モチベーションが保てなかったり入院したり色々と重なって更新が遅れてしまったことをお詫び申し上げます。
果たさねばならぬ使命がある。
貫かねばならない任がある。
それは騎士として。或いは友として。死んでしまった者たちの想いを無駄にしないために。
アストラのアンリは、ただ一人長大な階段を登る。
心は最早擦り切れ。けれど使命を果たさなければ死んでも死にきれない。
既に亡者となって久しく、生者に戻ることすらもないけれど。
彼女は歩みを止めることはない。
散った、数多の友たちの仇を討つまでは。
薪の王だった者は、その姿をただ見ていることしかできない。過去の己に瓜二つな、その少女を。
思うことは沢山ある。感じることも多々ある。
けれど、それは彼には過ぎたことであり。最早過去の遺物である彼は、何もできない。ただ、見ていることしかできない。虚しさも、悲しみも、すべてが意味を成さないのだから。
冷たい谷のイルシール。私の馬鹿弟子であるサリヴァーンが建国したそれは、今や火継ぎを行うロスリックとは敵対関係にある。それはサリーが私を殺すために始まりの火を手に入れるために起きた国家間の争い故。
そしてもう一つ。かつて薪の王となったもう一人の馬鹿弟子、エルドリッチ。聖職者でありながら、禁忌である人喰らいを経て、薪の王の資格を得た彼を、サリーが擁護した事で、ロスリックとの決裂は覆せないものとなった。
エルが望んだのは、神喰らい。神を喰らい尽くし、人としての復讐を果たした後、私を殺す。そのためだけに、二人は世界を敵に回した。
私への愛が、彼らを狂わせた。
けれど元を辿れば、イルシールは表向きには親神……つまりは、ロスリック側であることは確かで。
故に、イルシールのすぐそばには神々が住まう地が存在しているのだと言う。
「お師匠様。そこは、貴女がよくご存知かと。足を運べば、嫌でも思い出しましょう」
勿体ぶるように言うサリーの頭をこつんと叩いた後に、私は言われた通りにそこへと向かう。そこまで言われれば、凡そ検討はついている。
薪の王の故郷が流れ着くことは知っていた。けれど、まさか原初である薪の王の故郷すらも流れ着くとは。世界は、やはり壊れきっている。
サリーと戦った礼拝堂から進んで行けば、そこは庭園と屋上を繋ぎ合わせたような場所。ドランの傭兵を名乗る者たちを蹴散らし、エルの信奉者たる司教達を屠り、私は進んでいく。
澱みを、強く感じる。
元は人間性と呼ばれていたそれらは、長い年月を経て変質した。
闇すらも澱み、沈み、海の底で溜まり行く。きっとそれは、世界が終わろうとも積み重なる。それはもう、枷である。世界は既に、自らの枷として澱みを選んだ。選んでしまった。
「澱み、沈み、ただ積み重なる。……その停滞の先には、ただ腐敗しか存在しない」
人喰らいを経て、今まさに神すらも喰らう。澱みを重ね、神すらもその澱みの中に沈ませて。そんなものが、お前が望んだものだったのか。
道というよりも、屋根を伝い進んで行けば、司教に紛れて銀騎士が私の行く手を遮ろうとしている。懐かしいものだ、かつてアノール・ロンドで見て以来だろうか。
この時代にとって彼らは最早、デーモンとなんら変わらない。滅び行く種族、朽ちて行くだけの存在。神とはもう、万能ではない。それに付き従う者達も同様だ。
遠距離から放たれる竜狩りの大矢は、あの頃よりも遅く感じる。
音を切り裂き飛ぶそれを、そっと避けながら屋根を駆ければ銀騎士を屠る。最早、黒騎士ですら相手にならないというのだから、銀騎士がなんだというのだ。
不意に、私は見知った部屋へと足を踏み入れた。
若かりし頃の、あの、青さを思い出し身震いして。円形の部屋の中心、そこにある篝火へと手を翳す。
この温もりは、何も変わらない。
「そう。何も変わらない。君もまた」
時が、世界が止まる。けれどすぐに動き出す。
薪の王はどこかうんざりとした様子でそう言えば、グウィンを模した壁像を指差す。
此奴が継いだ火。その元の持ち主。偽りの歴史と、虚栄。火の没落、堕落。それら全ての元凶たる最初の火の王。
「彼もそうだ。僕は、火を継いでから世界を見てきた。君とはまた異なる方法で。世界はいつも火が陰り、次の王が薪となる。……世界はそうして、繰り返す」
少しだけ、驚いた。それこそが、この男が望んだ世界ではなかったのか。偽りの時代、それを続けることこそ、此奴が私と対峙した理由。
「だが貴様が望んだ結末だ。この時代も、火の陰りも。その全てが貴様の行動原理だったのだろう?」
「……」
薪の王は答えない。私は近場の床を払うと、そこに腰掛ける。私と王の間には、薪の炎が揺らめいていて。
まるでそれは、いつかのロードランのようだった。
「いつか、貴様に言ったな」
揺らめく火を眺めながら、私は語る。
「願望は、願望でしかない。真実と事実が異なるように、願望はまやかしだ、と」
王となった騎士は、しばらく何も言わずにバイザーから虚ろな瞳を覗かせていた。
「……そうだ。真実と事実はまるで違っていた。僕は、僕は。愚かにも、君の言うまやかしを盲信していた」
「だが。それでも貴様なりに考えて、私と刃を交えた。そして火を継いだ。それはまやかしではなかったはずだ」
騎士がようやく、私を見た。驚いたような顔をしていたのは、きっと私が此奴を庇うような物言いをしたからだろう。
庇ったわけではない。火の思想に感化されたり、此奴の事が好きなわけじゃない。
ただ、事実だった。私はあの時、そう感じた。その事実を、覆せやしない。
「……私はこの目で、この足で、世界を渡り見てきた。繰り返す歴史。愚かな人の行い。確かに世界とは、悲劇である」
脳裏に浮かぶは数多の思い出。最早過ぎた年月すらも思いだせぬ程に遠い記憶。
「けれど、その中で確かに輝く思い出がある。足掻く人々がいる。……そして、愛があった。それを、思い出した。今の私は貴様のように、手放しで嘆くほど落ちぶれてはいない」
サリーがそれを、思い出させてくれた。ジークバルトの酒が、暖かさを振り返らせてくれた。今はそれで良い。戦いの動機など、シンプルな方が迷わずに済む。
私は立ち上がり、騎士に背を向ける。
「薪の王。かつて私を斬り倒し、火を継いだ者よ」
ただ、静かに語る。
「今の私には、使命がある。やらなければならないことがある」
外套を翻し、私はその場を去る。騎士はただ、そんな私の後ろ姿を眺めることしかできなかった。
時に懐かしさと、忌々しさは同時に押し寄せることもある。
音を発てて回転する巨大な螺旋階段。過ぎ去りし日々を思い出し、私は回転のなすがままに上階へと上がって行く。
予想はしていた。見当もついていた。だから覚悟もしていた。けれど、やはりこの目で見ると少しばかり思い出に心がやられるというものだ。
甘さも、苦さも、苦しみも。あそこで培った。
強さも、弱さも、全てあそこで思い知った。
最早伝説にしか記されぬ地、ロードラン。彼の地の試練を潜り抜け、たどり着いた先にこそある、神の住まう都。
アノール・ロンド。偽りの太陽を掲げた愚かな地だ。
時が止まる。今日はやたらと薪の王が饒舌だ。
「懐かしい場所だ。あの時、僕は君と……あの梁を駆けたんだったね」
「フン、貴様はビビっていただろうに」
「……そうだね。ものすごく怖かったよ」
だが。これは何だと言うのだ。
目の前に広がる光景は、アノール・ロンドというにはあまりにも輝きがない。
偽りの太陽は既に消え去り、イルシールの冷風が吹き曝すだけ。建築物は、その大半が失われている。王達の故郷が集まった影響だろう。
何より。あまりにも、人臭い。澱んでいる。あれだけ神性に溢れていた土地が。
「気がついたようだ。そう、ここも既に僕たちの知る神の都ではない。君の愛弟子、エルドリッチが変えてしまった」
「……そのようだ」
アノール・ロンド正面玄関、その前の長大な階段を登って行く。虚ろな銀騎士達が立ち塞がるが、意味がない。闇朧の錆となる。
正面玄関は開いてはいない。確か、内側にレバーがあって、それを引かないと開かないんだったか。
レッサーデーモンと銀騎士が妨害してきていたゾーンは入れないようだ。ならば巨人鍛冶屋の方から回って行くしかないだろう。
そうして、私は巨人鍛冶屋の工房方向から回り込む。そして目にしたものとは。
「貴公は、良い鍛冶屋だった」
工房に入り、目に見えたものは巨大な亡骸。
最期まで鍛治仕事をしていたのだろう、定位置で、木槌を手にしたまま果てている。
木槌を握る手とは反対側の手を見る。そこには、大切そうに何かが握られていた。
種火。それは真、彼らしい遺品である。
「戴いていく。君の
遺志とは、人から人へと紡がれて行く。相手が巨人であろうとも、それは変わらない。人は記憶の中に、誰かとの思い出を託すのだ。
アストラのアンリは、一人その巨大な敵と対峙する。
人喰らいのエルドリッチ。否、既に喰らうは人のみにあらず。
人を喰らい、その身の内に莫大な人間性を蓄え。しかしその人間性は澱み、腐り、沈んで行く。故に形など、ありはしない。エルドリッチの身体は、黒く澱んだ巨大な肉塊と化していた。
そしてその中心に座すは、喰らった神。かつて、陰の太陽グウィンドリンと呼ばれた者。
華奢な身体は既に死しており、肉塊から突き出た上半身の自由はエルドリッチが手にしている。
けれど、人間性とは可能性。神とは不変。故に相反する性質は、本来混ざり合うことはない。これは、苦行である。長い長い、年月をかけたその先に、エルドリッチはきっと神を喰らい尽くす。人間性の可能性は、最早グウィンドリンの身体を変質させている。本来は蛇であったはずの足は、歪で巨大な尾となり、アンリを苦しませる。
「はぁ、はぁ……!」
振るわれる尾を避け、肉塊へと剣を叩き込む。けれど、あまりにも膨大なその肉塊に効果があるとは思えなかった。そも、その肉塊はすでに澱み、汚泥と化してしまっている。
剣士であるアンリには不利となる。相性が悪いのだ。
悍ましい声をあげ、グウィンドリンの身体が杖を構える。杖の先端から、深淵とも暗月ともとれる魔力が溢れているのが分かった。
それを、振るう。一度は何とか回避できた。けれど、二撃目は。あまりにも長大なそれは、アンリの身体を斬り裂くには十分な射程。盾を構え、ダメージを覚悟する。
「教えたはずだ」
だが。その二撃目は、突如割って入った人物によって弾かれる。
ハラリと舞うローブ。その内側には、最適化された美しい鎧。なによりも、灰のように白い肌と長髪。
それは、白百合を自称する火のなき灰。
「乙女には、優しくしろと。忘れたか、エル?」
弾いた刀を翻し、振るう。肉塊を浅く斬り付けられ、けれどエルドリッチはすぐに身を引いた。まるで彼女の恐ろしさを十分承知しているように。
そして、まるで対話するかのように咆哮する。それは言葉ではない。アンリの耳には、単なる雑音でしかない。
「
「……エル。澱みに溺れ、既に形すらも保てないか」
けれど、白百合。私には分かってしまう。脳の中で、変換される。その声は悍ましく、けれど面影があった。確かに目の前の怪物は、あの優しい聖職者であるようだ。
エルはあの男、グウィンドリンの身体をまるで生きているかの如く操りながら言う。
「
「貴様も大概甘かったよ」
在りし日の弟子達を思い出す。まだ、無垢だった頃の彼らを。二人とも、良き青年達だった。
「
「いや。責任を果たしにきた」
しばし私とエルは睨み合う。否。睨んでいるわけではない。私たちはきっと、再会を喜んでいたのだ。私からすればつい先日の如く感じる時の流れも、彼からすれば悠久の時に感じたことだろう。
私は知っている。私も、こいつらも、お互いがお互いを愛している。不器用で、言葉足らずで。それでも私達は、同じ飯を食って旅を共にした師弟なのだから。
「リリィ……エルドリッチと知り合いだったのですか?」
私の横に並び、剣を構えるアンリ。私は彼女を見ずに頷く。
「……腐れ縁さ」
「
半ば笑うようにエルは言う。だが次の瞬間、エルは動き出す。
グウィンドリンの身体が錫杖を肉塊へと突っ込んだかと思えば、弓を取り出す。すぐに直上へと弓を放てば、まるで雨のように天井から矢が降り注いでこちらへ迫ってきたのだ。エルはもう、グウィンドリンの扱いを心得ているようだ。
「来るぞ」
「……っ!」
私達は左右に散って矢の雨から逃れる。多少の追尾性はあるものの、逃れる事自体は容易である。
だがそんなこと、エルには分かりきっていた。刹那、エルドリッチの身体が錫杖を手にする。それを振るえば、人の澱みに侵された
「この……!」
私に気を取られているエルに、反対側からアンリが攻撃を仕掛ける。彼女の直剣が肉塊を切り刻もうとするも、まるで泥を切りつけるかの如く。
エルはグウィンドリンを操り、素早く錫杖を振るう。その先端からは理力が溢れ、物理攻撃だけでなく魔力攻撃も付与されているようだ。
「ぐっ……!」
その攻撃を、紋章の盾で防ぐ。
多少の魔力耐性と、闇に対する大きな耐性を持つその盾は、完全にエルの攻撃を防ぐことはできなくともそのほとんどは吸収される。けれど華奢な少女の身体は簡単に後ろへと吹き飛んだ。
鉤爪付きウィップの先端を柱に引っ掛け、一気にエルへと跳躍する。左手には聖鈴を握り、珍しく奇跡を叩き込む。
「雷の杭」
バリバリと音を発て、聖鈴から雷が放出される。それを、一気にエルへと……正確には、グウィンドリンの身体へと叩きつけた。
基本的に、神の眷属や一族に奇跡は通りが悪い。けれどグウィンドリンは邪神に近い。故に彼の得物は魔術であったし、奇跡への耐性はあまりないのだろう。エルは聖職者ではあるものの、既にその身は澱み切っている。
雷の杭を叩きつけられ、グウィンドリンの身体が大きく仰反る。その身体へと、右手の闇朧でもっておおきく斬りつけつつもその反動で後方へ下がる。
「
「その割には余裕そうだ。無駄に生命力を溜め込みおって」
口でそう返しながら、未だ立ち上がれずにいるアンリに肩を貸す。彼女を立たせるとすぐに奇跡の回復を施す。もう彼女の身体は……心も、擦り切れてしまっていた。
「
「無駄だ。何人たりとも私を殺し切ることはできんよ」
「
神喰らい。それは、悍ましい禁忌。
人喰らいを経て王の資格を得、それでもなお足らぬ領域。
澱み、微睡み、その中に神の死肉と魂を混ぜ溶かす。その行為はきっと、いつかエルを押し上げるであろう。否、沈み込ませるであろう。
深淵のその先。深く、暗く、冷たい深海へと。だがその時に、きっとエルという存在はいない。彼の意識など既にない。けれど身体は澱んでいく。そんなもの、生への冒涜である。
彼は確信しているのだ。神喰らいを経た先に、私を殺し切れるほどの暖かさと悍ましさがあるのだと。
全てを包み込む深海こそ、私という永遠に生きる白百合の終着点になり得るのだと。
「アンリ、立てるかね」
「……まだ、いけます。力を貸してください」
そう言って彼女は剣を構える。
少し、息を呑んだ。その姿は、時や場所……そして性別さえも違うけれど。かつて、この部屋で共に戦った誰かにそっくりで。
けれど、そんなはずはないのだ。それはただの思い出であり、郷愁の中にこそ住む妄想。
「……私が引きつけよう。奴の狙いは私だ」
そう言って、既に傷を癒しているエルへと歩み寄る。
「貴女はエルドリッチの……いえ、なんでもありません」
知らない方がいいこともある。知られたくないこともある。けれど別に、エルと私の関係性を知られようとも気にはしない。
エルはわざわざ私たちを待っていたかのように静止していた。グウィンドリンの身体でそれを表現するように、腰に手を当てている。
「
「エル。師として責務を果たそう。貴様を殺してやる」
そう言った瞬間、エルが纏う雰囲気が変わった気がした。私という存在に、明確に拒絶されたからか。否、これは拒絶ではないのだ。これは、慈悲だ。
「
燃える。その肉塊と化した身体が、薪として燃えている。奴が私を殺すために得た王たる資格。それは暖かく、きっと魅惑的なのだろう。
けれど、もう良いのだ。私はそれすらも消し去り、貴様を葬ろう。人として、死せる生き物として、お前を殺して見せよう。
残り火が、私を薪とする。燃え上がる炎が私を立ち上がらせる。王を殺せと脳髄が叫ぶ。
一気にエルへと接近し、闇朧を振るう。
「渦雲渡り」
刀に炎が纏われる。一太刀すればそれは十となり、十を振るえば百となる。斬り刻まれる肉塊と死体と化した神肉体。けれどそれで沈むほど、愛弟子は甘くはない。
グウィンドリンの死骸が杖を振るう。溢れ出る魔力と澱みの刃は、いつしか鎌のようになっていて。
私はその鎌を知っていた。愛した人が持った鎌に、それは似ていた。
「……っ!」
遅れる。ほんの一瞬だけ、反応が遅れてしまった。
闇朧でその刃を防ぐも、完璧ではない。私の身体は大きく弾かれ、澱みの床を跳ねる。
久しぶりの感覚だった。明確な痛み。けれどそれよりも、あの鎌に動揺してしまったということが信じられなかった。
そうだ。グウィンドリンのルーツは、彼女にあるのだから。奴が持っていても不思議ではない。エルの奴は、私を揺さぶっただけに過ぎない。
「ちっ……」
「
エルが再度鎌を振り上げながら迫る。だがそれに横槍を入れる者がいる。アンリだ。
彼女は自身の長剣に黄金松脂を塗ると、エルの肉塊を何度も斬りつけた。人間の持つ、真の力。その力を表現する剣と、神聖な雷の力は今のエルには効果が大きい。
「死んで、死ね! 仇を! あの子達の!」
「
私は立ち上がり、エスト瓶を飲む。その間にも、エルの興味はアンリへと移っている。
彼は大きな尾でもってアンリの身体を締め付ける。
「ぐ、うっ!?」
「
私は走る。一刻も早くアンリを救い出す必要があった。彼女の身体は、そもそも弱っているのだから。
だが、私が手を出すよりも先に。
ステンドグラスの外から、魔力の奔流が飛んでくる。それはエルの尾を断ち切るには十分な魔力であった。
「
魔力から感じられる
グウィンドリンの身体を、まずは断ち切る。刀身に怨嗟を宿し、死してなお動くその身体を今度こそ無に還す。
「奥義、不死斬り」
赤黒く、呪われたその刃は死なぬ者すらも殺す。両断され、肉塊から切り離された身体。その表情は、驚愕に染まっていた。
「二連」
そのまま、振り抜いた刀を戻すように肉塊を裂く。
肉塊がばっくりと割れ、どろりとした中から、一人の老人が現れる。
衣服など、既にない。手足どころか、胸から上しか見えない。顔はまるで、亡者である。
けれど、けれども。どんなに変わろうとも、それがエルであることには変わりなかった。優しくて、愚かで、でも聡明な子であることには変わらなかった。
「──エル。久しいな」
「──貴女も、美しいままです」
その胸に、闇朧を突き立てる。もがき苦しむエルに惑わされず、より一層強く刺し込む。
「
「……最期に、それが聞けて」
彼の身体が
エルの顔は、苦痛に満ちてはいなかった。まるでこうなることを望んでいたかのように。
ダークソウル3のリリィは
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暗い方が良い
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暗くても多少明るい方が良い