プロジェクトセカイのキャラクター、「神代類」×「天馬司」のBL小説です。
苦手な人は注意。
匂わせる程度かもしれない。屋上で会話してるだけです。

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悪趣味な口パク

屋上。

神代類という一風変わった男はその場所が好きだった。

初めて出会った場所も確かそこだった。部屋に籠って黙々と作業を進める事の多い彼にはあのひらけた場所がいい気分転換になるんだろう、なんて適当な理由をつけて気に止めていなかった。

 

「……あ」

 

今日も『そこ』にいる。

優雅なランチタイムを過ごす為にいつもの定位置から見上げると、類は屋上からこちらを見下ろしていた。遠くてよく見えないが、多分、目が合ったような気がした。

 

『るい』

 

声に出さず口の動きだけでそう呼ぶ。

ま、ここからは視線すらあやふやだから伝わるわけがーー

いや、普通にあいつは手をこちらへ振った。

視力良いんだな。

 

何を思ったか、オレはなんとなくさっきまで敷いていたハンカチや弁当箱をしまって屋上へ来ていた。うん。多分普通にあの距離で会話するのが容易ではなかったから屋上に来たんだと思う。

 

「おや、司くん。あそこで優雅なランチタイムを過ごすんじゃないのかい?」

「この前蜘蛛がいて悩まされたからな。丁度場所を変えたいと思っていたところだ」

「あぁ、東雲くんに助けて貰っていたね」

 

そこも見ていたのか、なんて驚くと「僕は目がいいからね」なんて言って視線を逸らした。

学んだのかハムと卵しか挟んでいないサンドイッチを頬張りながら何やら設計図のようなものを書いている。教室でやればいいのに、風で飛ばされそうだ。なんて色々ツッコミたくなる。

 

「あぁ、さっきなんて言ってたんだい?」

「ん?」

「ほら、魚類の役を演じてたじゃないか」

「なに!?」

「脊椎動物亜門 Vertebrata から四肢動物を除外した動物群だよ。」

「魚について聞いたのではない!あれは「類」って呼んだだけだ!」

「あぁ、てっきり……」

 

てっきり?

その先は少し間が空いて「いや、僕もそうだと思ったよ」なんて言いながら設計図に手を加えた。

るいと言う口パクで他に何と勘違いするだろうか。フキ?筋の通ったフキという事か?

ん?ダメだ思考が混乱してきた。

とりあえず類の横に座る。

 

「それは?」

「シャボン玉を大量に生成する機械の設計図だよ」

「む、思った以上に普通だな」

「あぁ、2枚目の方は司くんが1秒に20回も回転する床のシステムだから安心してよ。」

「ステージで吐いたらどうするんだ!!!」

 

横でクスクスと鼻で笑う類を押しのけ2枚目の設計図に目を通す。

なるほど、足を固定出来るように靴と床に磁石を……目が回る心配はやはりあるが、安全面も考慮されている。

 

「フッ、まぁこれならオレだって完璧なターンをこなしてみせるぞ!」

「流石、未来のスターだよ。司くん」

 

ハロウィンのあの日以来、お互い1歩ひいた結果になった。いや、むしろ1歩歩み寄ったと言うべきか。こういった安全装置を取りつけることをストレスに感じていないだろうか

 

「類、楽しいか?オレの安全面を考える事。」

 

無意識に妹にするように類の頭に手をやる。

少し類の瞳孔が揺れた気がして手を引こうとするが揺れた瞳孔をそっとまぶたが塞いだ。

手に頭の重さを感じる、もたれて、いる。

 

「え、楽しいかと言えば……確かにショーの事を考えるみたいに楽しくはないね。」

 

遠慮なくそう言うがすぐ「でも」と付け足した。

 

「そういうのじゃないんだよ。僕は楽しいだけで行動してるわけじゃないから」

「……そう…か。無理してないならそれで」

 

良いんだ、と言いかけて唇に何かあたる。

それは細くて、どこか震えていた。

言葉が塞がれた後にそれが類の指先だと知る。

 

「大切なんだよ」

 

子供を宥めるように、そっと想いを差し出すように目の前の彼はそうつぶやいた。

これはなんのショーか、なんて疑問に思う。それ程まで類の音しか聞こえない。今は何時何分何秒だ?

 

「ーーって事さ」

「……っは……」

 

悪趣味な口パクだ。と、思ったがそういえばオレもそれをしてしまったのかもしれない。

「好き」

意地悪くそう囁いたかと思えば、口にやられていた手が鼻をつまんだ。

 

「ふがっ……!」

「ふふ。ほらほら、もう授業始まってしまうよ」

「な」

 

時計を見ると本当にあと少しで5時間目だ。

目の前の類は焦る様子すらなく、あまつさえまだ設計図を書いている。

だがオレは急がなくては。スターたるもの授業に遅れてやってくるなんてあってはいけない。

 

「せめて教室には戻るんだぞ!類がいないと先生が心配する」

「あぁ、わかっているよ、ここを直したら僕も戻るさ」

 

片手間にこちらに手を振る類を横目で見てオレは教室に戻った。

 

まだ少し、声にもならなかったあの言葉が目に焼き付いている

 


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