悲劇のヒロインに転生したのでシリアスをぞんざいに扱ってみる 作:ZenBlack
17話:純粋体と不純体の対照
<悲劇進行世界線・純粋体アナベルティナ視点>
目の前に死が広がっていました。
過酷な訓練によって、鋼のように鍛え抜かれた、そうであったはずの頑強なニンゲンの肉体が、物言わぬ物体となって、そこかしこに転がっていました。
ところどころに、奇怪な墓標のようなものが地面に突き立てられていて、それはよく見れば熱に強いはずのミスリルの槍、そうだったはずのモノでした。
あまりの高温に晒され、変形してしまったのでしょう。
肉の焼ける臭いがします。
ミスリルの槍ですら変形してしまうほどの炎に、人の身が耐えられるはずもありません。
兜を被っている死体は顔が赤と黒のまだらに、被っていない死体は頭が黒焦げに、それぞれが、そうなっていて、ここはまるで、そういう規格で揃えられたお人形の、最終廃棄処分場のようで、皆が同じ色に染まってしまっています。
炭化した黒。
黒ずんだ血の赤。
炎に晒され、変形してもなお変わらず、青を含む鈍い銀色のミスリル。
健全なモノはもうどこにもなくて。
歪んで壊れ、破滅という死神に身を食い尽くされた、もしこれでまだ息があるのならその方が辛くなるような、それはもう無残に焼き焦げていて、破壊されつくしていて、原形を留めないナニカ。
ここにあるのは、ほんとうにもうそれだけで。
それに、私は何も思えない。
何も思えないことに、そのこと認識することで、心がひび割れていくような氣がするのだけど、それはもう、ほんとうに、それだけのことでしかなくて。
むしろ兵士、戦士……立派な体躯をもった皆々様が無残に殺され、物言わぬ物体となってそこらじゅうに転がっているさまに、どこか引きつった笑いが出てきてしまいそうで。
死だ。
ここにあるのは圧倒的な死だ。
これを前にして、人は男であるとか女であるとか、人間であるとかエルフであるとか、ドワーフであるとか獣人であるとか、力が在るとか無いとか、性格が善いとか悪いとか、虐待を、する者であるか、される者であるかとか、そんなのもう、なにも、なんにも、かんけいない。
死は平等ではない。
訪れるそれは、穏やかなモノもあれば、激しいモノもあって。
訪れるそれは、苦しいモノもあれば、安らげるモノもあって。
訪れるそれは、悲しまれるモノもあれば
だけどそれは関係ないのです。
どのような人間であっても、死を経て成るモノは死体。
それだけは一緒。
同じ色に支配される。塗り潰される。
死は平等ではない。
だけど『死体』は平等で。
どこか笑い出したくなるほど統一されていて。
死ねば皆同じ。
目の前の光景は私へ、それだけを雄弁に語っているようで……。
「おい」
呼ばれ、振り向こうとすると首の筋がピキと痛みました。それに、顔をしかめていると、呼んだ男性……腹違いの兄、ボソルカンが「シケた顔しやがって」と言いながら、私の前髪を掴んできました。
「痛い」
「こんな所にいつまでもいたんじゃ俺達も危険だ。竜がいつ戻ってくるかもわからん。帰るぞ」
帰るぞという、ただそれだけの言葉に、なぜ暴力が伴うのか。
頭皮が引っ張られ、髪の何本かは抜け、屈むしかない体勢ではどちらに道があるのかもわからない。帰るというならその手を放してほしい。この兄はいつもこうだ。理不尽で意味がわからない。
ここへ、私を連れてきたことからしてそうだ。
危険が少ないのであれば、ひとりより二人の方がリターンは多い。長男である上の兄と、病弱であるミアは駄目だが、
先に自分から父に志願しろと脅され、命じられていたから、私も父へそう訴えたけれども。
もし志願しなければ教育し直して、父と母の前で、裸で土下座させてやるからなと脅されていなければ……勿論そんなことはしなかった。
そこまでいうからには、この兄はなんとしてもその
私は、こんな場所へは、本当は来たくなかった。
帰る、帰らないの前に、最初から来たくなかった。
「帰りますから、手を放してください……」
「……ふん」
突き飛ばすように、頭が押されます。また首の筋が痛みました。
「なっさけねぇよな、こいつらがこの国で最強の竜殺しだってんだからよ」
「……」
「ゴミカスのクズが偉そうにしやがって。負け犬め。まぁ尊き血の序列も理解できないゴミ溜めがごとき頭では、こうなるのが当然で必然だな」
「……」
「おい」
「……はい」
「吐くなよ?」
「……え?」
ドゴッ……と。
身体の中央が衝撃に震える。
「ぐ……う……」
兄の膝が、私に腹にめり込んでいて……。
背骨まで軋むような重い痛み。
何のために、という疑問が浮かんで、消える。
愚問だ。
この兄は訳もなく、意味もなく私を殴り、蹴る。
いつも何かに腹をたてていて、その鬱憤を私へ吐き捨てていくかのように、荒ぶる。
うずくまったその岩の地面に、どこから種が飛んできて育ったのか、蕾をつけたまま……水不足でしょうか?……枯れたペチュニアの残骸が横たわっていました。なぜだか
「ウスノロが、うずくまってんじゃねーよ。さっさといくぞって言ってんだろうが」
人の膝を折るような真似をしながら、理不尽に罵倒してくる兄に、私は思考することをやめる。
死体が廃棄された大地に背を向けて。
震える足に鞭を入れながら、そのおぞましい背中に
<悲劇キャンセル世界線・不純体アナベルティナ視点>
こんにちは、アナベルティナ十三歳です。
夏の三月も下旬に入り、私の十四歳のお誕生日まではもう一月と半分も切りました。
みんな祝福してくれるでしょうか。
おいしいご馳走、食べられるでしょうか。
「ティナ様のポニーテール……
「やっぱりアリスはツインテールが似合うよね」
まぁそんなことはどうでもいいのです。
あと一ヶ月と少しとなった誕生日を前に、パーティでの私のドレスをどうしようかという話になりました。今年は、去年までとは比べ物にならないほどの大掛かりなモノにして、
つまり私は、そんな大規模なパーティで、目一杯のおめかしをしなければいけないそうです。これはサーリャよりの嘆願などではなく、ママよりの厳命なので、もう逆らえません。
……その意に氣付かない私でもありません。いよいよもって婚約の日が近づいて来ているのでしょう。
糸を扱うのですから、裁縫チートの範疇に入っていませんかね、釣り。
まぁそんなこともどうでもいいのです。今は。元日本人として、海産物チートはいつかしてみたいというのが本音ではあるけれども、ええ。
「ミアー。ミディアムヘアを少し編み上げハーフアップ~」
「みゅ……ぅゅ」
「ミアー。サイドを結って、くるりんぱー」
「ん、んみゅぅ」
「ミアー。お団子~」
「にゅ……みぅ……」
はー。ミアは何しても可愛い。
くすぐったそうに、恥ずかしそうに頬を赤くするいつもとは違うミアを見ていると、人生の甘美に全身が
「……今日は
おいおいアリス君。
君、今、貴女で遊ぶ日って、全部言っちゃってたよね。
そういう今日のアリスはツインテールなんだけど。
「アリスにゃん、かわいー。うさぎさんみたい」
「あー、そっか、ツインテールって
「……なんだかあまり嬉しくない表現ね」
アリスは、サーリャやミアに正体を隠す必要がなくなってから、日中のお出かけも減り、いつのまにやら私達と長く過ごすようになりました。今も
「えー、いいじゃん、うさぎ、私は猫より可愛いと思うよ?」
「それあたしに喧嘩売ってる!?」
そんなこんなで、今日はみんなで、髪形を色々試してみようって感じの日になりました。
窓際には色とりどりのペチェニアの鉢も飾られていて、華やいだ雰囲氣です。
「ほぅらー、ミアも両サイドをつまんでロップイヤー」
「ゅー……」
「アンタ、妹がなにもかもなすがままにさせてくれるミアちゃんでよかったわね……」
本当は私の髪のみ、試す予定だったのですが、それでは(私が)面白くないので(私が)無理矢理みんなを巻き込みました。
アリスは早々にツインテールがバッチリ決まってしまったので、今はもうスタイリスト兼観戦者側に回っています。戦?
いいですね、赤髪ツインテール。薔薇色ですけど。王道も王道のテンプレです。黒い軍服とも相まって違う世界の人のようです。ロボットアニメとか戦記ファンタジーとか、あの辺の。
是非突然ドイツ語とかロシア語で喋りだしてほしいものです。まぁロボットアニメはさほど見ていませんけどね。見知らぬ天井のアレとか、ワイの歌をきくんやのアレとか、有名どころくらいです。そういえば多少はプレイしたはずのス●ロボの記憶も、なぜだか結構飛んでいます。センシティブ案件だったのでしょうか? 十八禁ゲームでもないのに?
「さって、ひとしきりミアの髪を堪能したところで……そろそろサーリャの番?」
「わ、私ですか!?」
実は、私には、サーリャの見事なハニーブロンドの金髪を見ていて、昔からやってもらいたかった髪型があるのです。
それはズバリ。
「エース●狙え!」
「……は?」
未読ですが、某バタフライな夫人(ルーサーロングじゃない方)の髪型は有名です。昭和とか言うない。名作は世代も世紀も元号すらも超えるのだい。読んでないけど。でもそういえばトップの方の映像の記憶は残っていますね。こっちはええんかい?
まぁあれです。
縦ロールですね。
サーリャはまつげもマスカラ要らずのバッサバッサなので、とても似合いそうです。恐ろしい子っ。
「だがここにパーマ液は無い!」
「パーマ液?」
そう、シャンプーもリンスも、コンディショナーさえもあるこの世界ですが、なんとパーマ液がありません。いえ、パーマを作る美容品はあるのですが……泥です。どこかのなんとかという湖から取り寄せた泥が、この世界……というかこの王国ではパーマ液の代わりになるんだそうです。パーマ液の原材料さえ知っていれば現代知識チートできたのになー。残念。
この泥ですが、扱いが難しく、この王国でパーマをあてようと思うと、専門の職人さんを呼ばないといけなくなります。朝が早そう。まぁ裕福でない男爵家には不要な贅沢ですね。
ましてやサーリャはメイドさんですし。
「というわけで私は考えた」
「お嬢様が私のことを考えて……ぽっ」
「パーマがないならヘアアイロンを作っちゃえばいいじゃない!」
ドーン!
「……どうでもいいけど、さっきから誰に話しかけているの?」
うるさいそこの猫黙れ。今はツイテの美少女だけど。猫は消えた! なぜか!? ロリィになったからさ……。ミームだけ知っているネット社会の闇、いやむしろ闇鍋。
まぁ、ここにきて、
そうです。ためしに縦ロールを作るだけなら、なにも手間隙かけてパーマをする必要はないのです。
文明の利器、ヘアアイロン!
当然構造は知りません。わたくしめは電氣工学? なにそれ美味なるや? という理系でなく文系の学士止まりです。高校の進路希望票では迷わず文系に丸をつけましたよ。
「というわけでアリス、これあっためて」
取り出したるは、表面が滑らかに加工されたミスリルの板……で覆われた太い棒。
ミスリルは錆びにくく軽い、地球でいえばチタンに近い扱いの金属です。研磨したものは銀よりも若干鈍く、青みがかった感じで光ります。同体積なら鉄の五十倍ほどのお値段なんだそうです。
融点は鉄より低く、ですが熱伝導率も低めです。まぁ後者が高すぎると危ないので、今回の場合丁度いいでしょう。
多分、槍の太刀打ち部分(槍先である穂の根元の部分)でしょうか、長さは四十センチほどです。武器庫に、破損して放置されたものと思しきそれらがいくつか転がっていました。他にも、新体操の選手が回しているバトンを少し太くしたような謎の棒とかもありましたが、それは長すぎたのでこちらを選択しています。
そんな、お手ごろな大きさの金属棒を、比較的綺麗なモノの中から、二本ほど拝借して来ました。事前に布で拭いておきましたし、これで準備万端です。多分。私の中では。
長年放置されていたと思われるものの、ミスリルの元々の特性もあって、その滑らかな表面の感触は失われていません。髪を巻いても痛んだりすることはないでしょう。なお、この世界に界面活性剤やコンパウンドはたぶん存在しません。存在してたら金属鏡のクオリティはもっと高いはず。まぁどうせ作れないし、チートにもならないけど。
「……貴女、時々大胆よね」
「……あとで私が返しておきます」
なんだか猫とメイドに呆れられた氣がしますが、これは科学の為なのです。人類の発展のためには、理解のない人々の目にも耐えなければいけません。ガリレオ先輩に花束を。ふぉー、さいえんす!
「で、これを暖めるの? どうして?」
「サーリャの髪をこれに巻く、丁度いい温度に暖める、少し待つ、縦ロール完成。おーけぃ?」
「……色々言いたいことはあるけど、とりあえず丁度いい温度ってどれくらいよ?」
「あ」
そういえばヘアアイロンって何度くらいが適温なのでしょうか。
残念ながら、そういう知識はチートのサービス範囲に入っていなかったようです。
「え、えーと」
「……知らないでやろうとしたの?」
そもそも髪の耐熱温度ってどれくらいなのでしょうか?
某兄の毛髪(及び毛根)消失事件を振り返るに、髪は、あまり高い温度にさらされると燃えるし、融けてしまうっぽいです。
某兄のご冥福は祈りますが、サーリャをアレと同じ扱いにするわけにはいきません。
自分自身を実験台にしてもいいのですが、それはサーリャが止めるでしょうね。隠れてやったら本氣で泣かれそう。
「企画倒れ!」
「……貴女も大概考えなしよね」
も、ってなんだ、も、って。
伝説の軍師様と
そんな感じで、あっという間にお流れになりそうな現代知識チートでしたが……。
「いえやりましょう!」
そこに、メイドさんから待ったが入りました。
「せっかくお嬢様が私のために準備してくださったのです! 私は実験台にも練習台にもなりましょう! この身体! どうぞお使いになさってください!」
「え~?……」
なんかいいセリフ風だけど、今はそういうシリアスパートじゃないからね?
あと、なんか思いついた風だから絶対裏があるよね?
「本音は?」
「メイド服が可愛かったので、髪もティナ様が望まれるままの姿になりたいです」
本音も大概だった!
「いやいやいや、サーリャに火傷なんて負わせたら私が一生後悔するわ」
「ティナ様……そこまで私のことを……じーん」
「軽度の火傷くらいならあたしが治せるよ?」
「……まじで?」
どんだけ有能なんだアリス。
なんかこの子、ミアとサーリャの前でも人間でいるようになってから、色々なことに、意外と参加したがりなんだよね。おしゃべりにも、こういうおふざけにも。
あとキラキラした目で私を見つめているサーリャさんや、帰ってこーい。
「あんまり深い傷になるとすぐには治せないし、完治しちゃった傷も治せないけど」
「そういえば、私の背中の傷痕は治せないんだっけ」
「んー……。回復魔法って、自分にかけるのと他人にかけるのとでは難易度が段違いなの。自分の傷を治す方が圧倒的に楽。自分の傷なら、胴体の上下が生き別れとかにでもならないかぎりは、それが致命傷であっても一瞬かそれに近いスピードで治すことができるのね。でも、誰かにかけるなら一瞬で治せるのはかすり傷程度まで。それ以上は……塞ぐだけならすぐだけど、痕も残らないよう完治させるなら……まぁそこそこ日数がかかるかな。昔は仲間の手を借りて、もう少し凄いこともできたんだけどね」
「ありすにゃん、しゅごーい」
なにその某四部のクレイジなーダイ●モンドの逆バージョンみたいなの。
「じゃあ鎧をフル装備して、二階の高さから飛び降りて、両足バッキバキに骨折した場合だと?」
「……なにその拷問みたいなの」
「……お父さん」
某クソ兄貴が生前、メイドさんの身内にさせたことですよ。お前は騎士だろ? 馬から落ちても死なない身体か確かめてやる……とか何とかぬかして。
「足以外は無事? 腰とか」
「それは大丈夫だったみたい……じゃなくて無事だった想定で」
「なら……そうねぇ、とりあえず形を整えるのに数時間、そこから後遺症も何も残らないように、綺麗に治すまでで……半月くらい?」
確かサーリャのお父さんは、隊に復帰するまでで二ヶ月くらい、完全復帰までは三ヶ月くらいかかったはず。魔法なら六分の一か。
凄いけど……回復魔法と聞いて日本人がイメージするモノとは少し違うなぁ。
「同じ想定で、自分自身にかける場合だと?」
「あたしならその状況下でも怪我ひとつしないと思うけど……同じ怪我をしたって想定よね? なら一瞬。秒で治す」
「なんと」
『魔法は、他人の肉体に直接的影響を及ぼすことを不得手としていますからね』
確かに、アリスからも女史さんからも、そんなことを聞かされてきた氣がしますが、そんなに違うんだ?
「えっと……それはアリスが回復魔法を得意じゃないから?」
ゲームみたいに、HP
「なめてんの? 確かに得意とはいえないけど、それでもそこら辺の人間の魔法使いには負けないわよ? ママには負けるかもしれないけど、私はこれでも凄い魔法使いなのっ」
「今はそこら辺に人間の魔法使いがいないからなぁ……」
これに関しては深刻な比較対象不足ですね。小説だったら「異常なものを描く時は、前提としてその世界における普通の基準を事前に示しましょう」と採点される感じ。そういえばラノベの小説賞は、ほとんどが魔法少女モノを一瞬で落とすってホントのことなんでしょうか。魔法少女モノと書かれたボックスがあって、審査員が「あ、これ魔法少女モノか」って判断した時点でそっちに投げ捨てられるとかどうとか。まど●マギ以降は若干変わって、でもやっぱり戻ったとかどうとか。魔法少女(違)に憧れる(違)私としては寂しい限りです。
「だから魔法で他人の肉体の中身をどうこうするのは難しいの! それは呪いの領分! 大体、魔法がそんなに万能だったら、エルフが人間なんかに負けるわけないでしょう……」
「……ごめん」
アリスが、投げ捨てられた魔法少女……ならぬ、捨てられた子犬みたいにシュンとした顔になる。
そんなアリスを見ていて、最近、なんとなく思う。
アリスはハーフエルフで人間の血も入っているけど、どちらかといえばエルフよりの考え方をしてるんじゃないかなぁ……って。エルフ贔屓といってもいいかも。
まぁ猫に変身しなければ表も出歩けない生活をしていれば、どうしてもそうなってしまうのかもしれない。病院で辛い闘病生活を送っていれば、窓の下に蠢く人や車の群れが異物に見えてくるのと同じように。
……人間に化ける氣はないのかな?
「とにかくっ! ちょっとくらい火傷してもあたしが跡形も無く治せるわよ。……水ぶくれができる程度までならね」
「やりましょうティナ様!」
「いやいやいや、治せても火傷したとき熱いでしょ! 痛いでしょ!」
「ティナ様のお手自ら与えられるものであれば苦痛もご褒美です!」
「ドMかっ!?」
やべぇなんかサーリャのテンションが高い。
やだなにこの子……キラキラした瞳のまんま、ミスリル棒を愛おしそうにニギニギしちゃってるんだけど。
これって絶対裏の裏があるなぁ……。なんだろう。
あとホント、アリスもグイグイくるなー。回復魔法なんか、使わずにすむのが一番なんだけど。
「はぁ……ホントに火傷しても知らないからね?」
まぁいいや、やる氣な二人を消沈させるというのも、それはそれで面倒だし……私もサーリャの縦ロール姿は見てみたいし。
失敗をリカバーできる環境があるというなら、挑戦してみようではないですか。
……縦ロール、どっちかっていうと、Sキャラ向きだった氣がするんだけどなぁ。
ここから10日ほど毎日23時更新になります。ホワイトデー以降は不明。