小柄なTSオレっ娘が幸せを分からされちゃうお話の序章【R-15】 作:いま、あなたの背後で朝おん魔法唱えてる人
オリジナル:ファンタジー/冒険・バトル
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北の大国、神聖ファルギア帝国――の友好国の辺境領主と交流がある小国の都。こじんまりとした地方都市という様相だが、曲がりなりにも国政の中心というだけあって、大通りを中心に朝から晩まで賑わいが絶えない。
「おじさん。あと、その右にあるお肉を二つお願い!」
「あいよー。未来の別嬪さんには
「やった! いつもありがとっ」
キラリと輝く頭頂……ではなく、良い笑顔。ここの肉屋のおっさんには毎度のようにサービスしてもらっているのだ。黒鉄熊はこの地域だとありきたりな獲物だが、美少女の武器を用いて勝ち取ったとなれば嬉しいもの。ただ飯、
◇ ◇ ◇ ◇
並木から零れる日差しの舞う小路。小洒落た手摺りを越えた先、滑らかなガラスのように光る水面に映る少女がいる。肩まで伸びた金糸のような髪がさらりと
「お母さん……あの姉ちゃん、さっきからなんか変な呪文唱えてるよ。フシンシャだよ、フシンシャ!」
「しっ! 目を合わせてはいけません。いい子だからあっち行きましょうねぇ」
……。
ごめんなさい少し調子に乗りました。秋晴れの穏やかな空気に惑わされただけなんです。だから衛兵さんは呼ばないで、こちらを指差す
些細なことでも彼らと関わるのは厄介だ。なぜなら冒険者という立場はとても微妙なものだから。剣と魔法の世界の冒険者といえば、前世では
そう、前世。ごくありふれた男子高校生だったと思う。だが
そもそも、貧民街のど真ん中の捨て子に幼女転生とか難易度高すぎじゃないか。偶々見回りをしていた孤児院の爺さんに拾われなかったらどうなっていたことやら。
ん、チートスキル? 転生者特典? ……人には、触れちゃあいけない過去というのがあるのさ。
とはいえ、冒険者として不自由せずに過ごしている現在を考えると、最低限の運はあったのだろうか。今世の故郷はそれほど離れているわけでもないから、久方ぶりに顔を見せに行くのもいいかもしれないな。
そんなことを考えながら、拠点としている宿への歩みを進める。
◇ ◇ ◇ ◇
“冒険者たるもの日出づる前に行動を始め、日没する前に休息場所を確保すべし”
魔法や科学の発達したご時世とはいえ、有力国家の勢力圏から外れれば、人の手が全く入っていない、前人未踏と言えるような場所ばかりである。得てして冒険者と呼ばれる者たちの
世界各地に点在する冒険者ギルド。そこで冒険者登録をした際に配布される『冒険者の心得』に、先の一節が今でも教則の一つとして残っているのはそんな理由である。
だからこそ、オレは目の前の光景にため息をつかざるを得ない。
太陽が昇って数時間が経っている。
冒険者相手としては上等な部類に属する宿屋の二人部屋。ふかふかベッドの上で惰眠を貪る大男――冒険者としてオレとともに活動しているレヴィクスという名の青年だ。
ここ最近、件の大男は拠点としている都市へ戻るとすぐ色街に消える。そして明け方になって漸く宿へ戻ったと思えば昼前まで寝ている、という行動パターンが週の半分を占めている。出会った頃は色街に通う姿なんて見かけなかったのに、ここ2~3年でその頻度がどんどん増えていった。…………熱意と探求心に満ちた冒険者は記憶の彼方へ旅立ってしまったのだ。
まあレヴィクスは冒険者として腕が立つ方だから、こんな生活でも無理せずやっていけている。
しかし、いつ何が起こるかわからないのが冒険者生活なわけで。
ちなみにその実力はといえば、本人曰く、超大国の一つである「神聖ファルギアの正規騎士にならないかと推薦を受けた」ほどのレベル。魔導帝国ゲイトランド*1やアビアス帝国*2といった超大国の正規騎士は、オークやトロールみたいな大型魔物を
さて。その素晴らしい冒険者は今、どうしているかというと……。
「レヴィ、起きてよ。もうすぐ昼前だよ?」
「……あ゙ぁ、ぁ……今日は眠いんだよ……」
ぐーすかぴー、zzZ。夢の国に延々と滞在するニート野郎は、どうやら出国手続きが遅々として進まない模様。
「いつも今日みたく寝てるでしょうが」
「…………。ん、ぅ……今日も、眠いんだよ」
「言い直すなッ!」
この微妙な間。何か言い訳を考えようとしたけど面倒になって言い直すに留めたとみた。
それはさておき。太陽が高く昇ってから、このぐーたらダメ人間を現実へ叩き戻すのがここ最近のルーチンとなっている。昼前に叩き起こすのは彼に対する現実世界からの最後通牒といえよう。
むっ、なんか≪最後通牒≫って
いつもはここで引き下がって放置するが、今週は今日を除いて六日もこんな生活。毎日がエブリデイという言葉が頭をよぎる。
このままじゃ色街ニート街道一直線だ!
というわけで今日という今日は許さん。健全な
「おらぁっ、起きろぉッー!」
ぽふっ。
……。
勢いをつけて飛び乗ったはいいものの、オレの小柄な身体じゃ効果がなかったようだ。戦闘では頼りになる鉄壁の防御力が、
「――これ以上、我慢できねえ」
レヴィクスが何やら意味深なことを呟いた瞬間、視界がグルリと反転していた。
「ふぇ?」
は? えぇ??
そして、ヌッと腕が出てきたかと思えば、温かい布団の中に取り込まれた。突然のことに困惑していると、夢と現の境界を漂っているはずだったレヴィクスの顔が、目の前に迫ってきて――
「――んむぅ!? ……んんっ!? …………むぅ、んぅむぅッ!」
!!??? あろうことか、
「はぁ、はぁ……。い、いきなり何するのさッ!」
「今日が何の日か知ってるか?」
数十秒に及ぶ接吻が終わっておもむろに口を開いたかと思えば、
「知るかバカッ! そんなことより――んぅっ!?」
ああ、もう! また、唇をふさがれた。何をしやがるのだ、この色街ニート大魔王は! と怨嗟の念を込めて睨もうとした瞬間、突如として侵入してきたレヴィクスの舌が咥内を好き放題に暴れ出した。
「……んっ、んんぅー! …………んむぅぅ! …………ん、んふぅうぅ……」
あれ? ヤバい、これヤバい。なんだか頭がぽーっとしてくる。レヴィの匂いが口の中から広がって、なんだか身体が熱くなって――おかしい、おかしい! オレは男で、男がオトコなのに? 目の前の魔王も男で、キスなんて。あれ? あれれ?
アーーーーッ!?
はじめまして。いま、あなたの背後で朝おん魔法唱えてる人です。
ご覧いただきありがとうございました。
微粒子にも満たない可能性で続いたとしたら、ハートフルな(R-18)展開がやって来そうですね(´・ω・`)