白兎が精霊に愛されているのは間違っているだろうか? 作:謎の人でなしZ
グダグダですがお楽しみください
『ギギャアアアアアァ!!!』
「フッ!」
『グギャッ!?』
僕は目の前のモンスターに斬撃を放つ。斬撃によってモンスターは真っ二つになり灰になった。残るのは
僕は息を吐きながらギルドで支給された短剣をしまう。今倒したのはゴブリンというモンスターである。初心者向けのモンスターだが油断はできない。弱いとはいえ、相手はモンスター。どんなことをしてくるか分からないからだ
「・・・今のでちょうど三十体か。手ごたえないなー」
『仕方ないわよベル。ここは一階層だし、あんたは私たち精霊の力も使えるんだから』
まあ今のところ必要なさそうだけど、と僕が契約している精霊の一人リディヤがそう言う。確かにゴブリン程度に魔法は必要ない。魔力の無駄遣いだし自分から斬りに行ったほうが早いのだ
僕は昨日神様の
その翌日に神様と一緒にギルドに赴き、ファミリアと僕の冒険者登録を行こなった。冒険者には専属のアドバイザーがおり、僕のアドバイザーはハーフエルフのエイナ・チュールという人だ。エイナさんに挨拶を済ませた後、神様と一緒に談話室に案内してもらった。僕のステータスを教えるためだ
初めは、エイナさんも首をかしげていたが神様の真剣な顔を見て表情を改めてくれた。絶対に他言しないことも誓って。そして僕のステータスを見せるために上着を脱いだ。するとエイナさんは顔を赤くしていた。どうやら僕の体の筋肉に驚いたみたいだ。前にも言ったが二年間の地獄のような修業によって僕の体は結構すごいのだ。ただ着痩せするだけであって
話がズレたが僕のステータスである。僕のステータスを見たエイナさんはスキルと魔法の欄に目が言った瞬間に大声を上げながら気絶した。すると予測していたかのように神様が流れるような動作でエイナさんを支えソファに寝かせた。しばらくして目を覚ましたエイナさんは僕たちにこのステータスは絶対にバラさないほうがいいといった。それはそうだろう。僕も色々あって忘れていたが今では精霊は存在していないようなものなのだから
僕と神様もそれには同意した。エイナさんも僕たちに協力してくれるそうだ。その後は神様と別れ、僕はそのままエイナさんにダンジョンのことについての講義を受けた。ダンジョンでの注意点や必要なこと、モンスターの特徴や弱点について教えてもらった。僕は昔から暗記は得意だったのでスムーズに終わった。ちなみに頭の中で一緒になって聞いていた精霊たちはリディヤとリンネを除いて夢の国に旅立った。どうやらつまらなかったみたいだ
講義を終わった僕はエイナさんが作ったテストを受け、合格点をもらいダンジョンに来ている。あまり無茶はしないように、とエイナさんに言われて。僕としても初めてのダンジョンなので一階層か二階層ぐらいで帰ろうと思っていたのだが・・・・
「うーん、まさかここまで手ごたえがないとは想定外だったな」
『・・・どうするの?ベル。もっと下に行く?』
『しかしユキさん、エイナさんにも言われたでしょう?
”冒険者は冒険をしてはいけない”と』
『・・・・・・そだっけ?』
ユキの発言にリンネがそう返す。そんなリンネにユキはベルの中で首をかしげながらそう答える。それはそうだろう。だってユキはエイナさんの講義の時はずっと寝ていたのだから
ベルは自分の中でされている会話を聞きどうしようか?と考える。しばらくして、ベルは決断する
「・・・・よし!今日はもうちょっと潜ってみよう!!」
『・・・よろしいのですか?』
「うん。このくらいならまだまだ余裕だしね。それに、これっぽっちじゃあ大した稼ぎにもならないし。神様のために沢山稼がないと!!」
『分かりました。では、行きましょうか。ですが程々にしてくださいね?』
『お姉ちゃん、なんかお母さんみたい!!』
『お姉さん、かほご?なママみたい!!』
『!?な、なにを言うんですか!!二人とも・・・って、こら、待ちなさーーい!!
ティナーーー!!!ルナーーー!!!』
返事をかえそうと思った時そんな会話が聞こえてくる。どうやらティナとルナがリンネをからかったようだ。二人は意外といたずらっ子なのだ。ベルはそんなやり取りに苦笑しながら下の階層に向かった
ーー五階層
それからベルは順調にモンスターを倒し続け、気づけば五階層まで来ていた。しかしここでベルはある違和感に気づく
「あれ?なんかモンスターの気配がない・・・・・と言うか逃げてる?でも何から?」
全くモンスターの姿がなかったのだ。その時ベルの目の前に大きな影が現れる
「っ!?」
ベルは短剣を構えて警戒する。すると奥からノシノシと石の大斧を持ったミノタウロスが現れた
「普通15階層に出るモンスターだよね?なんでこんなところに・・・」
『考えても仕方ないんじゃない?それに、ここで倒しておかないと最悪地上に出るわよ』
「・・・だよね。それは困るし、やるしかないか」
そう言いながらベルは短剣をしまう。今までのモンスターは弱すぎたので使わなかったが相手は今までのモンスターよりも格上である。なのでベルはこう思った。自分の魔法がどこまで通じるか試してみたいと
「よし、どうせだから魔法がどこまで通じるかやってみるか!!」
『いいの?相手はたかが二足歩行の牛よ?別に魔法じゃなくても十分じゃない』
『ベル様、わたくしもそこまでする必要はないと思いますが・・・』
ーー確かにそうかもしれないけど、ここら辺で魔法も使っとかないと腕が鈍るかなって思ってさ?
『・・・そう、でしょうか?言われてみればそのような気も・・・・』
『まぁ、いいけどね。で、どうするの?私の魔法で一気に焼く?消し炭にする?』
ーーいやいや、そこまではしないよ。それにリディヤの魔法は威力が高すぎてこの階層全体に被害が出そうだから却下で
『ちぇーーー』
リディヤが物騒なことを言ってくるので丁重にお断りする。リディヤは僕の中でそんなことを言いながら拗ねてしまった。僕がリディヤに謝っていると・・・・
『ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオ!』
僕の存在に気付いたのか、ミノタウロスは雄たけびを上げながら重い体を支える脚で地響きを立てながら大斧を振りかぶりながら迫ってくる
「おっと、考えすぎたかな、っと」
僕はミノタウロスが振り下ろしてくる斧を紙一重にかわしながらそんなことをつぶやく。ミノタウロスの猛攻をすべてよけながら、同時にどう倒すかを考える
『ベル様どうされますか?わたくしかルナの魔法の方が周囲への影響は少ないですが・・・』
ーーうーんどうしよっかな~・・・あ、そうだ!一回やってみたいことがあったんだ!!せっかくだから試してみよう!!
僕は大きく斧を振り上げたミノタウロスを見上げユキの魔法である【影歩行】を使い姿を消し、ミノタウロスの背後の離れた場所に回り込む。ミノタウロスは獲物が突然消えたことに驚いているようだ
この魔法はユキが司る闇の属性の移動魔法で影の中を自由に移動できる。影の中にいる時は攻撃は受けないが、こちらからも攻撃できない。しかし建物もすり抜けられるので潜入や情報収集の時に非常に役立つ。今のところ使う気はないが・・・
ミノタウロスの背後に回り込んだ僕は深く深呼吸をして精霊たちに語り掛ける
ーーユキ、リンネ、ティナ、少しだけ力を貸してくれる?
『・・・ん、もちろん。やっちゃえ、ベル』
『わたくしの全てはベル様のものです』
『いっけーーー!お兄ちゃん!!』
そんな声が聞こえてくると同時に三人から魔力が流れ込んでくる。感じるのはとてつもない力の波動と・・・自分への絶対の信頼
僕はそんな全能感に身をゆだね、目を閉じて、詠唱を紡ぐ
「【──
ベルの周りに仄かな光が集まる。まるでベルを祝福するように
その光に応えるようにベルは更なる
「【──
瞬間ベルの周りに暴風が吹き荒れる。それだけではない。ベルの身体から黒雷と冷気が生まれ身体に纏わりつく。暴風は徐々に収まりベルを守護するように吹き荒れる。白い髪には翡翠と蒼の毛が混じり、黒雷より逆立ち気味になっている。その姿はまさに嵐を身に纏ったようだ
ベルはゆっくりと目を開けた。その瞳はすべてを照らすような金色。吐く息は冷気により白く染まる。そして、その金色の瞳でミノタウロスを見据える
「──いくぞ」
そう言ってベルはミノタウロスに向けて歩き出した
ミノタウロス視点ー
ーーーあぁ、自分は手を出してはいけないものに手を出してしまったようだ
ミノタウロスは背後にいたベルに気づき襲い掛かろうとしたが、ベルが詠唱をした瞬間に脚を止めた。ベルの変化が終わってもミノタウロスは動けずに立ち尽くした。目の前の存在は一体なんだ?と自分が知らないものに思えて
ーーー初めは自分のよく知る弱者だったはずだ。だから襲った。自分が逃げてきたあいつらよりはマシだと思って。しかしそれがどうだ?目の前の存在はあいつらよりマシであろうか?自分より力の劣る弱者か?
ーーー否。断じて否である。目の前の存在は自分よりも、下手をすれば自分が逃げた相手よりも格上の存在だ。別次元である。そんな存在はすべてを見透かすような瞳でこちらを見つめてただ一言
「──いくぞ」
ーーーその時、悟った。自分はここで死ぬのだと。近づいてくる。死が。自分を殺す死神が
ベル視点
僕が一歩近づくたびにミノタウロスが一歩下がる。それを繰り返すうちにミノタウロスの逃げ場がなくなる。すると最後に一矢報いようと思ったのか雄たけびを上げながら斧を振り下ろしてきた
『ブモォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
僕に振り下ろされた斧。おそらくミノタウロスの全霊が込められたであろう一撃。しかしその一撃は僕には届かなかった。振り下ろされた斧は冷気によって氷漬けになり暴風によって粉々になった
僕は、唖然としている様子のミノタウロスの間合いに肉薄する。そして、左脚を前に右脚を後ろにして身体を少し斜めにして構える。左手は相手の胸の中心を狙うかのように構え右手は拳を作り後ろに引く。すると、右腕の拳に黒雷と暴風と氷華が集まる
そして僕はその拳をーーーー
ミノタウロスに打ち込んだ
「はあ!!」
ズドン!!!!!
『-----』
瞬間空間が眩い光に包まれる。徐々に光が収まってくると、そこにはひび割れたミノタウロスの魔石と赤い角、そして大壊したダンジョンの壁があった
僕はそれを確認し魔法を解除した。物の試しにやってみたが思いのほかうまくいったみたいだ。僕が結果に満足していると・・・
『へ~、魔法の同時発動で共鳴させて威力を増幅させてるのね。面白いこと思いつくじゃない♪』
リディヤがそう言ってくる
ーーうん、一つよりも三つ合わせたほうが威力も上がるかなーって思って。成功して良かったよ
『・・・しかし、ベル様?さすがにこれは・・・』
ーーえ?
リンネの言葉に僕は後ろを振り向く。そこには無残に大壊したダンジョンの壁。否、壁だけではない。瓦礫が今も下に落ちている。つまり六階層まで穴が開いてしまったのだ。それを見てベルは顔を青くする
ーーえ?こ、これ・・や・・ヤバくない?
『はい、ヤバいです』
『ベル、やりすぎ』
『お兄ちゃん、すっごーい!!!』
ーーど、どうしよう!?
ベルは焦った。この状況、他の冒険者に見つかったら大騒ぎである。そしてこの状況を作り出した犯人として近くにいる自分が疑われるだろう。まあ、実際に犯人なのだが・・・
最悪冒険者資格停止、ということもあり得るこの状況をどうするかベルは必死に考えた。するとベルの頭に天啓が降りてきた
ーーいるじゃないか!この状況をどうにかできる唯一の存在が!!
果たしてその人物とは・・・・・
ーールナ!!この状況どうにかできない!?
ルナである。確かにルナは土の属性を司る精霊である。そんなルナならこの絶望的状況を打破できるとベルは考えたのだ
最後の希望に縋りつく思いで僕はルナを頼る。果たしてルナは・・・
『うゅ~~、もう食べられないよぅ・・ムニャ・・・ニャム・・」
寝ていた。熟睡である。そんなルナにベルは地獄に叩き落されたような顔になる。
ーーちょっと!?もしもしルナさん!?僕を助けてくださいませんか!!??
『あ~お兄さんだ~♪ハグして~~~♪♪・・・ニャム』
ーーするから!いくらでもハグするから!!お願いだから起きてーーーー!!??
すると・・・
「・・・・あの、大丈夫ですか・・・?」
「!」
ベルは絶望した。他の冒険者が来てしまったのだ。ベルは弁解しようと声のしたほうに振り向く。そして言葉を失った
目の前には女性が立っていた。腰まで届いている金髪の綺麗な女の人が。
僕が彼女の余りの美しさに見惚れていると――
「・・・・あの、これって・・・・」
「!あ、え、っと、こ・・れは・・」
女性の言葉で我に返る。そうだ。弁明をしなくては。まだ間に合うはず!
そう思い僕は口を開く
「あー、あー、と・・そ、そう!僕もさっきここに来て、ですね!ど、どうしたんだろうなーって思いまして・・・」
僕が苦しい言い訳をしていると
「・・・・違う・・・」
「はい?」
「・・・・これをしたのは君・・・私・・見た」
「ゑ?」
僕の思考がフリーズする
「・・・い、いつ・・から・・?」
「・・・・君が・・・ミノタウロスを殴るところから・・・」
その言葉を聞いたとき、僕の頭に最悪の事態がよぎる。女性が何か言ってくるがなにも聞こえない
そして僕は次の瞬間――
「ほあああああああああああああああああああああっ!!」
気が動転して、その場から逃げ出した
最悪だぁぁぁぁ~~~~~~~~!!!!!!!!!!
いかがでしたか?
ベルくんが初めて魔法を使いました
そしてアイズとも会いましたね
これからの展開としては番外編を一回入れて豊穣の女主人に行きたいと思います
出来るだけ早めに更新したいと思います
精霊たち以外にヒロインは誰にするか?
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アイズ・ヴァレンシュタイン
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リヴェリア・リヨス・アールヴ
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ティオナ・ヒリュテかリリルカ・アーデ
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レフィーヤ・ウィリディス
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リュー・リオンかシル・フローヴァ