魔法少女リリカルなのは -Dark of Hero-   作:白狼天狗

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EP06

 

 

 

「ねえ、賢志。これからなのはちゃんの友達の所へお呼ばれするのよね?」

「うん、そうだよ」

 

アリサ・バニングスと月村すずか。

なのはの親友でなのはの事をとても心配している。

 

それは何故か。

 

どうやらなのはの態度から何かを察した様で。

アリサがなのはにカマを掛けた。

それ対するなのははうろたえ、旨く誤魔化しきれなかった。その上、うっかり俺の事を話に出したのだ。

表向きはなのはが慕う年上のお兄さんの紹介を兼ねたお茶会なのだが、十中八九、事情聴取なのだろう。

 

何故、少女に呼び出されなければならないのか。

ちなみにお茶会と言う名の聴取室の場所は月村邸である。

 

「やっぱり、話しておこうと思ったのよ」

「話し?」

「ええ、伺うのはすずかちゃんのお家なのよね?」

「そうだよ」

 

なんだろう、母さんが思いつめている表情をしている。

普段は穏やかで寂しがりやな可愛らしい母親なので、こんな表情はあまり見る機会はない。

 

「どうしたの、母さん?」

 

俺の問い、意を決したように母さんは口を開いた。

 

「すずかちゃんの家系、月村家と私の家系、月読家の事よ」

 

月読・・・・・・。

母さんの旧姓だ。どうやらかなり重要な話の様だ。

 

 

 

◇   ◇   ◇

 

 

 

おはようございます、高町 なのはです!

 

私はどこにでもいるような小学3年生だったはずなのですが、最近は人には言えない秘密ができました。

きっかけは助けを求める不思議な声。

出会ったのはこの街のヒーローと人の言葉をしゃべるフェレット。

 

受け取ったのは勇気の心、手にしたのは魔法の力。

 

この街の周辺に散らばってしまったジュエルシードを探すお手伝いをしてます。

つまり、えと、・・・・・・“魔法少女”・・・・・・、やってます。

 

そして。

 

今日はすずかちゃんのお家でお茶会を開くので、それにお呼ばれしています。

今はその準備をしている所なのですが・・・・・・。

 

「なのは、まだか?」

 

とお兄ちゃんの声。

 

「んんー、ごめーん! あと、ちょっとー!」

 

と返すのが精一杯です。

 

「いやー、ユーノは賢いねー」

「ええ、人の言葉もしっかりと理解しているみたいですから」

「きゅい」

 

お姉ちゃんと賢志さんの会話です。

私が準備している間に賢志さんとユーノくんが家に到着してしまったわけなのです。

フェレットに変身しているユーノくんがお姉ちゃんに遊ばされてるようです。

 

はううぅ・・・・・・、朝は弱いの・・・・・・。

 

「・・・・・・あの、恭也さん。俺、何かしましたか?」

「いや、特に何も」

 

賢志さんがうちに遊びに来るたびに少し機嫌の悪くなるお兄ちゃん。

どうしてなのでしょうか?

 

「大丈夫よ、賢志。恭ちゃんはただ妬いてるだけよ。なのはの色々な事に気づけ無くて、賢志がなのはを励ましてくれた事が悔しいのよ。シスコンさんは困ったものよねー」

「違う! ただ、なのはに悪い虫がつかないか心配しているだけだ」

「あははは・・・・・・。はぁ・・・・・・。このやり取り何年やってるんだか・・・・・・」

 

賢志さんの乾いた笑い声が聞こえてきました。早くしなきゃ!

・・・・・・ふう、やっと終わったの。

私はバックを背負ってリビングに入りました。

 

「おまたせー!」

「よし、じゃあ行くか。バスの時間ギリギリだぞ」

「はーい」

「んじゃ、ユーノ、行こうか」

「きゅい!」

 

ショルダーバックを背負った賢志さんの肩にユーノくんが乗りました。

これでみんなの準備は万端です。では、いざ、月村家へ!

 

「いってらっしゃーい」

「ああ」

「いってきま-す♪」

「それでは、お邪魔しました」

「きゅーいー」

 

お姉ちゃんに見送られて私たちは家を出ました。

みんなで最寄りのバス停に乗り込み、座席に座ります。

今日の私たちはアリサちゃんとすずかちゃん、賢志さんとお茶会。

お兄ちゃんはすずかちゃんのお姉ちゃんの忍さんに会いに行くのです。

今日は楽しい一日になりそうです。

 

 

 

◇   ◇   ◇

 

 

 

───ピンポーン

 

と呼び鈴を鳴らします。

少し待った後にガチャリとドアを開けて綺麗なメイドさん、ノエルさんが迎えに来てくれました。

 

「恭也様、なのはお嬢様、いらっしゃいませ。それと───」

「あ、急遽お呼ばれしました。東堂 賢志と言います。初めまして」

「お話は伺っております。賢志様、いらっしゃいませ」

 

賢志さんを確認すると改めてお迎えの言葉を言う、ノエルさん。

 

「こんにちは、お招きに預かったよ」

「こんにちはー」

 

お兄ちゃんと私もノエルさんに挨拶しました。

ノエルさんは月村家のメイド長をしているすごい人なの。

無口な人だけど、美人でかっこいいんだー!

 

「どうぞ、こちらです」

 

そう言って中に招き入れてくれるノエルさん。

奥の通された場所ではアリサちゃんとすずかちゃんが既にお茶を楽しんでいる所でした。

 

「あ! なのはちゃん、恭也さん」

「すずかちゃん!」

「こんにちは。すずかちゃん」

「遅かったじゃない、なのは」

「アリサちゃんがは早いだけじゃないかな?」

「何か言った?」

「なんでもないです」

 

私たちがあいさつを済ませた時、すずかちゃんの後ろからメイドさんが来ました。

 

「こんにちは、なのはちゃん」

 

この人はすずかちゃんの専属メイドのファリンさん。明るくてやさしいお姉さん。

 

「あれ? そっちの男の子は?」

「初めまして皆さん。東堂 賢志です。この度はお招き頂きありがとうございます」

「ああ、君が噂の。話は恭也となのはちゃんから聞いているわ。よく来てくれたわね」

 

と、忍さん。

賢志さんが月村家のみんなに自己紹介をしました。歓迎されてるようでよかったの!

 

「恭也、いらっしゃい」

「ああ」

 

今、お兄ちゃんと一緒にいるのがすずかちゃんのお姉さんで忍さん。

お兄ちゃんと忍さんは高校の頃からのクラスメイトさんで今ではとっても仲よしさん♪

 

「お茶をお持ちいたしましょう、何がよろしいですか?」

 

とファリンさん。

 

「任せるよ」

「なのはお嬢様は?」

「私もお任せします!」

「賢志様は?」

「じゃあ、俺もお任せでお願いします」

 

とみんなの飲み物を持ってきてくれるようです。

 

「かしこまりました。ファリン」

「はい、了解です。お姉さま」

 

どうやら、ファリンさんがお手伝いに行くようです。

 

「じゃあ、私と恭也は部屋にいるから」

「はい、そちらにお持ちします」

 

お兄ちゃんと忍さんは二人っきりで仲よしさんするようです♪

 

「あ、その前に少しいいですか」

 

賢志さんが忍さんに用事があるようです。なんでしょう?

 

「月村家の事は母さんから聞いております。改めてご挨拶させていただきます」

 

賢志さんの言葉で二人の空気が重くなるのを感じました。

 

「───私達の事を? 賢志君のお母様は・・・・・・」

「月読家の者だそうです」

「月読家・・・・・・。まさか、分家の?」

 

分家?

 

「はい。母さんからは失礼の無い様にと言われました。大変に挨拶が遅れて、申し訳ありませんでした」

「大丈夫よ。月読家は途絶した家系、むしろ、生き残りが居てくれた事の方が嬉しいわ」

 

な、何の話をしているのでしょうか? 全く分からないの。

 

「お姉ちゃん、どういう事?」

「つまり、すずかと賢志は遠い親戚って事なの」

 

一瞬、時間が止まりました。

 

「「「「えぇえええ!?」」」」

 

私、すずかちゃん、ありさちゃん、ファリンさんが大きな声で驚きの声を上げます。

衝撃の事実なの!

 

「ど、ど、ど、ど、どういうことなの!?」

「本当なの賢志さん?!」

「あなた、嘘ついてんじゃないんでしょうね!?」

「いや、俺自身も今日、知った事だから。俺だって驚いたさ」

 

問い詰める私たちに賢志さんはタジタジみたいだけど、今は気にしている場合じゃないともうの!

 

「母さんは冗談言う人じゃないから、たぶん本当なんだと思う」

「じゃあ、本当に?」

「うん」

 

そうなんだ。すずかちゃんと賢志さんが親戚だったなんて・・・・・・。

 

「そうなんだ・・・・・・。えっと、改めてよろしくね、賢志さん」

「こちらこそ。ずすかちゃん」

 

いきなりすごい事になりましたが、その後はつつがなくお茶会が始まりました。

 

ノエルさんとファリンさんが飲み物を用意しに行ってますし、お兄ちゃんは忍さんと一緒に忍さんの部屋です。

 

今、ここに居るのは私、アリサちゃん、すずかちゃん、優斗くんにユーノくんです。

私は猫さんに退いて貰って椅子に座ります。優斗くんはすずかちゃんに勧められるまま忍さんが座っていた椅子に座りました。

 

「今日は誘ってくれてありがとね」

「こっちこそ来てくれてありがとう」

「なんか、俺がここにいるの場違いな気がするけど、呼んでくれて嬉しいよ」

 

賢志さんについては時々アリサちゃんとすずかちゃんに話をしていました。

道場でお兄ちゃんとお姉ちゃんと交流試合をしたり、わたしと遊んでくれたりしてくれた事とか、色々お話しました。

 

「ううん、そんなことないよ。それにしても驚いたよ。だって私と賢志さんが親戚だったなんて」

「分家、と言っても交流は皆無に等しかったしかなりの遠縁だけどね。むしろ忍さんが母さんの家の事知っててびっくりしたよ。さすが、すずかちゃんのお姉さんだね」

「ふふふ、なんか照れるね」

 

すずかちゃんと賢志さんの間にお兄ちゃんと忍さんが出す雰囲気に近いものを感じるの。

もしかするのかな?

 

「ユーノ、こっちおいで」

「きゅいきゅい」

「うふふ、ユーノはかわいいわねー」

「きゅいー」

 

こっちではアリサちゃんとユーノくんがたわむれています。

 

「はーい、お待たせしましたー♪ いちごミルクティーとクリームチーズクッキーでーす♪」

 

と、ファリンさんがお茶とお茶菓子を持ってきてくれました。

お盆をテーブルに置くとお菓子をテーブルの中央に、お茶を私と賢志さんの分を淹れてくれました。

 

「ありがとうございます」

「ありがとうなの」

 

淹れてもらったお茶を一口。うん、いつもおいしいの!

 

「素人意見ですけど、このお茶はおいしいですね」

「ありがとうございます!」

 

お茶を飲んだ賢志さんもファリンさんにほめています。ファリンさん、ほめられてすっごくうれしそうなの。

 

「ところでなのは」

「にゃ? なに、アリサちゃん」

「最近どうなの? 隠し事の方は」

 

アリサちゃんの質問に思わずドキリとしました。賢志さんを見るとなにも言わずにうなずいてくれました。

少しは話していいって事みたいです。

 

「うん、大丈夫。順調だよ! 心配してくれてありがとう」

「そう、ならいいんだけど・・・・・・。賢志! しっかりなのはを守りなさいよ! 今は無粋だから軽く聞いたけど、後でじっくり話して貰うわよ!!」

「やっぱりか。いや、分かってるよ。なのはにケガさせたら恭也さんが怖そうだし・・・・・・」

「にははは・・・・・・」

 

それには私も苦笑いです。愛されてるって実感できて嬉しいのだけれど、ちょっと行きすぎてる気がします。

 

「早く片付けちゃってよ? 私たちが楽しんでる所に急用なんて嫌よ?」

「それよりも、なのはちゃんが心配なんだよね? アリサちゃん」

「何言ってるのよ、すずか。それはあなたもでしょう?」

「心配してくれて、ありがとうなの」

 

と、場が少し落ち着いたところに賢志さんが口を開きます。

 

「まあ、その要件についてなら、この調子でいけば早くて3週間くらいで終わると思うよ」

 

と、賢志さんの話です。

かれこれ一週間くらいたって集めたジュエルシードは4個。

どんな間隔で来るかわかりませんができるだけ早く終わらせてみんなを安心させてあげたいです。

 

「なんだか最近のなのはちゃん、たくましくなった気がするよ」

「え、そうかな?」

「まあ、そんな気がしないでもないわね」

 

アリサちゃんとすずかちゃんが言うたくましさって、あれかな?

賢志さんの訓練が結構スパルタだからそれをこなしてきてるって自信の表れかもしれません。

ムダにひぃひぃ言って賢志さんの指導をこなしていないの!

 

「ねえ、すずかちゃん。この仔猫なんていうの?」

「その仔はアレンっていうの。好奇心旺盛過ぎてこまってるの」

「そ、そうか、アレンっていうのか」

 

賢志さんが仔猫を可愛がりながら乾いた笑いを浮かべています。

小声で、アレン、アレンか・・・・・・・、と言ってるけど何かあるのかな?

 

こうして、楽しいお茶会が過ぎていきます。

気分を変えるために場所を玄関前の円形のスペースに移動してみたりしました。

すずかちゃんの家は玄関の前がとても広いお庭になっているの。

そこには猫さんがたくさん放し飼いにされています。

 

「相変わらず、すずかの家は猫天国よね」

 

このアリサちゃんの言葉はすずかちゃんの家をうまく表していると思います。

 

「でも、仔猫たち、可愛いよね」

「この中にユーノを放り込んだら大変な事になりそうだな」

「にゃあ・・・・・・。それはちょっと怖いね」

 

ユーノくんは賢志さんの頭の上に退避しています。

周りの猫さんの目がちょっと鋭くなっているのは気のせいだと思いたいの。

 

「この仔たちの中には里親が見つかってる仔もいるから、お別れをしなくちゃいけないけど・・・・・・」

「そっかぁ・・・・・・、ちょっとさびしいね」

「でも、仔猫たちが大きくなっていくのを見るのはうれしいよ」

「そうだね」

「我が子を送り出す母親の気分ってやつですね」

「母親か・・・・・・、うん、そうかも」

 

私たちは話に花を咲かせています。

最初は私たちの輪に入りずらそうにしていた優斗くんもなじんできたみたいです。

今日はこのまま平和に過ぎていけばいいなと思いました。

 

「「ッ!」」

「きゅい!」

 

でも、現実はそう甘くないようです。

ジュエルシードの発動時の魔力反応を感じました。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、ごめん!」

「え!? なに!?」

「急用なの!」

「行こう、なのはちゃん!」

「うん!」

 

私たちはアリサちゃん、すずかちゃんに事を伝えてこの場を飛び出しました。

 

 

 

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