死は突然だ。
あれほど手に入らなかったプレイステーション5。
あれの店頭販売が近くの電気店で始まると噂を聞いて、学校を休んでまで長蛇の列。
そして、俺は晴れてプレイステーション5を手に入れたのだ。
途中、前の奴が何個かまとめ買いしようとして店員と揉めていたのであっ、これなくなるかなっ?と思っていたが、無事に買う事が出来た。
滅茶苦茶嬉しかった。
転売屋が跋扈し、そもそも未だ生産台数も少ないこのゲーム機だ。
これが買えた時点で、俺は一握りの人間に入っていると言っても過言ではなかった。
要するに有頂天になって浮かれていたんだ。
その頃はおっしゃあああああ!!!最後尾の連中は買えずに物売るってレベルじゃねーぞとか言って発狂してるんだな!!!
そう思って横断歩道を渡ろうとした。
その時に、視界に光が迫ってきたと思えば、視界に満点の空。
深刻な顔でこちらに近づきながら携帯電話を耳に当てている人。
しかしそんなことより...俺にとってはプレイステーション5が無事かが気になったのだ。
そんなこと考えて、自分の命に真摯に向き合わなかったツケだろうか?
今、俺は.......。
「お前、物売るっていうレベルじゃねぇぞ!!おい、店員なんとかしろよぉ!!!!」
「ひぃ!だ、誰か....レベル1以上の店員を呼んできますから.....!」
俺は今、学園都市で暮らしています。
どうですか?お母さん、息子は今...コンビニのバイトの子にキレ散らかしてますよ。
頭抱えそうな光景だけど、しょうがないんです。
僕は今....自然と身体がこういうクレーマーみたいな行動や態度を取ってしまうんです....。
隙あらば語録が口から飛び出してくるんです....。
マジでどうしよ....。
◇
「はぁ....あなた、これで何回目ですの?いい加減、わたくしも勘弁してほしいですわ。」
「なんだよぉ!!じゃあお前がなんとかしろよぉ!!」
ベンチに座る俺に呆れた顔でそう言ってくるお嬢様っぽい女の子。
そんな彼女に対して吼える俺。
なんで自分がこんな非常識的な行いをしているのか分からない。
頭がどうにかなりそうだった。
すると目の前の少女も頭を抱える。
「あなたねぇ....なぜレベル0の店員を前にして怒り始めるんですの?それに毎回相手は面識がない....どうやってレベル0の子を割り出しているか聞いても勘の一点張りで、身辺調査しても怪しい所は一切ない。まるでわたくしたちジャッジメントに対する嫌がらせみたいな存在ですのよ、あなた?今回も何か事件があったみたいだから飛んできたらあなたで....わたくし、あなたに会う度に始末書書かされているんですのよ、わかってまして?」
そう渋い顔で言ってくる少女。
彼女の腕には風紀委員の腕章。
常盤台中学一年生の白井黒子。
能力は『空間移動』。
所謂テレポートできるって奴だな。
彼女は苦言を呈しているが、はっきり言ってどうしようもない。
俺はクレームを言いたくて言っているのではないのだ。
身体が勝手にクレームを言っているのだ。
それに、始末書を書くのははっきり言って俺関係ないでしょ。
僕関係なしに始末書書いているはずだ。
確か彼女は劇中でも始末書書くのが趣味のレベルと言われていたはずだ。
「関係ねぇよ!始末書なんかよぉ!」
「はぁ....あくまで開き直るのですのね。とにかく一緒に来てもらいますわ!よろしいですわね!?」
そう言って拘束した俺の腕を取る。
まぁ態々ここでごねたり逃げようとして目の前の彼女に痛い目に遭わせられるのは御免だ。
ここは俺が悪いわけだし、素直に従おう。
そう思い、彼女が引っ張るのに従って立ち上がる。
「....あなた、毎回随分と素直ですわね。本当....意味が分かりませんわ。」
そう言いながらも、彼女は縄を引いた。
そして背後の俺を一瞥して、口を開いた。
「....無能力者に対する差別、レッテル。そんなものはあてにならない....今の学園都市の治安、その原因でもありますのよ。今度こそ、そのことを深く心に刻んで欲しい物ですわね。」
その顔は少し悲しそうな顔をしていた。
まぁ、この学園都市が治安悪い原因の一つでもあるからな。
レベルによる差別が確かに行われているのは。
でもね、毎度そんな神妙に言われてもどうしようもないんですわ。
毎回レベル0の子が店頭に立っているだけでクレームを言ってしまう身体なんですよ。
はぁ~あほくさ。
マジで誰かなんとかしてくれよ.....。
心中で項垂れながらも、彼女の先導に従う。
周りの人達はちらちらと連行されていく俺を見ていた。
お店の人、迷惑かけてすみませんでした....。
もう二度とその店には入りませんから.....許してください.....。
そう店の人に心の中で謝罪するのだった。
◇
夜。
説教を受けて、学校の人も来て反省文を書いていたらもうこんな時間になっていた。
ちなみに、白井さんは俺よりも多くの反省文を書いているらしい。
いつもお疲れ様である。
まぁ自分から学外の事件に首突っ込むとか言う越権行為が原因なのだから、自業自得とも言えるが。
でもまぁ、それは彼女の罪無き市民の為なら、自分がどうなろうとも厭わない性格が要因である為、一概に悪いとも言えないが....
「(俺は)分かったような口利くレベルじゃねぇぞ!!」
まぁ確かに口が動いた通り、俺は別段あの子と仲が良いわけじゃない。
よくあの子に補導されるから知っているだけで性格もラノベ読んでたから知ってるだけだ。
それなのに分かったような口を聞くのはどうかと思う。
そう自戒していると、なにやら建物の隙間。
人の手が一瞬見えた。
....まぁよくあることだ。
この学園都市、実際治安悪いし。
能力を持っているからと言って増長する奴も居れば、能力がないのが理由で迫害されたことで能力者や学園都市に対して悪感情を抱いている者。
もちろんすごくいい人達も居る。
それでも光があれば闇があるようにそのような面があるのは事実なのだ。
ああいう路地裏ではよくそういう恐喝とか暴行が行われていたりする。
...まぁ、俺の家の近くが治安悪いだけなのかもしれないけど。
その路地裏を通りかかる。
通りすがりに横目で路地裏を見た。
...まぁ、なんか予想通り。
気弱そうな男の子を厳つい兄ちゃんたちが囲んでいた。
...どうしようか。
正直、面倒事に関わりたくないのが本音である。
ただその時、ふと彼らの声が聞こえた。
「レベル0には俺たち能力者の言う事聞くしかねぇんだよ、なんも出来ない欠陥品なんだからさぁ!」
「あぁ?良いのか?オラァ、この手くっつけて顔焼いてやってもいいんだぜw」
そういえば、白井さんにレベル0やレッテルがどうたら説教されたな。
確か肝に銘じろとか。
....まぁ銘じているって証明の為にも、人助けをしてみても良いのかもしれない。
「....なんとかしてやるよ。」
路地裏の中に足を踏み入れる。
「...あン?なんだおめぇ....」
「取り込み中って分かんねぇのかよ。」
こちらにガンくれる兄ちゃんたち。
ご丁寧にも手の炎を見せてくる。
話している内容的にどちらも能力者だとは思うが、片方の能力が分からない。
「何黙ってんだよ...もしかしてビビってんのかぁ?これ見てよぉ?」
「へへっ、コイツもレベル0なんじゃねぇの?だとしたら爆笑物だよなぁ!?レベル0ってのは正義面してこんな風に態々ボコられにくるってことだもんなぁ?自分の身の丈も弁えずによぉ!」
なんか粋がった感じで笑っている彼ら。
正直見ていてストレスが溜まる顔だが、まぁいいや。
ストレスなんか己の行動と喋り方でいつも溜まっている。
それに彼らだって日頃のストレスが溜まっているからこんなことしているのだ。
先生に怒られたり、親に叱られたり、不注意で側溝の泥に足突っ込んじゃったり....
そういう累積したストレスに耐えられない弱い人間だから他者にそれをぶつけているに違いない。
だからまぁ.....。
「お前ら....イキがるほど大したレベルじゃねぇぞ......。」
「あぁっ!?ンだとぉテメェ!!!」
一人が足を踏み出してきた。
まぁいいや...もう間合いには入っているし。
今日どんな嫌な事があったかな.....
まず教科書の準備する時に紙で指切った、毎度この体質のせいで補導されまくったからか、問題児扱いで学校でも浮いている。違う店で二回くらい無能力者の何も悪くないバイトの子にキレ散らかしていた。
それで白井さんに連行された。
説教もされるわ、反省文を書かされた。
そんでもって不良二人に無能力者じゃね?みたいな感じで軽んじられて馬鹿にされた。
嫌なこと沢山あるな。
沢山あるからこそ、俺は多分負けんわ。
「うっ...おえっ.....ヒッ....なんで.....なんで今こんなこと思い出して....うおえっ.......」
「い、いやだ....考えさせんな....考えさせんなぁ!おえぇぇぇええええ!!!!...うっ!!!」
二人はゲボ吐いたり、泡吹いてぶっ倒れたりと散々な様子だ。
それを驚いた様子で見る男の子。
____《
それが俺の能力。
本来は日々累積して溜まるストレス。
それを俺のストレスと相手の日頃溜まっているストレスを合わせて相手に一気にぶつけることで精神的に攻撃するって能力だ。
ストレスというのは人間にとってはとてつもない影響力を持つ。
ストレスが原因で早死にする人が居たりもするのだから当然だ。
なんか共感能力の卓越とか研究者の人(信用できない大人)は言っていた。
現代社会はただでさえストレスが溜まる。
ましてやここは学園都市。
位階で分けられているような場所だ。
ストレスは滅茶苦茶たまるだろう。
累積して溜まっていたからこそ許容出来たストレスを一気にかけられたら壊れるに決まっている。
つまりは、現代社会の人間で俺に敵う人なんてなんかレベル5くらいのとんでもないの以外なら居ない...はずだ。
うん。
一概には言えんわ、だってこの世界インフレしてるし。
でも街中で普通にエンカウントする能力者なら居ないはずや。
つまり、貴様らの敗北は決まっていたというわけだ。
馬鹿にされたからこそ、こういう決め台詞を言いたい。
でも....。
「弱いもの虐めするっていうレベルじゃねぇぞ!おい、ジャッジメントなんとかしろよぉ!!」
そうだね、俺はこれしか喋れなかったね。
カッコつける権利すら俺にはなかった。
いきなり叫ぶ俺にびくつきつつも、男の子は俺に頭を下げる。
「あ、ありがとう....ございます。」
そう言って走り去っていった。
...さて、コイツ等が起き上がって来る前に俺もとんずらしますか。
そう思い、路地裏を出るとダッシュで家に帰っていった。
おい!店員なんとかしろよぉ!マジでよぉ
物売るっていうレベルじゃねぇぞ!
関係ねぇよ列なんかよぉ!
この3つに付け足す、もしくは抜いたり組み替えたりしたセリフしか言えません。
素材が圧倒的に足りません。