〜 前回までのあらすじ ~
提督は艦娘の疲労度をウォッチできる素敵なメガネを明石から貰った!
これを使って艦娘の労働環境をカイゼンするぞ!……と思っていたら、なんとそのメガネには"尿意可視化"の機能が付いていたのだった!
艦娘たちの明日はどっちだ!
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提督「ふぅ……思っていたより疲労を隠している子が多いな……みんな無理しすぎじゃなかろうか」
神通を善意から医務室に連行……もとい連れて行った後にも、数値が高い艦娘を捕まえては休むように指示したり、医務室に行くことを勧めたり、明石に診てもらうことを勧めたりと善行を積み重ねていた。
提督「休めと言ったのに、怒ってきたり困惑したり遠慮したりする子ばかりだ……仕事熱心なのか、強がりなのか分からんが……」
尿意を堪えているところを捕まえられて休めだの医務室に行けだの言われたら困惑するか、デリカシーの無さに怒るだろう。
しかし提督は明石から貰ったメガネについて妙な勘違いをしてしまっている。
表示される数値を"蓄積された疲労や不調の度数"と誤解しているのだ。
疲労度を測る装置としか説明を受けていないとはいえ、思い込みによる視野狭窄に陥っている。
提督「ん?あれは……」
そんな彼の目の前に、いたいけな艦娘がまた一人……。
榛名[80]「……」
金剛型戦艦の三女、榛名。
彼女はまさに手洗いに向かうところであった。
提督(榛名……かなり高い数値だ……それに神通と同じく、疲労度は高くないのに数値だけが高い……)
ただ尿意を堪えているだけなので"疲労度"は高くない。
それが逆に不安にさせる。
提督「榛名!」
榛名[80]「あ……提督……どうされましたか……?」
呼び止め、彼女の様子を観察する。
榛名[80]「あ、あの……榛名に、何か……?」
提督(……やはり心なしか、普段よりも覇気がないように見える)
提督「榛名、どこか具合が悪いところは無いか?顔色が優れないように見えるが」
榛名[80]「えっ!?……えっと……榛名は、大丈夫です」
提督「本当にそうか?何か隠していないか?」
榛名[82]「えっ!?えっと……」
尿意を堪えていることなど、わざわざ言いたくない。
加えて妙に深刻な様子で問い詰められたため、つい言葉に詰まってしまう。
その様子が、余計に提督の誤解を加速させてしまう。
提督(榛名はとても真面目な子だ、迷惑を掛けないようにと何か隠しているのかもしれない)
どこか怪我をしていないか、様子がおかしいところは無いか、目視点検するかのような視線が榛名に向けられる。
榛名[80]「あの……」
提督「……ん?榛名、その左足はどうした?」
くるぶしの少し上あたりを指さしながら提督が尋ねる。
見ると、靴下が僅かに焦げ、破けた痕が残っていた。
榛名[81]「これは、訓練の時に至近弾が……不甲斐ない艦で申し訳ありません……」
提督「いや、それは良いんだ。ただ、脚は大丈夫なのか?痛みは無いか?」
榛名[81]「え?……えっと、訓練弾なので痛みはありません。少し艤装を損傷してしまいましたが、既に工廠に預けていますので……あの、もう、大丈夫ですか?そろそろ……」
疑問には全て答えた。
今すぐにでもここを立ち去りたい思いでいっぱいだった。
提督「……榛名、大事になってからでは遅い。今すぐに入渠してくるんだ」
榛名[81]「…………え?」
予想外の言葉を掛けられ、即座に意味を咀嚼できなかった。
榛名[81]「あの、榛名は大丈夫ですから……」
提督「今すぐに入渠するんだ、バケツ(高速修復材)も使っていい、いや使おう」
榛名[81]「え、ええええ!?」
大げさすぎる反応に驚く。
擦りむいただけで救急車を呼ぶようなものだ。
榛名[82]「えっと!榛名は本当に大丈夫ですから!それよりも今は……」
提督「……あまりこういう言い方はしたくなかったのだが、仕方ない。榛名、これは最優先の"命令"だ、今すぐ高速修復材を使用して入渠せよ」
榛名[82]「っ!?……は、はい……分かりました、提督……」
"命令"……そう言われれば逆らえない。
『その前に手洗いに行かせてくれ』という一言さえ言うことができれば良かったのだが、生真面目な榛名は"最優先"と命令を受け、他のあらゆる問題よりも入渠を優先しなくてはと考えてしまった。
下腹部に溜まった水分を開放するよりも……。
提督「じゃあ、ドックへ行こうか」
榛名[82]「は、はい……」
すぐに榛名は思考を切り替えた。
幸い高速修復材は使える。
入渠と言ってもすぐに出てこられる。
何故提督がこの程度の怪我で入渠を、それも高速修復材まで使う判断をしたのかは分からない。
それでも、とにかく入渠さえ終えればトイレに行くことが出来る。
そう考えたのだ。
榛名[82](うぅ……早く済ませたいのに……)
提督(やはりどうも足取りがいつもと違う……それに表情にも陰りが見える……榛名も真面目だから、頑張り過ぎているのかもしれんな)
全く異なる心配をしながらドックへと向かう二人。
本来榛名が行きたい、行くべき場所は全く違うのだが、妙な勘違いをした男によって目的地が捻じ曲げられてしまった。
そうして特に会話も無いまま、珍重な面持ちの二人がドックの入り口まで到着した。
到着までの間、榛名が何度も通過するトイレの方に目をやり、涙を呑んで見送ったのは言うまでもない。
提督「じゃあ、ここで待っているから」
榛名[83]「え?あの……榛名は大丈夫ですから……」
提督「無事に治ったかどうか確認しないといけないからな。あとバケツの使用許可申請は気にしなくていいよ」
榛名[83]「あ、あの……はい……」
無意識に、何を言っても立ち去ってくれないだろう雰囲気を察して諦めた。
さっさと入渠して命令を遂行し、すぐにトイレに行こう。
そう考えた。
榛名[83](我慢しながら入るの……いやだな……)
ドックとは言っても風呂場のような環境である。
間違って"開放"しないよう、意を決してドックへと入った。
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提督(榛名は大丈夫だろうか……これで改善しないなら明石に精密検査を一度……)
金剛[20]「テ~トクぅ~~~!」
提督の悶々とした思案を掻き消すような明るい声色が響く。
その明るさに気持ちが少し楽になるのを感じた。
金剛[20]「こんなところに一人で居るなんて珍しいネ~、何かあったの?」
提督「あー……大したことではないと思うんだが……」
話したら金剛は不安になるかと心配したが、変に隠す方が余計な心配をかけてしまう上、彼女に対して不誠実だと思い、経緯を説明した。
榛名が僅かながら怪我を負っていたこと、顔色が優れず歩き方もぎこちなかったため入渠させたこと。
盛大に勘違いを重ねた説明を金剛へと行った。
金剛[20]「……バケツを使ったということは、もう出てきますよネ?」
案の定、金剛の顔には不安の影が差した。
訓練での軽傷で入渠、それも高速修復材まで使うという異例の事態。
心配になって当然である。
提督「すぐにも出てくると思う。入渠させたんだからどんな怪我でも大丈夫さ!」
これ以上心配させないように努めて明るく振る舞う。
彼自身の不安を拭うためでもあった……全く無用の心配なのだが。
榛名[95]「……入渠、終わりました……」
そうこうしているうちに、遂に榛名が出てきた。
金剛[20」「榛名!!」
提督(!!……数字が更に上がっている……!?)
ドック内で、排水口にしてしまおうかという邪念がほんの僅かに頭をよぎったが、それを実行する榛名ではなかった。
榛名[95]「こ、金剛お姉さま……!?」
金剛[20]「榛名!怪我したって聞いたケド、大丈夫なの!?!?」
榛名[95]「はい……少し掠っただけですから……入渠もさせてもらったので、この通り……」
そう言って怪我をしていた部分を指差す。
提督(いや、榛名の表情は暗いし、どことなく落ち着きも無い……一体何が……?)
金剛[20]「よ、良かったァ~~!」
妙な心配をする男を他所に、安心した金剛が榛名に飛びかかるように抱き着いた。
榛名[99]「キャッ!!……あっ……!!」
不意に抱き着かれて驚いた榛名が小さな悲鳴を上げる。
もちろんそれは驚きによるものだけではなかった。
金剛[20]「?」
榛名[99]「あ……んっ……」
金剛[20]「は、榛名!?どうし……あ……」
榛名[98]「う……ふぅ……」
今にも泣き出しそうな顔でモゾモゾと動く榛名を見て、金剛が全てを察した。
金剛[20]「あーーえーーっと、ごめんなさいネー……」
榛名[98]「!!……い、いえ、榛名は、まだ、大丈夫です!」
提督「……いや、やはり一度明石に診てもらおう」
彼女の言葉を受け、提督がピシャリと制した。
榛名[98]「えっ!?ど、どうしてですか!?もう入渠は済んだのに……!」
提督「だからこそだ。回復出来ていないどころか、下手をすると悪化しているかもしれない……!」
榛名[99]「やっ……そんなっ!榛名はこれ以上はもう……!」
我慢が限界に近づき半分パニックになっている。
それ故か、まだ一度も『トイレに行きたい』と伝えていないことを失念している。
榛名[99]「もう大丈夫ですから、榛名はこれで……」
金剛[20]「アー、テートク?榛名は多分……」
助け舟を金剛が出すが、一寸間に合わず。
提督「ま、待つんだ!」
榛名[101]「あっ……!」
立ち去ろうとした榛名の肩を、提督が掴んで制止した。
榛名[101]「ぁ……ゃ…………!!」
震えながら声にならない悲鳴を上げ、その場で立ち尽くす。
もう限界を超えるという段階になっても括約筋だけで堪えられるのは、彼女のいじらしさか。
榛名[102]「……っ!……っぅ!!」
提督「あ、すまない、そこまで強くしたつもりは……」
金剛[20]「テ~~トク~~~?」
今度は提督の肩がガッチリと掴まれた。
提督「こ、金剛?」
怒気を含んだ声色にわずかにたじろぐ。
提督「わ、悪かった、焦って力を入れ過ぎたかもしれない」
金剛[20]「そういうことじゃないネ~。全く……デリカシーの欠片もありません……」
提督「何の話だ?」
金剛[20]「……榛名?」
疑問符を浮かべる提督を無視して榛名に視線を向ける。
金剛[20]「行ってらっしゃい?そんなにガマンしちゃダメヨ?」
榛名[101]「お姉さま……!は、はい……!ごめんなさい……」
金剛[20]「そこは"ありがとう"でいいの。良いから行ってきなさい?」
榛名[101]「は、はい!ありがとう……ございます!」
姉に心からの礼を言うと、少し覚束ない足取りで、それでも可能な限りの速足でその場から離れる。
提督「待て待て!榛名はすぐ明石に……!」
金剛[20]「待つのは提督デース……!」
肩を掴む力が一層強まる。
提督「あだだだだだ!!」
金剛[20]「すこ~~し私とオハナシしましょうか~~?」
提督「っ!!」
この時、いつものように笑顔のはずなのに、提督には全く笑っているようには見えなかったという。
───
──
─
榛名[102]「はっ……はっ……」
様々な妨害とトラブルを乗り越え、ようやくトイレに向かうことが出来る。
もう水袋はパンパンに膨れて皮は伸びきっており、とても走れる状態ではなかった。
それでも出来る限りの最大戦速で移動する。
榛名[103]「早く、早く……!!」
脚を動かすたびに、地面から下腹に振動が伝わる。
チャプチャプと水音が鳴っているようにさえ感じる。
動きに合わせるように下腹部がチクチクと痛む。
それでも歩みは止めない、止められない。
榛名[104](トイレトイレトイレ……!)
本当は股座を鷲掴みにしたいくらいだ。
だが、誰も見ていないからといってそのような真似をする榛名ではなかった。
驚異的な我慢強さと意地だけで堪えていた。
その努力がようやく実を結ぼうとしている。
榛名[104]「!!」
赤のピクトグラムが目に留まる。
ずっと行きたくて行きたくて行きたくて仕方がなかった場所。
榛名[110]「っあ!!やっ……!!!」
目の前まで辿り着いた途端、『もうこれ以上待てない』と主張するかのように下腹部が暴れる。
体内の水分が我先にと飛び出そうとする感覚に襲われた。
反射的に、これまで決してしなかった"手で前を押さえる"行動に出た。
榛名[112]「待って……!出ちゃ、ダメ……!!!」
もう少しだけ待ってと自分の身体に言い聞かせるように我慢する。
蛇口が開かないよう、力いっぱい両手と括約筋で締め付ける。
普段なら決してやらない行為だが、気に掛ける余裕も無くなっていた。
そうしてついにトイレの入口まで辿り着き、扉に手をかけた。
小さなトイレの中には洗面台1つと個室が1つ、そして……。
榛名[113]「き、霧島!?」
偶然にも、まさに個室に入らんとする双子の妹がその場に居合わせた。
突然呼び止められたことに驚きながら榛名の方に振り返った。
霧島「え、な、何!?榛名……?どうし……」
何事かと尋ねる前に、姿を見て事情を察した。
股座に添えられた手、へっぴり腰な姿勢、両腿を擦りつけるような姿、今にも泣き出しそうな顔……。
霧島「……先、どうぞ?」
榛名[113]「っ!!ご、ごめんなさい!!」
何も言わずに順番を譲られたことを恥ずかしく思ったが、それ以上に一刻も早くトイレに飛び込みたい思いが勝った。
霧島を横目に、ひょこひょことした足取りで個室の中へと入る。
一旦手を放して、やや乱暴に個室の扉と鍵を閉める。
振り返ると、待ち焦がれた真っ白な様式トイレが目の前に鎮座していた。
榛名[113](ま、間に合った……!)
ようやく辿り着いた、間に合ったと思った、思ってしまった。
榛名[120]「っっ!?」
ジワ……
榛名[121]「……っ!!あっ……!!あぁっ!!」
これまで固く固く閉ざしていた水門が開いてしまった。
咄嗟に両手で思い切り押さえる。
榛名[122]「だめだめだめ……出ちゃだめぇ……!!」
ここまで我慢したのに、我慢できたのに。
彼女のダムは放流を開始してしまった。
被害を抑えようと必死で栓をしようとするが、水流になかなか打ち勝てない。
ジワジワと股座から太腿、ついには掌へと生温い不快感が広がる。
榛名[130]「いや……いや…………」
もう間に合わなかった、と判断していいレベルだろう。
彼女もうっすらと理解していた。
外に霧島が居るとはいえここは密室、今の姿を誰に見られるわけでもない。
それでも、このまま諦めて全てぶちまけ楽になるという選択だけは絶対にしない。
榛名はそういう子だった。
その頑張りのお陰で、開いてしまった水門を一旦閉じることに成功した。
榛名[132](早く早く早く!!トイレ!!おトイレで……!!)
脚をこれ以上ないくらいピッタリと閉じながら便器のフタを開け、すぐに便座を背にするよう向き直る。
小康状態の今が最後のチャンス。
一瞬手を放して思い切りスカートを捲り上げ、一気に下着をずり下げる。
その勢いのまま臀部を便座に叩きつけるように乱暴に着座した。
榛名[-]「あっ」
今度こそ万全の体勢になり、これまで込め続けた力を、全て抜いた。
ジュイイィィィィ!!!
榛名[-]「─────!!」
やっと、長い長い長い我慢から解放された。
榛名の小陰唇から放たれた水が、けたたましい音を立てて便器へと打ち付けられる。
榛名[-]「あっ……んっ……!」
全身が震え、鳥肌が立つ。
あまりの気持ちよさと、目に溜まった涙で視界がぼんやりと揺れる。
榛名[-]「はぁ……はぁ……」
相当量を先走ってしまった。
下着やスカートも洗わなければならない。
待っている霧島にもバレてしまうだろう。
他の人にもバレたらどうしよう。
榛名[-](やっと、できた……気持ちいい……)
そんな不安は、この瞬間だけは吹き飛んでいる。
ぐったり重くなった身体が倒れないよう支えながら、今だけは放尿の快感にただ打ち震えていたかった。
シュイイイィィィィ……!!!
それでも、身体から水分が抜けていくのに比例して、頭がだんだんと冷えてくる。
ぼんやりとしていた視界が像を結び始め、ただ快感を貪っていた榛名の頭に現状が浮かび上がってくる。
榛名[-]「あっ……あぁ…………!」
スカートは水分を吸って臙脂色になっており、床にもまばらに水滴がある。
下着が吸いきれなかった水分は脚を伝って靴下にも染みていた。
意識の外に追いやっていた不快感が徐々に帰ってくる。
榛名[-](そんな……!)
これだけ先走ったにもかかわらず、まだ放水は終わらない。
どれだけ溜め込んでいたのか見当もつかない。
我慢できなかった現実と情けなさに涙がこぼれそうになる。
霧島「あー、榛名ー?その、大丈夫……?」
何かを察したのか、個室の外から霧島が声をかけてきた。
今のけたたましい水音を聞かれていることも思い出し、一層恥ずかしくなる。
泣きじゃくりたい気持ちを抑えて、言葉を絞り出した。
榛名[-]「はい……榛名は、大丈夫、です……」
シュゥゥゥゥゥ……
彼女がそう答えてからもう少し経ってから、長い長い放水が終わった。
榛名[-](金剛お姉様、比叡お姉様、霧島……こんなはしたない榛名でごめんなさい……榛名、おしっこを我慢できませんでした……)
心の中で姉妹に懺悔し、ついに涙が溢れ始めた。
榛名の必死の防衛戦は、彼女にとっては敗北という形で幕を閉じた……。
───
──
─
提督「いたた……肩がもぎ取れるかと思ったよ全く……」
原因になった男は、金剛にこってりと絞られていた。
提督「榛名がトイレに行きたがっていたなんてな……なぜ邪魔するんだ、見て分からないのか、デリカシーが無さすぎる……色々と言われてしまった」
妹が我慢の限界になるまで追い詰められたのを見て、金剛は提督にたっぷりとお説教をかましたのだった。
だが後の結果を考えれば、これでも生温かったと言える。
提督(しかし、さっきの数字の件はまだ解決していない……榛名を探してもう一度様子を見させてもらって……いやそれは金剛に止められているし……)
察しの良い金剛は、提督に榛名を探さないよう固く誓わせたのだった。
提督(金剛にもこのメガネのことを話して相談すべきだったかな……だが信じてもらえるか分からないし、こんなモニタリングをされるのは不快かもしれないし……やっぱりこのメガネは安易に使うべきではないのか……だが榛名は心配だし……)
様々な思考を巡らせる。
『あんなに辛そうに我慢しているのに、見て分からないんですカ!?』
金剛の言葉が頭の中で反響する。
提督(辛そうに……我慢して……もしかして……この数値は……思っていたのとは全く別の……)
ついにある思考に辿り着く。
提督(一度、明石に確認しないと……今は医務室の方だろうか)
メガネの機能にようやく疑問を持った提督が、明石に数値の意味を確認しなければと思い直す。
思い直したのだが……。
???[90]「───」スタスタ
提督(…………いや、確かめればいい)
"好奇心は猫を殺す"。
その言葉の意味を、彼は後々に身を以て知ることになる。
───
──
─
霧島です。
私はまだお手洗いの中に居ます。
"用事"が済んでいないから当然ですね。
でも居るのは個室の中ではなく、その前です。
榛名が出てきてくれないのです。
何度か『まだか』と問いかけています。
その度に『もう少し……』『ごめんなさい……』『大丈夫です……』のどれかがうわ言のように返ってくるだけです。
なんとなく、榛名の事情は察しています。
とても辛かったでしょうね。
しかし、そろそろ霧島の方が大丈夫ではなくなりそうです。
私の計算では後、持って数分でしょうか。
霧島「まだなの榛名!」
焦りでつい口調が強めになってしまいました。
反省です。
でも本当にそろそろまずいんです。
榛名「ごめんなさい……」
何度目の「ごめんなさい」か数えておけば良かったかしら。
……。
あの、ホントに、危険なんです、ホントに……。
気を紛らわせるためにこんな風に敢えて頭の中で言語化していますが、もうあんまり余裕がないです。
早くしたいです。
霧島「ねぇ、あとどれくらい掛かりそうなの!?」
最初からこう訊けばよかったかしら。
榛名「あと、あと少し……」
意味が無かったわね。
私の計算では、榛名の後始末にかかる時間と……私が我慢できる時間と……えっと、えっと……。
霧島「うぅ……」
私の計算、計算では、あと……えっと、もう少しで……。
その、あの……。
……分からない……でも、このままだと、間に合わない……かも。
ここから一番近くのトイレはえっと、工廠横の……でもあそこも数が少ないし、寮の方は遠いし、本館の方は人が……。
霧島「っあ……!」
あ、これは、ホントに、ホントにまずい……!
霧島「榛名、私、別のところに行くわ、だから、気にしないで」
これでよし。
はい、別のところへ行きます。
でも今すぐ入れるトイレがあるか、そこまで間に合うかわかりません。
だから私は外に出て、虫と草とたくましい花しか居ないようなこの建物の裏手に回ってきました。
金剛お姉様、比叡お姉様、榛名……こんなはしたない末妹を、どうか、どうか、どうか許してください……。
その鬱蒼とした場所で私は、お花を、摘んでしまいました。
To Be Continued...? =>