穂乃果ちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでいただけると嬉しいです。
それではどうぞ。
朝。とある旅館の一室にて。
「……」
「「すう……すう……」」
「……(どういう状況?)」
悠里は少し困っていた。その理由は右腕側には
「……ゆうちゃん~……うへへ、うへへ~……」
「寝言が酷い……」
列車に乗ってた時もこんな鳴き声……もとい寝言を穂乃果は言ってたのを悠里は思い出した。
「…ほのちゃん、ことちゃんも起きて。朝だよ?」
「「……いやだあ~……あと1時間~……」」
「……」
あと5分ならまだ解るが、まさかのあと1時間と2人は口にした。
「…しょうがない。先に起きるか……2人が起きないように……よいしょっと」
抜け出せない体勢から、自分なりのコツを使い身体を起こす悠里。
「? …え……嘘でしょ。全く気配を感じなかったんだけど……」
「むにゃ……むにゃ……」
背中に違和感があると思いきや、その正体は穂乃果。悠里の背中に器用にぴったりくっついていたからだ。しかもその時の動作や気配はゼロである。
「ゆう~ちゃん、にげちゃだめ~……ぎゅ~……」
「…ほのちゃん、とりあえず僕の背中から降りてくれない?」
「やあ~だ~……」
「…はぁ……分かったよ。落ちないように」
「うへへ~……はあ~い……♪」
更に強く悠里にしがみついて返事をする穂乃果。ほんとに彼女は器用だなと悠里は思った。
◇
「……(とりあえず彗と花陽ちゃん、起きてるかな? …彗は熟睡してると思うけども)」
背中に穂乃果をおんぶ……というより、くっつき虫状態の彼女を落とさないよう気をつけながらも彗と花陽が居る部屋に寄る事に。
「…おはよー。2人とも朝だけど起きてる……」
「へっ……?」
部屋に入ると、そこには第三者から見たら、説明しがたい状況が繰り広げられていた。
何故か花陽がまだ寝てる状態の彗に
「あ、あの……ち、違うんです、そ、そそその、えっと……こ、こここれは……」
「…はいはい。まず花陽ちゃん、とりあえず深呼吸して落ち着こうか?」
なんか昨晩もこんな感じで花陽を落ち着かせなかったか?と悠里は疑問に思いつつ、今回もとりあえず花陽を落ち着かせる。
「えっと、その……彗ちゃんと添い寝と……い、
「…誘えたんだ。花陽ちゃんよく頑張った。…で、頭の中では熟睡してる彗にキスなんてダメだって思いつつも、気持ち的に抑えられなくて今に至るって感じかな?」
「は、はい。そうなんです……」
事情を聞いたところ、進展もありつつ、その後の予想がだいたい合ってた。
「…僕なんて見てよ? 未だに離れようとしないくっつき虫が背中にいるんだよ?」
「え? ほ、穂乃果ちゃんも居たんですか!? どういう状態で寝てるの!?」
「むにゃ……むにゃ……」
その言葉を聞いた花陽は、悠里の背中で現在進行形で寝ながら張り付いてる穂乃果にようやく気づく。
「…ある意味凄いでしょ? ほのちゃん、ここに来るまで全然起きないんだよ?」
「え、え~……」
花陽も戸惑いの表情である。そういう意味では悠里の言う通り、ある意味で穂乃果は凄いが……
「話は変わるけど……花陽ちゃん、彗の近くでそのまま起きてなよ。花陽ちゃんにとって良い事があるから」
「私にとって良い事……ですか?」
「うん。…こういう機会じゃないとできないかもだから、後悔せずに堪能しときなよ?」
「え? た、堪能……ですか?」
「うん」
悠里が花陽に彗についての事を教えてあげる。何が起こるかは彼女の為に言わないでおくが。
「それじゃあ僕らは部屋に戻るね。ほら。ほのちゃん、行くよ~?」
「だ~め、いまは、ゆうちゃんは……ほにょかのなの~」
「…だから寝言が。じゃあ花陽ちゃん、彗をよろしくね~」
そう言った悠里は未だに背中にくっついてる穂乃果を連れて花陽と彗が居る部屋を出た。
「むにゃ……あれ? 穂乃果、なんでゆうちゃんにおんぶなんてされてるの?」
「ほのちゃん、おはよう。…随分と遅いお目覚めだね?」
「?」
タイミングがいいのか悪いのか、穂乃果が起きたようだ。今の状況が解ってないのか、首を傾げながら悠里に訊ねる。
「とりあえず起きたなら、降りてくれると僕は嬉しいな?」
「え~? やだ~♪」
「…なんでさ?」
「だって、ゆうちゃんに甘えたい気分だから~♪」
なんとなく彼女の返答が解っていた悠里は、上機嫌な穂乃果を連れて部屋に戻るのであった。
余談だが、部屋に戻るといつ起きたのか分からないことりに真正面から抱きつきならぬ、飛びつきによるダイレクトアタックを受けた悠里がその場で気絶しかけるのは別の話。
読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
次回の投稿日は、せつ菜ちゃんの誕生日になります。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。