なぜかとあるの世界に飛ばされた緑谷出久の話

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とある少年の暗部生活

少年は自分のいた世界に存在する『異能』、通称‘個性‘に憧れていた。父親は『口から火を吹く‘個性’』、母親は『ちょっとしたものを手元に引き寄せる‘個性’』を持っていた。そして幼馴染は『手のひらで爆発を起こす‘個性’』を持っていた。そして少年にはもう一つ憧れる物があった。それは‘個性’という『異能』が出てきてから生まれた職業、『ヒーロー』だった。特に日本でのNo.1ヒーロー『オールマイト』に強い憧れを抱いていた。

 

自分も彼のようなヒーローになりたい。

 

そう思っていた。しかしその願いは叶わなくなった。なぜなら彼は‘無個性’だったからだ。今の時代珍しく、生まれつき‘個性’を持っていなかったのだ。今の時代、世界人口約8割の人間が‘個性’を持っていた。この世界では‘個性’を持って生まれてくることが普通だった。だから少年は今の時代では『異端』だった。それを知って、彼は家でオールマイトが活躍している古い動画を見ながら母親に聞いた。

「なれるかな?超カッコいいヒーローに、僕、なれるかな?」

母親はその質問に答えなかった。代わりにその少年に泣きながら、抱きしめながら『ごめんね』と謝罪した。しかし、彼は謝罪が欲しかったわけではなかった。

 

 

 

‘個性’を持っていないことがわかってから友達だと思っていた人たちが離れていった。幼馴染は自分をいじめるようになった。いつも‘個性’を使って暴力を振るわれたり、仲間外れにされたり、などなど色々な方法でいじめられた。

 

そして事件が起きたのは6歳になった後だった。

 

その日は珍しく自分の幼馴染に探検に誘われたのだ。探検先は自分の住む街に存在する廃墟だった。普通なら断るだろう。しかし彼は久しぶりに幼馴染や、幼馴染の取り巻きに誘われたことが嬉しく、喜んでついていった。

その廃墟は元は研究施設だったらしい。廃墟の中には古い機材や古い資料、試験管やビーカーなどの実験器具などなど、研究施設にありそうな物(研究施設だが)がたくさんあった。そこで、鉄の金庫のような扉がついた部屋にたどり着いた。そこで幼馴染がその扉を開けた。その部屋には窓はひとつもなく、真っ暗闇だった。開けてから幼馴染は少年に言った

 

「覗いてみろよ、デク。」

 

『デク』と呼ばれた少年は怖かったが、頼りにされているように感じ、勇気を出して部屋の中を覗いた。その時少年の背中が押された。そのまま受け身を取れず、彼は思いっきり前に倒れていった。倒されたことに驚いた少年は泣きべそをかきながら幼馴染の方を見ると幼馴染とその取り巻きは笑いながら鉄の扉を閉めた。部屋に閉じ込められた少年はパニックになり、その鉄扉を強く叩き始めた。

「開けてよかっちゃん!!開けて!!お願いかっちゃん!!」

少年は外にいるであろう自分の幼馴染に助けを呼ぶ。しかし外から聞こえるのは幼馴染とその取り巻きの笑い声だった。その笑い声はまるで自分を馬鹿にしているようだった。そして徐々にその笑い声が彼らの足音とともに離れていくのを感じた。

少年は扉を叩き続け、助けを呼び続けた。しかし誰も助けに来なかった。扉を叩く手がだんだん痛くなってきた。そして少年は扉を叩くのをやめ、叫ぶことに専念した。しかし今度は喉が枯れて、声が出なくなった。誰も助けにきてくれなかったことに少年は泣いた。密室での息苦しさに泣いた。暗闇の怖さに泣いた。自分しか部屋にいない孤独と寂しさに少年は泣いた。

そして目が暗闇に慣れていった。少年は疲れてきて、近くの壁に寄りかかった。

(これからどうしよう。)

と考えていた、その時だった。

 

ぐわん、と空間が歪んだ。

 

自分の目の前で起きている現象にまたパニックになった。が、徐々に眠くなっていった。

 

次の瞬間窓もない、明かりもない、隙間風や壁のひび割れもない密室にいたはずの少年が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「確認しろ、指定時間はすでに3分過ぎている。」

スーツを着て手にそれなりに大きいケースを持った男が電話で仲間に聞く。そしてその男が見えるビルの屋上でスナイパーライフルを持った男が答える。

「こちらポイントA。今のところそれらしき人物はいない。」

2人目の男がそう言う。そしたら近くに駐車している車の中で待機している三人目の男が言う。

「なんだ、逃げたのか。吹っかける相手を間違えたみたいだな。」

そう言うふうに談笑していると、2人目の男が1人目の男の近くに人影が見えた。

「おい、お前の背後に誰かいるぞ。」

1人目の男が後ろを向く。そこには薄暗くてわからないがおそらく薄緑色のパーカーを着て、季節外れのネックウォーマー身につけた少年が立っていた。三人がその少年に警戒する。少年はぶら下げていた手を上にあげて手のひらを相手に見せる。すると、1人目の男が手に持っていたケースがひとりでに動き始め、男の手から離れてそのまま少年の手に引き寄せられた。スナイパーライフルを持った男が少年に向かって発砲する。しかし、少年に放たれた弾丸は不自然な方向に軌道を変え、全く違うところに着弾した。

「なんだ?!『念動使い(サイコキネシス)』か?!」

ライフルを持った男がパニックになる。

「落ち着け!相手はただのガキ1人だ!!落ち着いて対処すれば勝てる!!」

ケースを取られた男が2人を宥める。すると

『あらぁ〜?誰が1人だけって言ったの?』

女の声が三人の通信に紛れ込んだと同時に車が爆発した。それを見たライフルを持った男が

「おい!聞こえるか?!取引は中止!!中止だ!!そっちも大至急撤退!!」

と、叫ぶ。しかしその男は背後から足音を聞いた。後ろを向くとそこには金髪の少女が微笑みながら見下ろしていた。そしてその男の叫びと同時に通信が切れる。ケースを持っていた男が目の前の少年にナイフを向ける。そして逃げ出そうと後ろを振り向くが、そこには少年とは色違いのパーカーを着た少女がこちらに向かって歩いてきた。男はパニックになり、少年を見て、そして少女を見る。その行動に呆れたのか少女はため息をつき、一気に男との距離を縮め、『能力』を使って男を思いっきり殴る。

 

 

さっきの位置から少し離れた場所で五人の男女がいた(ちなみに男1、女4の割合)。

「えぇ〜またぁ〜?まぁいいけど。」

携帯電話で話していた女性が電話の向こうにいる人物に不満そうな声をあげる。そんな彼女とは別に三人の少女が話していた。

「でもさ〜結局、水着って人に見せつけるのが目的だから。見せつける奴が1人しかいないプライベートプールに行っても意味ないって言うか〜。」

金髪の少女、フレンダが言う。その言葉に茶髪のボブカットの少女、絹旗最愛が反論する。

「でも市民プールや海水浴場は超混んでて、泳ぐスペースが超ありませんが?」

「ま、結局それもあるのよねぇ。」

フレンダはあっさり肯定する。

「それに、プライベートプールだったらイズにぃの『能力』を超使えば流れるプールを作れるじゃないですか?」

絹旗が付け加えて言う。そしたらフレンダは肩あたりに揃えられた黒上の少女、滝壺理后に聞く

「滝壺はどう思う?」

そしたら滝壺はしばらく考えるそぶりを見せて答える。

「浮いて漂うスペースがあるならどっちでも。あ、でもみどりやの能力があればもっと楽しいからプライベートプールかな?」

「そ、そう。」

フレンダは若干苦笑いしながら滝壺に相槌を打つ。そして絹旗は自分の隣で壁に寄り掛かり足下を見つめる自分と色違いのパーカーを着た少年に話しかける。

「イズにぃ、超大丈夫ですか?」

少年は我に帰る。

「え?!あ、うん、ごめん。ちょっと過去を振り返ってて。」

少年はパーカーのフードを脱ぎ、濃い緑色の天パの髪を出す。

「何か超楽しかった思い出でも超思い出せましたか?」

絹旗のその問いに天パの少年、緑谷出久が答える。

「いや、そんな思い出僕らにはないでしょ。あったらこんなところにいないはずだよ。」

寂しそうな目で緑谷は答える。そこでフレンダは空気を読まずに彼に質問する。

「結局、緑谷はどっちがいいの?」

「え?どっちって?」

「プライベートプールか市民プール?」

突然の質問に驚く緑谷が慌てて答える。

「う〜ん、僕はどっちかというとプライベートプールかなぁ?静かだし、人がいないし、泳ぎやすいし。あ、でもプライベートプールだと広く感じて寂しいし、少しもったいなく感じるなぁ。そう考えると市民プールの方がいいのかも。いや、でも市民プールは色んな人に開放してるから混んでるし、人とぶつかるし、満足に泳げないからなぁ。う〜ん、じゃあプライベートプールかなぁ?いや、でも、ブツブツブツ・・・・」

「緑谷きもい。」

「え?!きもいって・・・」

「大丈夫だよみどりや。私はそんなみどりやを応援してる。」

緑谷は肩を落とす。その姿を見て絹旗がフレンダに言う。

「フレンダ?血は超繋がってませんが人の兄を超悪く言わないでくれます?ぶん殴りますよ?イズにぃは昔から悩んだり考察するときはいつもこうなんです。いい加減慣れてください。」

絹旗は拳を握りながら言う。フレンダはその姿に怯えるが

「さっちゃん。落ち着いて。僕は大丈夫だから。」

と緑谷が絹旗を宥める。

「イズにぃがそう言うなら超いいですけど。」

と、話していると電話での会話をしていた茶髪のストレートの女性、麦野沈理が話し始める。

「は〜いお仕事中にダベらない。新しい依頼が来たからもう帰るわよ。」

「いつ?」

フレンダが聞く。

「さぁ?不明瞭な依頼なのよ。でも、やることは単純かな?」

「はぁ?なにそれ?意味わかんないんだけど。・・まぁ麦野がいいって言うならいいけど。」

緑谷は苦笑いをする。そして麦野の方を見て聞く。

「その依頼ってどんな依頼なんですか?麦野さん。」

その質問に麦野は機嫌よく答える。

「謎のインベーダーからの施設防衛戦。ギャラも悪くないし・・・ちょうどいいんじゃないの?私らアイテムの仕事としては。」

 

学園都市暗部組織 『アイテム』

 

現在緑谷が勤めている組織のことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

名前:緑谷出久

誕生日:7月15日

年齢:14歳(中学2年生)

能力:大能力者(Level4) 念動力(テレキネシス)

以前彼が受けた実験:『暗闇の五月計画』

 

彼について:

6歳の時になぜか『ヒロアカの世界』から『とあるの世界』の学園都市の第10学区に転移された(なお原因は不明)。

その際、『風紀委員』に保護され、色々あって能力開発を受けた。その時発現した能力は強能力(Level3)の念動力。(本人は母親の『引き寄せる‘個性’』から派生したものだと考えている。)

そして『置き去り』の施設に入りそこで絹旗と出会う。そこで絹旗とすごく仲良くなり、お互いが本当の兄妹のように接した(ちなみにお互いに恋愛感情はない)。そして自分を保護した『風紀委員(ジャッジメント)』に憧れて、『風紀委員(ジャッジメント)』になろうと頑張る。そんな時施設長から『能力向上施設』について聞いて、強能力(Level3)でも十分強いが周りの学生や妹を守れるようになるためにもっと強くなりたいと考え、その施設に行く。(ちなみに絹旗は緑谷についてきたわけではなく普通に能力を向上させたいから一緒に施設に入った。)

しかしそれが失敗だった。毎日仲間が死んで、自分はなにもできず、ただそれを見ていることしかできず、それのせいで絶望して鬱になったりした(そのときはいつも絹旗にケアされていた)。

そして数年してから2人とも能力が向上し、『一方通行(アクセラレータ)』の防御性を再現した絹旗は原作通り『優等生』。

そしてなぜか能力『一方通行(アクセラレータ)』(ベクトル操作)そのものを扱えるようになった緑谷は『模範生』と呼ばれるようになった。

そして黒夜と暴走状態だった緑谷が研究員を皆殺し。緑谷は絹旗を連れて逃走。しかし逃走失敗。途中で『学園都市の者』が2人を回収。そして学園都市の暗部組織『アイテム』の構成員になる。(ちなみに学園都市のことは嫌いだがアイテムのことは嫌いではなく、自分の居場所だと思ってる。)

ちなみに『一方通行(アクセラレータ)』の能力そのものを使えるようになってからアレイスターの『第二候補(スペアプラン)』が『垣根帝督』から『緑谷出久』に変わった。そして『蜜蟻愛愉』が『食蜂操祈』のスペアのように、『緑谷出久』は『一方通行(アクセラレータ)』のスペアとなった。

 

ちなみにネックウォーマーをつけている理由は緑谷が『一方通行(アクセラレータ)』の能力を使えるようになって研究者たちが

「これもう実質『ファイブオーバー』じゃね?」

と考えた。しかし『ファイブオーバー』は『純粋な工学技術で、基となった能力を超える』物を指していて、この場合『ファイブオーバー』にならないだろと考えたが

「じゃあOSでいいんじゃない?」

と、クソみたいな意見が上がった結果、

首に

FIVE_Over(Out_Sider).

Modelcase_ACCELERATOR

とオレンジ色の刺青で描かれている。

そう、研究者たちの適当な意見のせいである。

そしてそれを隠すためにネックウォーマーを年中身につけている。

 

 

能力の詳細:

通常、彼の能力は↓

(生物以外だったら)射程は自分が認識している範囲。認識している範囲であれば高層ビルやトラックなどどんなものでも持ち上げられ、操ることができる。自分自身にも有効で、よく自分を浮かしたりしているが、自分以外の生物を浮かす場合、自分が触れている必要がある。

しかし感情や精神が高ぶると(彼が別世界出身なせいなのか)『一方通行(アクセラレータ)』の能力そのものを扱うことができる。その際彼の見た目は、瞳の色と髪質が天パなところ以外は全て『一方通行(アクセラレータ)』のまんま。もちろん口調も『一方通行(アクセラレータ)』のように小さいア行やンはカタカナ。それ以外も『一方通行(アクセラレータ)』そのもの。しかしずっとは使えず、落ち着けば元に戻る。




思いついたから描いた

後悔は無い


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