暗黒大陸出身のイヅナたん   作:羊、飛ぶ。

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カストロの初戦

『さあついに始まります!本日の対戦は、無敗で200階へと上り詰めた期待の新星、カストロ選手と、現在5戦3敗、もう後が無い、”当て逃げ”のバニン選手の戦いです!』

 

「貴様がばかにした修行の成果、存分に発揮させてもらおう」

 

「はっ、できるといいな、そんなこと」

 

 互いに敵視しながらも、静かに集中力を高めていく。

 

「それでは、始め!」

 

 審判の合図とともに、バニンが突っ込み、ナイフを振るう。しかしカストロは、完全に見切って、少し大きく避け続ける。

 

『おおっといきなりの猛攻だ!バニン選手攻める、攻め続ける!しかしカストロ選手も全て躱しているぞ!』

 

(この動き、オーラ、おそらくナイフに何かある)

 

「おらおらどうした!避けてばっかじゃ勝てねーぞ!」

 

「はっ、少しでも当ててから言うんだな」

 

 軽口を交わしながらも、カストロは観察を続ける。見たところ、体術はそこそこ程度。また、念も洗練されているとは言えないものだ。

 

(ナイフは気になるが、この程度の動きならば…!)

 

 大振りの隙をついてナイフを弾き、強力な突きを胴に見舞う。

 

「ごはっ!?」

 

「!」

 

 と同時に、刃物で軽く右腕を切られてしまった。

 

(左手に剃刀か何か隠していたな!しかし、カウンターをもらってしまったが、手応えはあった)

 

「クリティカルヒットアンドダウン。カストロ、3ポイント!」

 

『カストロ選手の重い一撃が入ったー!』

 

「ゲホッ、ゴホッ」

 

『おおーっとバニン選手立ち上がる!流石の粘りだ!』

 

 息を切らし、足が震えながらもなんとか立ち上がるバニン。

 

「…まだ立ち上がるか。しかしもう戦えまい」

 

「はっ、はっ、ははっ戦えなくなるのはお前のほうだよ」

 

「……っく、そういうことか!」

 

『カストロ選手、どうやらカウンターをくらっていたようだ!右腕から蔦が伸び始めている!』

 

 切られた箇所から、黒い蔦が広がり始め、徐々に力が抜けていく。

 

「これが俺の能力、『黒い寄生木(ブラックボンド)』だ。その蔦は広がり続けて、お前の力を奪い続ける。お前の負けさ」

 

「ならば、そうなる前に方を付ける!」

 

 現状を把握したカストロは、素早くバニンへと接近する。

 

「はっ、そうくるだろうよ!」

 

 カストロがバニンを殴った瞬間、蔦がざわめきカストロの体力が激減した。

 

「なっ」

 

「げほっ、ふー、痛ってえなぁ、いいパンチじゃねえか」

 

「クリーンヒット。カストロ1ポイント!」「……チッ」

 

 バニンは続ける。

 

「そいつは、俺がダメージをくらうとなぁ、寄生した相手から力を奪って俺を癒してくれるのさ。そして、ここまで弱れば、俺は逃げ続けてポイントを取られなきゃいいだけ。言ったろ?お前の負けだよ」

 

『カストロ選手の動きが一気に鈍った!もはや勝負あったか!?』

 

 ニヤニヤと笑いながら挑発を続けるバニンをよそに、カストロは思考していた。

伊達でこれまで、多種多様な攻撃に晒される修行をしていたわけではないのだ。異常事態には慣れがある。

 

(こちらの体力は、あまり残っていないか。やつに後一撃加えたら動けなくなるかもしれん。ならばどうする?俺に奴を戦闘不能にする技は……先生ならばどうする………!これならば、やってみる価値はある!)

 

「…審判、一つ聞いておくことがある」

 

「なんでしょう?」

 

「この試合、生死は問わなかったな?」

 

「!はい」

 

「あぁ?何言ってやがる。今から俺を殺せる気かよ」

 

「ああ、そのとうりだとも」

 

『カストロ選手!まさかのここで、殺害宣言だ!ここから勝機があると言うのか!?』

 

 カストロは不敵な笑みを浮かべ、全力で『練』を始める。

 

「俺の必殺技、虎咬拳は、己の手で相手を噛みちぎるというものだ。これだけ体力も残っていれば、お前の頭を噛みちぎることも容易だ」

 

「うっ」

 

「そこだ!」

 

 バニンが『練』の圧力に動揺した隙をつき、手持ちの刃物を弾き、足をかけて転ばせた。

 

「ぐっ!?」

 

「これで外すこともない」

 

 大量のオーラを腕に集中させながら、冷たい目をしたカストロが言う。

 

「まっ、待ってくれ!何も殺すことはないんじゃないか!?」

 

「ふん、知らんな。受けるがいい!我が必殺の虎咬拳を!!」

 

 

 

 

「…バニン戦闘不能!勝者、カストロ!」

 

『決まったーっ!カストロ選手、相手を気絶させての見事な大逆転だー!』

 

「ふっ、なんとかなったか」

 

 やったことはわかりやすい。ただ脅しただけだ、が体力を奪われた状態で全力の『練』をしたので、あれで決められなければ負けていたギリギリの賭けであった。

 

(この戦い、相手の力量はもっと楽に勝てるはずのものだった。念能力を過小評価し、油断した結果だな…)

 

 疲れ切ったカストロは、そうとは見せずにリングから去って行った。




オリ能力の紹介を
 黒い寄生木(ブラックボンド)・放出系  刃物で傷をつけたところから黒い蔦のような念を伸ばす。この植物は制約を満たす限り広がり続け、寄生主の体力を奪うと同時に、蔦が絡むことで動きにくくなる。また、術者が受けたダメージは、すぐににダメージの分だけ寄生主の体力が術者に送られることで回復する。なお寄生主が動けなくなるまで体力を吸うと、成長が止まる。
制約として、術者が30メートル以上離れると、成長が止まると同時に寄生主から体力を奪えなくなる。同時に1人にしか発動できない。術者が気絶すると消える。直射日光を浴びると消える。

蔦なのに寄生木とか言っちゃいけない
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