【助けて】呼吸使えるけど、オサレが使えない【転生】   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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カスにはなってもクズにはなるな

 9月3日

 天気 晴れ。

 気温は最高気温が25度、最低気温が19度。

 過ごしやすい天気となりますが、夜は冷え込みますので、風邪を引かないように気をつけましょう。

 

 時は午前九時。

 ちょうどこれから人々は活動していく、そんなとき。

 

 空座町東部

 

 ちょうど、そこは主要道路からも近く、何より地域で運営している道場が存在した。

 そこには、休日ということもあり、町内の高校の空手部が、それを利用している。

 

 今日は隣町との合同練習ということもあり、道場にいる部員も、練習に力が入る。

 しかも今日はあつすぎるということもないので、外で軽く準備運動をしてから。

 

 そんなタイミングで、それは、来た。

 

 

 ドゴン!!!

 

 

 強烈な衝撃。

 それは、空からまっすぐ降り注いで、地面に衝突する。

 

 幸い、人気も木々もないところだったため、怪我人は出なかったが、衝撃による風が道場を揺らし、外にいた空手部員たちも、それで起きた風に、自身の顔を覆った。

 

「なんだ?」

 

 その中には当然、空座第一高校空手部の、有沢たつきの姿もある。

 たつきは、最初は隕石でも落ちたのかと思ったが、そんなことが、どうでも良くなる。

 

「は?」

 

 なんだこれは。

 有沢たつきは、強い。

 といっても、競技としての空手を行うもの、という限定になるが、それでもそれなりには戦いというものを経験している。

 

 だからこそ、感じる。

 というより、感じざる負えなかった。

 

 なんだ、この圧迫感は。

 

 例えるなら、殺意。

 

 その言葉を体験した。

 

「なんだなんだ、見に行くか?」

「まぁ、そうだな、一応確認だけしにいくか」

「ま、まって……」

 

 周りの空手部の人達は、この圧迫感に気づいていない。

 何故気づいていないのか、そんなことさえどうでも良くなるが、みんなはまるでこれが一般的なことのように振る舞っている。

 

 自分だけがおかしいとさえ思えるこの状況。

 

「あ、有沢、気分悪いのか?

 休むか?」

「そ、そういうことじゃ」

「大丈夫大丈夫、見てくるだけだからって。

 隕石とかだったらテレビに取材されるかもしれないしな」

 

 周囲の気楽さに、脳は更に混乱し始める。

 

 なんだ、なんなんだこれは。

 

 さらに言えば、なんで、なんでこんなに。

 

 徐々に殺意と圧迫感は強まっているのだろうか。

 

 まるで、スポンジに水を与える様に、みるみる圧迫感と殺意は大きくなっていく。

 

 有沢は、その恐怖に怯えながらも、空手部が進んでいく方についていく。

 有沢の目には、崖から飛び降りているようにしか見えないそれに、気づかず行く仲間たちを心配して。

 

 暫く歩くと、件の隕石が落ちたと言われる空間にたどり着く。

 有沢は、目を見開く。

 

 そこには、三人の人間がいた。

 

 一人は、人間とは到底思えない巨大な体躯の人間。

 もう一人は、細身の人間。

 この二人は、どちらも白い服装に身を包んで、人間らしからぬ穴を、胸元に存在させている。

 

 最後に、一人。

 真っ白い軍服に身を包んだその人は、遠くを見つめ、何かを思案している様に遠くを見つめている。

 こちらは身体的には普通の人間に見える。

 

 これらのことから、有沢の頭が理解したのは、2つの情報。

 一つは、この白い軍服姿の人間が、この自分を襲う圧迫感と殺気の正体である。

 今もなお、肥大化していく気配に押しつぶされそうだが、なんとか保つことができている。

 

 そしてもう一つは、この白い軍服姿の人間を、有沢たつきは知っているからだ。

 

「げん、じ?」

「ん? なんもねぇじゃねぇか」

「そうだなぁ、それじゃあなんでこんなことになってるんだ?」

 

 他の人間たちは、目の前の三人に気づいていない。

 それはまるで、一護が黒い装束を着ているときのように。

 

 だが、それにしても、おかしい。

 

 たつきの目にしか映らない三人、その中の大きな体躯の人間が、白い軍服姿の人間……我妻源氏に対してなにやら怒鳴っているのが理解できる。

 この圧迫感の中で、その怒鳴っている男の圧迫感もまじり始める。

 

「んだよ、なんもねぇんじゃ……」

 

 そんな様子を見ていると、何かが、自分たちを襲った。

 

 たつきは、それが理解できないままに、気を、失った。

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

「チッ! テメェ何しやがるんだよ!」

「こうやって誘い込むんだろ?」

 

 俺、我妻源氏はただ今絶賛現世に訪れている。

 

 もしこれが、拉致ったことに対して罪悪感を抱いた藍染さんの優しさによるものならば万々歳だったのだが、そうは問屋が卸さないようで。

 

「これほど巨大な気配を放っていればすぐに飛んでくるだろう」

「いまも霊圧を一気に高めて剣気を周囲にはなった。

 力があるものならばすぐ来るだろうさ」

「俺様がいればそんなモノ関係ねぇ!

 ったく、イラつくぜぇ」

 

 この大柄な男……ヤミーと細身の男……ウルキオラと来たのは、とある目的のため。

 それは、黒崎一護を排除すること。

 

 最初聞かされた時は驚いた。

 

 そして、俺がこの行動に同行させられるのにも驚いた。

 

 なぜ、俺が必要なのか。

 それは今回俺に課せられた命令を聞けば、すぐに理解できる。

 

『我妻丈の対処』

『ヤミー、ウルキオラ以外との会話の禁止』

『ヤミー、ウルキオラへの危害を加える行為の禁止』

『ヤミー、ウルキオラから一定以上の距離を取る行為の禁止』

 

 今回俺に命じられた命令はこれ。

 つまり、黙ってジジイだけに対処しろ、ということ。

 理由は、俺に殺させるためなのか、それとも別の理由なのか。

 

 さり気なく聞いても無視されたので、よくわからないけど。

 

「おい、ここら一帯の魂、暇だから吸っちまってもいいのか?」

「好きにしろ」

「いや、すぐに来るさ」

「んだと?」

「今から狙うやつは、そういうやつだ」

 

ザッ

 

 俺は、今ここら一帯に霊圧と気配と殺気をばらまいている。

 これは単に『深呼吸』と同じ原理である。

 

 大きく、ゆっくりと霊子を蓄えることで、通常よりも多く霊子を取り込むようにする技術。

 それに、ジジイ直伝(見て盗んだ)殺気の合わせ技でモリモリに殺しに行きますよ感を出している。

 これをすれば、すぐにでもここらの人たちは向かってきてくれるはずだ。

 

 一番はジジイに来てもらうことなのだが、この際浦原さんでもいい。

 

 ちなみに一般人にこれは結構効くようで、今ので周囲にいる人は全部気絶させることに成功していると思う。

 

 ……有沢がいたのは驚いた。

 強めにそこに殺気当てたから気絶していることを祈るのみなんだけど。

 

「お前らっ」

「えっ、我妻……くん?」

 

 と思っていると、遠くから気配自体は掴んでいた二人が現れた。

 

 チャドと、井上。

 

 やばい。

 

 正直言ってやばい。

 

 何がやばいって、二人でこの化け物二人に勝てるわけがなさすぎる。

 このヤミーとウルキオラというやつ、やばいなんてもんじゃない。

 

 それこそ、力の順序で行けば圧倒的にウルキオラのほうが上なんだけど、多分ヤミーってやつも強い。

 さっきから見ているけど、力のブレが尋常じゃない。

 下から上までかなりある。

 

 俺でも倒せるのでは? と錯覚してしまうほどだが、それこそやばいと思う理由。

 

「ウルキオラ! あいつか?!」

「いいや、違う」

「そうだな、情報とは一致しないし、そいつは」

 

「ゴミだ」

 

 ウルキオラが、言葉を紡ぐ。

 

 確かに、お前らからすればゴミだろう。

 ヤミーの拳が、霊圧を纏ってチャドに襲いかかる。

 チャドはとっさに反撃を。

 井上はとっさに防御をしようとしている。

 

 もちろん、この瞬間というか、ここにこの二人が現れた瞬間に、理解できる。

 

 負ける。

 

 この二人は、確実に、負ける。

 

 命を失うことが、ほぼ確定している。

 

 それこそ、漫画の主人公がここに現れて、全員を倒しでもしない限り。

 

 俺は、

 

「死ね」

 

 雷の呼吸

 参の型

 

 聚蚊成雷。

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