対している。

 

 なんとなく、そのとんがりコーンの能力的なのは予想が付くけど、付いたところでこの状況を打破できない。

 

「さぁ、じっくり嬲ってやろう」

 

 少女隊長は、先程と同じ様に、武器を保っていない方の指をこちらに向ける。

 

 あの力の集まり方は……

 

「縛道の三十『嘴突三閃(しとつさんせん)』」

 

 追いですか。

 

 さいですか。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 先程の源氏のピンチを救ったのは、岩鷲だった。

 

 一護と更木剣八を相手にし、先を急ごうとした瞬間、源氏が何者かに襲撃されたのを、岩鷲は視界の端で捉えた。

 

 あいつなら、大丈夫だろうか。

 

 岩鷲の思考は、そんな考えに包まれる。

 

 花太郎は更木剣八を目の前に気絶し、使い物にならない。

 死にたくない、だから、逃げる。

 

 それは至極当然である。

 それを攻めるものはいない。

 

 花太郎が起きていたって、逃げることを優先しただろう。

 

 ガンッ!!!

 

 その直後、岩鷲の意識を戻すためのように、視界で変化が起きる。

 

 いつの間にか姿を表していた源氏が、壁に縫い付けられていた。

 後ろには誰かいるのが見える。

 羽交い締めにされて拘束された、というのは岩鷲にも十分理解できた。

 

 脚を止める。

 

 誰かが、拘束された源氏に攻撃しようとしている。

 

「おっっっっっっりゃァァ!」

 

 気づけば、岩鷲は腰にしまっていた花火を放り投げていた。

 

 狙いは源氏を攻撃しようとしているやつ。

 当たる。

 倒せずとも、源氏に時間を作れ……

 

「クソッ!」

 

 そんな甘い話はない。

 

 砕蜂は、鬱陶しそうに岩鷲の投げた花火を蹴る。

 

 恐らく岩鷲自体の確認も、同時に行ったのだろうが、歯牙に掛ける様子もなく、源氏の方を向いた。

 

 そのことに、岩鷲は、

 

「クッソォ!!」

 

 腹が立った。

 あんな路傍の小石でも見つめるような。

 羽虫を払うような視線で、こちらを見てきた。

 

 確かに、格も、強さも、実力も、何もかも差があるのかもしれない。

 

 だけど、

 

「一泡吹かせてやるっ!」

 

 納得できなかった。

 

 岩鷲は、花太郎を起こしながら、源氏が縫い付けられている建物の壁に突っ込む。

 

「切破!!!」

 

 しかし、岩鷲が掌で円を描くと、瞬時にその壁は砂に成る。

 崩れた砂は丸い穴となり、岩鷲を建物の中に入れた。

 

「ん? んん……」

「花太郎! すまん! 死ぬかもしれねぇ!」

「へぇ?」

 

 岩鷲は建物の中に駆け回る。

 目指すは、

 

「あいつ助けりゃ、一花咲かせたことに成るだろうが!」

 

 源氏のもと。

 

「え、あの! 岩鷲さん?! さっきの人ですね!」

「すまん花太郎!」

 

 花太郎が、先程出会った更木剣八の強さを話そうとしたその瞬間、岩鷲はお目当てのところに着く。

 

 岩鷲だって死神の弟。

 それなりに気配や霊圧を察知できる。

 

 それこそ、さっきみたいにバカみたいな霊圧を源氏が発してくれたおかげで、

 

「切破ぁ!!!!!!!!!!」

 

 居場所なんて、すぐに分かった。

 

 壁は砂に成る。

 砂から最初に見えたのは、一人の男だった。

 

 黒装束の男。

 見えていたので蹴り飛ばす。

 

 そして次に現れたのは、大きなマントを被った男。

 

「源氏!」

「岩鷲……さん?」

 

 源氏の表情は、驚いたものとなっている。

 それはそうだろう。

 源氏にとってこの状況は、まさに未知。

 

 後ろの壁が砂に成って、視界に出てきたのは、岩鷲。

 

「ホッ!」

 

 倒れる源氏を支える。

 

 そして、見上げる。

 

 否、見つめる。

 

「ざまぁみろ」

「羽虫如きが……」

 

 次の瞬間、砕蜂は姿を消し、岩鷲たちの目の前で拳を振り上げる。

 

 岩鷲には到底対応できないスピード。

 

 自分が死んだことに気づかずに死ぬ。

 

 ガァン!!!

 

 響く金音。

 

 岩鷲は、自分の目の前に景色が、一瞬で変わったと思った。

 

「岩鷲さん、ありがとうございます。

 逃げてください」

 

 岩鷲の目に映るのは、気絶させたはずの源氏がいつの間にか岩鷲たちを守るように、砕蜂と対峙している様子だ。

 

「二番隊隊長……」

 

 花太郎は、その顔を知っていた。

 

 尸魂界全土にいる無数の死神のうちの最高戦力の一人。

 砕蜂。

 

 隠密機動隊総頭であり、同時に隊長の任を任された死神。

 その速さは尸魂界随一の速さ。

 

 並の死神では何か起きたと感じる前に終わっているほどの速さ。

 そんな速さを持つ人物と、今、源氏は競り合っている?

 

 その情景の疑問を解決できないまま、

 

「わかった」

 

 岩鷲の一言で、二人は逃げ出した。

 

 それこそ、戦いたかった。

 

 できることなら。

 

 でも、さっきと一緒だった。

 

 邪魔になる。

 

 岩鷲と花太郎の予想は、一致していた。

 だからこそ、二人は駆け出し、

 

「追え」

 

 砕蜂は、殺す。

 

 先程まで待機していた黒装束たちが、建物の中に入り、岩鷲たちを追う。

 

 シィィィィィィ

 

 そんな建物の中に、不思議な音。

 これは、砕蜂の中の予想が、確信を得る。

 

 今までも聞こえていた、不思議な音。

 目の前に対峙している敵から発せられる、音。

 

 音が発する時、それは……

 

 ダダダダダダダダダダッ!!!

 

 源氏の体が、幾重にも見える。

 残像が残るほどの速さ。

 

 その残像たちは、岩鷲たちを追う黒装束すべてのもとに現れ、

 

「させるわけ無いだろ」

 

 砕蜂から距離を取って現れた源氏の一言と同時に、

 

「やはり、その音は……」

 

 倒れた。

 

 砕蜂ですら目で追えないほどの速さだった。

 

 霊圧の上昇は、死神で言うなれば隊長目前。

 

 ゆっくりと、源氏の体から霊圧が消えていく。

 

「技、それも純粋な殺すための技」

「殺してねぇよ」

 

 荒い口調で返す源氏に、砕蜂は身構える。

 先ほどとは明確に違う、臨戦態勢。

 

 刀を腰だめに。

 まるで居合術のようなその姿勢。

 

「慣れねぇな」

 

 シィィィィィィィ

 

 音が、聞こえた。

 

 来る。

 砕蜂は、集中する。

 

「守るのって」

 

 そして訪れたのは、地震。

 

 砕蜂の視界が、傾いた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。