【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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そろそろ登場しますんで、よろしく

「イーーーチーーーゴフゥ!!!」

「おーすケイゴ」

「朝からなんて仕打ち……」

 

「おはよ一護」

「おはよう水色」

 

 9月1日。

 朝、新学期が始まって初の登校日。

 朝から一護は騒がしい友達連中と戯れながら、教室に入る。

 

「おっはよう! 黒崎くん!」

「…………ム」

「おはよう。

 今日も脳天気な髪型で何よりだ」

 

 織姫、チャド、石田。

 それぞれから朝の挨拶をされた一護は、石田の言葉に苦い顔をしていると、

 

「一護一護一護!

 大変なんだ! あの集団おかしくないか?!

 チャドに、何故か井上さん! それに何故か何故か石田も?!」

 

 ケイゴは一護に語りかける。

 まるでありえないものでも見たかのようなリアクションは面白いの一言に尽きるのだが、

 

「まさに美女と野獣と眼鏡!

 プリンセス&モンスター&メガネ!

 夏休み前あの三人あんなに仲良かったっけ?!

 一体この夏の間に一体どんないかがわしいことが!」

「おーす」

「そしてなぜかそこに一護もゲットイン!

 ついに始まる壮大な仲間はずれの予感?!」

 

「ぐっ…………もーにんひめぇぇぇ!」

「ひぇぁ!」

 

 ケイゴの泣き言も終わらぬうちに、次の騒動が起きる。

 千鶴が後ろから織姫を抱きしめ、あろうことか乳をもんだのである。

 これには流石に織姫もびっくりとした声を出すが、

 

ゴッ!

 

 突如飛んできた蹴りにより、千鶴は地面と数回バウンドしながら飛んでいく。

 

「ふふふ…… 夏は終えてもツッコミは健在ね……」

「だからツッコミじゃないっつってんでしょ!

 はぁ、あんたは夏でも秋でもサカリっぱなしね」

「いえすあいどぅー! あいわながーーーる!」

「水色ぉ、俺もあんなふうに素直に生きられたらどんなに素敵なんだ……」

「僕はちょっと……」

 

 朝から騒々しい人たちである。

 だが、それが日常で、本来ならこれが正しい姿なのだが、

 

「あれ?」

 

 ケイゴがわざとらしく辺を見渡す。

 

「ここらへんでいつもゲンジがツッコミをしてくるはずなんだけど……」

「っ……!」

 

 その言葉に、一護、織姫、チャド、石田の空気は少しだけ、張り詰める。

 

「あー、源氏な、なんかどっか外国に行ってて帰れないらしいぜ」

 

 その中、一護は何でもないような感じで話をする。

 

「海外? あいつって海外行くようなやつだったっけ?」

「夏休み後半使ってなんかおじいさんと旅行行ったんだけど、紛争地帯に行っちまって帰れないらしいんだよ」

「さすが源氏……そういう謎の引きだけは強いよね」

「まぁ、たしかにここ一番の引きの悪さは相変わらずだな」

 

 ケイゴと水色の反応に、どうにかごまかせたと、真実を知る者たちは安堵する。

 しかし、

 

「だとしても、なんで一護だけ知ってんの?

 あいつのことだからこういうときってみんなに連絡するよね?」

「確かに、あいつ意外と小心者というか寂しがり屋だから、こういうときは連絡するよな」

 

 たつきの発言に、ケイゴはうなずく。

 確かに、一護からしても一護だけに話しているのは違和感だ。

 

 と言うのは理解していたため、

 

「いやさ、源氏からもしもこのときになったらそう話しておいてって言われたんだよ。

 もしかしたら源氏の爺さんがなにかやらかして俺は生きてるけど帰れなくなる可能性があるって」

「……そっか、あいつのじいさんってすごい破天荒なんだっけ?」

「俺はムキムキって聞いたぞ」

「伝説のヤンキーだったって話もあったよ」

 

 一体自分の爺さんをなんだと思ってるんだ……、だから自分の爺さんから殺すなんて単語が出るんだよ。

 そう思わずにはいられない一護。

 

「ま、あいつなら生きてひょっこりやっほーって帰ってきそうだな」

「確かに、源氏って運は悪いけど、なんとかするよね」

「そ、そうだよねー」

「あれ? 姫、我妻くんと仲良かったっけ?」

「ん? いや、夏休みに少し遊んでねー」

 

 織姫も会話に参戦しようとうなずいていると、千鶴から厳しい指摘が。

 確かに、織姫はみんなの前で源氏となにか仲良くしている素振りを見せたことはない。

 

 だからこそ適当に嘘をついたが、それが墓穴をほった。

 

「姫! それは一体いつなんどきの何秒「おーいてめぇら席につけー」……あ」

 

 同時に鳴るホームルームを知らせる鐘。

 

「えーっと、みんな席ついたなー。

 それじゃあ出席……あ、そうだ、我妻なー。

 あいついないけど、爺さんから連絡があって、海外の紛争地帯で迷子らしい。

 多分帰れると思うけど帰れる目処がないです、って連絡きたわ」

 

 クラスの連中がざわざわする。

 流石にいきなりクラスメイトが海外に行った、紛争地帯に行ったなんて話されれば、少しはどよめきだつだろう。

 だが、

 

「まぁ、あいつのことだから意外にひょっこり帰ってくるとおもうから、そんときは差の付いた学力で見返せー」

 

 その担任の一言で、みんなは納得した。

 別に源氏は暮らすというか普通に生活していて自身の力をひけらかしたり、見せつけたことはない。

 しかし、端々から漏れる武人の立ち振舞が、いつの間にか源氏に対する安心感を与えていた。

 

「えっと、それ以外は……大島と反町か、アイツラはヤンキーだから元気にやってるだろ、よし」

「一人欠けたけど容赦なく授業進むから気をつけろー」

「我妻死んだ扱いっすか?!」

「あ、そうだった、あいつ死んではないのか」

 

 どっと起きる笑い声。

 少し不謹慎だが、意外と源氏もクラスの噂程度にはおかしいことをしている。

 

 と言うか殆どが一護やチャドと絡んでいるときにできたものなので、あの二人と同類と捉えられているせいで、こうしたイメージなのだが。

 

「えっと、それじゃあ転校生を紹介しまーす」

「便所っす!」

「おい! 黒崎!」

「「便所っす!」」

「ってうぉぉい! 茶渡に井上まで!」

 

 そして転校生紹介のタイミング。

 担任が扉を開けた瞬間、一護は走り出した。

 それとタイミングを同じくして、追うようにチャドと織姫も教室を飛び出した。

 

 出て行きながら、担任と織姫は何かを話していたが、あっという間に三人の姿はなくなっていた。

 

「ったく、最近のやつは……」

 

 そして担任も担任で、見つからない転校生を諦めながら、教室に戻って淡々と授業を始める。

 それでいいのか教師、とも思わなくないが、それがこのクラスにとっては常識なのだ。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「あの」

「なんじゃ?」

「それ、誰を想定しているんですか?」

「もちろん、愛弟子じゃよ」

 

 現世、勉強部屋。

 我妻丈は、一人ここで動き回っていた。

 その動きは、まるで誰かといるような。

 

 そして、その誰かと戦っているような。

 

 だが、浦原は違和感を感じる。

 それは戦いではなく、一方的な攻撃。

 それでいて、相手は執拗に回避している。

 

「あの、攻撃しすぎじゃないですか?」

「あの愛弟子に攻撃の隙を与える意味もない」

「まぁ、我流の型だからか分からないっスけど、だいぶ正面対決に向いてないっすよね、あれは」

 

 浦原は、休憩をしている丈に飲み物を渡しながら、源氏のことを話す。

 

 源氏の使用する雷の呼吸は、全体的に溜めが存在している。

 それは呼吸をするタイミング。

 たった一瞬の呼吸のタイミングだが、その一瞬が首と体が離れるかどうかの一瞬なのだ。

 

 今までの源氏は、その一瞬を攻撃しながら、回避しながら行うことで騙し騙しやっていたが、それもこの鬼人、我妻丈の眼の前では無意味と化す。

 

「今のあやつのレベルでは、の」

「今の源氏さんの、っていうと、成長する可能性があると?」

「少なからず、今度相まみえるときのあやつは、確実に俺等の知っている段階ではない」

「源氏さんとは尸魂界に送る前しか会ってないので、その可能性は高いっスけど」

 

 浦原は、源氏が成長するタイプの人間には思えなかった。

 それこそ、訓練をしているのを見ると、それはそれは魔法のように相手の太刀筋を見切るが、それとてその場限りのもの。

 

 浦原とて、源氏を殺してみせろと言われたら、いくつもの手立てを思いつく。

 

 そんな気楽そうな浦原の言葉に、丈は真剣な表情で、言葉を紡ぐ。

 

「『虚空』を、使えるようになっていると見て間違いない」

「?! 『虚空』を、っスか?」

「完全でなくとも、きっかけを掴んでいるのは確かじゃろうな」

「虚空を持っていて、こちらについてくれていれば……」

「おそらく藍染惣右介も、それが狙い、と見ていい」

 

 丈は、渡された飲み物を飲み干し、地面においた。

 

「源氏は、しぶとくなった。

 これ以上に」

「あたしも準備、したほうがよろしいですかね?」

「少なくとも、儂ができなかったときのことを考えてくれれば」

 

 浦原は、その言葉に心底驚いた。

 浦原の知る鬼人、我妻丈は、そんな言葉を口から出さない。

 常に飄々、絶対的な自信に満ち溢れ、その圧倒的な力で周囲を納得させていく。

 その姿は、あり方は違えどその弟子に、確実に受け継がれている。

 

 常に飄々と、その歩みは死なないからという確信を持ちながら、恐れ、怖がりながら自身の目的を的確に果たしていく。

 

 元来、人が生きるための剣術を極めるものの、ある意味別種であり同等の行き着く先。

 だからこそ、それは自分の弟子を認めているということなのか、それかもしくは……

 

「私が、もし源氏くんを切っても殺さないでくださいね」

「その時は儂は死んでいるじゃろうよ」

 

 浦原は、その言葉の意味が、分からなかった。

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