白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? 作:謎の人でなしZ
今回は題名のとおり、ベルくんの意外な弱点が明らかになります
ではどうぞ!お楽しみください!!
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
皆さん、僕の名前はベル・クラネルです。ロキ様とフィンさんに誘われてここロキ・ファミリアのホームでの宴会に参加させてもらっています
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
そしてここの料理はどれもすっごく美味しいんです!!精霊の皆も喜んでいました!
モフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフモフ
・・・そろそろ現実逃避はやめようと思います。現在僕は、ある人の膝に座らされて頭をモフラれています。三十分を過ぎたころから時間は考えていません
――その人物とは・・・
「あの~アイズさん?そろそろ・・・は、離していただきたいな~・・なんて・・・」
「・・・・・」モフモフ
聞こえてないみたいです。両手で僕の髪を撫でまわしています。アイズさんはすごく美人なので実は僕も少しドキドキしているんです。でも僕の顔は赤くなっておらずむしろ真っ青に近いです
では、なぜか?
それはアイズさんに撫でられてから、周りの視線がすごいんです。男性冒険者は嫉妬と殺意の籠った目で、女性冒険者の皆さんは面白いものを見るような好奇の視線がそそがれています。中でも山吹色の髪のエルフの女性からはすごい殺意の籠った目で睨みつけられてます
しかしそんな面々よりも恐ろしい存在が二人
それは目の前のリディヤとリンネです
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
二人とも無言でこちらを見ています。リディヤは無表情で僕を見つめていますがその目はいつもの黒目よりも濁っています。リンネは笑顔でこちらを眺めていますが、目はリディヤと同じく黒く濁っています。それと僕の幻覚でしょうか?二人の背後にそれぞれ般若の顔が見えるんです
そんな二人に僕が震え、冷や汗を流していると・・・
「・・・・」ギュッ
「ほぁぁぁぁ!?」
「「!!??」」
アイズさんが僕を抱きしめてきました。いや、なんで!!!???僕は背中に感じる柔らかい感触に混乱し目を回す
「あ、アイズさん!?ど、ど、どうしたんですか!!??」
「・・・・・・」
問いかけるがアイズさんは僕を抱きしめたまま無言で動かない
「『我が名はイフリート 地獄の業火を束ねし炎王なり ここに断罪を 醜くも愚かなる魂に鉄槌を 灰の大地 四つの月 愚者の涙 全てに等しく慈悲を与えんことを――』」
「『願うは疾風 破滅の嵐 永き戦乱に終止符を 争いに決着を なれど救われる者は誰もおらず 全ては儚き蒼穹の彼方 この愚かな世界に 我が望むはただ一つ 殲滅なり――』」
ああああああ!!二人ともキレてる~~~~!!!しかもあれ結構ヤバいやつじゃん!!ここでそれ使ったら全部無くなるからね!!!!!?ダメだよ?絶っっっっっっっっ対にダメだからね!!!!!!!!!?????????
しかし僕の願いは届かず二人の詠唱は終わってしまう。あとは放つだけである。もうダメだ!!僕はそう思い目をつぶった
二人が魔法を放とうとした次の瞬間――
「クォラアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!ベル・クラネルーーーーーー!!!!」
救いの天使、いやエルフが現れる
山吹色の髪を揺らしながらベルと精霊の間に割って入ってくるのは、レフィーヤ・ウィリディス。アイズの後輩である
リディヤとリンネはそんなレフィーヤに驚いたのか魔法を解除する。僕はそれを確認し安堵の息を吐く。しかし、レフィーヤは精霊たちはそっちのけでズンズンとベルのもとに歩いてくる。そしてアイズからベルをひったくり床に放り投げ、転がったベルのお腹の上に馬乗りになり、胸倉を掴む。アイズはベルを取られたことに悲しげな表情だ
「あ・な・た・は~~~!!アイズさんに何をやっているんですか!!!!!!!」
「え、えええええええええええ!!?ぼ、僕が悪いんですかーーーーーー!???」
レフィーヤは掴んだ胸倉を引き寄せベルに顔を近づけるとそんな絶叫を上げる。そんなレフィーヤの絶叫にベルも絶叫で返す。どうやら救いのエルフではなく、新たな悪魔エルフだったようだ
「そもそも!!なんであなたがアイズさんに頭を撫でられたり、膝の上に座ったり、ハグしてもらってるんですかーーーー!!!!うらや・・・・ハレンチです!!!!!!」
「いや、それは僕からじゃなくて・・・・・・!!!」
「黙りなさい!!!この変態兎!!!!!!」
「へ、変態兎!?」
ベルが反論しようとすると、レフィーヤからそんな嬉しくない言葉が飛んできた。その言葉にショックを受けていると、ベルはあることに気づく
いまレフィーヤはベルに馬乗りになっている。しかも二人とも大声で言い合っていたので周囲は多くの人でいっぱいになっている。目線だけ周りに向けると、いつの間にかユキ、ティナ、ルナの三人も戻ってきており、リディヤとリンネの隣で不思議そうにこちらを見ている。それ以外にも神様やリリ、ロキ様や他の幹部の皆さんも来ていた
こんな大勢の前で、この体勢は不味いんじゃないか?
ベルはそのことに気づき、顔を真っ赤にして、レフィーヤを説得しようとする
「れ、レフィーヤさん!!」
「なんですか!!!まだ話は終わって・・・・・・」
「い、いや・・・あの・・・・こ、こ、この体勢はヤバいです!!!」
「体勢?」
そう言ってレフィーヤは現状確認をする。今レフィーヤはベルの腰より少し下の方に馬乗りになっている。そして周りには大勢の人。そこでレフィーヤも気が付いたのだろう。この体勢は色々な意味でアウトであると
周りを見渡していたレフィーヤは、顔を赤くしうつむき無言で立ち上がる
「れ、レフィーヤ、さん?」
「・・・・・・」
レフィーヤはベルの問いかけに答えず近くのテーブルに置いてあった瓶を手に取る。そしてベルの前まで移動し・・・・・
「この、ハレンチ兎!!!!!!!」
「ゴボォ!?」
真っ赤な顔に涙目でベルの口に瓶を突っ込みながら押し倒してくる
「あなたのせいで!あんな・・・・あんなことをーーーーーーーー!!!!」
「ゴボゴボゴボゴボ!!???」
再びベルに馬乗りになったレフィーヤは瓶を押さえつけベルを喋れなくする。ベルは瓶の中身を必然的に飲むことになり、喉を鳴らす。すると段々とベルの意識が朦朧になっていく。まるで夢をみているかのような浮遊感にベルは意識を手放した
ベルの口に瓶を突っ込み押さえつけるレフィーヤを見て、しばらく現状理解ができなかった幹部たちが止めに入る
レフィーヤを止めに入ったのはアマゾネス姉妹の妹ティオナ・ヒリュテ。普段は天真爛漫な彼女も少し焦っている
「ちょ、ちょっとレフィーヤ!そんなことしたら白兎くん死んじゃうよ!?」
「離してください!!私はなんとしてもあのハレンチ兎をーーー!!!!!」
「ダメだってーーーーー!!!」
ティオナがレフィーヤを止めている横で、アイズがベルを抱き上げ様態を確認する。瓶を落としたベルは少し咳き込んだがしばらくすると落ち着き、朧げな目でアイズのことを見つめる
アイズはそんなベルに胸が高鳴るも、頭を振り、気にしないようにしてベルに話しかける
「大丈夫?」
「・・・・・・・」ポ~
アイズはそう問いかけたが、ベルはじっとアイズを見つめたままだ。そしてベルは顔を、フニャ、っと崩すと驚きの行動に出る
「お姉ちゃ~~ん♪」ギュッ
「ッ!?」
『!!??』
ベルがそう言いながらアイズに抱き着いたのだ。まるで甘える子兎のようにアイズの胸に顔をうずめる。誰もがそんな光景に唖然としている中、精霊たちはなにかに気づいたのか、ハッ!っと声を上げる
「・・・ま、まさか」
「ええ、そのまさかのようですね」
「え、え!?お兄ちゃん
「うそ!?で、でもいったいどうやって・・・」
「・・・おそらく原因は、これ」
ユキはそう言ってさっきまでベルが飲んでいた瓶を見せる。すると精霊たちはその瓶を見て顔が驚愕に染まる
「ね、ねえ・・・ユキお姉さん?それってもしかして・・・・・」
「そう、お酒」
「「「「!!!!!??????」」」」
ユキの言葉に精霊たちの顔が歓喜に染まる。意味が分からない周りを代表してヘスティアが精霊たちに聞く
「き、君たちなにか知ってるのかい?」
するとリンネが説明をしてくれる
「ヘスティア様、昔、このようなことがありました。ベル様が間違って水と勘違いして、コップ一杯の酒を飲んでしまいました。わたくしたち焦って駆け寄ると、ベル様は今のアイズさんのようにわたくしたちに抱き着いてこられたのです」
「つ、つまり?」
「ベル様は、ものすごくお酒に弱いんです」
「!?」
リンネの言葉にヘスティアは言葉を失う。まさかそんな弱点があったなんて思いもしなかったのだ
「そ、それで・・・ベル君は大丈夫なのかい?」
「ええ、もちろん。ただ酔っぱらっているだけですので。むしろこちらには良いことしかありません」
「?どういうことだい?」
「あちらをご覧ください」
そう言われてリンネの指さす方に顔を向ける。そこにはやっと再稼働したアイズの姿が
目の前で子兎のように甘えてくるベルを見てアイズは心の中に新たな感情の高まりを覚えた。そしてその感情に突き動かされるまま行動に移す
「・・・お姉ちゃん・・・だよ・・・・?」
そう言ってベルを抱きしめ返したのだ。周りが驚きの声を上げるなか、ベルは顔を上げ、アイズに満面の笑みを向けた
その笑みを見て、アイズの心は揺れる。息も荒くなり、頬もほんのり赤くなっている。感情の高まりは更に大きくなり、限界を突破した。だからであろう。アイズの口からこんな言葉が出たのは
「・・・・・ベル」
「なーに?」
ベルは、コテン、と首を傾げる。そんなベルにアイズは
「・・・・アイズお姉ちゃん、って呼んでくれない?」
そう要求した。自分でもどうしてそんな言葉が出たのか理解できないアイズはとてつもない羞恥に襲われる。すぐに言葉を取り消そうとしたその時・・・
ベルが上目遣いでアイズのことを見つめながら、言った
「アイズ、お姉ちゃん?」
「――――」
瞬間アイズの頭の中は真っ白になった。そして感情の高まりは限界をさらに突破しもはやオーバーヒートしていた
――なんだ、目の前の可愛い生物は
アイズが最初に思ったことはそれであった。そしてアイズはそのままベルの髪に顔をうずめる
「アイズお姉ちゃん、くすぐったいよぅ~」
そう言いながら笑うベルを他所にアイズの心をある感情が支配する
――誰にも渡さない。弟を守るのは姉の務め。ベルは私が守る!!
アイズを支配していたのは保護欲と独占欲だった
そんなアイズを見て、ヘスティアは愕然としている
「ま、まさか・・・!」
「ええ、その通りです。ベル様は酔っぱらうと、どんなことでも聞いてくれます。例えそれがどんなに常識知らずなものであったとしても」
リンネの言葉にヘスティアは自分の考えが正しいことにショックを受けていた。自分の想像以上のベルの酒癖の悪さに
「・・・さて、じゃあそろそろ行きますか」
そんなヘスティアを他所にリディヤがそう口にした。顔を向けると精霊たち全員がベルの方を見つめていた
「・・・・千載一遇の
「あれから、ベル様もお酒をお飲みになりませんでしたからね」
「次がいつになるか分かんないし、絶対に譲れない!!」
「私も、負ける気なんて無いからね!!」
そう意気込む精霊たち。それを見てヘスティアは何か嫌な予感がして精霊たちに問いかける
「き、君たち・・・何をする気だい?」
「??そんなの決まってるでしょ?」
リディヤはヘスティアの問いに当たり前のことのように返す。他の精霊たちも同じように
「「「「「大切な
全員が既に酔っぱらったベルの被害者だった
~~~
そして現在に至る。あれから精霊たちはアイズのもとに赴き、いつの間にかアイズの腕の中で眠っているベルを渡すように要求した。しかし、アイズはベルを渡そうとはしなかった。精霊たちはそれを予想していたのか、実力行使にでた。アイズは常に腰にさしているデスペレートで迎撃した
ベルを近くの椅子で作った簡易ベットに寝かせ、毛布も掛けて。その間は精霊たちも動きを止めていた
―――そこから先はまさしく地獄であった
神にも等しい力を持つ精霊、その中でも頂点に君臨する大精霊5人とオラリオでも上位の力を持つ≪Lv5≫の冒険者が戦うのだ。周りが無事であるはずがないだろう。ある者は戦いの余波に巻き込まれ、ある者は戦いを止めようとして返り討ちにあった
建物自体は壊れていないが、食堂は壊滅状態だ。そこはうまく加減をしているのだろう
そして、それぞれの最後の力を振り絞った攻撃が食堂の中心でぶつかり合う
瞬間、空間が眩い光に包まれ、ものすごい衝撃波が周りに広がる。その衝撃波に巻き込まれ、人が弾き飛ばされる
光がおさまると、立っている者は誰もいなかった。6人の少女は食堂の中心で力尽きたように倒れている
食堂だった場所に響くのは、瓦礫が崩れる音と、白兎の安らかな寝息のみだ
後日、食堂は何とか修繕されたがアイズさんはリヴェリアさんからの説教で、精霊たちは修繕作業の手伝いをすることになった
・・・・僕はというと精霊たちと一緒に修繕作業の手伝いをおこなった。そしてなぜかレフィーヤさんも。なぜかと聞くと、こんなことになったのは元を辿れば自分のせいだから、ということらしい
・・・・ちなみに僕は神様とロキ様から今後絶対に酒を飲んではいけないと言われた
―――いや、なんで!!!!!!!????????
いかがでしたか?
次回からリリ救出に戻りたいと思います
おそらく後1,2話ほどでリリ救出編は終わると思います
その後の展開をどうするかアンケートをとっていますのでご協力をお願いします!
出来るだけ早めに更新したいと思います
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