異世界転生したけどチートなかった   作:名枕(ナマクラ)

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6/20 第二巻発売しました。よろしくお願いいたします。


書籍2巻発売記念SS「教えて!C-EL先生」2時間目

 またまた始まりました。『教えて! C-EL先生』のお時間です。

 

「あれ!? なんだここ!?」

「またおかしなことをやっているね」

「貴様は何をやっているのだ」

 

 今の俺は、謎の指導教官『C』である。なのでC-EL先生、あるいは先生と呼ぶように。

 簡単に説明すると、これはデッドエンドに迷い込んだアル君を救済すべく色々な知識を授けるためのコーナーとなっております。

 

「いや、アルは死んでないが」

「というかそのアルすらいないんだけど」

「企画倒れじゃないか」

 

 ちなみに今の時間軸は単行本2巻の範囲内なのであしからず。

 

「貴様は何を言っているのだ?」

 

 今回は、うーん……何について話すべきか……

 

「この計画性のなさよ……」

「ならエルフの森の三賢者についてはどうだ?」

「もしくは都市伝説の幼怪についてはどうかな?」

 

 うーん、その辺りは別の所で語られている気もするし……そうだ、魔導都市にて生まれたとされる、あるモノの起源について説明していこう。

 

 かつて、魔導都市が今のように特権的な立場になかった頃、世界中で国による焚書や検閲が一般的に行われていて、当然この魔導都市でも同様だった中で、一人の男、あるいは女がある活動をしていた。

 それは、当時検閲対象であった内容の本を自作して売りさばくことであった。

 製紙技術がまだ発展途上だった当時、相当高価な本を、秘密裏にとはいえ多く売り配る。それは文才だけでなく資産と伝手が必要な行為であり、それだけでそれなりの地位にいた人物であると予想される。

 その地位と命を失うリスクを負ってなお本を広めようとした辺り、魔導都市の『知』へのこだわりがすでに垣間見えているな。

 

「身の危険があろうとも知識の伝承に命を賭けるか……一体何者なのだ?」

 

 それは今なお判明していない。ただ、彼、あるいは彼女は自身を『ソリッド』と名乗っていたそうだ。

 

 大規模な検閲や焚書がなくなった今でもそういった文化は根付いており、自費にて作られるページ数の少なめの本が売買される即売会が、ソリッドがよく現れていたらしいウス地区にて、一種の祭り・イベントとして開催されるほどである。

 そのイベントで販売される自作の本は、その起源である謎の人物、あるいは地区から取って『ソリッド・ブック』だったり『ウス異本』と呼ばれる。

 

「成程。本一つとっても人の想いと信念から成る歴史が存在するというわけか……」

「えーっと、色々と語ってたけど、ぶっちゃけて言えばエロ本のことだよ」

「エッ!?」

「今までの話が台無しではないか!」

 

 エロはいいね。エロは心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。

 

「阿呆が! そんなもので発散するくらいなら、相手と番って子どもを作れ!」

「ボクが言うのもなんだけど、女の子がそんなストレートに言い放っていいのかい?」

僕ら(エルフ)の価値観としては、どっちかと言えば『産めよ増やせよ』だからね……」

 

 バカ野郎! 相手がいるやつばかりだと思うな! というかそもそもこういうエロというのは単純に相手がいれば必要ないというものではないものであって……

 

「言い訳がやけに早口だね」

「……何を言っている? 貴様はモテる側だろう?」

 

 ひょ?

 

「森の歩き方を熟知しており、狩りの腕もいい。その他多くの技能を所持していて、食い扶持を稼ぐには事欠かない。引く手あまたではないか」

 

 おっと、なんか予想外に高評価だぞ、俺。

 あのミラがここまで言うってことは、つまりエルフの価値観的に、俺は優良物件ってコトォ……!?

 

「まあ、要素だけあげればそうなんじゃないか? 要素だけあげれば」

 

 何か引っかかる言い方だが、ミラだけでなくテルもそう言うなら間違いないのだろう。しかしそれが本当であれば、俺はエルフハーレムだって作れるということでは……?

 

「いいのかい? 冷静に考えてみなよ。その先は間違いなく人生の墓場だぞ」

 

 ……っ!? そ、そうか。モテるって言ってもあくまで労働力として、生活のためであって、別に酒池肉林のモテモテハーレムが築けるって話じゃないのか……!?

 

「当たり前だろう。そもそも多才であろうと、働かずに女遊びに呆けられるわけがない。交尾がしたいのならそれ相応の責務を負うのは当然のことっ!」

「あの、姉さん? 年頃の女性がそういうことを明け透けに言うのは、ちょっとやめた方が……」

 

 ……待てよ。ハーレムに関して特に言及がないということは、エルフとしては重婚だったり一夫多妻はありということ……?

 

「ありだぞ。きちんと全員が納得して、その全員を養えるのならばな」

 

 おおぉ……! やめてくれ、男のロマンと現実を一度に叩きつけてくるのは……!

 

「男のロマンとやらもいいが、それも現実ありきだろう。現実から目を逸らすな」

 

 やめてくれミラ。その言葉は俺に効く。やめてくれ。

 

「自覚があるのならばなおさらだ。己を磨き、相手を作る努力をだな……」

 

 ………………おっと、そろそろお時間ですね。

 今回はこの辺りでおしまいになります。また次回をお楽しみに~

 

「おい、まだ話は途中だぞ」

「逃げたね」

「ところでアルの救済コーナーって言ってたけど、この知識で助かる窮地ってなんなのさ?」

 




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