アイシィレンドリングは出てきません、アイシィレンドリングの能力しか出てきませんのでご注意ください

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シャドバメインストーリーの運命相克編が激重でめっちゃ好みだったので勢いで書きました
ギャグ路線じゃないのは初挑戦
ヒロアカの小説も初挑戦
自分でもドキドキです


第1話

その「少年」は何も持たずに生まれてきた

 

その「少年」は敵(ヴィラン)と敵(ヴィラン)との間に生まれた

しかしすぐに両親共に死亡

敵(ヴィラン)同士の争いの結果なのか、ヒーローとの交戦の結果なのかはわからない

 

そして物心ついた頃には「少年」は孤児院に引き取られていた

孤児院のような小さな場所でも人が多く集まるならその間にはヒエラルキーがあり、強者と弱者が生まれる

その「少年」は弱者側だった

 

敵(ヴィラン)の子供だということは隠されて孤児院にやってきた「少年」だったが、孤児院の大人達はその事実を知っている

そして子供とは大人の話に敏感なものなのだ

 

「少年」が敵(ヴィラン)の子供だということは瞬く間に広まり、「少年」は瞬く間にいじめの対象となった

 

子供の間での毎日のヒーローごっこでは敵(ヴィラン)の役回りをさせられ、毎日ヒーロー役の子供達に叩かれ、蹴られる日々

 

大人から見たら微笑ましいくらいのことかもしれない

「たったそれくらい」「遊んでいるだけ」その一言で済まされるようなことかもしれない

 

しかしまだ長い人生のことも広い世界のことも知らず、ただ今一瞬と狭い孤児院が世界の全てである子供にとってこれはとても苦しく耐え難いことだった

 

毎日いじめられるだけの日々が続き、「少年」が6、7歳くらいになった頃

突然「少年」を引き取るという男が現れた

 

その男は「少年」の母の兄に当たるらしく、孤児院の大人達が探して見つけたようだった

この日々が終わるのなら、そう思いその男について行った「少年」を待っていたのは奴隷のような日々だった

 

毎日その男の家の家事や買い物などをやらされ、言われたことが遅れたり出来が悪かったりしたらすぐに蹴り飛ばされる

 

それでも「少年」は男の言われた通りにし続けた

従わなければまた孤児院に戻す

そう男に言われていたからだ

 

そして男の命令に従い続ける日々に全く疑問を抱かなかった

孤児院の毎日と男との生活しか知らない「少年」は他に比べるものがなかったのだ

 

そして料理をし、掃除をし、買い物に行き、男の虫の居所が悪い時は気に入らないという理由で殴られる毎日

 

そんな日々が5年ほど続いた……

 

◆

 

「少年」はその日も買い物に出掛けていた

男は目立たない服の下しか殴ったり蹴ったりしないため他の人たちは「少年」の異常に気づかない

もし気づいたとしても深くは関わらないだろう

「間違いかもしれない」「赤の他人のことだ」そう思って次の瞬間には「少年」のことは忘れている

 

突然辺りに響く爆発音

そして敵(ヴィラン)が姿を現し、逃げ惑う人々の中で駆けつけたヒーローが敵(ヴィラン)と交戦を始める

それを「少年」は眩しそうな目で見ていた

 

「少年」は個性がなかった

病院で検査したわけではないが、自分の中に特殊な力を感じ取ることはできなかった

そのことを男に話した時は「やっぱりクズの子供はクズだな」と言っていた

当時は意味がわからなかったが、わかるようになっては悲しい気持ちとなった

 

孤児院でも男との生活でも誰にも愛されたことはなく誰にも必要とされない毎日

しかし古い、古い朧げな記憶には自分を抱いて笑う女性の記憶があった

 

顔も覚えていない、だが「少年」はその女性が母親なのだろう、そう思って過ごしていた

 

そうしてスーパーで買い物を済ませる

明らかに中学生くらいの子供が平日の昼間にスーパーにいるのに誰も不思議には思わない

不思議に思ってもそんなこともあるだろうと無視してしまうのだ

 

そしてまた男のいる家に帰る道

その途中で「少年」は見た

父親と母親らしき二人に手を繋がれて、幸せそうに笑う子供の姿を見てしまったのだ

 

その時、ふっと「少年」は思った

あの子供と自分は何が違うのだろうか、と

 

 

◆

 

 

家に帰り、料理を作り男に出す

男には目にうつると飯がまずくなると言われているため男が食事をする間はベランダに出ている

そこで座って先ほど見た少年と自分は何が違うのだろうかと考え続けた

 

そして食事を終えた男に「少年」は尋ねた

他の子供と自分はどう違うのか、と

 

男が機嫌の悪い時なら殴られて終わりだっただろう

しかしその時の男は機嫌が良かったのか、少年に返事をした

 

「お前はバカの敵(ヴィラン)と敵(ヴィラン)の間に生まれちまったどうしようもないクズだ」と

 

まあそのバカのうちの片方は俺の妹だがな、と言いながら男はテレビをつけた

 

◆

 

僕は言われた言葉を思い返す

 

「お前はバカの敵(ヴィラン)と敵(ヴィラン)の間に生まれちまったどうしようもないクズだ」

 

じゃあ私が生まれてきたこと自体が間違いなのか?

そんなはずはない

俺が一体いつ生んでくれと頼んだのだ

 

じゃあ悪いのは私の父さんと母さん?

そんなはずはないだろう

父さんのことは覚えていないが母さんは確かに僕を愛してくれた

僕を抱いてくれた、俺を必要としてくれたんだ

 

じゃあ一体なにが悪いのだろう

母さんと父さんを殺した「誰か」か?俺を引き取っていじめられても何もしなかった「孤児院の大人達」か?母さんを貶し、私を働かせる「この男」か?

 

それとも

 

それともその全部か?

 

そうだ

 

多分全部悪いんだろう

 

母さんを殺した「誰か」も

いじめを無視した「誰か」も

今の俺に気づいてくれない「誰か」も

今の僕を愛してくれない、必要としてくれない「誰か」も

 

……でも

母親は愛してくれた

必要としてくれた

そうだ

初めは私も愛されていたんだ

じゃあなぜ愛されなくなったんだ?

 

……母さんがいなくなってしまったからだ

どこかの誰か、世界の誰かが俺から母さんを奪ったからだ

世界の誰かが僕が愛されないように奪ったからだ

 

それならその誰かを殺せば私は愛されるのか?

……その誰かを殺しても母さんは帰ってこないだろう

 

そうだ

奪われてしまったから帰ってこないんだ

それなら奪い返さないといけない

 

僕から居場所を、平穏を、毎日を、楽しみを、愛を、母さんを、全てを奪ったこの世界から

 

僕が

私が

俺が奪い返してやる

 

全てを

 

奪い返す!

 

 

◆

 

 

その時「少年」から赤黒い靄のようなものが噴き出した

 

男は驚き「少年」にやめるように命じるが、一向に靄はとまらない

最初は驚きが勝っていた男だが次第に苛立ちが大きくなっていく

 

なぜこのガキは俺の言うことを聞かないんだ?

 

そんな思いがどんどん募っていく

そしていつものように「少年」を思いっきり殴りつけていますがそれをやめろ!と怒鳴る

 

その時、「少年」は男を睨み、憎しみの籠った声で叫んだ

 

「私から!俺から!僕から!平穏を!自由を奪うな!」

 

その瞬間「少年」から出ていた靄が男に殺到する

そして男の体に靄が入って行った瞬間、男の体中に激痛が走った

 

「う゛か゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

と男の苦しむ声が響き渡る中「少年」は男を睨み続けていた

 

そして靄が入っていくのが止まり、激痛が止まった時には男は憔悴しきっていた

 

「………………おまえ……おまえは……なんなんだそれは……」

 

その問いにふっと「少年」は疑問に思う

そして彼は自分の名前を知らないと言うことに気づいた

 

「おい、僕の名前はなんだ?」

「し、しらねぇよ!あのバカは何も言わなかったから俺はあいつがお前を産んだことすら知らなかったんだぞ!?それなのに今まで育ててもらっておいてお前は「母さんを馬鹿にするな!」があ゛あ゛あ゛!」

 

母親を侮辱された事に憤りを感じた瞬間にまた靄が男に殺到する

そして「少年」はこれ以上この男から聞けることもないと思った

それにもうこれ以上この男の顔すら見たくなかったのだ

 

「ヒュー………ヒュー………お前……その個性………」

「……二度と私に関わるな」

「……………」

「わかったのか!?」

「あ、ああ!わかった!二度と関わらない!だからその靄はやめてくれ!」

 

その答えを聞くと同時に「少年」はその家から出ていき、街の闇に姿を消した……




どうも、テンペストランスと申します
またまた書き溜めなしプロットなし見切り発車で新作描き始めたのですが、正直今めちゃくちゃ忙しいので一話投稿してから更新が開くかもしれないレベルで次の更新は未定です
もしかしたらすぐ投稿できるかもしれませんので気長にお待ちいただけたら幸いです

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