なんとなく書いてみたら納得いかなくて書き直しを繰り返し、ようやく「いいんじゃね?」と思った文章がなんとかできたので投稿。
ほんと、文才がないのが悔しい。( ・∇・)
メルド団長のベヒモスと言う呟きを聞いて、竜騎とハジメは心からゾッとした。王宮の図書館にあった魔物図鑑で書かれていた、かつて最強と言われた冒険者が全く歯が立たなかった魔物。迷宮の最高到達階層である六十五階層の魔物である。
流石に異世界から召喚されたチート持ちとはいえ、流石に歯が立たないと直感的に分かるほどの相手である。メルド団長は騎士団員に指示を飛ばした。
「アラン!生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カルイ、イヴァン、ベイルは全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝、お前達は早く階段に向かえ!」
「待ってください、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバいでしょう!俺達も……」
「馬鹿野郎!さっさと行け!私はお前達を死なせるわけにはいかないんだ!!」
メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、「見捨ててなど行けない!」と踏み止まる光輝。なんとか撤退させようと再度、光輝に話そうとした瞬間にベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままでは、撤退中の生徒達を全員、その巨体と突進力で圧殺してしまうだろう。
そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。
「「「すべての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず、”聖絶”!!」」」
二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と、四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。たった一回、一分だけの防御であるが、何者にも破らせない絶対の守りが顕現する。
燦然と輝く半球状の障壁がベヒモスの衝突を防ぐ!
衝突の瞬間、凄まじい衝撃波が発生し、ベヒモスの足元が粉砕される。橋全体が石造にもかかわらず大きく揺れた。撤退中の生徒達から悲鳴が上がり、転倒するものが相次ぐ。
トラウムソルジャーは三十八階層に現れる魔物だ。今までの魔物とは一線を博す戦闘能力を持っている。前方に立ちはだかる不気味なガイコツの魔物と、後ろから迫る恐ろしい気配に生徒達は半ばパニック状態だ。
隊列などを無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいく。騎士団員の一人、アランが必死にパニックを抑えようとするが、目前に迫る恐怖に耳を傾けるものはいない。
その内、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされて転倒してしまった。「うっ」と呻きながら頭を上げると、目前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。
「あ」
そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。
死ぬーー女子生徒がそう感じた瞬間、トラウムソルジャーの頭が大きな音とともに吹き飛ばされた。
頭を失ったトラウムソルジャーはぐらりと倒れながら端から落ちて奈落に消えていった。女子生徒はなんが起きたのかと、大きな音が鳴った方へ顔を向けるとそこには銃を構えたハジメがいた。
「早く、前へ。大丈夫、僕でも対処できたんだ、冷静になればあんな骨チート持ちの皆なら勝てるよ!!」
そう言ってハジメは女子生徒に声をかけた。自信満々で自分の背中を叩いてくるハジメを見る女子生徒は、次の瞬間にはハジメに礼を言って駆け出した。
ハジメは両手でしっかりと銃を構えて、的確にトラウムソルジャーの頭を撃ち抜いていく。撃ち漏らしたものは、竜騎がフォローする形で屠っていった。周りの誰も彼もがパニックになって滅茶苦茶に武器を振り回し、魔法を乱れ打っている。アランが必死に纏めるために行動しているが、うまくいっていない。ハジメと竜騎は現状を打破するための行動をトラウムソルジャーを屠りながら考えていく。
そしてハジメは考えつく。
「必要なのは強力なリーダー……道を切り開く火力…竜騎と同じくらい……天之河くん!」
ハジメは走り出した。光輝達のいるベヒモスの方へ向かって。竜騎もある考えが浮かんだのかその後に続いた。
ベヒモスは依然、障壁に向かって突進を繰り返していた。障壁に衝突する度に壮絶な衝撃が周囲に撒き散らされ、石造りの橋が悲鳴をあげる。障壁もすでに全体に亀裂が入っており砕けるのは時間の問題だ。既にメルド団長も障壁の展開に加わっているが焼け石に水だった。
「ええいくそ!もう保たんぞ!光輝、早く撤退しろ!お前達も早く行け!」
「嫌です!メルドさん達を置いていくわけにはいきません!絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」
メルド団長は苦虫を噛み潰したような表情になる。この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい。それ故、逃げ切るためには障壁をはり、押し出されるように撤退するのがベストだ。しかし、その微妙な匙加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、今の光輝達には難しい注文だ。
その辺の事情を掻い摘んで説明し撤退を促しているのだが、光輝は”置いていく”と言うことがどうしても納得できないらしい。また自分ならベヒモスをどうにか出来ると思っているのか、目の輝きが明らかに攻撃色を放っている。
まだ、若いから仕方ないとは言え、少し自分の力を過信してしまっているようである。戦闘素人の光輝達に自信を持たせようと、まずは褒めて伸ばす方針が裏目に出たようだ。
「光輝!団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」
「そうだぜ光輝!このままじゃ足手纏いだ!」
雫と龍太郎は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴んで引っ張ろうとするが、ステータスの差で負けてしまう。
だが、掴まれた腕を振り払い、剣を構える光輝に雫がキレて舌打ちし、叫ぶ。
「状況に酔ってんじゃないわよ!この馬鹿!!」
苛立つ雫に光輝を説得を説得し続ける龍太郎、それに心配そうな香織。その時、一人の男子が光輝の前に飛び込み、もう一人の男子は炎を障壁に纏わせて強化する。
「天之河くん!」
「なっ南雲!?」
「南雲くん!?」
驚く一同にハジメは必死の形相で捲し立てる。
「早く撤退を!みんなのところに!君がいないと!早く!!」
「いきなり何だ?それより、何でこんな所にいるんだ!ここは君がいていい場所じゃない!ここは俺達に任せて南雲は……「そんなことを言っている場合か!!」」
ハジメを言外に戦力外だと言って撤退するように促そうとした光輝の言葉を遮って、ハジメは今までにない乱暴な口調で怒鳴り返した。何時も苦笑いしながら物事を流す大人しいイメージとのギャップに思わず硬直する光輝。
「あれが、見えないのか!?みんなパニックになってる!リーダーがいないからだ!」
光輝の胸ぐらを掴みながら指を差すハジメ。
その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた。訓練のことなど頭から抜け落ちたように誰も彼もが好き勝手に戦っている。効率的に倒せていないから敵の増援により未だ突破できていないのだ。スペックの高さが命を守っているが、それも時間の問題だろう。
「一撃で切り抜ける力が必要なんだ!みんなの恐怖を吹き飛ばす力が!!それができるのは普段からリーダーをやっているキミだけだろう?前ばかり見てんじゃねえ、後ろも見ろ!!」
呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上げるクラスメイトを見る光輝は、ぶんぶんと頭を振るとハジメに頷いた。
「ああ、わかった。すぐに行く!メルドさん、すいませーー」
「下がれーー!!」
「障壁が破られる!!」
光輝が”すいません、先に撤退します”そう言おうとしてメルド団長を振り返った瞬間その団長の悲鳴じみた警告と、障壁を補強していた竜騎の叫び声の二つと同時に、障壁が砕け散った。
暴風のように荒れ狂う衝撃波がハジメ達を襲う。咄嗟にハジメが前に出て、錬成により石壁を作り出すが意味をなさず衝撃波が石壁を破壊した。多少は威力を殺せたようだが……舞い上がる埃がベヒモスの咆哮で吹き払われた。
そこには、倒れ伏し呻き声を上げるメルド団長と騎士が三人。衝撃波の影響で身動きが取れないようだ。竜騎は咄嗟に橋に思いっきり足を突き刺し吹き飛ばされるのを耐えたことでハジメ達よりも前にいる。光輝達もメルド団長の背後にいたことと、ハジメの石壁が功をそうしたようですぐに起き上がった。
「ぐ…龍太郎、雫、時間を「俺がやる」っな、竜騎!?」
光輝が龍太郎と雫に時間を稼ごうと問いかけようとすると、その言葉を龍騎が遮った。竜騎は突き刺していた両足を橋から引っこ抜くと、両手に炎を纏わせて構える。
「お前の役割は後ろのクラスメイトの援護のはずだろう?さっさと行け!」
「だが……」
「お前は勇者なんだろ!だったらさっさとメルド団長達を連れてクラスメイトを救ってこい!!」
竜騎は叫びながら撤退の指示をする。
少しの間考えるような行動をした光輝だが、竜騎の提案に乗って移動を始める。雫が一人、龍太郎が二人ずつ騎士を、光輝がメルド団長を担いで香織に治療をしてもらいながら移動を開始した。だが、そこでハジメは下がらずに竜騎の隣に並んだ。その行動に光輝達は驚くが、先にメルド団長を少しでも移動させるためにそちらを優先する。
「行かないのか?ハジメ」
「竜騎のサポートぐらいなら、他の人よりできる自信があるからね」
横に並んだハジメに竜騎は問うが、ハジメは自信満々にそう答えた。当たり前だと言うように。
銃を構え、真剣な表情でベヒモスを見るハジメに、竜騎は少し吹き出して笑うと、炎を纏った両手を改めて構えながら叫んだ。
「じゃあ、やるか!!」
「うん、やろう!!」
ここに『ありふれない職業の少年』と『ありふれた職業の少年』のタッグでの戦いが始まった。
竜騎・ハジメ側かクラスメイト側の話、どっちが先がいい?
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竜騎・ハジメ側
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クラスメイト