【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】 作:ぬー(旧名:菊の花の様に)
『常中って常にするものでは?』
→確かにその通りです。しかし今作ではそこは改変部分として捕らえてください。設定があります(最初から考えていたほう)
本来の常中→基礎力アップ
今作の常中→スーパー○イヤ人
「え? ここは?」
「『勉強部屋』って名前っすかね?
いいでしょぉ」
「いいも何も周辺住居への影響……」
「え?」
「いや水道管とか……」
「へ?」
俺の疑問に対し、浦原さんに何も通じないことを理解し、口を閉ざす。
握菱さんに背後から捕らえられ来たのは、浦原商店の地下。
何があるのかと期待していた俺を待っていたのは、広い広い空間だった。
枯れ果てた地。
そういえば伝わるだろうか。
枯れ木がまばらに、岩山が点々と。
何? 趣味なの?
周りを見渡していると、握菱さんから降ろされる。
……ってか俺のことを抱きかかえながらどうやって降りたの? 握菱さん。
周りを見渡していたせいで見落とした。
「まず、ここにきた理由は2つ。
一つは、ここだと話を聞かれないので」
「ここって浦原さんが作ったんですか?」
「えぇ。
あたしが丹精込めて一つ一つ作りましたよ」
「……はぁ」
思わず出かかった『センスない』の言葉を飲み込み、浦原さんの話を聞く。
浦原さんが作ったのだとしたら、何を思ってこんなところ作ったんだよ……。
闇系なのか? 病み系なのか?
「えっと、それともう一つの理由っすね」
浦原さんは、J型の杖の切っ先をこっちに向ける。
さっきは気づかなかったけどあれ、刀では?
重心が変な場所だし、妙に杖っぽくない持ち方するし。
ジジイが杖を使っているときがあるので、杖の動きはなんとなく覚えている。
それとは違う。
杖の形状的な話ではなく、使い方の話。
支えるためではない杖の動き。
「丈さんから概要くらいは聞いてるっす」
瞬間、目の前から浦原さんが消える。
体が動く。
常中は先程からしっぱなしである。
反射能力も何故か上がるので、今度は対応可能。
後ろに回り込まれる。
やっぱ仕込み杖かッ?!
受けるという選択肢はない。
避けなければッ?!
「あたしから一本取れたら、話しましょう」
「へ?」
仕込み杖が振り下ろされると思っていたが、俺の背後に回った浦原さんは、杖を腕にかけ、何か手に持っていた。
それは、布の袋に包まれていた。
細長く、傘より長めの袋。
「はい。
順序は逆っすけど、これを渡しておきます」
「え?」
「これ、丈さんから渡してって言われてるんすよ」
「これを?」
俺が袋を指すと、浦原さんは布の袋を解く。
そこから現れたのは、
「おぉ」
「名を『月輪刀(げつりんとう)』
これが丈さん……いや、滅却師の使う刀っす」
「めっきゃくし?」
何だその単語は。
知らない単語だ。
月輪刀はなんとなく日輪刀のパク……日輪刀に似たもの、っていうのは推測できるけど、めっきゃくし、とは?
「それに関しても、あたしと戦ってからっすかね。
つかぬことをお聞きしますが、いつも丈さんとの修行はどの様な形式で?」
「……あ、ありがとうございます。
ジジイとの修行は……基本は殺し合いですかね?」
「それは、どの程度の規制で?」
「基本寸止め。
切ったら、その怪我に相当する部位の使用不可。
致命傷なら終わりっす」
思い出すのも嫌な『実戦形式』の修行。
ジジイは呼吸の他にも様々な武術を学んでいるのか、掴みどころがない。
一を見切れば十の新しさが飛び出してくる。
まるでびっくり箱。
そのせいでほんとに勝てなかった。
けど、その代わりに強くなった。
「じゃあ、そのルールでやりましょうか。
一応怪我しているので、あたしはそちらに対して攻撃はしませんし、少しは手かげ……」
「あ」
浦原さんが俺に刀を手渡し、話をしながら距離を取ろうとした。
始めるための準備、として間合いをとる。
それは普通なことで、なんら不思議なことではない。
でも、その姿を見て、俺は伝え忘れていたことと、
「寸止めってのは口約束です。
俺もジジイも峰を使って本気で切りかかっていました。
それと」
試合の、
「始めの合図とかは基本ないです」
不意打ち上等闇討ち最高。
生きるため、殺すためなら何でもしなさい。
それでだめだったら死になさい。
片手が使えない?
両手で刀を使えないと死ぬのよ?(実体験)
シィィィィィ
雷の呼吸
伍の型
熱界雷(ねつかいらい)
下からの切り上げ。
雷の呼吸の得意とする脚力を使用した切り上げ。
これを選んだ理由は、
「ッ?! そうっすか?!」
浦原さんの視覚を奪う。
熱界雷は切り上げ。
攻撃の用途で使用するなら、自身より頭上にいる相手に対しての攻撃、または振り下ろしの攻撃と鍔迫合うため。
だが、今回はその切り出しを下にする。
更には踏み込みを最大限地面に威力を伝える。
右腕を怪我しているけど、足の踏み込みさえしっかりしていればなんとかなる。
それによって起きるのは、大きな土煙。
ここの地面が乾いて、土煙が上がるのは先程確認している。
ダンッ!!!
同時に起こる土煙。
距離を取る。
シィィィィィ
絶やすこと無く次の技へ。
浦原さんは土煙の中に立たされ、目の前にいるはずの俺に対応しようとしている。
当然、俺がいないことに一瞬で気づく。
だが、その一瞬でいい。
雷の呼吸
壱の型
霹靂一閃
トン
土煙を後ろに、俺は地に足を降ろした。
斬った。
渡された刀は、恐ろしいほどに、俺が修行の時に使っていた木剣と同じ重さ、重心だった。
おそらくジジイはこれを見越してあの様な木剣を作ったのだろう。
だからこそ、しっかりと戦うことができた。
怪我をしていたものの、もともと左右関係なく刀は使えるので、問題はない。
少し右腕は痛むが、そんなことを気にしていられるほど修行は甘くなかった。
それにしても、この『月輪刀』でなければ左手でこれほどの練度で技はできなかった。
振り向き、通り過ぎた土煙に対して声を出す。
「浦原さん! そんなに黙ってないで、出てきてくださいよ!」
握菱さんが少し不安なのか、前のめりになってますってば。
確かに斬った。
もちろん峰で行った技は、ノーガードであれば重症だろう。
けど、俺が叩いたのは人間ではない。
「まさか、『血霞の盾』を使わされちゃうとは。
さすが丈さんのお孫さん。
……というか、ほんとに怪我してるんスか?」
「……なんすかそれ」
浦原さんは、先程までいた場所を一歩たりとも動いてなかった。
しかし、浦原さんの目の前には、赤色半透明の盾が浮かんでいた。
しかもさっきまで持ってた仕込み杖までなんか十手みたいなのに変わってるし。
「これっすか? これは【紅姫】。
死神の使う刀っすよ」
「死神……」
知ってる、斬魄刀だ。
いろんな種類あるやつだし、なんか話すんだよね、オサレな一言(薄い記憶)
「死神、っていうのは源氏さんがこの前殺した虚を斬る存在。
人間界とあの世……尸魂界(ソウルソサエティ)の調整者(バランサー)っすよ」
「……はぁ」
尸魂界は聞いたことある。
けど死神ってバランサーだったのは初耳。
というかバランサーとは?
死神って虚殺す人じゃないの?
「おっと、話しすぎるといけないっすねぇ。
あたしはクールでミステリアスな部分が……」
「あるんすかそれ」
雷の呼吸
壱の型
霹靂……
「もうさせないっすよ」
背後から聞こえる声。
ッ?!
死ぬ気で型を途中で変更!!
弐の型
稲魂(いなだま)
一瞬にして斬撃を5度行う技。
怪我なんぞ知るか。
腕一本で勝てるなら上等。
悲鳴を上げる左腕にムチを打つ。
稲魂は、雷の呼吸における紡ぎの技。
雷の呼吸では、霹靂一閃と稲魂を工夫したものが技となっている。
そのため、これができないと必然的に他の技ができない。
だから、鬼滅本編で獪岳が壱の型だけできないのおかしいんだよな。
技術的にはできない理由はないのに。
背後にいる浦原さんに対し、5度の斬撃。
その斬撃に当たった感触はない。
その代わり待っていたのは、
「くっ?!」
「結構無理するっすねぇ」
俺の体の負担。
本来なら適切な呼吸と型を行うことで使える技を、途中で強制変更した。
フェイントとかではない。
車の急ブレーキのようなものだ。
もちろん、そんな事すれば車に負担がかかる。
悲鳴を上げる体。
怪我してるよってずっと囁いている体。
正直やめたい気持ちは山々。
「はっ」
息を吐く。
こんなところで止まってられない。
目の前に敵はいる。
温い考えでは死ぬ。
構えろ。
「流石というかなんというか……」
浦原さんはいつの間にか、俺の間合いのギリギリ外にいる。
刀を振るっても余裕で躱されるくらいの場所。
強いな。
それなら……
「降参っす」
呼吸を整えた俺に対して、浦原さんは両手を上げる。
「は?」
「降参っす」
浦原さんは、俺のとぼけた表情を見て、クツクツと笑いながら、両手を上げている。
クインシーとは話していません。
しっかりとめっきゃくし、と話しています。