白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? 作:謎の人でなしZ
お久しぶりです
投稿遅れてすいません。気ままに読んでくれると嬉しいです
では、どうぞ!
「――以上がパーティのメンバーだ。では、これより51階層への
『うおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
フィンの号令にロキファミリア、そして遠征のサポートをしているヘファイストスファミリアの団員たちが雄叫びを上げる
「すごい迫力!!」
『……うるさい』
『まあ、このような指揮も間違ってはいません』
僕は中々心にくるものがあったが、どうやらユキには不評みたいだ。リンネは団員たちの様子に腕を組みながら頷いている
因みにユキ達は僕の中に入っているので他の団員たちには見えていない
それぞれの反応に苦笑を零し、僕は腰に下げているポーチの中身を再確認する
「えーと……
確認を終えた僕は軽く伸びをして、ほぅ、と息をつく
「じゃあそろそろ移動しようか?」
『……ん』
『了解です』
僕は踵を返し気を引き締めながら歩き出す
今ここにはいない三人のことを考えながら
――二時間前
「え? 別行動をとる?」
僕の言葉に頷くリディヤ、ティナ、ルナの三人
荷物の整理をいていたら突然そう言われ、少し困惑する
「え、えーと……?」
「いや、別にそこまで大したことじゃないのよ? ただ……」
「少しだけ、気になることがあるというか……」
「このままだと色々不味いかも……」
ティナとルナの声が小さくて最後の方は聞き取れなかったけど……リディヤ達が別行動なんて珍しい
「大丈夫? 僕も一緒に行こうか?」
『ダメッ!!』
「へ?」
僕の言葉にリディヤだけでなく、ユキ達も大声を上げる
突然のことに驚いていると、ユキ達は、しまった!、と言わんばかりに全員が顔をそらす
――何かあるな、コレは
そう悟った僕は一番近くにいたリディヤの両肩に手を置き、逃げ道を封じる
さて、話を聞こうか
「リディヤ?」
「な、なによ……」
「詳しく、教えてくれる?」
「わ、私は何も……」
「ん~~?」
リディヤは頑なに答えようとせず、必死に顔をそらし続ける。だが、それも時間の問題だろう
※※※
「ど、どうしよう!?」
「このままじゃバレちゃうよ!?」
「……手段は二つ。一つはリディヤを囮にしてこの場から逃げる」
「却下ですよ!?そもそもここで助けないとバレて意味ないじゃないですか!!」
「……仕方ない。元から私も同じ考え。リディヤを助けよう」
「け、けど、どうやって……」
「……簡単。ティナ、ルナ、ちょっと耳を貸して」
「? なになに?」
「どうしたの?」
「……ゴニョゴニョゴニョ」
「? そうすればいいの?」
「分かった! じゃあ行ってくる!!」
※※※
僕が更に問い詰めようと口を開きかけたとき――
「ね、ねえ……」
「お、お兄さん?」
背後から服の裾を引かれる感覚。声からしてティナとルナだろう
「ちょっと待っててね。今リディヤに話を……」
そう言いながら振り返り―――僕の時間は停止した
そこにいたのは、涙目で僕を上目遣いに見つめている二人だったから
「絶対にっ……無茶はしな、いか、ら!」
「だ、から、お願、いっ!」
―――……………………………………………
気が付くと、リディヤの肩から手を放し、僕は上を見上げていた
そして、どれ程の時間が経ったのか、僕は静かに三人を送り出したのであった
――その陰で妹のような二人の頭を撫でながら微笑んでいる黒幕がいることにも気づかずに
~~~
まあ、そんなこんなで
そこには既に何人か集まっており、各々が装備や荷物の点検を行っていた
今回、未到達階層へ進攻するメンバーは僕を含めて11人
ロキ・ファミリアからは最古参であるフィンさん、リヴェリアさん、ガレスさん、幹部であるアイズさん、ティオナさん、ティオネさん、ベートさん、フィンさんとリヴェリアさんの推薦で、レフィーヤさん、ラウルさんの計9名
そしてヘファイストス・ファミリアから一人参加するとの話だったが……どうやらまだ来ていないようだ
僕は装備などの点検は既に済ませてあるので、少し手持ち無沙汰になってしまう
どうしようかと考えていると、トンッ、と背中に軽い衝撃が伝わってきた
「わっ……とっ、ビックリするじゃないですか、ティオナさん」
自分に突撃してきたであろう少女に少し文句を言おうと振り返ると――
「へ? アイズさん?」
「………………」
そこにいたのは活発なアマゾネスの少女ではなく、装備を纏った金髪の少女だった
アイズはベルの言葉に答えることなく、無言でベルを抱きしめ、顔を背中に埋もれさせている
「…………………」
「…………………」
静寂が場を支配する。身動きをとろうにも腕をまわされているせいでどうすることもできない。更には表情も見れないので何を考えているのかすらも分からない
ユキとリンネは先程から少し怒っている感じは伝わってくるが、別に行動を起こすべくもなく、ただ静観に努めているようだ
ただ、時間だけが過ぎ去る。アイズはベルから離れる気配はなく、時折顔を背中にぐりぐりと擦りつけている。少しくすぐったいと思いながらも、これからどうしよう、と途方に暮れていた
――しかし、そんな状況を打破せんと、一人の妖精が立ち上がった
「何をやっているんですか!? ベル・クラネルぅぅぅぅぅうううう!!!!」
「ぐふっ!?」
「あっ……」
そんな声が聞こえたと同時に、ベルは横に吹き飛び、顔面から着地する。突然の不意打ちに受け身もとれず、何事かと痛む頬を抑えながら先程まで自身がいた場所に目を向けると
――そこには、怒りで山吹色の髪を逆立たせ、怒りのオーラを身に纏うレフィーヤがいた
レフィーヤの手には杖が握られており、おそらくあの杖でベルを殴り飛ばしたのだろう
一方のアイズは悲し気な顔でベルの方に手を伸ばしていた
「一体何ですか!? なんでアイズさんに抱き着いてるんですか! この変態兎!!!」
「ち、違いますよ!? ていうか、僕がわるいんですか!?!?」
「黙りなさい! アイズさんに抱きしめられるなんて、そんな羨ま……恐れ多いことを!! 私だってやってもらったことないのに~~!!!」
「絶対に私怨入ってますよね!?」
「そ、そんなわけないじゃないですかっ!! と、とにかく! 次変な事したら魔法ぶち込みますからね!!」
行きましょう! アイズさん!!、そう言ってレフィーヤはアイズの手を取って歩き出す。アイズは最後までベルを見つめていたが、レフィーヤと共にその場を後にした
「……僕、レフィーヤさんに何かしたかな?」
『……さあ?』
『ベル様。 女心とは、複雑なものなのですよ』
レフィーヤさん達が去っていった方角を見つめながら、そう呟く僕に、ユキとリンネは答える
その意味が全く理解できないベルにとって、女心を知るというのはまだまだ先のことになりそうだ
「……こんなとこで何やってんだ?」
「あ、ベートさん……」
声がした方に振り向くと、そこには怪訝そうな顔をしたベートさんがいた
この階層に来るまでは無かった装備を纏っているところから、おそらく準備も整い移動しようとしていた時に地面に座り込んでいる僕を発見したのだろう
僕は立ち上がりながら、ベートさんに答える
「少し……女心について、考えてました」
「何言ってんだ? お前」
本気で分からない、というようにベートさんが僕を見てくる
まあ、僕自身も何言ってるのか全然理解できてないけど
「……んなことより、さっさとフィンのとこに行くぞ。 出発だとよ」
「あ、はい! 分かりました!!」
そう言って僕とベートさんは共に歩き出す。するとベートさんが、チラッ、と僕の方を一瞥し、顔を背ける
「……ベル」
「? はい?」
「……頼りに、してるぞ」
「!……はいっ!!」
ベートさんの言葉に、僕は笑顔で大きく返事をかえす
顔はよく見えないけど、なんとなくベートさんも笑ったような気がした
その後ベートさんと一緒に移動した僕は、先に集合していたティオナさんに見つかり、ベートさんのことについて激しい質問攻めもとい尋問を受けた
それはフィンさんやリヴェリアさんが到着するまで続き、未到達階層への進攻前から精神がすり減ったのは言うまでもないだろう
―――
『……あの駄犬、少しは反省した』
『でしょうね。あれ程の量のユキさんの手作り料理を食べさせられては……さすがに、ほんの少し同情してしまいました……」
『……なにか、言った?』
『いえ何も!!』
ベルの中でユキとリンネは先程の光景を思い出しながら、そのような会話を繰り広げていた
『……それよりも、あの金髪の娘………』
『……ええ、あの子には精霊の血が流れています……そして、どこか懐かしい感じがしました』
『……リンネも?』
『はい……も、ということは、ユキさんもですか?』
『……多分、あの娘は昔の私達に似てる』
『似てる?』
『……独りぼっちで、自分を助けてくれる人もいなくて、ずっと悲しんでる』
『確かに、似ていますね。 私たちもベル様に出会っていなかったら、今ここにはいませんから』
『……別に、あの娘に同情してるわけじゃ、ない』
『けど、放っておけない。そうでしょう?』
『……ベルは、きっとあの娘も、助ける』
『ええ、間違いありません。すこし自重してほしいとも思いますが……』
『……仕方ない。だって、私たちを救ってくれた英雄は、そういう人だから』
『そうですね。 フフッ』
リンネが笑う。ユキもそんなリンネにつられて笑う
二人は仲良く笑いながら、どこまでもお人好しな自分たちの契約者のことを語り合うのだった
いかがでしたか?
遠征編はもう少しだけ続きます
楽しみにしていただけたら幸いです
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そんなことより本編かけ
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本編の後のあとがきに一人ずつ書く