毛布、それはとても心地いい、体温によって程良い温度へと温められた空間は、毛布の肌触りとともに人を虜にしてしまう。
 時間が経つごとにその気持ちよさは何倍にも膨れ上がる。そしてそれは、目覚めた瞬間にも言えることである。いや、むしろ目覚めの瞬間の方が大きいのだろう、事実この少年は、起きなければならないにも関わらず、起きられないでいた。

 そして、それはつまり──


「後五分……」


 そう、二度寝である。

 日の光の眩しさによって目覚めた少年、山本友樹(ともき)は、毛布に潜り日の光を妨げることで二度寝しようとする。日の光によって温められた外の空間と、少年の体温によって温められた中の空間。


 この閉鎖された空間全てが、少年にとって最高の空間を与えてしまっている。そんな空間に少年が歯向かう事などできるはずもなく、少年は再度、夢の世界へと旅立とうとしていた。
 瞳を閉じ、柔らかい毛布に身を任せた事で、少年はもう、手遅れとなってしまう。


 少年はもう、後戻りできない。


 ここから抜け出すことはできない。


 抜け出そうとも思わない、思えない……

 
 そうして少年は、深い、深い眠りへと、落ちていく。

 
 しかし、この平穏は待ち構える現実によって、呆気なく崩れ去ろうとしていた。
  山本友樹()
  乃木園子2021年02月04日(木) 18:30()
  二人の気持ち()
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