Mercenary Imperial Japan 作:丸亀導師
2000年10月
私は映画の為の資料収集をしながらも論文を書くというハードスケジュールに苦しめられていた。
何故こんな事を受けたのかとあの時の自分を呪いたい、実際資料は真偽が定かでは無いもののその多くが存在を主張する、死人の数は島民の大凡4割程だ。
これ程の死者を出すにはいったいどれ程の事をやればいいのか、高祖父の行ったことへの怒りと同時に、早期の降伏を行わなかった駐留米軍の愚かさを嘆いている。
それと同時に、これを映画にするにはどうすれば良いのだろうかと、頭を悩ませる。
まずこの資料を監督や脚本家に見せるのは、正直気が引けるし文章に書き起こすには多すぎる。
だけれども渡さなければならい、なら参考になる映画が必要だと数年前に作られた欧州の映画を見た。
構成としてはこれと同じようにすれば良いのだが、果たして上手くいくかどうか。
こう言ってはなんだが、この映画決して面白くはならないと思う。寧ろ気持ちの悪いものになりそうだ。
1941年12月
欧州の地中海は今荒れに荒れていた、1940年4月頃仏海軍との艦隊戦の末にその力を無くしたイタリア海軍は、地中海でのその勢力を著しく低下させていた。
また、同年英国海軍が地中海南部の制海権を維持するために、地中海艦隊を動員することが出来なくなった事から、地中海中部及び北部は、一時仏海軍のものになっていた。
それが動き始めたのが1941年8月頃で、この時期にソ連軍の最終攻勢が頓挫し、仏海軍が英国大西洋艦隊によって痛手を受けたことにより地中海における仏海軍の戦略的驚異が低下した。
この事から今が好気と、イタリア海軍が最後の力を振り絞り艦隊戦を決意した。それがコルス島沖海戦である。
海戦はイタリア海軍優生で終わり、この事から仏海軍は事実上行動不能に陥ってしまった。そんな戦いだ。
これに参加したのはなにもイタリア艦艇だけではなく、ギリシャ
・トルコ・日本からも参戦している。
ですが、これらの艦艇には戦艦は愚か重巡洋艦も含まれていない。
いても軽巡洋艦、そしてその殆どが水雷艇であると言うところが突飛つすべきところだろう。
日本から戦力として抽出されたものは、もはや旧式となっていた鴻型水雷艇と言う、準駆逐艦クラスのものが16隻と1号型と言われる所謂魚雷艇が40艇あったと言う。
内訳はこうなる。
イタリア海軍戦力
カイオ・ドゥイリオ級戦艦2隻(中破修復作業中)
ヴィットリオ・ヴェネト級2隻(完熟訓練中)
ザラ級重巡洋艦4隻(内1隻中破)
ルイージ級軽巡洋艦4隻
ライモンド級軽巡洋艦4隻
ソルダティ級駆逐艦18隻
ダルド級駆逐艦8隻
日本海軍遣欧艦隊
鴻型水雷艇16隻
1号型魚雷艇40艇
トルコ海軍
モルトケ級戦艦1隻
コジャテぺ級駆逐艦4隻
トゥナズテペ級駆逐艦4隻
ギリシャ海軍
伊ルイージ級軽巡洋艦2隻
伊ダルド級駆逐艦6隻
それに対する仏海軍はと言えば、万全ではないものの戦艦もきちんと整備されている。先のドーバー海峡海戦での痛手から回復して日は浅く、砲術士の研鑽はそれ程良くはない。
仏海軍戦力
ダンケルク級戦艦2隻(1隻中破)
リシュリュー級戦艦2隻(うち1隻大破)
ブルターニュ級戦艦3隻
ノルマンディー級戦艦2隻
トルアーン級軽巡洋艦3隻その他軽巡洋艦12隻(うち5隻中破)
デュテーヌ級重巡洋艦2隻
シュフラン級重巡洋艦4隻
ビッスン級駆逐艦6隻その他駆逐艦42隻(うち10隻中破)
艦艇の数は思った以上に開いており、戦闘を行うにしても重巡洋艦以下の艦艇しかイタリア艦隊には実質上戦力としては存在し得ないだけでなく、戦艦の数ですら負けている始末。これは、もう勝てないと言う他ない。
だが、歴史が証明しているように実際はこれで勝利したのだ。
さて、映画の中ではこれらが艦隊戦をする描写が全体の大凡三分の一をしめるのだが、この艦隊戦が始める前に一人の将官の目線で話が進んでいく。
彼の名はフェデリーコ・アレッシ、イタリア王国海軍の少佐である。
極々一般的な家庭を持ち、子供たちともよく遊ぶ気さくな男で良くナンパをしては妻よりきついお灸をすえられているそんな、どこにでもいるような男だ。そんな一人の軍人が主人公として、話は展開されていく。
戦争が始まって直ぐに総動員体制へと移行された祖国とそれを守る為に出撃していく艦艇。ソ連軍の沿岸用の魚雷艇を完膚なきまでに叩き潰す、そんな戦闘を駆逐艦の艦長としてそつなくこなしていく、そんな姿。楽な仕事、生死を感じさせないようなそんな雑作業とでも言えるそんな戦いとも言えない戦闘行為。
少年の頃夢見ていた大海戦とは程遠い、そんな事を思いながら戦ったのもつかの間、彼等はフランス海軍と戦闘する事になる。
黒海からの期間の最中彼等は、フランス艦隊に突如として襲撃された。
襲撃時間はフランスからの宣戦布告その数時間前、しかも最後通牒無しでの襲撃である。
完全な不意打ちにいくつもの艦艇が海へと消えていく、それは海戦ではない。反撃をした戦艦も数隻葬り去られ、生き残った艦艇も無傷なものは皆無。
やっと生き残るも制海権は奪われた、領海を失い物資の補給は少なくなった。
それでも、東側だけはと英国艦隊と共に守り続ける日々。そこに入ったのは残存艦艇をかき集めて寄せ集めの艦隊としてフランス海軍へ総攻撃を掛けるという、猛烈な反対の中実行される作戦。
艦隊は死物狂いで、戦いに挑む。
そんな作品だ。
実際そんなドラマがあったのか、審議は定かではないが現実と言うものは得てしてそういうものだろうと、言い聞かせる事とする。実際登場人物はいたのだから、無きにしも有らずと言ったところだろう。
さて、この映画の3分の2はそんな人間ドラマ的な要素が多く戦闘シーンは長くとも連続20分かそこらで全体が2時間、という長さに対して以外と短い。
予算が尽きる寸前であったと言うことを聞かされたのならば、まあ仕方のないこと。CGと特撮の組み合わせが非常に良くできた作品だそうだ。
では、実際の戦闘の経過を話していこう。
まず、手始めに陽動と戦略的な意味を込めて仏の領有するコルス島への強襲揚陸から戦いの幕は切って落とされた。
コルス島はイタリア本土からほど近く、寧ろ泳いでも渡ることが可能であるため、特殊訓練を受けた者たちが数十名先んじて秘密裏に上陸し敵地の状態を、偵察していた。
そこへと大挙して押し寄せるはイタリアの漁船や商船が志願した、特設揚陸部隊。次々と大小様々な船が押し寄せる。無論水際防衛戦で撃退されるかと思われるが、そんな中に奇妙な船がが紛れ込んでいた。いや、戦車だ。
いつ持ってきたのだろうか、日本軍の揚陸支援用の車両それが、砂浜へと複数押し寄せる。
その日のうちに海岸線はあっという間に占拠された。
突然の襲撃に仏本土は危機を感じ取り、南部海岸線の防備及びイタリア軍との前線に更に兵を配置すると、艦隊を地中海へと出撃させた。
勿論目的は揚陸部隊のイタリア本土との遮断、確実に出てくるであろうイタリア艦隊を撲滅すべく全力で対処する。
英国海軍は米海軍との睨みあいで動くこと敵わない為に、全戦力を投入する腹積もりであったようだ。
航路は順調に進みコルス島沖に到着するかという頃にコルス島沿岸部に、駆逐艦らしき艦隊を多数確認するとそこへと砲撃命令が降る。
勿論それは囮である、隻数としてイタリア海軍とほぼ同程度のそれが、囮だとは梅雨ほども感じずに。丁字不利の形を打開すべく取舵一杯。
それに夢中になっていると更に前方より艦隊が近づく、今度こそイタリア海軍だ。
それから砲撃弾が降り注ぎ、次々と水面へと落下し水柱を上げはた、はたと認識した仏海軍は丁字不利の形を打開すべく再び取舵一杯し、正しくUターンと言ったところだろう。
そこへと殺到するは何処からともなく現れたるは、魚雷艇。そこから次々と魚雷が放たれ、扇状に広がると計算され尽くしたかのように、駆逐艦?艦隊の間を縫って仏艦隊へと殺到する。
命中数は放たれた中での20%、それでも打撃は大いに艦隊を、揺さぶる。それは巡洋艦以下の艦隊からの脱落を意味していた。
駆逐艦等の小型艦が飛来により中破ないし撃沈判定をくらう中、戦艦もまた速度を落とさざる負えなくなる。
数が多いことが祟ることもある、イタリア空軍が現れた。
上空からの爆撃も始まり、いよいよもって逃げに徹する。艦隊の離脱は成功させねばならなかった。しかし、船足はイタリアに部があり。
次第に数を減らしそして、仏艦隊は降伏した。ここにおいて、イタリア海軍は雪辱を果たし仏は地中海における制海権を、失うこととなる。
これが俗に言うコルス島沖海戦だ。
この艦隊戦、欧州方面において決定的に連合軍が有利になったことを印象付けるにはうってつけの勝利だったらしく、この時期に度々ポスターや新聞が頻繁に配布されたようだ。
これ以降、仏は海岸線からの揚陸にかなりビビっていたようだ。
誤字、感想、評価等宜しくお願いします。
皆さんに質問があります。
フランキ砲というものをご存知の方に聞きたいのですが、フランキ砲のような装填方式のマスケット銃ってありましたか?なんか、気になりまして。