白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? 作:謎の人でなしZ
自分で書いててペース遅いなと思いました
改善していけたらと思います
ではどうぞ!!
18階層を出発した僕たちは、今度は二軍ではなくフィンさんたちがいる一軍に配属されることになった。次の目的地は50階層。18階層と同じ安全階層だ。これから50階層までは一気に向かうらしい
ここからは僕やユキ達も本格的に戦闘に参加してもいい、とフィンさんやリヴェリアさんにも許可をもらい、できればその力を前線で発揮してもらいたいという理由で僕たちはフィンさんたちと行動することになった。しかし二軍とも戦力をそろえないといけなかったので一軍には僕、ティナ、ルナ、アイズさん、フィンさん、リヴェリアさん、レフィーヤさん、二軍にはユキ、リディヤ、リンネ、ガレスさん、ベートさん、ティオナさん、ティオネさん、ラウルさん、アナキティさんという編成になっている。
ティオナさんと僕を別々に配置したのはフィンさんだろう。正直ティオナさんと別々なのは助かる。あの告白からなにかと僕に抱きついてきてその度にユキ達から視線に晒されて僕の精神はズタボロだったのだ
さっきも出発前にフィンさんに僕と一緒がいいとフィンさんに抗議してたし・・・・・・その後キレたティオネさんに連れて行かれたけど
これは余談だが、ユキ達の配置はくじ引きで決定した。理由はさすがに全員だと戦力に偏りがでるからだ。いつものソロやリリとの探索なら問題ないが今はロキ・ファミリアとの遠征。万が一に備えておく必要があった。なので僕はユキ達と話し合い渋々だが了承してくれた
その後くじ引きを行い、結果ティナとルナが当たりを引き、ユキ、リディヤ、リンネは、まるでこの世の終わりのような顔をしていた。そんな三人を慰め、さすがに申し訳なく思った僕は、遠征が終わったら何かプレゼントをすることを伝えると、さっきまでの様子が嘘のように元気を取り戻し、別れを惜しみながらも二軍に向かった
僕はそんな三人を見送りながら、ティナとルナと共にフィンさんたちの所に向かった
そして現在。あれから50階層を目指し出発したのだが――
「……ハハハ、これはすさまじいね………」
「な、なんという……」
「…………」
「……嘘」
背後からフィンさんたちのそんな声が聞こえてくる。僕は苦笑しながらも目の前に迫るモンスターの顔を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたモンスター――大樹のような緑色のドラゴンは悲鳴のような声を上げながら後ろに倒れこんだ
『グォォォォオオオオオ!??』
そこに容赦なくティナとルナが追撃する
「これで……」
「終わり!」
倒れこんだドラゴンの無様に晒された腹に、二人同時に拳を叩き込んだ。二人の拳を受けたドラゴンは叫びもなく灰になった。残るのは普通のものよりも大きい魔石の身である。無事に着地した二人は魔石などそっちのけでドラゴンがいた場所、正確にはその奥に向かっていった。そこには宝石のような実を宿す木があった
この木が僕たちが、いや僕、ティナ、ルナがドラゴンと戦うことになった理由だった
18階層を出発した僕たちは『大樹の迷宮』と呼ばれる階層に突入した。初見のモンスターも難なく撃退し順調に進んでいた。あと少しで『大樹の迷宮』も終わり次の階層への入口に着こうとしたところで、突然ティナとルナが別方向に走り出したのだ。僕はフィンさんたちに謝罪し二人を追いかけた
幸い二人はそんなに離れた場所にはいっておらず、直ぐに見つけることができた……のだがそこからが問題だった。二人が見つめる先には宝石のような実を宿す木があり、ティナとルナはその実に目を奪われていた。しかしそこには木を守護するようにドラゴンがいたのだ。ドラゴンは僕たちに気が付くと、雄たけびを上げながら襲い掛かり、現在に至る
邪魔者もいなくなり、ティナとルナは両手一杯に宝石の実を抱えて戻ってきた。その顔は笑顔一色だ
「見て見てお兄ちゃん!すっごく綺麗だよ!!」
「コレ全部ユキ姉たちとリリと神様へのお土産にするの!!」
どうやら二人は皆へのお土産を持って帰ろうとしたらしい。僕は苦笑しながらも二人の頭を撫でる
「とっても綺麗だね。きっとユキ達も神様やリリも喜んでくれるよ」
「「うん!!」」
(本当ならここは叱らないといけないんだけど……こんな無邪気な顔をされたらなー)
やっぱりユキ達には甘いな~、そう思いながら追いかけてきてくれたフィンさんたちに謝罪する
「すいません、いきなり独断行動をとってしまって……けど二人にも悪気があったわけじゃないんです」
「……いやそれは構わないんだけど………」
「ベル、今武器を使っていたか?」
「?武器ですか?いえ素手ですけど……」
なんでそんなことを聞いてくるんだろうか?何故かは分からないけど聞いてきたリヴェリアさんやフィンさんたちは愕然とした顔をしていた。なんか最近こんな顔をよく見かけるんだよなあ……
「……分かった。それよりその宝石の実はどうするんだい?心苦しいけどあまり荷物は増やしたくないんだが……」
「あ、それは大丈夫です」
「?それはどういう……」
フィンさんの質問に答えるより実際に見てもらった方が早いだろう。そう思いティナとルナの方に向かい腰に下げていた袋を取り出した
「ティナ、ルナ。ここにその実を入れてくれる?」
「「はーい♪」」
二人は袋の入口に宝石の実を近づけた。するとまるで吸い込まれるように宝石の実は袋の中に消えた。僕はありがとう、とお礼を言い袋を腰に戻しながら振り向く
「僕にはコレがありますから」
「……それは?」
「アイテムボックスです!」
これは出発前にユキから渡されたものだ。なんでも闇魔法を応用したもので見た目に反して多くのものを入れられるようになっている。更に入れたものは時間が止まり、入れたときと変わらない状態で取り出すことができる。しかしユキ曰くコレはまだ試作品でまだまだ改良の余地があるのだそうだ
僕が説明をするとフィンさんは苦笑いを浮かべ、リヴェリアさんは顔を手で覆い、レフィーヤさんは目から光を失った。何やら小声で呟いているがうまく聞き取れない。唯一アイズさんだけが物欲しそうな視線で僕の腰の袋を見つめている。あげませんよ?と視線で伝えると頬を膨らませ不機嫌になってしまった
その後はフィンさんたちと共に皆の所に戻った。その道中でアイズさんは僕にアイテムボックスを譲ってほしいと交渉してきた。僕は断っていたがアイズさんの必死さに根負けし、遠征後に一つだけ譲るということで落ち着き、見返りとしてアイズさんは一日僕に付き合うことになった。勝手に決めていいのかと思ったがフィンさんもリヴェリアさんも許可してくれた。そんな貴重なものを貰うならそれくらい当たり前、ということらしい。レフィーヤさんはずっと僕を睨んでたけど……
二人に許してもらい喜ぶアイズさんだったが、リヴェリアさんから後で話がある、と言われ絶望した表情になった。僕にはよく分からなかったが、リヴェリアさんだけは怒らせないようにしよう。それだけは心に誓った
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ベル達が『大樹の迷宮』を抜けた頃、くじでハズレを引いた三人は――
「……ベル、何やってるかなー」
『ギャア!?』
「今頃はだいぶ先まで進んでるんじゃない?」
『――!??』
「もしかしたらまだ近くにいるのかもしれませんよ?」
『ブォオ!!?』
襲い掛かってくるモンスターを片っ端から殲滅していた。三人は素手で穿ち、魔法で一掃し、モンスターを一撃で灰にしていた。それはまさしく蹂躙であり、階層にはモンスターの絶叫が響き渡っていた
傍から見ればモンスターに同情しそうな光景である
現に三人の蹂躙を進行形で目の当たりにしている二軍の面々は――
『………………』
全員が震えあがっていた。幹部のガレス、ティオネ、ベートでさえ少し引いていた。唯一ティオナだけが自分も混ざりたそうにウズウズしていた。中には涙を流し気を失う者もいた
そもそも何故ユキ、リディヤ、リンネの三人はモンスターを蹂躙しているのか?それは簡単に言うと八つ当たりである。契約者であり、大好きなベルと一緒に居られない怒りをモンスターにぶつけているのだ。つまりは完全なとばっちりである
モンスターが狩り尽くされ、三人がため息をつく。こんなことをしている間にもベルは先に進んでいる。早く会いたい、そう言った気持ちが三人を支配する。愛する人がいないことに落ち込む三人に近寄る人物がいた。ずっとウズウズしていたティオナである。ティオナは満面の笑みで三人に話しかける
「三人ともすっごかったよ!!どうやったらあんなに強くなれるの!?」
「アンタに褒められてもちっとも嬉しくないわよ」
称賛するティオナにリディヤは冷たくあしらう。その返しにティオナは頬を膨らませる
「えーなんで?」
「そもそもアンタが気に食わないからよ」
「?私何かしたっけ?」
「ベル様にあんなことをしておいてとぼけるんですか?」
気に食わない、と言われ首を傾げるティオナにリンネが笑顔で問い詰める。しかしその目はまったく笑っていない。リンネにそう言われうんうん唸るティオナだったが思い出したのか手をポンと叩いた
「あー!ベルにキスをしたこと?」
「「それよ(です)!」」
「……ベルにキスをした。万死に値する……!!」
「ちょ、ちょっと待って!理由!理由を聞いて!!」
自分に向けてそれぞれ魔法の詠唱を始める三人にティオナは弁明の機会を求める。ユキ達は詠唱を完成させるも、一応聞いておこうと先を促す
「……一応聞く。なんでキスしたの?」
「ベルがカッコよすぎて自分を抑えられなかった」
「「「
「ウワァアアアアアアアアアア!!??」
真面目な顔で断言するティオナにユキ達は笑顔で判決を下す。展開された魔法(どれもゴライアスを一撃で灰にする威力)が次々と襲い掛かる。だがそこはLv5の冒険者。うまく回避し続けるがユキ達がそれで終わるはずもなく次々と魔法を放ち続ける。ティオナは躱しながら文句を言う
「待って待って!死ぬ!これは死ぬって!!」
「大丈夫ですよ。殺しはしません」
「ただベルにキスをした報いを受けてもらうだけよ」
「そんなレベルじゃないよね!?」
「……ベルは誰にも渡さない。泥棒猫に天罰を……!」
「ユキちゃんは何を言ってるの!?」
ティオナがツッコむもユキ達は攻撃の手を緩めない。ティオナは頭を抱えながら大声を上げる
「……あ~もう!やられっぱなしは性に合わない!!もう容赦しないからね!!」
「いいですよ、軽く捻って差し上げます」
「でもいいの?アンタ一人で私たちの相手できるの?」
「……楽勝」
そう言って余裕の笑みを浮かべるユキ達。確かに相手は精霊、その中でも頂点に君臨する大精霊。しかも一人ではなく三人である。いくらLv5の冒険者であろうと太刀打ちできる相手ではない
――しかし、それがどうした?
ティオナは余裕の笑みを浮かべる三人を見つめ返し、笑った
「確かに昔の私じゃ相手にもならないよ。けど今の私にはベルがいる。好きな人がいる」
そう。どんな実力差があろうと関係ない。アマゾネスとして、一人の女として、ここで引くわけにはいかないのだ。そしてもう一つティオナを後押しするものがあった。今度はティオナが余裕の笑みをつくり指先で唇をなぞった
「それに……私ベルとキスしたし、負ける気がしないんだよね~♪」
片目を閉じ、少しからかいながら告げる。すると目の前から恐ろしい程の殺気が放たれる
「どうやら手加減は必要ないみたいですね?」
「いいわ。そこまで私たちと本気で殺りあいたいなら、相手してあげる」
「……上等」
しかし、ティオナはひるまない
「かかってこい!そしてベルは私が貰う!!」
「「「誰が渡すか!!!!」」」
そして戦いの幕は切って落とされた
そんな戦い始める四人を眺め、幹部であるティオネは二軍の責任者でもあるガレスに話しかける
「……ねぇ、ガレス」
「……なんじゃ?」
「……私たち、先に進めるの?」
「……知らん」
「……ベート、アイツら止めてきなさいよ」
「……テメエが行けばいいじゃねえか」
「……無理に決まってるじゃない」
「……俺だって……チッ!!」
本来なら自分たちが止めに入るべきなのだろうが、下手したら死にかねない。なので今自分たちに出来ることは被害がこちらに来ないように団員たちを避難させることだけである
団員たちに指示を出しながらもガレスたち三人の頭の中には、白髪の少年の顔が浮かんでいた。そして全く同じことを心の中で叫んだ
(((アイツ!余計な事しやがって!!!!!!!!!!)))
それから戦闘が終わったのは数十分後のことだった。やはり元々の実力差もありティオナが力尽きた。しかしユキ達が倒れこむティオナを抱き留め、治療し、背中に背負った。何があったのか分からないがユキ達の顔に戦う前の殺気のようなものはなく、あるのは仲間をいたわる姿だった
しばらくするとティオナは目を覚まし、ユキ達もティオナと気さくに話すほど仲良くなっていた。ティオナの気持ちが伝わったのか、それともユキ達がティオナを認めたのかは分からない。だが一つだけ確かなのは、ユキ達にライバルができた、ということだろう
その後は何事もなく階層を進んでいったが、ユキ達やティオナを除く全員の目は死んでいたという。そしてその全員が、後で白髪の少年に文句を言おうと心に決めていたことを少年はまだ知らない
いかがでしたか?
何故かアイズを出したいのに、気が付けばティオナを出してしまっている……謎です
次回こそは!アイズをーーー!!!!!!
出来るだけ早めに更新できるように努力します