僕のヒーローアカデミアの二次創作
思いつき発車。多分続かないし文才皆無。
前半は暗い話もあるからそこは自己判断でヨロ。
僕は生まれた時から虐められていた。生みの親からはネグレクト、そのまま捨てられて行き着いた孤児院はまだマシな環境。自分の個性すら制御できずに毎日破壊と自傷を繰り返すディストピア。
学校に通い始めれば、ヴィラン二世と噂を流され虐められた。さらに僕は無個性だった。だから大人達は僕を格好の獲物として陰口を言い出した。
それを見た子供はやっぱり虐めていい奴だとさらに悪化する負のスパイラル。抵抗や反撃をすればそれは加速した。
そんなある日。虐めからの怪我を治す病院の先生に個性が発現したと教えてもらった。
何を言ってるのかわからなかったけど個性が出たから嬉しかった。やっと、やっとこれで虐められない!
今までのやな事なんかふっとんでそれしか頭になかった僕は、次の日学校で真っ先に個性が出たことを大声で叫んだ。
苛めっ子達は信じなかったけど証拠を見せてはいって渡した。僕の個性の大きい大福みたいな白玉を。
「何だこの個性、ザコじゃん」
「おい、ぬいぐるみ持ってきて嘘つくなよ」
「ホントだもん!個性だもん!」
「うそつき」「うそつき!」「無個性!」「ザコ!」
皆寄って集って嘘吐き呼ばわりで悲しくなって個性を返してもらおうと手を伸ばした。
「はん、個性じゃなけりゃいらないよなあ?ほれパース」
「パース!」
手が届く前に個性を他の子に投げてキャッチボールを始めてしまった。僕も必死に取り返そうと動くけどやっぱり届かないし、追いついたと思ったら頭上を抜けてまた遠ざかる。
なんで、個性が出たのにそんなことするの?無個性だから虐めてたんじゃないの?
「返してよお!」
「ザコの泣き虫また泣いてら」
「無個性が嘘ついたからだな!」
「このぬいぐるみ、壊してやろうぜ」
「いいなそれ!」「ぎゃははは!」
「やめて!」
猫顔の個性の子が爪を伸ばして個性を力一杯引っ掻いた。切り傷ができてとても痛々しい。
「おい、お前らもやれよ」
そのまま別の子に渡り、火を吐かれて炙られたり床に叩き付けられた。
「やめてよ!」
「なかなか壊れねーな」
「もしかして、ホントに個性?」
「んなわけ……え?」
僕は初めてできた個性の友達を傷つけられたショックでその場に倒れ込み気絶してしまった。
次に目が覚めた時には病院の白い部屋にいて、お医者さんと黒いスーツを着たおじさんが僕の個性はすごいっていっぱい褒めてくれた。
それで悪い奴をいっぱい倒さないかとか、苛めっ子に復讐しないかとか言われたけどまた友達を傷つけられるのは嫌だって言ったら、また気を失った。
次に目が覚めたのは知らない場所だった。
あの事件があってから数年が経ち、僕の周囲の環境もかなり変わった。
まず里親ができた。プロヒーローで今までの大人達みたいに僕も僕の友達も虐めたりしない少し強面だけど優しい人。
僕の過去を知ってるからヒーローになれとも言わない。友達を無理矢理戦わせようともしない。すごく良い人だ。
未成年だったのもあって当時の苛めや誘拐事件や個性犯罪で名前も顔も出なかったから、僕の個性は世間に知れ渡ってはない。
住む場所も違うし周りに昔の僕を知る人は里親を除いていないけど、それでも他人の視線に敏感になった。
悪意や敵意、それがなくとも人の視線や表面的な感情を察して拒絶できる様になった。このもう一人の友達のおかげかな。
首から下げた青い宝石を手に乗せて転がす。
『ホーホー』
高い女性の様な声ではっきりと意思をぶつけてくる。これは最初の友達とは違った。声のまんま僕にもいたら母親ってこんな感じなのかなって感じ。
母親というワードに何故か反応したけど最後にはやれやれって感じで受け入れてくれた。
今では少し過保護な気もする。
二人の個性という友達を僕は人を助ける為とはいえ使いたくない。二人とも強過ぎるのだ。だから僕は悪い奴らと戦って欲しくない。
一度でも戦えば周りはそれを強要する。力があるなら戦え使えと義務を全うしろとか感情に訴えかけてくる。だけどそれを拒絶する。
自分の為に個性を使うならまだしも他人を使うなんて以ての外だ。力がないってぬるま湯でずぶずぶ怠けてるだけなのに偉そうに。危なくなったらこっちに助けを求めて、助けても助けなくても罵られ罵倒される。
ヒーローって仕事は人気だ。だけどそれはテレビに映ってる様な綺麗な部分だけ見ているからだ。現実はこんなにも汚い。ヴィランになるつもりはないけれどヒーローなんて絶対になりたくない。
そう、思っていたのに……。
出不精な里親を説得して少しでも固形物を食べて健康になってもらわないと。最近の僕の使命はこの人を更生させることだと思う。
お気に入りなのかいつも使ってる黄色い寝袋から引き摺り出して着替えさせる。ついでに鏡を用意して長い髪を整え、軽く縛る。眼光が鋭いだけで見てくれは良いんだからちゃんとしないとね。
近所にある人気のデパートに行ってカートに友達を乗せつつ手を引いて中を周る。
家事スキルはこの人と住み始めた時から全て自分でやってる。お節介な近所のおばちゃ……親切なお姉さん達から教えてもらったりして主夫としてもやっていけそうなくらい。自慢じゃないけどね。
後は趣味に音楽。友達が音楽が好きだから少し高かったけどサックスを毎日吹いている。近所の公園で練習してたらお爺ちゃん達に好評だった。
話がそれちゃった。
日用品は二人分だけど最近仕事が忙しくてあの人も帰りが遅いし、たまに帰ってこない日もある。だから家に帰った時ほどゆっくりさせたいけど軽い運動と栄養はきっちり取ってもらわないと。
そう思って張り切っていたのに。
「その場で止まれ!ヒーローを呼んだらこのガキを殺す」
個性犯罪に遭うなんて運がない。
僕の近くにいた相澤さ……イレイザーヘッドは特殊記憶合金でできた捕縛武器を持っていない。ゴーグルは付けているがこの人数と相手は異形型の個性が複数。流石に分が悪いし何より人質がいる。
今は大人しくヴィランの誘導に従いつつ腕を拘束され一箇所に集められた。
なんか、思っていたよりも杜撰だ。背中で組まされた腕は返してありロープ抜けはできるし友達はやる気満々。
ここは三階で、ヒーローは外を包囲してるみたい。
おかしいな。あんなに怖かったのに嫌悪していたのに友達やあの人が傷付くのは見ていられない。見たくないから自分がやるなんて。
ヴィランは嫌いだ。ヒーローなんてもっと嫌い。大人も子供も皆嫌い。でも傷ついて欲しいわけじゃない。僕はただほっといて欲しいだけ。自由が欲しいだけ。
友達と平和に静かに暮らしたかっただけなのにそれを壊そうとする奴らが許せない。
だから二人とも今回だけお願い。
『ホーホー』『……』
「ありがとう。じゃあ行くよ」
首から下げていた宝石──ラミエルが輝きながら形を変えて水色の銃に変化する。
「竜二!」
「何だオメェ!死にてーか!」
指先を銃口に変えた男が両手を突き出して発砲する。
「イフ、受け止めて」
『ピギー』
白玉マシュマロなイフが僕の前に飛び出し全ての銃弾を飲み込む。そして銃口を再現して致命傷を避けた場所に正確に撃ち返した。
「ぎゃあああ!」
「人質を使え!」
「このガキ強いぞ!」
「同調率32%……任せるよラミエル」
『ホー』
僕からはわからなかったけど、今僕の目が水色に光り輝いているらしい。ラミエルのスパコン以上の情報処理能力で視界に最適解の行動指針が浮かび上がる。
僕はその通りに動くだけ。
右から来てる銃を持ったヴィランに視線を向けずラミエルが示す角度に照準を合わせて撃ち込み、無力化。音も、動きさえ今の僕にはゆっくり流れている。
イレイザーヘッドも僕の動きに合わせて行動してくれる。打ち合わせすらしていないのに本当にすごい人だ。
前方にいる岩みたいな異形型の顔面を狙ってイフから援護射撃があり、相手も流石に反射で目を守る。
その隙に股下に回り込んでラミエルの銃で思いっきりぶん殴る。今の僕は普通の身体強化の個性と同じか少し上の強化をされてる。
それもこれも個性であるラミエルとイフとシンクロしているから。イフだけの時はできなかったけどラミエルと出会ってから使えるようになった。
それが僕の個性の真骨頂。『シンクロ』は味方である人間以外の知的生命体と会話や能力の共有ができるようになる個性。でもラミエルやイフがいなければ僕は無個性に変わりはなかった。
個性を使う度に同調率が上がり僕の身体は造り変えられていく。でも全然怖くない。友達がいるから。
地球のどの物質よりも硬くて柔らかく鋭いラミエルという鈍器を強化された腕力で殴れば相手の足が折れるのは想像するよりも簡単だった。
これで二人。イレイザーヘッドが一人個性を消してから無効化した。流石プロだ。動きに淀みがないし何より早い。
何故見えるかって?イフやラミエルの感覚を共有してるからね。背後に目が付いた感じかな?いや、それよりも友達を中心に全方位の状況が把握できるんだ。
普通の頭じゃ無理だけどラミエルがそれを調整してくれて僕に教えてくれるからすごく助かる。ラミエルは優秀だね。
イフも負けてない。自分の身体を伸ばしてドーム状に集まった人達を覆っている。イフは受けた刺激を何倍にも増幅して返す力を持ってる。だから自分が受けた攻撃を強化して敵に返すことができる。
さっきの銃だってすぐに学習して、僕なんかよりも正確にヴィランを無力化してた。
前に苛めっ子にやり返した時は、炙られたから教室を巻き込んだ大火災になってしまったらしい。その時既に僕はイフと少なからずシンクロしていたから火傷することも、酸欠になることもなかったらしい。
僕の個性は警察やヒーロー協会に監視されてる。相澤さんだって最初は冷たかったけど多分そういう仕事を任されたからだ。
それは感情を読めるラミエルが教えてくれたから僕は警戒も何もしなかった。普段通り過ごし友達と楽しく過ごせることが嬉しかった。
段々と相澤さんもそれを理解してくれて今では僕が近くにいても熟睡している。人間には僕の個性は範囲外だけどこれが信頼されているって証なんだと思った。
さて、イフが粗方無力化しちゃったし後は人質を取ってる一人だけだね。
「なんだよっなんなんだよ!お手軽な仕事じゃなかったのか!?」
「誰かに頼まれたの?」
「そうだよ!俺がやりたくてやったわけじゃない!なぁ、俺を逃してくれよ?誰も殺しちゃいないんだ!」
「そっか。じゃあ人質を解放して。そうすればお前は無実だ」
「あ、ありがてぇ……なーんてな」
ドパンッ!
子供に向けていた銃をこちらに移したかと思えば、寸分違わず眉間を撃ち抜いてきた。その動作はとても自然で何度もやった行動だとすぐに理解した。
「……なんで血が出ねぇ。倒れねーんだよ!?」
放たれた銃弾は俺の眉間に確かに撃たれた。その数cm前で見えない障壁に阻まれ空中で止まっていたけど。
「残念だったね。僕は少しなら感情を読めるからさ。お前が嘘をついてるのはすぐにわかった」
「何だよそのチートはぁ!?コロス!もうガキもお前も全員ッ!?」
「させるわけないでしょ?」
ラミエルの銃でこっちに向いていた銃口を狙い暴発させる。それでも個性を使おうとしてくるヴィランにイフがとどめとばかりに銃弾の雨を撃ち込み、その場に崩れ落ちた。
「ありがとうイフ、ラミエル。助かったよ。君も怖かったね。よく頑張った。親はどこ?」
イフが収縮して跳ねながら僕の懐に飛び込んでくる。よしよし。ラミエルも銃形態から宝石に戻ってはピカピカと点滅して催促しているようだ。
「はいはい。ラミエルもありがとう」
「竜二、無事か。怪我は?」
「ないよ。相澤さんごめんね。あれが一番確実だったんだ」
「いや、俺の準備不足に周囲の警戒を怠った結果だ。よく怪我人もなく制圧してくれた。今外の連中に連絡してすぐ捕縛してくれるようだ」
「それは良かった。でもこんな状況じゃ買い物できないね」
「それなら、事情聴取の後にでも屋台食いに行こう」
「また……今回だけだからね」
その後警察やヒーローに話をして一つだけ今回の事件が計画されて起こったことを話した。あのヴィランは嘘はついていたけど全てが嘘じゃなかった。だから周囲で同時刻におかしなことがなかった調べてほしいとも言っておいた。
代わりにすごく怒られたけどね。免許もない一般人が危ないことをするなとか明らかに自己防衛の域を出ているとか。ラミエルとイフの能力を考えればあれはかなり手加減したんだけどな……。
個性のことは知られてるけど僕から態々話すことでもない。これで余計に監視が厳しくなって二人と離されでもしたら……どうなるか。
イフは今までの進化を全て解放して大怪獣になって国すら滅ぼすだろうし、ラミエルは増殖してビームを乱射したりして国を滅ぼすだろう。どっちにしても国が滅ぶ。
友達は僕という宿主が壊れないよう注意しながら少しずつ同調率を上げている。それの枷が外れたら際限なく進化する怪獣と全てを破壊し尽くす空中要塞に早変わり。
意思疎通ができるのが僕だけだから、自由が許されているのもあるんだけど。案外僕の立場も危ういんだよね。
屋台のラーメンを啜りながら最近起こった事を相澤さんに話していた。
「相澤さんは?」
「俺の方はいつも通り。多少骨のありそうな奴らが入ってきたからな。忙しくなりそうだ」
「ねぇ相澤さん。僕どうなるのかな?また監視が厳しくなりそうだし」
「それについてだが、既に知り合いに話をつけてある。元々俺に話が来たのはこの個性があったからだ。まあ、それをした方がやばいってのはお前の話を聞いてすぐに理解したがな」
個性の『シンクロ』は常時発動していて、それを消すということはラミエルやイフどの繋がりを断つことに等しい。意思疎通がいきなり出来なくなってラミエルは兎も角イフがどう暴走するかはわからない。
いや、ラミエルも相澤さんを敵と見做してビームで消し飛ばすかもしれないからどっちにしろ危ないんだけど。
「理解してくれるとは思ってなかったからね。相澤さんでよかったよ。じゃあ僕はどうなるの?」
「非常に不合理だが、俺の仕事場で面倒を見るのが一番と判断された。上はまだお前を危険視しているんだ」
「そっか……じゃあ今度からずっと一緒なんだね!」
「お、おう……そうなるな。だが、今度からは教師と生徒。ちゃんと敬語使えよ?」
「はーい。ズズズズ……」
多分続きません。
ラミエルとイフが可愛かったので書きました。
後悔も反省もしてない。