異世界転生したけどチートなかった   作:名枕(ナマクラ)

57 / 57
6/20 第二巻発売しました。よろしくお願いいたします。


書籍2巻発売記念SS「教えて!C-EL先生」2時間目

 またまた始まりました。『教えて! C-EL先生』のお時間です。

 

「あれ!? なんだここ!?」

「またおかしなことをやっているね」

「貴様は何をやっているのだ」

 

 今の俺は、謎の指導教官『C』である。なのでC-EL先生、あるいは先生と呼ぶように。

 簡単に説明すると、これはデッドエンドに迷い込んだアル君を救済すべく色々な知識を授けるためのコーナーとなっております。

 

「いや、アルは死んでないが」

「というかそのアルすらいないんだけど」

「企画倒れじゃないか」

 

 ちなみに今の時間軸は単行本2巻の範囲内なのであしからず。

 

「貴様は何を言っているのだ?」

 

 今回は、うーん……何について話すべきか……

 

「この計画性のなさよ……」

「ならエルフの森の三賢者についてはどうだ?」

「もしくは都市伝説の幼怪についてはどうかな?」

 

 うーん、その辺りは別の所で語られている気もするし……そうだ、魔導都市にて生まれたとされる、あるモノの起源について説明していこう。

 

 かつて、魔導都市が今のように特権的な立場になかった頃、世界中で国による焚書や検閲が一般的に行われていて、当然この魔導都市でも同様だった中で、一人の男、あるいは女がある活動をしていた。

 それは、当時検閲対象であった内容の本を自作して売りさばくことであった。

 製紙技術がまだ発展途上だった当時、相当高価な本を、秘密裏にとはいえ多く売り配る。それは文才だけでなく資産と伝手が必要な行為であり、それだけでそれなりの地位にいた人物であると予想される。

 その地位と命を失うリスクを負ってなお本を広めようとした辺り、魔導都市の『知』へのこだわりがすでに垣間見えているな。

 

「身の危険があろうとも知識の伝承に命を賭けるか……一体何者なのだ?」

 

 それは今なお判明していない。ただ、彼、あるいは彼女は自身を『ソリッド』と名乗っていたそうだ。

 

 大規模な検閲や焚書がなくなった今でもそういった文化は根付いており、自費にて作られるページ数の少なめの本が売買される即売会が、ソリッドがよく現れていたらしいウス地区にて、一種の祭り・イベントとして開催されるほどである。

 そのイベントで販売される自作の本は、その起源である謎の人物、あるいは地区から取って『ソリッド・ブック』だったり『ウス異本』と呼ばれる。

 

「成程。本一つとっても人の想いと信念から成る歴史が存在するというわけか……」

「えーっと、色々と語ってたけど、ぶっちゃけて言えばエロ本のことだよ」

「エッ!?」

「今までの話が台無しではないか!」

 

 エロはいいね。エロは心を潤してくれる。リリンの生み出した文化の極みだよ。

 

「阿呆が! そんなもので発散するくらいなら、相手と番って子どもを作れ!」

「ボクが言うのもなんだけど、女の子がそんなストレートに言い放っていいのかい?」

僕ら(エルフ)の価値観としては、どっちかと言えば『産めよ増やせよ』だからね……」

 

 バカ野郎! 相手がいるやつばかりだと思うな! というかそもそもこういうエロというのは単純に相手がいれば必要ないというものではないものであって……

 

「言い訳がやけに早口だね」

「……何を言っている? 貴様はモテる側だろう?」

 

 ひょ?

 

「森の歩き方を熟知しており、狩りの腕もいい。その他多くの技能を所持していて、食い扶持を稼ぐには事欠かない。引く手あまたではないか」

 

 おっと、なんか予想外に高評価だぞ、俺。

 あのミラがここまで言うってことは、つまりエルフの価値観的に、俺は優良物件ってコトォ……!?

 

「まあ、要素だけあげればそうなんじゃないか? 要素だけあげれば」

 

 何か引っかかる言い方だが、ミラだけでなくテルもそう言うなら間違いないのだろう。しかしそれが本当であれば、俺はエルフハーレムだって作れるということでは……?

 

「いいのかい? 冷静に考えてみなよ。その先は間違いなく人生の墓場だぞ」

 

 ……っ!? そ、そうか。モテるって言ってもあくまで労働力として、生活のためであって、別に酒池肉林のモテモテハーレムが築けるって話じゃないのか……!?

 

「当たり前だろう。そもそも多才であろうと、働かずに女遊びに呆けられるわけがない。交尾がしたいのならそれ相応の責務を負うのは当然のことっ!」

「あの、姉さん? 年頃の女性がそういうことを明け透けに言うのは、ちょっとやめた方が……」

 

 ……待てよ。ハーレムに関して特に言及がないということは、エルフとしては重婚だったり一夫多妻はありということ……?

 

「ありだぞ。きちんと全員が納得して、その全員を養えるのならばな」

 

 おおぉ……! やめてくれ、男のロマンと現実を一度に叩きつけてくるのは……!

 

「男のロマンとやらもいいが、それも現実ありきだろう。現実から目を逸らすな」

 

 やめてくれミラ。その言葉は俺に効く。やめてくれ。

 

「自覚があるのならばなおさらだ。己を磨き、相手を作る努力をだな……」

 

 ………………おっと、そろそろお時間ですね。

 今回はこの辺りでおしまいになります。また次回をお楽しみに~

 

「おい、まだ話は途中だぞ」

「逃げたね」

「ところでアルの救済コーナーって言ってたけど、この知識で助かる窮地ってなんなのさ?」

 




6/20 第二巻発売しました。よろしくお願いいたします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

【書籍化決定】NTRエロゲに転生して婚約者を寝取られた俺を救ったのは、地上最強の取り巻きモブ女子Aでした(作者:ぜんはいざ)(オリジナルファンタジー/恋愛)

【オーバーラップ文庫様から書籍化! 7/20発売予定です!】▼ スキル授与しきの真っ最中に前世の記憶が蘇り、NTR系同人エロゲの世界に転生したことを知るニコラス=フリートラント。▼ しかもなんと、転生先はヒロインである幼馴染で婚約者を寝取られるサレ夫だった。▼ ニコラスは授かったスキルで婚約者のステータス(ただしエロステータス)を確認したところ、バッチリ寝取…


総合評価:13421/評価:7.73/連載:106話/更新日時:2026年03月27日(金) 12:01 小説情報

TS転生悪の組織の研究者VSど変態(魔法)少女(作者:こばみご)(オリジナル現代/コメディ)

魔法少女パワーをチューチューするために原石を誘拐したら、とんでもねえ変態だった。恐ろしい!


総合評価:2592/評価:8.72/連載:19話/更新日時:2026年07月04日(土) 00:10 小説情報

恋愛要素ありの死にゲーに転生して鉈を振り回す転生者(作者:エヴォルヴ)(オリジナル現代/冒険・バトル)

エロゲーとギャルゲーの皮を被った死にゲーと名高いゲームの世界に転生した男。▼最大コンテンツたるハクスラ(最大コンテンツではない)とメインヒロイン(ヒロインではない)と導きのメインウェポンに脳を焼き尽くされた男は恋愛要素など知ったことではないと言わんばかりに突き進む。▼え?関わってきた人達の好感度ですか?(彼にとっては)知らない子ですね。子ではない?じゃあ、そ…


総合評価:17029/評価:8.3/連載:101話/更新日時:2026年03月12日(木) 23:36 小説情報

【完結】鶴が恩返ししないんだが(作者:エタリオウ)(オリジナル現代/恋愛)

生まれつき鳥に好かれやすい高校生・佐鳥鳳介の家に、ある雪の夜、一人の美少女が訪ねてきた。▼これはまさか、現代版・鶴の恩返し――?▼だが、その出会いを境に、鳳介の日常は少しずつ鳥に侵食されていく。▼彼を守ろうとする居候。▼クラスメイトはストーカー。▼完璧すぎる幼馴染。▼そして、彼の過去へ踏み込んでくる後輩。▼鳥に愛され、鳥に狙われ、鳥に振り回される。▼これは、…


総合評価:4775/評価:8.89/完結:26話/更新日時:2026年06月26日(金) 20:07 小説情報

【一巻8月20日発売予定】裏切りや絶望が溢れるゲーム世界で、鬱展開全てぶっ壊す(作者:棘棘生命)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

(旧題:裏切り・絶望がテーマの同人ゲー世界で、全てぶっ壊す)▼ニッチな需要のあるゲーム世界で、鬱展開を破壊する話▼鬱を破壊した分、様々な種類の闇は主人公に降りかかるものとする▼※四章の更新が完了いたしました▼オーバーラップノベルス様から、8月20日に第一巻が発売予定です!皆様のおかげです。ありがとうございます!▼


総合評価:15811/評価:8.88/連載:120話/更新日時:2026年07月02日(木) 23:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>