最初に行動をしたのは竜騎だった。
唸り声を上げながらこちらをみているベヒモスに向かって行く。竜騎を見たベヒモスは足で潰そうと前足を上げようとするが、上げられず動きが止まる。
「”錬成”…!馬鹿みたいに抵抗力が強いな!」
ハジメである。ハジメがベヒモスの足を錬成で橋に固定したのだ。
動きが止まったベヒモスの頭に左右の炎を合わせて竜騎は技を繰り出す。
「『火竜の煌炎』」
巨大な炎はベヒモスの頭に直撃。巨大な爆発音とともにベヒモスを怯ませる。その瞬間竜騎の後方から銃の発砲音が数回なり、その中の一発がベヒモスの右目にヒットして大きな叫び声をあげた。低い唸り声を上げ、赤黒い魔力を発しながら、竜騎達をを射殺さんばかりに睨んでいる。
その直後にベヒモスがスッと頭を掲げた。頭の角がキィーーーーーという甲高い音を立てながら赤熱化していく。そして、ついに頭部の兜全体がマグマのように燃えたぎった。
「ハジメは一旦下がれ!」
竜騎がはじめに指示を出したのと同時にベヒモスが突進をを始める。そして、竜騎のかなり手前で跳躍し赤熱化した頭部を下に向けて落下した。
竜騎は避けるのかと思ったが、炎を『焔』に変化させて全身を包むと、真正面からベヒモスの攻撃を受け止めた。
とんでもない衝撃波と熱が発生する。衝撃波で錬成を使い壁を作っていたハジメは壁ごと吹き飛ばされて大きく後退するが、真正面から迎撃した竜騎は橋に跡を残し、ズリズリと下がりながら角を掴んで受け止めていた。そして竜騎はその角に……噛み付いた。
「!!??」
ベヒモスは、角に噛みつかれたことで普段感じない痛みに竜騎を振りほどこうとするが尋常じゃない噛む力で角を噛んでいる竜騎は振り解けない。そして、ベヒモスは体の中から『熱』が吸い取られるような感覚が走った。竜騎が熱エネルギー吸収できる炎の滅竜魔導士の特性を利用して、ベヒモスの兜と角にある熱を吸収しているのだ。
どんどん吸収される熱は赤熱化された兜と角が元の色に戻るほど吸収されていき、どんどん竜騎の纏う焔が大きくなっていく。
全て熱を吸収した竜騎は、口を角から離して体当たりをする。ベヒモスの体を大きく吹き飛ばした。
「『火竜の劍角』!」
先ほどまで同等の火力を持っていたはずの竜騎に体当たりで大きく吹き飛ばされたことにベヒモスは驚愕したような仕草をした後に、咆哮をあげかけた。だが、ベヒモスの口に銃弾が飛んできて咆哮を上げることができなかった。
「流石に、口の中に銃弾は痛いでしょ……?」
ハジメは後退した後に自分の後ろと前に壁を錬成して作った後に銃弾をリロード、前にできた壁に銃を乗せ、構えて狙撃したのだ。そして今回リロードして銃に装填した弾丸は『ホローポイント弾』。弾丸の先端が空洞になっており、命中した際弾頭が炸裂、膨張したたりして攻撃力を上げる弾丸である。
現在よく使われているフルメタルジャケットの弾丸に比べて貫通力はないが、昔の鉛だけの弾丸同様威力が高い弾丸であり、戦争時では使用禁止になるほどの弾丸でもある。
痛みに動きが止まるベヒモスに追撃を加えようとしたのは竜騎だった。
口の中に弾丸を打ち込まれ痛みで動きが止まっているベヒモスに奪った熱エネルギーを元にした魔力で高威力の焔を吹く。
「『火竜の咆哮』!」
竜騎が吹いた焔の奔流は、ベヒモスに直撃し皮膚を焼く。
「グルゥア!?」
ベヒモスの鳴き声に余裕が消えたことで、押せていることがわかったが、竜騎もハジメもかなり消耗していた。
竜騎は、自分より格上の相手であるベヒモスの熱エネルギーを吸収した際に、一時的にパワーアップしたことを感覚的に自覚したが、その吸収したエネルギーを全て攻撃に使ったにもかかわらず、致命傷になっていないこともわかっていた。
ハジメもハジメで、連続での錬成の使用、銃を使う際に体にくる銃の反動に対する耐性、そして死と隣り合わせの実戦での緊張感も相まって息が相当上がっている。そもそもハジメもステータスはチートではない。竜騎ほどの体力がないのは当たり前、むしろよくもった方である。
「限界か?ハジメ…」
「竜騎こそ、なんとか、なら、ない……?」
「とりあえず、他の奴らが逃げ切るまで待たなきゃ無理だろ……」
竜騎は後ろを指さして言う。
現在後ろの人達は、光輝達が戦いに参加して戦況が盛り返して反撃し始めたばかりだ。
まだ竜騎とハジメが時間を稼ぐ必要がある。
ベヒモスは先ほどの竜騎の焔で鱗のない身体のあちこちに火傷を作り、竜騎を思いっきり睨んでいる。今撤退しても、突撃してくること間違いなしである。最低でも致命傷を与えないとダメだと竜騎は悟る。
「ハジメ、あいつの動きどれだけ止められる」
「?…今の体力と魔力だと30秒ぐらい……」
「……なら、頼めるか?」
竜騎は少し考える仕草をすると、ハジメに質問した。
ハジメは少し疑問に思いながらもその質問に答えると、竜騎は動きを止めることを頼んでくる。何をするかはわからないが、ハジメはうなずいてその頼みに答えた。
「何をするかはわからないけど……頼まれた!!」
ハジメは動きが鈍くなっているベヒモスのそばに銃弾を撃ちながら走って近寄り、地面に手をついて空色の魔力を迸らせながら詠唱を行なった。名称だけの詠唱。最も簡易で、ハジメが許された魔法。
「”錬成”!!」
全力で発生させた錬成はベヒモスの足を固定し、頭も包み込むようにして捕まえると地面に埋まるように固定される。石を砕いて脱出しようとベヒモスは動いても、砕けた場所からハジメが錬成して直してしまう。
ベヒモスのパワーは凄まじく、油断すると直ぐ周囲の石畳に亀裂が入り抜け出そうとするが、その度に錬成をし直して抜け出すことを許さない。ベヒモスは頭部を地面に埋めたままもがいている。なかなかに間抜けな格好だ。
その間に竜騎は、目を閉じて集中し、両手に灯した蝋燭の火のような小さい焔の質をさらに上げながら大きくする。
やるのは昨日の夜にも練習した『滅竜奥義』、昨日は結局成功はできなかった。
(先ほどの奪ったエネルギーを使った
そう考えながら、竜騎はどんどん焔を大きくする。だが、『焔』は通常使う『炎』に比べて操作をするのが難しい。焔が不安定さを伝えるように大きさが戻ったり、逆に大きくなり過ぎてしまっている。
しかしハジメがベヒモスを抑えておくのにも限界があるのだ。ハジメに頼んだ30秒もそろそろくる、それが一層竜騎の焦りを掻き立てる。魔力も流石に限界だと体が悲鳴をあげ始めた。
竜騎はそれでも尚焔を大きくする。
(今のことだけ考えろ炎王竜騎。お前が成功しなきゃ前に出てるハジメは助からねえ……魔力がねえなら、捻り出せ!)
(絶対に……勝つ!」
心の中の叫びが口に出た時、一際竜騎の焔が大きくなる。
竜のような形を象り、竜騎の叫びに応じて雄叫びをあげるような動きをした後、一気に両腕に収束して今までで一番の質の高い焔になった。
(いける……!)
竜騎は収束した焔を保持したまま、ハジメに向かって叫んだ。
「ハジメ!」
「了解!」
竜騎の声にハジメが答え、錬成を中断して急いで竜騎の後ろへ。
その五秒後、地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる。その眼に、今までで一番の憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……ハジメを捉えた。再度怒りの咆哮をあげるベヒモス。ハジメを追いかけようと四肢に力を込めた。
だが、その瞬間、ハジメの前にいた存在……竜騎から大きな叫び声と共に魔法が繰り出された。
「滅竜奥義……『紅蓮爆炎刃』!!!」
竜騎が焔を纏った両腕を振るい、爆炎を伴った螺旋状の強烈な一撃はベヒモスに直撃。
鱗を砕かれ、その焔に内臓を焼かれながらその螺旋に巻き込まれ、最終的に通路側の端近くまで飛んでいき、横に倒れる。
ベヒモスはまだ生きているようだが、もう動くこともできないようで低い声をあげているだけだった。
ハジメは技を繰り出し、ベヒモスから勝利を掴み、自分の親友が達成した偉業を見て素直な気持ちを無意識に口から出した。
「ほんと、すごいや竜騎は」
ーーーーーーステータス更新ーーーーーーーー
炎王竜騎 十七歳 レベル:5
天職:火竜・魔導士
筋力:250
体力:250
耐性:150
敏捷:90
魔力:650
魔耐:650
技能:滅竜魔法(火)[+火属性魔法高耐性][+火属性吸収][+滅竜奥義『紅蓮爆炎刃』][+吸収魔法魔力変換、魔法強化][+竜の子葉][+炎性質変化『焔』]・魔力操作[+第二魔力炉セカンドオリジン(未解放)][+効率上昇][+循環強化]・威圧・言語理解
ーーーーーーステータス更新ーーーーーーーー
南雲ハジメ 十七歳 レベル:5
天職:錬成師
筋力:18
体力:17
耐性:18
敏捷:16
魔力:25
魔耐:25
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱石融合][+高速化]・言語理解
とりあえず形になったので投稿します。
またしばらく忙しくなるから二週間ぐらいかかるかも?
2021/03/10
感想で指摘のあった技能の「射撃」を消しました。指摘してくれてありがとうございます。これからの話でまた「射撃」は取得できるところを作ろうと思いますので(;´∀`)
竜騎・ハジメ側かクラスメイト側の話、どっちが先がいい?
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竜騎・ハジメ側
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クラスメイト