異世界旅行を可能とする転送装置で異世界に飛ぶも、その世界はまだ生物が誕生する以前の世界であり、僅かな陸地と活発な海底火山が彼方此方にある原初の海が広がっていた。
そんな中、異世界旅行前に食べ過ぎたのが祟ったのか便意を催すのであった。

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日頃のモチベーション維持作業と環境ストレスによってこんなミュータント作品が生まれてしまったのです。


原初の海原で野糞をする

遠い未来、宇宙進出を果たした人類は恒星系や銀河系に散らばり始め、遂に別の次元の宇宙へと進出をしようとしていた。

宇宙開発の過程で生み出されたワープ装置を流用した時空転移装置、それのモニター試験に選ばれた男は、環境適応スーツを身に着けまだ見ぬ異世界へと旅立つのであった。

 

「ほぉー、これが異世界という奴か、別の次元の宇宙の何処かの星という事だな。」

 

「それにしても・・・・。」

 

環境適応スーツを着込んだ男がキョロキョロとあたりを見渡すも、広がる水平線。

何処を見ても海、海、海、生命の誕生する条件が整えられた原初の海が広がる海洋惑星である様であった。

 

「何もないじゃないかー!!」

 

「こんな星、開拓惑星で幾らでも見て来たわ!知的生命体は居ないのか!宇宙人は!」

 

宇宙進出を果たした人類は、異星人と言える知的生命体と遭遇する事もあったが、非常にレアケースな上に、生命が誕生する条件の整えられた星は恐ろしい程少なく、現時点で彼らの故郷以上の文明と遭遇したケースは無かった。

 

「はぁ、スキャナーで周囲をスキャンしても生命反応は無しか、本当に原初の惑星に転送されてしまったんだな。」

 

小型船の上から原初の海をぼーっと眺める男性、そろそろ代わり映えのない光景に飽き始めた頃、下腹部に違和感を感じる。

 

「む・・・むむむ?あっ、これ、やば・・・ぬぐぅぅぅ!!」

 

モニター試験を受ける前に、立ち寄った食べ放題店でフードファイターばりに飲食して転送装置を使用したからか、環境適応スーツの締め付けがきつ目だったからか、便意を催して思わずベルトに備え付けられたバリアフィールド装置を起動して徐にズボンをずり下す。

 

元々生身で耐えられない過酷な環境の惑星であるが、軽量化されてジャージと大して変わらない着脱のしやすさの環境適応スーツが皮膚を添うようにバリアフィールドを展開して肛門付近だけバリアフィールドを解除する。

 

「た、たまらん・・・あっへぇぇぇぇぇ!!!」

 

ぶりぶりぶりぶりぶりゅりゅりゅりゅりゅ!もりもりもりこんもりぶびゅどヴぁ!!

 

無理にでも詰め込むかのように暴飲暴食をした腹からは、その質量に見合った分の排泄物が放出される。大腸の形そのままを型にした様な図太い大便は、原初の海へと沈んでいった。

 

ちなみに、バリアフィールドは肛門にこびりつく糞と皮膚粘膜とを分子レベルで切り離しトイレットペーパー要らずに清潔に保つ機能もあった。無駄にハイテクである。

 

「あぁーーぁー・・・無理に食うんじゃ無かった、最悪だぜ。」

 

「しっかし、本当に何も無い世界だな、コモンメタル、レアメタルの埋蔵量はそれなりにあるが、資源惑星掘るだけなら近場で済むし、本当に別次元まで手を出す必要があるのかねぇ。」

 

「まぁいいか、今回は下見だ、下見、さっさと帰って食いなおそうっと。」

 

小型船は音もなく宙に浮き、光る粒子を纏いながら空中へと消えていった。

 

その後、結局別次元に手を出すのは今の宇宙の開拓がもっと進んでからと結論され、時空転移装置は使用コストの高さから細々と研究が進められるだけで本格的に使用される事は無かった。

 

その後、男が調査した異次元惑星の原初の海に取り残された糞尿は思わぬ影響を及ぼしていた。

 

まだ火山活動が活発で、生命が誕生しておらず、コアセルベートの段階であるこの星は、今の今まで生物が存在しなかった。

検疫の概念など元の世界に置いてきてしまった男の残した置き土産を除いて。

 

大腸菌とは言え、原初の海で生まれた原初生命を祖とする何億年も形を変えて環境に適応してきた叩き上げのエリートであり、その多くは大腸環境下から外に放出された事で殆どは死滅してしまうが、中には根性のある環境に適応する種がごくわずかに存在した。

また、糞尿だけでなく食べ放題レストランの通り道である田んぼのあぜ道を歩いたおかげで靴に少量の泥が付着しており、アオミドロなどの藻類も原初の海に流出してしまったのである。

 

ほんの惑星の端っこ、それも極僅かな質量の微小な生命たちは生存に適さない環境に放り出されてしまったので種を維持するだけでも大変で、糞尿や泥に含まれていた生命の殆どがこの惑星で誰にも気づかれる事なく絶滅してしまったが、長い永い考えるのも馬鹿馬鹿しい程の時間をかけて増殖し、形を変えこの惑星全域に広がって行った。

 

何だかんだ、既に数億年の進化を遂げたエリート細胞共である、コアセルベートから段飛ばしで海に存在し、進化適応していった細胞たちは、何時しかかつて異次元からの来訪者の故郷と同じく多細胞生物へと進化する者も出現し始め、彼らの故郷よりも少し早めのカンブリア紀を迎えていた。

 

やがて、惑星も地殻プレートの移動などを経て環境が変化して行き、大陸と呼べるレベルの陸地が誕生し、陸地へと進出する大型動物も出現し始めた。

 

地球のそれとは全く異なる進化を遂げた生物群であったが、やはり同じく弱肉強食の世界を作り上げ、進化と絶滅を繰り返し続けた。

 

惑星全てを覆いつくさんばかりの大噴火と共に新たな陸地が生み出され、大量絶滅と全球凍結を経て、再び生命の繁殖に適した気候に戻り始めた頃、ある大陸の草原に二足歩行をする生物が誕生した。

 

もうそこに、かつて大腸菌だった頃の面影はなく、半ば野生動物に近いとは言え、原始的な文化を形成していた。

群れ同士で生存をかけた争いをし、木の枝や石ころ等を武器にする個体が発生し始めた頃、脳は肥大化し、更に手は物を掴むのに適した形状へと変化していった。

 

まだまだ地中のマグマが活性的な惑星ながら、少し早めの知的生命体の発生で、荒々しくも生命に満ち溢れた世界が形作られ、恐竜時代と人類が同年代で存在する様な世界となっていた。

 

最初は野生動物や同族との生存競争、そして偉大なる超越した存在を空想し生まれた宗教と異なる宗派の対立、それに伴う新たな戦争を経て、元大腸菌どもは遂に高度な科学文明を発達させた。

 

「えぇー、現在でも原始生命の誕生には様々な学説が浮かんでおり、現時点では紫外線と高分子化合物が反応し、煮えたぎる溶岩混じりの海水から原初生命が誕生したという説が・・・・。」

 

淡く青く光る髪を持った少女が詰まらなそうに、手元の端末から流れるビデオを眺める。

 

「はぁ、私達が生まれるずっと前なんて調べて何になるのかなぁ、あー家に帰って早くシャワー浴びたいな、この季節は服が張り付いて仕方ないわ。」

 

光ファイバーの様に髪の毛の先端が鋭く光を放つ少女は、この星の支配種たる知的生命体であり、異次元からの来訪者が残した置き土産たちの子孫である。

 

「なーなー、また冒険者がドラゴンを倒したらしいぜ!バズーカ砲じゃなくてロングソード一本でだ。」

 

「ドラゴンなんて昔は脅威だったけど、今は環境保護区で保護されている珍獣でしょ?文化の維持の為には仕方ないと言う事らしいけど、そのままの生命を文化の維持と言う人間側の一方的な理由で狩るのは反対の立場よ。」

 

「でもかっこいいよな冒険者って、昔こそは傭兵団とかゴロツキ集団だったらしいけど、今では辺境調査の科学的知見を持った学士集団であり、高潔な精神を持った修行者であり、古流武術の継承者であり、現代兵器に頼らず原始的な近接武器で圧倒的な戦果を持ち帰るスーパーマンなんだよな。憧れちまうぜ!」

 

「あー、はいはい、インテリ集団だろうと私から見たら野蛮人だわ。」

 

「なんだよー、男なら冒険者だろー!冒険者―!」

 

この世界に生息するドラゴンも巨大昆虫も、この惑星の人類とされる知的生命体も大本を辿れば遥か昔に異次元から現れた男の無責任な脱糞が原因で誕生した生命である。

 

ドラゴンも うんこ、美少女もうんこ、偉大なる存在の正体も無責任なうんこ男である、この惑星生命の全ては一本のうんこから始まったのである。

 

つまり、お前のうんこで世界がヤバい。

 

お前のうんこで異世界がヤバい。

 

男は知らず知らずのうちに、異世界の生物の有様を大きく変え、異次元の惑星の神となるのであった。




モルダーあなた疲れているのよ。

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