白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? 作:謎の人でなしZ
『約一年と少しぶりの更新です。旅の文学です。まず初めに皆さんに謝罪を
本当に、本っっっっっっ当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁああああああああっ!!!!!!!!!!
新生活に慣れず、グダグダとここまで長引いてしまいました
ここからまた更新を再開していきたいと思っていますのでどうか、何卒よろしくお願いします
P.S すぐそこに修羅が5人います。誰かたs(血に濡れていて読めない)』
ベル「………なにこれ……」
テーブルの上にあった血まみれの手紙をみて、ベルはそう呟いた。それとはまったく関係ないが、ユキ達精霊がダンジョンから帰ってきたのか珍しく血まみれだったが……ベルを含めヘスティアとリリも、誰も問い詰めなかった
――では、本編どうぞ!
「………ッ!」
「オラァァアアッ!!」
そんな声と共にモンスターの群れが切り裂かれ、蹴り飛ばされ、灰になる
「ティオナ、ティオネ、敵影は」
「左方、敵影ありません」
「右もいないよー!」
「よし! 予定通り正規ルートを進む! 新種の接近には警戒を払え!」
フィンさんの言葉に全員が頷く
51階層から57階層は迷路構造となっている。さらに途轍もない規模と広さで、道を誤ると二度と戻る事が出来ない程である……らしい
だから僕達は59階層へ目指す為には余計な戦闘をせず、余計な消耗をしないように高速で駆け抜けている
「ほうほう! お前がベル・クラネルか。 手前は椿・コルブランドという………ところでお主、武器はどうした?まさか丸腰というわけではあるまい?」
「え、えーと……」
そしてベルはとても焦っていた
ベルが使う武器は普通ではない。ロキ・ファミリアにはバレているので今更だが、椿とは初対面であり、かつヘファイストス・ファミリアの団長である。もしも鍛冶師系ファミリアの団長に武器のことがバレてしまったらどうなるか分からない。ただでさえこの間ヘスティアに怒られたばかりなのだ。同じ失敗はしたくない
『……ベル、大丈夫』
『そうですよ、ベル様』
解決策を考えているとユキとリンネが答える。まさか、何か方法が! と期待した僕だったが――
『……どうせ、バレる』
『今後も行動を共にするんです。考えるだけ無駄です』
二人は笑顔でそう告げた。再びヘスティアの説教を受けることが決定した瞬間である
「…来た! 新種っ!」
先頭にいたアイズさんの言葉に全隊の雰囲気が変わるのを感じる
『あ、出番みたいですよ』
『……頑張っていこう』
「……………」
なんか最近扱いが雑な気がする……まぁやるけどさ……
僕は前方へ視線を向けると、今までとは違う異形のモンスターが此方へ向かってきた
一言でいうと、平たい腕が生えてる巨大な芋虫、だろうか。黄緑色の塊が通路を埋め尽くしている
どうやらアレが【ロキ・ファミリア】が警戒しているモンスターのようだ。フィンさんから聞いた話によると、あの芋虫型モンスターの体内には何でも溶かす腐食液が溜めこまれている。ちなみに、遠征中ティオナさんが前にあのモンスターと戦って自慢の武器を溶かされたと聞き、それを聞いた僕は絶対に武器を使わないと誓った
「アイズ! ベート!!」
「【目覚めよ】」
フィンさんが即行で指示すると、アイズさんは風魔法を展開し、ベートさんと共に芋虫型モンスターを蹴散らしていく。よく見ると、ベートさんのブーツがアイズさんの風を吸収しており、それを纏って攻撃している。そのおかげで腐食液を無効化しているようだ
「リヴェリアさん!!」
「【閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――】」
アイズさんとベートさんが道を切り拓く中、僕はリヴェリアさんに追随する
「【我が名はアールヴ】!!」
「総員退避!」
フィンさんが即座に前衛と中衛が左右に割れ、まるで砲口の如く部隊が展開する
そして――
「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
三条の吹雪が通路を突き進んだ
蒼と白が混ざった砲撃は、前方にいる芋虫型モンスターを凍結させるだけでなく、一直線に伸びる通路の最奥まで氷の世界と変貌させる
しかし、これだけでは終わらない
「【メディウム】」
双剣を両手に顕現させ、僕の周りを仄かな黒と白の光の粒が包み込む。光の粒は氷の世界に広がり、さらに芋虫型モンスター達を包み込む
そのまま双剣を地面に突き刺し、魔力を注ぐ
『……上出来』
ユキの声が僕の中で聞こえる
目の前に広がるのは氷の世界。しかしその氷は剣や槍となり芋虫型モンスターを全て串刺しにしていた
「皆さん! 行きましょうっ!!」
そう言って振り返るが………
『…………………』
「えっ、何ですか?」
何故か全員が呆然としていた
「ええい、離せガレス!! 手前はファミリアの団長として……否っ! 一人の鍛冶師として! あの武器を調べ尽くしたくてたまらんのだ!!」
「落ち着けい、椿!! 今は遠征中じゃぞっ!?」
否。椿だけはベルが使った武器のことで暴走し、ガレスがそれを抑えている。そして何故か気絶しているリヴェリアがティオネに支えられている
「……いよいよ52階層に降りる。ここからはもう、補給できないと思ってくれ」」
『了解』
フィンの指示に従い先へ進むメンバー。椿はガレスに引き摺られ、リヴェリアはティオネに背負われている
「えっちょっ、ベートさん? レフィーヤさんっ? ラウルさん!?」
「ほらベル! 行こ!!」
後に残ったのは、隣を通り過ぎるフィン達にただ困惑するベルとそんなベルの手を引くティオナ
「あっ………」
――ベルとティオナの背後で虚空を掴むアイズだけだった
悲しげに揺れる表情をした彼女に気づく者は誰もいない
『『………………』』
■■■
あれから52階層に続く連絡路の階段を降り、それと並行してロキ・ファミリアの空気が張り詰めたものになっていった。ティオネに背負われていたリヴェリアも目覚め、ベルと手を組んでいたティオナも離れている
「………………………」
そんなロキ・ファミリアのことを他所にベルは何かを考える顔をしていた。それは先程の異形のモンスターのこと
――さっきのモンスター……やっぱり……
『……ベル』
『予想は…………当たり、ですね………』
――僕がこの遠征に参加したのには二つの理由がある
一つはユキ達が行きたいと言ったから。これに嘘はない
そして二つ目は………
「……やっぱり、精霊が……関係してるんだね…」
自分の情けなさに思わず苦笑が漏れる
――二度とあんなことはさせないって、誓ったんだけどなぁ
「ベル何しておるっ! 隊から離れるな!!」
ガレスさんの言葉に思考を切り替える。気づけば僕だけ少し離れてしまっており、それを隊の後方にいたガレスさんが大声で呼び止める
この52階層に来て、フィンさんの指示で前の階層よりも速く駆け抜けている。理由を聞いてもとにかく走れ、と言われた。どこか焦りさえ感じる
51階層の戦いをみてもロキ・ファミリアの皆さんが焦る理由がわからない。まさか、この階層にはフィンさん達が危惧するほどのモンスターがいるのだろうか?
――特に強い気配は感じないけど、警戒して……ん?
「何かくる? 反応は………下?」
地面に、正確には下の階層に意識を向ける―――それと同時に、禍々しい雄叫びが地の底から響いた
「――補足された」
「フィン!」
中衛にいたアイズさんの言葉に、リヴェリアさんが叫ぶ。その叫びに全員の緊張感が更に高まっていた
「狙撃が来るぞ! 走れ! 走れぇ!!」
フィンさんは更にペースを速めろと指示を出す。しかし、全員が雄叫びを聞いた瞬間、さっき以上にペースを速め、周囲の事なんか気にせず、ただひたすら必死に走っている。僕と椿さんはそんなロキ・ファミリアの皆さんに驚くも遅れないようスピードも上げる
『……ベル、来る』
ユキが呟き、それと同時にアイズさんも小声で呟く
「ベート! ティオナ! 転進しろ!!」
アイズさんの呟きを聞いたフィンさんが指示を出し、先頭のベートさん、ティオナさんが同時に、遅れて僕たちパーティは横道へ飛び込んだ
次の瞬間――
『―――――――――――――ッッ!!』
地面が爆砕した
巨大な爆炎の柱に突き上がり、紅蓮の衝撃波が周囲にある物を全て真っ赤に染め上げる
――これが、狙撃っ
余りにも予想外過ぎる狙撃に、僕は目を見開く。さすがにアレをまともに喰らえば無傷ではいられないだろう
『……最初は、グー……』
『じゃん、けん……ポンっ!!』
………………
『『あいこでしょ! あいこでしょ!! あいこでしょッ!!』』
………あの……
『……我こそ、勝者なり』
『くぅっ! あそこでパーを出していれば!!』
……え、何やってるの?
『……暇つぶし』
『くぅ~~っ!!』
何故かユキとリンネが
『……この勝負、勝者はベルと一緒。敗者は……』
『………下でゴミ掃除です』
するとベルの身体から緑の光が飛び出し、狙撃によって作られた穴に入っていく。それに気づいたのはベルとユキだけであり、他のメンバーは変わらず走駆している
気にしたら負けだと考え、意識を隊列に戻す。狙撃は先の一撃から撃たれていないが、下の階層から威圧感が伝わってくる。おそらくもう少しで先程の倍の威力と数がこの階層を襲うだろう。それを感じ取ったのか、フィンさんは声を荒げて指示を出す
「迂回する! 西ルートだ!」
その指示に従い、全力で階層を走り抜ける
そして、背後で先程と同等の大爆発が轟く。否、後ろだけではない。横、斜めなど走り抜けた場所を中心に火柱が次々と上がっている
「リヴェリア! 防護魔法をっ!!」
「もうやっている!」
「アイズ! 敵影はあるか!!」
「……まだ、いない!」
移動しながらフィンさんが指示を出し、アイズさんに敵の数を確認している
『……ベル、私も出ようか?』
僕の中から様子を見ていたユキがそう言ってくる。正直現状から考えてこの要求はありがたい
「フィンさん! 僕を前衛に出してください!」
「何だって?」
僕の進言にフィンさんは眉根を寄せ、アイズさん達もこっちに視線を向けてくる
「僕としては願ってもないことだが………本当にいいのかい?」
フィンさんが言いたいことは分かってる。僕が契約しているユキ達のこと、その力をこれ以上自分達に晒してしまっても良いのかと確認をとっている。たしかに、まだ見せていない力はいくつもある。それに、ここには椿さんもいる。もしかしたら、僕やユキ達の情報が漏洩してしまうかもしれない
けど――
「構いません。【ロキ・ファミリア】の遠征参加が決まった時から、覚悟はしてました。こんな状況になった以上、もう一切の出し惜しみはしません」
僕は、強く頷いた。リスクはある。もしかしたら地上にいるリリや神様達に迷惑をかけるかもしれない。けど、それでも、僕はこの力を使う
地上に戻った時の言い訳を考え、少し苦笑しながらも、心は変わらない
「……分かった。 ならアイズと一緒に前衛で戦ってくれ。 後衛にはガレスとラウルを向かわせる」
「了解です!」
僕の意思を汲み取ってくれたのか、フィンさんが隊列変更の指示を出す
それを聞いた僕はすぐに最前線へと向かい、アイズさんの隣に並ぶ
「アイズさん、よろしくお願いします!!」
「うん。ベル、よろしく、ね」
「はい!」
そう返事すると同時に、僕の中から光が飛び出し、まばゆく輝きだす。何人かは目を隠すが、その光はすぐにおさまり、僕とアイズさんの間にユキがいた
「……私、参上」
――何故かドヤ顔を決めていた
普段あまり感情の起伏が少ない彼女にしては珍しいことだが、スルーした
「ユキ、いける?」
「……余裕。任せんしゃい」
フンス、と気合を入れるユキに微笑み、背中にあるメディウムを渡す
それに、アイズさんを含めた全員が驚愕の表情を浮かべる
「べ、ベル・クラネル! 武器なしでどうやって戦うつもりなんですか!?」
レフィーヤさんがそう叫ぶが、ユキはメディウムの握り心地を確かめている
「……安心しろ、むっつり百合エルフ」
「むっつり百合エルフ!?」
まさかの呼び名にレフィーヤさんがまたも叫びをあげる。よく見ると、危機的状況のはずなのに、【ロキ・ファミリア】の何人かのメンバーが肩を震わせ、笑いをこらえている。ティオナさんやベートさんは大声で笑っているが……それがレフィーヤさんの羞恥心を大きく煽ってしまっている
顔はすでに塾れたリンゴのようになり、耳の先まで真っ赤に染まっている。目には涙が溜まっており、杖を両手で抱え込みプルプルと震えている。唯一アイズさんだけが何を言っているのか分からないといった表情をしているが………それを含めても、レフィーヤさんが可哀そうになってくる
「……私、べらぼうに強いから」
そして双剣を一振り
と、同時に隊の後方、先程通り過ぎた穴から断末魔が聞こえてくる。隊の最後尾にいたラウルと椿が後ろを振り向くと、巨大な蜘蛛のモンスターが息絶えて灰になっていた。しかも一匹ではない。目に映るだけでも五匹は超えており、通常種よりも大きい個体もいる
その死体に共通していることは、魔石に白く輝く剣が刺さっていること。そして、ラウルはその剣に見覚えがあった。その剣は、ベルが遠征に参加する前、アイズ達と模擬戦を行った際に使用していた技の一つだ
つまり、前衛にいるユキは、前衛にいながら後方の敵を察知し、初めて遭遇したにも関わらず魔石の位置を正確に狙って攻撃し、モンスターを倒したことになる
その事実にラウルは、ゴクリ、と唾を飲み込み、椿も大体のことを察したのか、冷や汗を流している
ユキは一度ベルの方を振り返り、そして、アイズを一瞥し、そのまま駆け出した
その後ろ姿を追いかけるように、ベルは走るスピードを上げ、数瞬遅れてアイズもそれに続いた
□□□
「……ユキ、すごい………」
「はいっ。僕の家族であり、相棒であり、師匠ですから」
ベルは目の前を走るユキの背中を見つめ、そう答える。そんなベルの顔を見て、アイズは顔を俯かせる
(……羨ましい……な……)
ベルとユキの関係が
互いを信頼しきっている関係が
二人の間にある絆が
今のアイズには、少し眩しく、羨ましいと思った
自分もユキの様な関係をベルと築けるだろうか。他の精霊達のようにベルから大切に思われる存在になれるだろうか
―――ベルと、『家族』に、なれるだろうか
「アイズさん!」
「ッッ!」
ベルの言葉で意識が現実に戻る。少し考え込んでいたらしい。ベルも少し不思議そうな顔をしている
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫……」
このままではいけない。状況が状況だ。アイズは気持ちを切り替え、愛剣のデスペレートの柄に手をかける
目の前には先程まではいなかった山羊の頭を持つ蛮族のモンスター、フォモールの群れ。その上空には飛竜であるワイバーンがいる
(……モンスター……)
モンスターを目にした瞬間、心が黒く塗りつぶされていく感覚に襲われる。ダンジョンに潜り始めてから、恩恵をこの身に授かったときから、自身の中にあった呪い。黒い炎がスキルとなって現れ、少しずつ、自分の存在が壊れていった
でも、それでよかった
父と母の仇を討てるなら、憎くてたまらないモンスターをこの手で殺すことができるなら、自分がどうなってもよかった。この憎悪だけが、私の生きる理由だった
――ならば今回も、この感覚に身を委ねよう
そして、無意識のうちに剣を抜き放った
―――と、視界が白く染まった
その光景に、一瞬抜いた剣をとめる
目の前には、穢れがない初雪のように白い髪。首には深紅のマフラーをつけ、風になびいている。自身の先頭を走る背中は、少し小さいが、どこか安心感を覚える
その存在――ベルは、アイズにマフラーと同じ深紅の瞳をむける
「アイズさんは右を、僕は左にいきます!」
それは、唯の指示だった。先程フィンからされたものと何も変わらないもの
だが、アイズには全く違うものに感じた
別に指示をもらったことではない。彼の、ベルの声を聴いただけで、あの瞳に見つめられただけで、今まで心に燻ぶり、自分を染め上げようとしていた黒い炎が、無くなっているのだ。自分の胸に手を当ててみても、心に黒い炎はなく、在るのは、目の前の少年の髪のように白く、温かい炎
そのことを認識すると同時に、笑みが漏れる
(――あぁ、ベル。 やっぱり……君は、私の………)
そして、顔を上げ、デスペレートをかまえ、ベルの隣に並ぶ
「分かった。右は任せて」
「はい。お願いします!」
そして、二人は左右に分かれる
アイズはモンスターを見据え、疾走する
先程までの憎悪は最早存在しない。モンスターを目の前にしても心が黒く塗りつぶされることはない
「【目覚めよ】ッ!」
――だから、積み上げてきたこの力を、『復讐』のためではなく、大切な家族や仲間を『守る』ために使おう
――初めて、心のそこからそう思えた気がする
いかがでしたか? 我ながらストーリーの進み具合が遅い気がする……次回はもう少し進められるようにしたいと思います
近いうちに、また更新できたらと思います
それと、ここらへんで一度オリキャラの設資料集を作ってみようかと思ってます。アンケートで募集しているのでお気軽に投票してください
精霊達(オリキャラ)の設定資料集を作る?
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優先して作る
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そんなことより本編かけ
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本編の後のあとがきに一人ずつ書く