憑依円堂列伝〜TS娘と時々未来人〜   作:花蕾

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お気に入り1000人突破ありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです。これからも憑依円堂列伝をよろしくお願いいたします!


勇気

 ゴールに突き刺さったボールを呆然と見る俺の耳にホイッスルの音が届く。それに合わせ視線を上げると、6-6から7-6へとちょうど表記が変わる。

 

「試合終了!!7対6、雷門の勝利だぁぁぁぁぁ!!」

 

「はは……勝った……勝ったぞー!!」

 

 自陣コート中央で集まり、皆んなでハイタッチなどをして勝利の喜びを分かち合う。あの絶望的な状況からどうしたものか、と思ったがなんとかなってよかった。

 

「バダップ!」

 

 バダップたちに声を掛ける。この試合での敗北が任務失敗を意味する彼らの表情は暗い。

 

「すごい試合だったな。またサッカーやろうぜ」

 

「その呪文を俺たちにもかけるのか!」

 

「呪文?そんな変なこと言ったか?」

 

「貴様のその呪文のせいで未来の人間を弱体化させ、戦う事を忘れさせてしまった!だから俺たちは未来を変えようとしたのだ!」

 

 どういう理論だ、それは。

 

「というか、大切なのは戦うことそのものじゃないんじゃないか?」

 

「何を言って……!」

 

「俺が思うに、よりよい明日のために強大な敵と戦うための勇気、これが大事だと思うんだ。そして、一緒についてきてくれる仲間がいれば何倍も強くなれる。そういうもんじゃないかな」

 

 その言葉を聞きバダップの脳裏に思い浮かんだのは、過酷な競争の中で富国のため切磋琢磨し合った同期達の姿だった。そこで、バダップは己の間違いをようやく理解した。

 

(勇気……仲間……そうか、俺たちに本当に必要だったのは……)

 

「円堂守、俺たちは今からでも間に合うのだろうか」

 

「間に合うさ。諦めずに前を進み続ければ必ず」

 

「そうか、きっとそうなのだろうな。感謝する、円堂守」

 

「おう」

 

 俺がバダップの差し出した右手に応えようとした瞬間、上空から光の壁が現れ阻まれる。おそらくだが、オーガの上層部による強制転移のためのものだろう。

 

「バダップ!俺は何十年でもいつまでも待ってるから、だからまた!」

 

「ああ、勿論だ。またやろう」

 

 そう言って笑みを浮かべて彼らは去っていった。八十年後の未来、俺がその時どうなってるかわからない。それでもきっと彼らとボールを追いかけている、そんな気がした。

 

「曾祖父ちゃん!」

 

「カノン!」

 

 呼ばれカノンの方に行くと、そこにはカノンと平行世界から助けに来てくれた加賀美、亜門、織部がいた。彼らもまたここから去らなければならない時が近づいているのだろう。

 

「みんなもありがとな。本当に助かった!」

 

「ああ、次はキーパーとしてのお前と対決させてもらうぞ」

 

「これからも大変だろうから頑張れよ。まあ、大方分かっていると思うけど」

 

「今度は普通にサッカーしよう」

 

 加賀美からは対決のお誘い、亜門からは激励、織部からはプレイの約束の言葉が返ってくる。それに対する返答は決まっている。

 

「ああ、またやろうぜ、サッカー!」

 

 そして、青白い光の柱が現れその中に加賀美たちが入っていく。バダップたちとは違い異なる世界線からやってきた彼ら、再会するのは非常に困難なことだ。それでも一緒にプレイしてできた繋がり、絆がある。だから、そんな困難もへっちゃらで乗り越えられるはずだ。

 

「曾祖父ちゃん、俺一緒にプレイできて嬉しかったよ」

 

「ああ、俺もだ……ところで、曾孫が生まれてるってことは俺が結婚してるってことでその相手は……」

 

 俺がそう聞くと、カノンは気まずそうに女性陣に視線を送りながら、あーそのー、と繰り返す。

 

「ま、まあ、そういうことだから頑張ってね、曾祖父ちゃん、じゃあね!」

 

「そういうことって、どういうことだ!?お、おい!」

 

 一気に捲し立てこちらの静止を振り切りカノンは光柱に飛び込んでいく。まあ、答えられなかった理由は未来のことを無闇に教えてはいけないとかいう事情があるのだろう。

 

「ったく、じゃあな、カノン!」

 

「うん、曾祖父ちゃん!俺、曾祖父ちゃんと一緒にプレイできてよかった!」

 

 そう言って手をブンブンと振るカノン。さらに、カノンほどではないが加賀美、亜門、織部もこちらに手を振っていた。それに小さな笑みを浮かべて手を振り返す。その手の振り合いはカノン達の姿がなくなるまで続いたのだった。

 

「いったな」

 

「そうだな」

 

 カノン達が消えていった空をじっと見上げる俺の隣に豪炎寺が立つ。同じように空を見上げ、フッといつものように笑い俺の肩を叩く。

 

「いつまでしてんだ、いくぞ」

 

「ん、おう」

 

 我に返り、いつのまにか起こっていた喝采を聞きながら慌てて豪炎寺の後を追う。その先には風丸や染岡たちが待っていた。

 

「おーい、はやくこいよ円堂!」

 

「そうですよ、写真撮影始まっちゃいますよ!」

 

「わかった。今すぐ行く!」

 

 こうして、日本一を決めるフットボールフロンティアは幕を閉じた。雷門中サッカー部の新たな伝説の1ページが紡がれたのだった。

 

 そして、これから降りかかるオーガ以上の脅威をまだその時の俺は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【?????】

 

 どこかも時間軸すらわからない空間に少女と少年たちがいた。彼らの中心にある丸い物体には、先程までの試合が映し出されていた。

 

「恐怖は人から心の力を奪う……そんなサッカーはなくなさなくては……」

 

 世界の片隅で花が枯れた。




というわけで、フットボールフロンティア編&オーガ編&コラボ編完結です!

今回、コラボしてくださったあーくわん様、ウボァー様、低次元の領域様、ありがとうございました。御三方とコラボすることができ本当に良かったです。
御三方の作品はどれも良いものなので読まれてない方がいましたら是非読んでみてください!

Re:雷鳴は光り轟く、仲間と共に(作:あーくわん様)
URL:https://syosetu.org/novel/263086/

超次元な世界では勘違いも超次元なのか?(作:ウボァー様)
URL:https://syosetu.org/novel/260587/

かき集めた部員が超次元な奴ばかりだった件について(作:低次元の領域様)
URL:https://syosetu.org/novel/195158/



次回からはエイリア学園編です。今話のラストの彼女たちがどう関わってくるかなども期待していただけたらな、と思います。

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