ドリフターズを知らなくても読めるはず
夏油と五条は高専の車で揺られつつこれからあたる任務について情報を確認していた。
「急に俺ら2人でこの任務に行けって夜蛾から言われたけど、大した呪霊じゃなくね?」
夏油も五条の言葉に同感なのか肩を竦めた。確かに特級とまでは言えない呪霊に2人がかりとは些かオーバーな気もする。
運転している補助監督は冷や汗を掻きながら補足説明した。
「元々2級以下が複数と1級の呪霊がいるという情報はありました。それが今朝からその呪霊の様子がおかしいんです。直接確認できたわけではないんですが咆哮や何かが崩れる音が聞こえており、暴走している可能性もあるので…」
補助監督の声は次第に小さくなった。
「暴走ねぇ…」
やる気がないのか五条はそう繰り返すと窓の外の景色を見た。
廃墟巡りは散々これまでも行ってきた。壁には蔦が這い、至る所で外壁は剥がれ落ちている。車から降りた時点で補助監督が言っていた異変には気がついた。なにかが壁にぶつかり崩れる音が一面に響いている。
五条が頭の後ろで腕を組み、中に入ろうとしているのを夏油が止めた。夏油は人差し指を口に当て音を聴くように五条に伝える。五条もそれに倣う。
「…呪霊の叫び声か?」
「人の声かもしれない…」
「俺らの前に任務についた奴か?」
「それはいないはずだよ。もしかしたら一般人かもしれない。急ごう」
廃病院の中は凄惨だった。ガラスや扉は破られ、かつて使われていたであろう器具が散乱している。大体の廃墟は荒れているがここまで荒らされていることはなかった。下級の呪霊が切捨てられた痕跡がいくつも見つかった。壁に呪霊を串刺しにした後も見つかり侵入した者が武器を持っていることがわかる。奥に強い呪霊、おそらく1級がまだいるのは感じ取れたため、2人は足をそちらに向ける。
ついたのは最上階の奥にある役員室だ。
「大将首だ!!
大将首だろう!?
なあ大将首だろうおまえ
首置いてけ!!なあ!!!」
最上階についた2人の耳にその叫び声は届いた。猿叫だ。
男が太刀を構えて呪霊に斬りかかった。服が赤色なのもあるが、どこからか出血をしているようで全身が燃えるような赤に染まっている。男の双眸には轟々と燃え盛る炎が覗く。
1級の呪霊は意味をなしていない言葉の羅列を発している。
呪霊の片腕を太刀で切り落とすと男はそれに向かって言った。
「わがんねぇよぅ 何言ってんのかさっぱりわがらねぇ
日本語 しゃべれねぇんなら
――死ねよ」
その言葉の通り、男は呪霊の首を一瞬にして奪っていった。
その気迫に夏油はたじろいだ。足音が男に届いたのか、燃える双眸が2人を射抜く。
「お
切先が向けられる。
「…私たちは敵ではない。」
夏油は男を刺激しないように慎重に告げた。
「――敵でないなら、よか!」
そういうと男は破顔する。男はその場に胡座をかいて言う。
「…腹が減った。お
「悟、なんか食べ物ある?」
五条は嫌そうな顔をしながらポケットに入れていたクッキーを渡した。
男は袋を引きちぎるように開けるとその場で食べだした。
「
その男の言葉に2人は呆然とした。