せつ菜ちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
とある休日。せつ菜の部屋にて。
「課題は全て終了、予習も復習も問題なし。これで明日の授業の準備は完了です!」
ふふふ♪と上機嫌になる少女、
「これで心置きなく読めます! 買ったまま、忙しくて読めていなかった漫画! ラノベ!」
彼女が上機嫌の理由は、買ったのはいいが忙しくて読めてなかった漫画やラノベである。なので、今日は夜まで読書漬けを計画していたのだ。
その時、せつ菜の耳に誰かがこちらに来る足音が聞こえてきた……
「ん? 誰かこっちに来る。お母さんかな……お母さん!?」
部屋に来るのが母かと思ったせつ菜は、慌て始める。
「ま、漫画、隠さなくちゃ! どこに隠そう!? 本棚はもう入らないし、タンスの中には服があるし、机の中も文房具やアニメグッズでいっぱいだし」
隠し場所を探す中、ふと思った……
今隠そうとしているこの買った本はどこにしまっていたんだっけ……と。
「あ、思い出した、鞄だ! 部室に置かせてもらってた分を持って帰ってきたんだ」
それならばと、せつ菜は漫画をもう一度鞄に入れようとしたが……
「……って、あれ!? 入らない! なんで!? ここに入れて持ってきたのに!」
何故か入らず、こうなったらと別の場所に隠そうとした時……
ガチャリ。と部屋のドアが開く。
「せっつー、こんちわー!」
「なーちゃん、お邪魔します」
「え?」
しかし入ってきたのは、母ではなく、
「あ、あ、愛さん……? それに悠里さん……? なんで……?」
「なんでって、メッセ送ったじゃん。借りた漫画を返しに行くって……お? まだ既読ついてないとな!?」
「…ちなみに僕は差し入れがてら、なーちゃんの顔を見ようかなと思って。愛ちゃんと一緒に来た」
愛と悠里がそう言ったところで、せつ菜はスマホのメッセージ画面を確認する。
「本当だ、確かに来てます! ごめんなさい、気づきませんでした……」
確かに愛からのメッセージが来てた。何故今まで気づかなかったのだろうか……
「いーよ、いーよ。それより、今何してたの? 布団の中に頭突っ込んでたけど、もしかして、寝ようとしてた?」
「いえ、大丈夫です。さっきは、その……」
「…漫画を隠そうとしてたんでしょ? てっきり、なーちゃんママが来たのかと勘違いしたんでしょ」
「うぅ、はい……」
せつ菜は愛の疑問に答えようとしたが、代わりに悠里がその理由を答えた。
「ああ、そういや部室に置いてたやつ、持って帰ってたよね。でも、隠さなくてもよくない? お母さんはもう知ってるんでしょ? せっつーが漫画好きって」
「そうなんですけど、やっぱり、ずっと隠してきた事ですから、条件反射というか、いきなりオープンにはなれなくて……」
そう答えるせつ菜。
実は『優木せつ菜』という名前は、スクールアイドルを活動する為の芸名で、彼女の本当の名前は
両親が笑顔の少ない厳格な人物で、漫画やアニメはもちろんのことスクールアイドルも禁止されていたそうで、先程の反応も条件反射が未だに抜けてないからだと言う。
今は親との確執はすっかり改善されたが。
「でも! 今はまだ難しいですが、いつか、家のどこにいても誰の前でも、堂々と漫画を読めるようになってみせます!」
「…なーちゃんの最初の目標は、リビングで堂々と読む事だもんね」
「それがなかなか難しいんですけどね……(うぅ、愛さんがいる前で、その呼び名は恥ずかしいです……)」
ちなみに悠里がせつ菜の事を『なーちゃん』と呼ぶのは昔の癖みたいなものであり、彼女からすれば両親に隠していた時期は嬉しい反面、恥ずかしいのが本音である……
「すみません、お二人ともせっかく来てくれたのにお構いもせず。どうぞ、座ってください。今、飲み物を持って来ますね」
「ちょい待ち、先に漫画を返すわ。ありがとね~! めっちゃ面白かったよ!」
続きが気になったから、電子版で買っちゃった♪と感想をせつ菜に言いながら、漫画を返す愛。
「えっ、続き? この漫画は、愛さんにお貸したものが最新刊ですが……」
せつ菜が愛に貸したと思われる漫画は、彼女曰くこれが最新刊らしい。
「いや、確かにダウンロードしたよ。
「お、一昨日!? ちょっと待って、じゃあ紙の方も……」
「……あ、ほんとだ。確かに紙の方も発売してるね」
それを聞いたせつ菜はガックリとうな垂れる。
「わ、わ、私とした事が……大好きな作品の発売日を調べ忘れるなんて……」
こんな事なら課題や予習ではなく、本屋に寄るべきだったと後悔するせつ菜。
「せっつーが漫画を買い忘れるなんて珍しいね、ゆうりん?」
「そうだね。という事は、現在、なーちゃんが知らない世界を愛ちゃんは知ってる訳で……」
「「フフフ♪」」
何故か意味深な表情で笑う愛と悠里。
「むうう~! 私も読みます! すぐに読みます! 愛さん、悠里さん、来てもらって早々申し訳ありませんが、本屋さんまで付き合ってください!」
ぐぬぬと頬を軽く膨らましながら悔しそうに言うせつ菜がそこにいたのであった。
余談だが、本屋に向かう際、せつ菜の母が『あら♪ 2人揃って悠里くんとデート?』が娘をからかい、せつ菜が慌てふためくのは別の話。
読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
次回の投稿は、ことりちゃんの誕生日になると思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。