【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

63 / 84
ここって時は、かっこつけろ

 雷の呼吸について、おさらいしよう。

 

 雷の呼吸は、本来6つの型から構成され、鬼滅の刃作中では7つ目を我妻善逸が完成させたことで、7つの型ということになっている。

 

 一応、俺は6つの型は使える。

 

 というか漆ノ型に関しては、霹靂一閃の上位互換なので、習得もクソもないとは思うので除外。

 

 正直雷の呼吸は移動と居合の二つを組み合わせた技が主である。

 そのため、生き残ることや一瞬で仕留めることに重点が置かれ、非常に助かったシーンは多い。

 

 そんな中、俺が滅多に使わない型がある。

 

「貴様……こんなものを隠し持っていたとは」

「はっ」

 

 陸ノ型 電轟雷轟(でんごうらいごう)

 

 この技、今までの呼吸のコンセプトとかなり違う運用をしていたりする。

 

 表面をなぞらえるなら、弐の型 稲魂を収束させたもののように見えるが、やってみるとかなり違う。

 稲魂は技、電轟雷轟は力、という感じ。

 

 用途で分けるなら、稲魂は対人、電轟雷轟は対物。

 

 崩れていく建物。

 

 累(かさね)まで使用して建物を叩き切った。

 切る、というより叩き潰すという表現のほうが正しいのだけど。

 

 多分、花太郎と岩鷲さんに関しては生きているだろう。

 それこそ、岩鷲さんのさっきの壁を砂にするやつを使えばなんとかなりそう。

 

「どこまで通用するか」

 

 息を吐く。

 俺の足元も、支える足場がなくなり、崩れ落ちていく。

 

 累を使った場合、落ち着かないと霊子の過剰保有で魂が悲鳴を上げる。

 しかし、今はそんなことを言っている場合ではない。

 

 少しだけ息を吐き、

 

 シィィィィィィィ

 

 雷の呼吸

 

 参の型

 

 聚蚊成雷

 

 飛び出した。

 

 目指すは少女隊長。

 

「小賢しい!」

 

 瓦礫が落ち、視界が悪い。

 聚蚊成雷の足運びで、無数の瓦礫を渡る。

 対する少女隊長は、こちらを迎え撃とうと拳を握る。

 

 衝突する刀と武器。

 

「?」

 

 軽い。

 

 少女隊長はそう思っただろう。

 それはそうだ。

 

 俺は攻撃したのではない。

 

 シィィィィィィィ

 

 足場に着地しただけだ。

 

 雷の呼吸

 

 壱の型

 

 霹靂一閃

 

 少女隊長を足場にする。

 何故か死神は空中を歩けるらしいので、もしかしたらと思ったら案の定かなり足場が安定していた。

 

 そのまま俺が飛び退いたのは、近場の建物。

 

 何の用途で使われている建物かは知らないが、高い建物が乱立していてよかった。

 

 壁に着地。

 

 勢いを殺す着地は、こうして一時的に壁さえも地面にすることができる。

 

 シィィィィィィィ

 

 雷の呼吸

 

 壱の型

 

 霹靂一閃

 

「クッ!」

 

 少女隊長は、俺の霹靂一閃に、腕を負傷しながらも躱してみせる。

 

 やっぱり、少女隊長はこの速度に反応できる。

 というか隊長に対して普通の型は完全に通らない。

 

 マジで、最速の技だよ? 俺の。

 なんでそうも躱してくれるんだよ……。

 

 技を打ち終わり、地面に着地。

 

 シィィィィィィィ

 

 さぁ

 

 雷の呼吸

 

 こっから

 

 壱の型

 

 チキンレースだ。

 

 霹靂一閃。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 懺罪宮、四深牢に続く道。

 

 そこには白い建物が乱立している。

 それこそ、人が住む建物ではないので、壊れても構わない建物。

 

 音が、聞こえない。

 

 建物の中心にいるのは、砕蜂。

 羽織を脱ぎ捨て、始解を開放して、本気で戦っている。

 

 そんな砕蜂が、追い詰められている。

 

 周囲に居た隠密機動たちはすでにその相手に倒された。

 

「くぅっ」

 

 苦悶の声。

 砕蜂は護廷十三隊の中でもその速さに追いては引けを取らない。

 

 それこそ、あの瞬神をもすでに超えたと思っていたが、

 

 たった一人の男に、その幻想を打ち破られようとしている。

 

「はぁっ!」

 

 時とすれば、10秒にも満たないその時間で、砕蜂の思考は激しく働く。

 

 目の前の旅禍は、速い。

 それこそ、砕蜂も負けを認めるわけではないが、この旅禍は速さの種類が違う。

 

 砕蜂のものが、速さと距離のどちらにも適用できる瞬歩。

 旅禍のものは、初速に全てを掛けた殺すための技。

 

 それがこの四方を建物で囲まれた場所で、縦横無尽に攻撃されている。

 

 一瞬が、長く感じる。

 

 その長い一瞬でも、対応できない。

 

 砕蜂は、焦りながらも、解決策を見出していた。

 

 瞬歩だろうと、連続使用は肉体に負荷がかかる。

 それこそ、先程隠密機動を倒し、建物を崩した。

 そんな大技を連発していれば、ガス欠が来る。

 

 この技だって、躱せないわけではない。

 体に無数の傷を負ってもなお、砕蜂の目には勝機が見えている。

 

 そして数撃、再度砕蜂に源氏は襲いかかる。

 

(速くなっている?!)

 

 最初と比べて、徐々に速くなっている。

 それに、霊圧が上がっている。

 

 先程までは本気ではなかったということ……、そんな勝機の無くなりそうな考えが砕蜂の頭によぎる。

 

 だが、砕蜂の考えも間違っているわけではない。

 

 源氏の呼吸は、周囲の霊子を取り込んで技を行う。

 だからこそ、本来なら体内の霊子を扱って闘う死神とは違い、滅却士は使えば使うほどにその身を強固に、強くなっていく。

 

 それは裏を返せば、連発すれば霊子の過剰保有によって魂が破裂することを意味しているのだが。

 

(こやつ……)

 

 それに、砕蜂も気づいた。

 

 滅却士、という存在にたどり着きはしなかったが、砕蜂はこれは限界があると見える。

 

「ならばッ!」

 

 砕蜂も、奥の手を開放する。

 

 鬼道を体内に巡らすことで身体能力の急激な上昇をする、新しい技。

 

 まだ開発中で、それこそ奥の手だが、今使わなければ、あの刃は砕蜂の喉元に届く。

 

「ここだぁ!」

 

 上昇した身体能力、それに伴って上がる反射神経にものを言わせ、砕蜂は限界まで速くなった源氏の霹靂一閃を捉える。

 

 鍔迫合う。

 

 速さは衝撃となり、砕蜂は押され、後退していく。

 

「命を捨てるのか」

「んなこたねぇよ」

 

 その瞬間、砕蜂は捉えた。

 

 体がひび割れる、源氏の姿を。

 

 そう、源氏の体はすでに限界を超えていた。

 

 魂はひび割れ、体は朽ちまいと形を保っているが、これが限界。

 

「ならば、せめて引導を渡してやろう」

 

 砕蜂の一撃。

 膂力、反射神経、速度。

 現在その全てにおいて源氏より勝る砕蜂の一撃は、源氏の腹に直撃する。

 

「がっ!」

 

 ギリギリで源氏は躱すが、そのダメージは目に見えてひどい。

 

「降参するが良い」

 

 地に落ちた源氏の腹は、三分の一抉れていた。

 

「その状態では遅かれ早かれ死ぬ。

 それでも、やるのか」

 

 溢れ出る血。

 

 死にかけ。

 

 まさにそんな言葉が似合う源氏。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 息も絶え絶え。

 

 砕蜂は、手を挙げる。

 

 それは、殺すための手。

 

 死への手招き。

 

 そこで、

 

「ッ?!」

 

 巨大な霊圧が、二人を包む。

 

 その霊圧の主は、

 

「いち……ご」

 

 黒崎一護。

 

「この霊圧は……」

 

 更木剣八を凌ぐのではないかと思われる霊圧に、砕蜂の意識は取られた。

 

 目の前で死に体の人間から。

 

「一護」

 

 砕蜂は、視線を戻し、見た。

 

 倒れていた男が、立ったところを。

 

 腹の怪我が治っている。

 

 どうして……

 

「技、借りるぜ」

 

 砕蜂は顔を上げて、見た。

 

「鬼……」

「霹靂天衝」

 

 源氏の額に浮かぶ一本角と、

 

 天を衝く霹靂の一太刀を。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。