みんな大好き、催眠系個性だよ!(個性とは言ってない)
彼にとってその道は踏み固められた成功の道ではない。
道の表面は整備などされておらず凸凹しており、鋭い石が剣山の如く地表に露出しているし、先が見えない濃霧の中曲がりくねった先に深い崖がある様な、そんな険しいという言葉じゃ生易しいくらいの荊の道だ。
それでも尚進み続けるのは、自分と同じ境遇にある兄に目を覚ましてほしいが為。
個性の差異でヒーローを目指せないなんてそんなことある訳がないと。出涸らしの……個性すらない自分がヒーローになって、兄の諦めてしまった夢を叶える事こそが彼の唯一の願いだった。
彼の兄は雄英の入学試験に落ちた。そこでの試験内容で完全に心が折れてしまった。そこには何の個性もない弟だけが普通科の試験で受かってしまったのも理由の一つだろうと考えられる。
雄英は自由で実力主義を謳っていた。
雄英体育祭。個性黎明期以前のオリンピックに匹敵する国内最大の一大イベント。
世界中のヒーローは勿論、一般人やヴィラン、あらゆる人間が注目するこの日。
普通科から参加していた彼はある決意をする。
「体育祭で入賞して、無個性の希望の星になろう」
鍛えれば、個性という才能がなくてもここまでやれるんだと、個性が例え戦闘向きでなくとも……夢を叶えられると。
その期待を背負ってこの場に立っている。誰にも見向きも期待もされている訳がないのに……。
なんてのは建前だった。
ヒーロー科入試主席の不良生徒が選手宣誓で盛大にヘイトを集めて、早速予選。
一年体育祭会場スタジアムの外周約4キロを走って順位を競う障害物競走。
最初の篩は、スタジアム出口だった。
総勢二百余名の生徒が一斉に狭い通路に殺到する。
下手をすれば集団骨折を免れない危険な状況で観客は盛り上がり、解説の教師は止めもしないでそれを煽る。もはやヒーローを目指すという自身の目標すら見失いそうになるが、体育祭の雰囲気で誰もそれに気付かない。
だが彼は違った。物心ついた時から人の悪意が見えた。勘が良く聡明で、空気が読める子だった。
コミュニケーションは言葉だけではない。ある大学の発表によれば言葉そのものから伝わる意味は全体の7%にしか満たず、残りの93%の内、声(38%)と体の動き(55%)によって伝わるという結果が出ている。
彼はそうした情報に「共感」する能力が一般人の何倍も鋭かった。
これだけでもう十分個性と呼べる代物だったにも関わらず、個性カウンセリングでの結果は無個性。
個性因子の欠片も確認できなかったという。
人の些細な仕草、視線の動き、汗の匂い、周囲の状況、言葉の選択。
善意も悪意も関係なく、全てが等しく彼に襲いかかった。
全ての答えが聞こえる世界……それは耳を塞ぐことのできない悪夢。
当時から社会的弱者であった一家で、その中でも無個性だった彼には毎日毎日絶えず耐え難い苦痛や誹謗中傷、悪意に晒されていた。
そして、自分に何故個性がないのかと考える様になり、身近な個性に関する実験を行うようになった。
その個性とは、『洗脳』だ。
返事をした相手の意識を奪い意のままに操る凶個性。凡そ催眠系の中で最も強い部類に入る個性を持って生まれたのが、彼の双子の兄だった。
学校や近所ではその凶悪な個性だけが一人歩きして彼ら双子は孤立無縁の虐めに遭っていた。
その個性が本当に個性足り得るのか。初めは自分に個性がないことを否定する為に始めた催眠術だったが、調べれば調べる程、催眠術が上達すればする程、個性と自分が培った技術の違いが浮き彫りになった。
彼には人の心が丸見えだった。その心に新たな命令を書き込むことは箸を持つより簡単だった。
異性も、ギャンブルも、何もかもが思い通りになる世界。
ギシ……!
だが……過剰に満たされた欲求と、見え過ぎる人々の悪意の渦は──
ギシギシミシッ……!!
少年の繊細な感情を徐々に蝕んでいき、やがて彼は……
人であることを辞めた。
何もかもが思い通りになる世界で彼は惰性で金を稼ぎ家庭を崩壊させ、
惰性で自分達を虐めていたもう何の感情も湧かなくなっていたいじめっ子達を偶然を装って殺し、
生きていることに何の意味も見出せず、ただただ流されるままに生きていた。
その時だ。
双子の兄が雄英を受験すると聞いたのは。
もう毎日の様にテレビの画面越しに見る贋作のヒーロー達。その屈指の教育機関に兄が飛び込もうとしていた。
よくある事だ。記念受験だと思った。
久しぶりに連絡を取り、近況を話しつつ本題に触れて真意を問い質した。
本気でヒーローを目指している。それもヒーローを一種の偶像視して何かに取り憑かれた様に。
新しいおもちゃを見つけたと思った。
次は兄で遊ぼう!目指していたヒーローになんかなれず絶望し、個性のない弟にさえ劣ると自責して、心が壊れる様な、自分の個性で高みへと登る瓜二つの自分を……
魅せてあげよう。そう思った。
人の悪意が見えるのは、何もその場限りの話ではなかった。
手紙の文字や、人が仕掛けた罠にまでまるで残留思念かの様に悪意は彼に訴えてくる。
人が手掛けたロボットも、仕掛けられた地雷からも。
わかりきったことだが、予選、団体戦の騎馬戦を難なく突破した。
次が最終決戦。それも一対一のトーナメント戦。
一番右に自分の名前、そして隣に対戦相手の名前があった。
「緑谷出久くん……か」
トーナメント戦最初の組。
予選を一着で通過した少年が相手だからか、観客席のボルテージは高い。
未だ実力が未知数な彼と、個性を見せずにここまで上り詰めた少年。どちらもどんな個性で、どんな戦いを繰り広げるのか……その期待は、簡単に裏切られた。
「動くな。降参と叫べ」
「降参します!」
「「「なんだってぇぇぇぇえ!!?」」」
はぁい原作ブレイクしたところでしゅーりょー。
閲覧ありがとうございました。
一応この子のプロフィールがこちら↓
【名前】心操 人身(ひとみ)
【性別】男性♂
【体格】170cm
【個性】無し(催眠)
【詳細】
我らが普通科の期待の星、心操人使の双子の弟が主人公。個性『なし』。
親族で一番強い個性を持つ兄と個性すら持たない弟に周囲からも嫌がらせ行為が多々あった。兄は個性がヴィラン向きという理由で、弟はその個性すらない出涸らしとして。
その分兄にはない人外な身体能力に加えて、弛まぬ努力と才能による超近距離の複数同時催眠術(技術)を得意とする。
基本的に武器を手に相手の懐に入り催眠術を行使、相手が催眠中なのをいいことに武器を奪い、無力化してしまう。
個性ではない為『抹消』などの対象にはならない。
眼が死んでてクマが酷い。
とまぁこんな感じ。
原作主人公に容赦なく敗北を突きつけるそこに痺れる憧れるぅ!
お次の轟戦まで考えてやめました!
そしてここからが盛大なネタバレェ!
この後順調に勝ち進んだオリ主は何事もなかったかの様に優勝して全世界のテレビの前の人々に催眠術をかけて個性なんてただの病気で特別な力なんてなかったと個性社会をぶっ壊します!!(ぶっ壊すとは言ってない)