魔法少女リリカルなのは -Dark of Hero-   作:白狼天狗

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EP02

 

 

今、私は“カブト”さんにお姫様だっこされて跳んで移動しています。

 

最初はとっても恥ずかしくて、そして少し怖くてビクビクしていたけど、しっかりだけどやさしく抱きしめてくれている“カブト”さんの優しさを感じました。

 

それと同時に懐かしさも。

 

冷たい金属の鎧の上から感じるこの暖かい優しさを、私は知っている。

 

仮面で顔を隠している人はきっと・・・・・・。

 

 

 

 

◇   ◇   ◇

 

 

 

所変わって動物病院から離れた小さな公園に来ている。

なのはをベンチに下ろし、少し待つよう伝えて自動販売機でオレンジジュースを買って戻ってきて、一本をなのはに手渡し一息つくように行った。

 

ライダーフォームで自販機で買い物とか、自分でやってて本当にシュールだな。

鷹虎飛蝗のライダーみたいに跨って「はい、変わったー」とかやれば良いのだろうか?

 

ともかく。

おずおずと受け取ったなのはは申し訳なさそうな顔をしてちびちびと飲んで深呼吸した。

 

「落ち着いた?」

「は、はい・・・・・・」

 

なのはの目にはまだ困惑のいろがありありと見えた。

俺も最初、魔法と出合った時もこんな感じだったなぁ、と懐かしんでもいられない。

 

「名前を聞いても良いかな?」

「・・・はい。高町 なのはです」

 

戸惑いがちながらもしっかりと自己紹介するなのは。

やっぱり、芯の強い子だな。

他の人なら突然、訳も分からい状況に放り込まれたら、当事者に質問攻めとかするしな。

現に俺がそうだったしな・・・・・・。

 

「あの、えっと、“カブト”さん?」

「何かな? なのはちゃん」

 

なのはが口を開いた。

ここから先はなのは質問タイムだろう。

 

「さっきのあれは、なんだったの?」

「あれは何らかの残留会思念が強力な力の影響を受けて実体化したもの、って言ってもむずかしいか。簡単に言ったらすごい力で実体をもったお化けみたいなモノだ」

「お、おばけ!?」

「正しく無いんだろうがな。そんな解釈で良いと思う」

 

まあアニメ見たことないし、詳しい設定とか分からないから、経験則になるんだけどあながち間違いでもないだろうと思う。

 

「じゃあ、さっきの青い石は?」

「あれはジュエルシードって名前の様だ。ロストロギアの一種さ」

「ロストロギア?」

「こことは違う別の失われた世界の遺産。個々が強力な力を持っているのが殆どだ。」

 

一般的に別世界と言ったら頭がおかしい人認定を受けかねないが、なのはが純真な事と先ほどの事を考えるとそういうファンタジーな事もすんなり受け入れてくれているようだ。

 

「なんで“カブト”さんはそういう事にを詳しいの?」

「それは俺が魔法使いだからさ。正しくは魔導師だけどね」

 

って言っても特別なデバイス無しじゃまともに魔法も使えない魔導師もどきなんだけど。

 

───今はデバイスを持っていない。

 

変わりにこいつが居るんだけど。

 

ちょっと指輪の魔法使いさんと変わって欲しいと思ってなかったりそうでなかったり。

いや、こいつが気に食わない訳じゃあ決して無い。

ただ、力加減が難しいんです。はい。

 

「魔法使い!?」

「多分、なのはちゃんが思っているような魔法じゃなけどね。ミッドチルダって言う此処とは違う世界で発達したものだ。幻想的な魔法というより科学的な魔法って感じだ。ああ、ちなみに俺は正真正銘こっちの世界出身だから」

 

俺やなのはの様に異世界にも魔法適性を持った人間が稀に生まれる事が有る、と付け足して。

 

一言に魔法と言っても世界観によってその定義が違うからな。

管理世界だと魔法はある程度統一規格になってると思うけど、管理外世界や未発見世界の魔法は色々な形になっていると思う。

 

「さっき、私、変身しちゃってたみたいだったんだけど、あれは?」

「あれはバリアジャケットって言って魔力で編まれた防護服さ。バリアジャケットの強さはその人間の魔力に比例するから見た目がそのまんま防御力って訳でも無いのさ。なのはちゃんのみたいな衣服タイプのバリアジャケットが殆どだ」

 

人のイメージに左右されやすいバリアジャケットだけど、動きやすさ重視って事で衣服タイプのバリアジャケットが主流。

まあ、軽装備の鎧タイプのバリアジャケットは有るには有る。

 

と言うか、完全にメカニカルな鎧で強度重視のアーマードデバイスなる物を使っていた。

 

「そういえば“カブト”さんのバリアジャケットってロボットみたいだったけど・・・・・・」

「これはバリアジャケットじゃあないんだ。さっき言ったロストロギアの力かな? マスクドライダーシステム。異世界の科学によって作られたパワースーツさ」

 

なんの因果か分からない。

どうしてこいつが俺の元に来てくれたのかは全く想像の範囲外。

 

「あの・・・・・・デバイスってなんですか?」

「デバイスは魔法使いにとっての杖って解釈でいいよ。魔法を使う時の補助や補完をしてくれる。

形は多種多様で剣もあれば銃もあり、槍や斧。珍しいのでは盾の形のデバイスもある。

普段は携帯に便利な待機状態、ペンダントだったりカードだったりバッチだったり、小物の形になるよ」

「じゃあ、この赤い宝石はさっきの杖の待機状態なの?」

「ああ、そうだ。なのはちゃんは呑み込みが早いね、すごいよ」

「ふぇ!? え、えへへ、ありがとうございます」

 

はにかみながら照れるなのは。ここら辺はやっぱり年相応の少女だな。

 

「ん・・・・・・あれ・・・・・・・ここは?」

「ご、ごめんね、起しちゃった?」

「気がついたようだね」

 

ユーノが目覚め、なのは、俺と言葉を発する。

 

ここで重要人物の少年、今はイタチのような小動物形態のユーノが目を覚ました。

そこで俺はユーノに話しかける

 

「さて、ここで詳しい事情を聴きたいけど、まずは自己紹介だね。仮面ライダーダークカブト。それが俺の名だ。今はこれ以上の詮索はしない方が君のためだ」

「はじめまして、私は高町 なのは。え、えっとケガ・・・・・・大丈夫?」

 

続いて、なのはも自己紹介を終える。

 

「はい、お陰さまで大丈夫です。僕はユーノ・スクライア。ユーノが名前でスクライアが部族名です」

 

立ち上がりぺこりとお辞儀した後自己紹介するユーノ。

さて、物語の核心、ジュエルシードについて聞こうか。

 

「さっきなのはちゃんが封印したロストロギア、ジュエルシードの話を聞かせて貰う。もちろん回収は手伝う。あんなモノが街で暴れられてらたまったものじゃないからな」

「・・・・・・はい、わかりました」

 

 

 

───ジュエルシードとは何か?

 

「ジュエルシードは“願いを叶える宝石”です。実態は次元干渉型エネルギー結晶体でとんでもないくらいのエネルギーを秘めています。

ですが、力の発現が不安定でさっきみたいに単体で暴走して仕様者を求めて周りに危害を加えてしまいます。たまたま見つけた人や動物が誤って使用してしまえばそれを取り込んで暴走してしまう事もある。とても危険なものなんです。」

 

───何故、この世界にジュエルシードが?

 

「発掘が終わって輸送してたら事故が起きて・・・・・・ううん、襲われたんだと思う。

急いで格納庫に向かったらすでにジュエルシードを納めていたケースが船外に飛び出そうとしていて。

無我夢中だったよ、こっちに着いた時になんとか一つだけ回収できたんだ。他はどこにあるのか見当もつかないだ。ごめんなさい、僕が不甲斐ないばっかりに・・・・・・」

 

───誰に襲われたのか?

 

「わかりません。飛び散ってしまったジュエルシードを追跡するのでいっぱいいっぱいだったんです。輸送船が無事だといいんですが・・・・・・」

 

───ジュエルシードは全部で何個?

 

「全部で21個です。それぞれにシリアルナンバーがあって、さっき封印できたのは21番のジュエルシードです。残りはこの街にあるのは確実だと思います。」

 

 

 

 

「そんな危ないものがこの街に・・・・・・」

 

事情聞いて沈黙する俺たちの間になのは呟きが通る。

ここは重要な場所だ。特になのはにとって。

 

「俺はジュエルシード集めに全面的に協力する。輸送船を襲撃した犯人もその内この世界に追ってくるだろうし、出来るだけ早く回収するべきだ。今のユーノ一人じゃ、集めるのは難しいだろうからね、拒否は認めない」

「・・・・・・すみません。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」

 

俺の申し出に申し訳なさそうに礼をするユーノ。

その時。

 

「あ、あの───」

「なのはちゃん」

 

なのはが何か言いだそうとしたが、俺はそれをかき消すように彼女の名を呼んだ。

真剣になのはの目を見据えて言葉を紡ぐ。

 

「君には選択肢がある。今日の事は忘れてこのまま平和に暮らす日常か、俺たちと一緒にジュエルシード集めをする非日常。」

 

選択肢の提示。この先の生き方を決め兼ねない重要な選択肢。

 

「前者は特にお薦めだ、今までように過ごせば良い。後者は危険だ、君みたいな子にはお薦めできない。魔法の世界に飛び込むという事は常に命の危険にさらされるという事だ。非殺傷設定というものもあるが犯罪者がそれを使っているとも思えない」

「で、でも・・・・・・」

「なのはちゃんは魔法に愛されていると言っても良いくらいの才能がある。俺自身、羨ましいと思っている。成長したらきっと沢山の人を救う事のできる魔導師になれるだろう」

 

俺の言葉になのはのは戸惑いながらも少しほころんだ。

だけどこれから苦言を呈さなければいけない。

 

「だけど、君は優しい子だ。ユーノには悪いけど誰とも知らない怪しい声を聞いてここまで来たんだ。その優しさがきっと君自身の危険を招く。君が傷ついたら悲しむ人がいるはずだ」

 

彼女は優しい。そして何事も自分一人で解決しようと抱え込んでしまう子だ。

それが迷いを生み、隙を作る。それは命を失いかねない危険な事だ。

 

「今日はもう遅い。今すぐ答えを出さなくてもいい。家に帰って、ゆっくり考えるんだ。

ユーノは俺が預かるよ、親にこの事を話さないといけないし。」

「え!? カブトさんのお父さんとお母さんはカブトさんが魔法使いだって知ってるの!?」

「もちろん。でも最初は魔導師になるの反対されたよ、危険な事はするなって。それでも魔法の世界に飛び込んだのは、力になりたいと思ったし出来る事をしたいと思ったから」

 

なのはの質問に答える。

 

「そう、なんだ・・・・・・」

「正直に言うと、なのはちゃんの協力は欲しい。デバイスの無い俺には魔法はまともに使えない。マスクドライダーシステムのおかげで戦闘はできるけど弱らせて封印するのがやっと。

ジュエルシードが暴走すればすぐに感知できるけど、それじゃあ後手に回るし街や人に被害が出るし戦闘は避けられない。

なのはちゃんがサポートしてくれるだけでもかなり早く回収できると思うし、被害も小さくて済むかも知れない」

「なら───」

 

なのはの言葉を俺は被せて発言した。

 

「誰かに言われたから、なんて緩い理由で戦っちゃいけない。君自身がどうしたいか。戦う覚悟はできるのか。それをよく考えて欲しい。」

 

脅しの意味も兼ねて結構大げさに言ったけど、成り行きに流されて戦うって事はそれ自体が危険なんだ。

おとぎ話みたいな魔法や奇跡はないんだ。

経験談と言うヤツだ。

 

「怖がらせてしまう様ですまない。でも、なのはちゃんにとって、今日の事は大事な事だから。ジュエルシードが暴走しても街や人に被害が出ない様になんとかしてみせる。大丈夫、俺は強いから」

 

俺は優しく微笑みながらなのはちゃんの頭をなでた。

なのはちゃんはうつむいたままされるがままだったけど、ゆっくりと顔おあげて俺を見た。

 

「よく・・・・・・考えてみます。」

「うん。がんばってね」

 

その後、なのはに念話の仕方を教え、答えが出たら連絡するようにした。

軽くレクチャーしただけで念話を覚えるあたり才能の片鱗が伺える。

しかも試しにと思ってデバイスの補助なしでやってみたら出来ちゃったときたものだ。

ははは、まさしく天才だね。と乾いた笑いしかできなかったよ。

 

「あの・・・、賢志さん!」

「何かな? なのは、ちゃ、ん・・・・・・」

 

・・・。

・・・。

・・・。

 

「んなっ!?」

 

 

な ぜ バ レ た !?

 

 

 

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