【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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恐れ 怖い

 おいおいおいおい待て待て何だこの状況は。

 

 イケオジから連れてこられた場所に、そんな感想を抱いた。

 場所は双極……処刑場だ。

 

 草木一つ生えていないここに、大勢の人間が居た。

 

 多くが羽織を纏ったものと、その側に控えるもの。

 隊長と、副隊長の多く。

 処刑をするときと同等、もしくはそれ以上の戦力がここに集まっている。

 

 そんな人達の中心にいるのは、三人の人物。

 

 一人目は、目元を隠した人物。

 浅黒い肌をした人物。

 特殊な髪の編み込みが特徴のその人物は、首元に刀を向けられている。

 

 二人目は、白髪のイケメン。

 目を細めているように見える彼は、それこそ俺を一度殺しかけた人物。

 市丸ギン。

 こちらも首元に刃を向けられている。

 

 三人目は、この場の中心にいる、茶髪の人物。

 メガネをかけ、優男風な印象を持っている。

 おそらく彼が藍染、という男なのであろう。

 その人には、少女隊長と夜一さんが首元に刃を向けている。

 

「藍染……」

 

 浮竹さんがメガネの男……藍染に向かって発言する。

 声を掛けられた藍染は、何も言わない。

 

 

「終わりじゃ、藍染」 

 

 

 そんな最中、俺は地面に視線が向く。

 よく見れば、地に伏している人物が数人存在する。

 犬……? 人?

 後は赤髪の人と、一護がいた。

 

 それに気づいて、俺は顔を上げ、藍染の方を見る。

 

 そして、気づく。

 

 

 あいつ、笑って……

 

「離れろ! 砕蜂!」

 

 夜一さんの声。

 瞬間、空から光が降り注ぐ。

 離れた夜一さんと少女隊長……砕蜂は、光をかすめたのか、それぞれの獲物が欠けていた。

 

 あの光は……

 

 光をたどり、空を見る。

 そこには、罅があった。

 小さな、小さな罅。

 

 その罅が、広がった。

 

 飛び出したのは、無数の手。

 無数の手は、罅の縁を掴み、閉じないように抑え込んでいる。

 

「大虚(メノス・グランデ)……」

 

 その言葉に、以前一護が石田くんと争った時に出た大きな虚のことを思い出す。

 あれが、軽く見ただけでも数十体。

 

「ギリアンか……。

 何体いやがんだ……」

「いや……。

 まだ奥に何かいるぞ……?!」

 

 誰かの放った言葉に、俺はじっと罅の奥を見つめた。

 その奥に居たのは、大きな目。

 得体の知れぬものに、誰もが言葉を失う。

 

 すると、罅の近くから新たに3つの光が飛び出した。

 

 一つは、浅黒の男。

 

 一つは、市丸ギン。

 

 そして最後の一つは、

 

「は?」

 

 

 俺。

 

 

 自分の周りが光っていることに気づき、理解に苦しむ。

 ちなみに俺の周りにいたイケオジとお爺さんは俺から距離を取った。

 

「莫迦者! なぜ避けぬ!」

「え、え?」

 

 お爺さんからの叱咤に思わず呆けてしまうが、俺は痛む体にムチを打ち、光の外側に出ようとする。

 

 ゴッ

 

 そして、頭をぶつけた。

 

「……それは『反膜(ネガシオン)というての。

 大虚が仲間を助ける時に使うものじゃ」

「はぁ」

「その光に包まれたが最後、光の内と外は干渉不可能な完全に隔絶された世界となる。

 大虚と戦(たたこう)たことがあるものはみんな知っている。

 その光が降った瞬間から」

 

 お爺さんは溜めて、

 

「儂らは藍染に触れることも、

 お主を助けることもできなくなったのじゃ」

「え」

 

 思考停止する。

 何を言うとるんだこのお爺さんは。

 というところで、俺の体が……というか光に包まれていた人たちの体が浮き上がる。

 

「東仙!」

 

 そこで、倒れていたはずの犬の人が起き上がり、名前を呼ぶ。

 

「降りてこい東仙!」

 

 犬の人は、血塗れになりながらも、名を呼んだ。

 その視線の先は、浅黒の男。

 

「解せぬ!

 貴公は何故死神になった!?

 亡き友のためではないのか!!

 正義を貫くためではないのか!!

 貴公の正義は何処に消え失せた!!」

 

 浅黒の男は、犬の人の言葉に、天から見下ろしながら、

 

「言っただろう狛村。

 私のこの眼に映るのは、もっとも血に染まらぬ道だけだ。

 正義は常に其処に在る。

 私の歩む道こそが、正義だ」

「東仙……」

 

 犬の人は満身創痍で浅黒の男……東仙を見上げた。

 

「藍染……何故其奴が共に行っておるのじゃ」

「彼? あぁ、虚空の彼のことか」

「そうじゃ」

「彼は崩玉の一つの可能性を見せた。

 そして、彼がいれば、ここには居ない老害の相手も容易くなるだろう?」

 

 老害。

 すなわちそれは俺の爺さんのことを指している。

 そして、俺はもしや。

 

「人質とは……」

「いいや、彼には仲間に成ってもらうだけさ」

「仲間……」

「それは見てのお楽しみだ」

 

 夜一さんがこちらを見るけど、俺も理解していないので呆けた表情で返すしか無い。

 正直、お爺さんの説明の後から逃げることは度外視している。

 

 なんか触った感じでわかるもん。

 これ硬いとかそういうやつじゃないって。

 

 俺は浮いていく体楽しい、とか適当なことを考えつつ、下を見る。

 

 其処に居たのは、倒れた一護。

 

「源氏!!」

「すぐ帰るわー」

 

 ゆるく返事。

 一護は眉間にシワを寄せて、こちらを睨んだ。

 

 大丈夫だって。

 

「俺は死なない」

 

 その言葉に、一護はなんとも言えない表情をした。

 はは、どんな面だよ。

 

 ……心のなかでは、まじ怖い。

 さっきから感じてた、藍染とかいうやつ。

 あいつはやばい感じがする。

 

 実際に会わないと分からない、やばい感じ。

 

 俺がどうなるのかは知らない。

 

 けど、確実に体は震えている。

 

「何が、目的だ」

「高みを求めて」

「地に堕ちたか、藍染……!」

 

 浮竹さんは、俺のことを一瞥して、藍染を見る。

 その言葉に、藍染は雰囲気を変えた。

 

「……驕りが過ぎるぞ、浮竹。

 最初から誰も、天に立ってなどいないのだ」

 

 俺の吸い込まれる先は、大虚の群れ。

 この体で、どうなるのか。

 震える体。

 止まらない恐怖。

 

「君も

 僕も

 神すらも」

 

 藍染はメガネを外し、

 

「だがその耐え難い天の座の空白も終わる」

 

 その髪をかき上げ、

 

「これからは、私が天に立つ」

 

 黒の中に吸い込まれていった。

 

 俺の目の前に広がる、黒。

 

「はは」

 

 乾いた笑いが出る。

 

 体の痛みが消え、ただ寒気が残る。

 

 動かないはずの手は、拳を握る。

 

 喉は渇く。

 

 息が、詰まる。

 

「大丈夫」

 

 誰にでもなく、言い放つ。




と、いうことでここで瀞霊廷突入編は終了とさせていただきます。
終わりではありませんが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

応援等々ありがとうございます。

面白かったら、評価、感想よろしくお願い致します。
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