月の少年のSecret book   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
せつ菜ちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。


記憶5 優木せつ菜

とある休日の電車の中にて。

 

「発車時刻に間に合って良かったです!」

「……ギリギリだったけどね。その……待ち合わせ場所……なんかゴメン」

 

電車の発車時刻に間に合って良かった事に安堵する優木(ゆうき)せつ()に対して、ゴメンと謝る悠里。

 

「いえ! 私が分かりにくいところに居ただけですし、こちらこそごめんなさい」

「……柱の陰に居るなんて、誰も思わないもんね。普通」

「すみません……早く来すぎてしまったので、歩いている人の邪魔にならないような場所を探していたらあんなところに……」

 

なんとも彼女らしい理由だ。

 

「でも、お互い見つけなければならないんですから、もっと見つけやすい場所を探すべきでしたよね」

「そ、そうだね……(言えない。せつ菜ちゃんが柱の陰と同化していて、見つけられなかったなんて……言えない)」

 

それだけじゃなく、彼女の身長の低さも相まって、余計に見つけにくかったなんて口が裂けても言えない悠里。

 

「その、こうやって悠里さんと待ち合わせをした事があまり無くて、小さい頃以上に待ち合わせが下手になっちゃったと言いますか……」

「あー……そうだったんだ……」

「は、恥ずかしながら……」

 

ちょっと恥ずかしそうに答えるせつ菜。

 

「早く来すぎたって言ってたけど、何時くらいに来てたの?」

「ええと……忘れました……」

「僕もそれなりに早く来たつもりだったけど、せつ菜ちゃんはもう居たもんね」

 

せつ菜は何時くらいに来てたのか忘れたと言ってるが、実は悠里。彼女が実は1時間30分くらいから待ち合わせ場所に居たというのを知っている。

何故知っているのかというと、待ち合わせ場所周辺に住んでいる野良猫から教えてもらったのだ。

 

ちなみに悠里、野良猫だけじゃなく、一部の動物とも会話ができるのだ。これは昔からの体質なのだが。

 

「待ってる間、退屈じゃなかった?」

「そんなことないです! 向こうに着いたら悠里さんと何しようかなとか、一緒にパフェ食べたいなとか、あわよくば食べさせてもらえたりとか、色々と考えてたので待っている時間はあっという間でしたから!」

「……」

 

なんかとんでもない事を早口で言ってる気がしたが、気にしない事にした悠里。

 

「ちなみに今日の事ってもしかして……」

「はい! 昨日、みなさんとじゃんけんして決めました!」

「……(やっぱし)」

 

それはもう盛大でした!とドヤ顔のせつ菜。それを聞いてやっぱりかと思う悠里。

 

ついこの間も(あい)から聞いたが、せつ菜を含んだ2年生組の5人で悠里とのお出かけを賭けた盛大なじゃんけんが本人の知らないところで度々行われてる……らしい。

 

「(だいたい誰かは見当はつくんだけどなぁ……)」

 

まぁ、予想したところで今後も変わる事はないだろうと思う悠里であった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「着きました!」

「そう! この日の為に、前日に銀行でお金をいつも以上におろしてきたぞい!」

 

着いた場所はアニメショップ。実を言うと、この2人は漫画やアニメが好きなのである。悠里に至ってはちょっとテンションがおかしい。

 

「あっ、最新刊ありました!」

「……あっ、限定版もこっちにあるけど、せつ菜ちゃんって両方買う系?」

「もちろん買います!」

 

キリッとした表情で悠里の質問に答えるせつ菜。通常版と限定版の両方を手に取りながら。

 

「…せつ菜ちゃんが買う今回の新刊、気づいたらもう8巻か。僕も集めてるから買うんだけど。かなり面白いし」

「ですよね! ですよね!」

 

せっかくなので、限定版を手に取る悠里。

ちなみにどんな物語かというと、平凡な高校生活を送っていた少年が異能力者でツンデレでメロンパン好きなヒロインとの出逢いを発端とした、日常生活と戦いの日々を描いた物語である。

 

帯には『アニメ化決定!!』の文字が。

 

「あとは確か……僕が読んでる漫画の各章新刊が同時発売の筈……せつ菜ちゃん、このレーベルを探してるんだけど……」

「あ、それでしたら、そのレーベルはこっちの方になりますね!」

 

せつ菜に場所を案内してもらい、目的のコーナーに着いた2人。

 

「あったあった。第1章の解答編である第6章の3巻、第2章の解答編である第5章の4巻。ちゃんと最新刊発売を調べておいて正解だったよ」

「それ知ってます! 確かサウンドノベルが原作ですよね!?」

「そうそう。社会現象にもなったし、ゲームも出てるし。なんだったらアニメ化も……」

 

ペラペラと早口で悠里は喋ってるが、せつ菜はちゃんと解ってるようで、相槌を打ったり自分の推しはこの子ですね!と傍から見たら、仲の良いオタク仲間にしか見えない。

 

「っ! 悠里さん、あそこに置いてあるの……伝説の『奇跡のスーパーベルンちゃん人形』じゃないですか!?」

「そんなわけ……ほんとだ!! あれは紛れもない、『奇跡のスーパーベルンちゃん人形』! しかも『絶対のスーパーラムダちゃん人形』も置いてある!」

「対象商品をペアで一緒に買うと、クジ引きが行えますって書いてますね……っ! わ、私の好きな作品のクジ引きもあります!」

「……クジ引きをやりますか? やりませんか? さあ、せつ菜ちゃんはどっち?」

「やります!」

 

そこから2人の行動は早かった。

まず悠里が対象商品の1つである『奇跡のスーパーベルンちゃん人形』と『絶対のスーパーラムダちゃん人形』を手に取り、せつ菜も自分が好きな作品のグッズをいくつかピックアップ。そして2人はレジに向かうのであった。

 

「それでは対象商品がございましたので、お客様、クジ引きをどうぞ♪」

「はい! それでは……」

()()()()()、頑張って~」

「っ!? なっ……あ、あの、その呼び方は……」

 

店員がクジ引きの箱を差し出す。

さて、お目当ての景品を当てようといざ行おうとしたせつ菜を昔の渾名で呼び始めた悠里。突然の事にせつ菜は口をパクパクしながら、顔を赤くしていた。

 

「はぅ! 照れてるなーちゃん、かぁいいよー! おっもちかえりぃ~♪」

 

せつ菜の動作が悠里の琴線に触れたのか、某お持ち帰り少女と同じ固有結界状態になっていた。

 

「えーっと……そ、それではお客様? こちらがお客様が選んだクジ引きになります。頑張ってくださいね?」

「よーし! なんか当てるんだよー♪」

「……(こ、これは所謂、役得というやつですよね!? ふにゃ~~!? わ、私だけこんな……!? み、みなさん……悠里さんを独り占めしちゃって、すみませ~ん!)」

 

ズボッっと、クジ引きの箱に手を突っ込む悠里。一方でせつ菜は悠里の腕の中で混乱していた。

 

「おめでとうございます! シークレット賞になります! こちらの『尊厳なる観劇と戯曲と傍観のアウアウローラ様人形』になります!」

「はっう~♪ なーちゃんパワーで手に入れた『尊厳なる観劇と戯曲と傍観のアウアウローラ様人形』、かぁいいよー! なーちゃんも一緒におっもちかえりぃ~♪」

「ええ!? そ、そんな事……む、寧ろ……わ、私は……してほしいですけど……

 

その光景を目の前で見ていた店員は、見方を変えれば、せつ菜が完全に悠里の景品に視えるなと思ったそうな。




読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
次回の投稿は、ことりちゃんの誕生日になると思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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