月の少年のSecret book   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
ランジュちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。



記憶7 鐘嵐珠

とある休日の遊園地の広場にて。

 

「遊園地って楽しいわね! ランジュ、朝からずっとワクワクしてるわ!」

「…それは同感。個人的にはお土産屋を見たり、園内の装飾を見るのも遊園地の醍醐味だしね」

 

鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)の言葉に、それは同感だと言う悠里。

 

「ええ。悠里との()()()だもの、完璧にしなきゃね」

「遊園地に来るのは久しぶりだから、誘ってくれたのは嬉しいけど。時にランジュ? まさか今日の事って……」

「ええ! みんなとじゃんけんして決めたの!」

「……(もう、突っ込むの止めようかな?)」

 

笑顔で質問に答える嵐珠。予想してた答えに、もう訊くの止めようかな?と思い始めた悠里。

 

そしてやはりというか、嵐珠を含んだ2年生組の5人で悠里とのお出かけを賭けた盛大なじゃんけんが本人の知らないところで度々行われてる……らしい。

 

「園内の事は調べ尽くしてあるから、ランジュに何でも聞いてちょうだい!」

「あー……だから、移動の時もスムーズだったんだ。納得だよ」

 

こう見えて嵐珠は計画的な所がある。

休日の遊園地は人が多いので、混むことは予想してたのだが、嵐珠が効率よく園内を回る方法を調べてくれたお陰もあって、今に至るのだ。

 

さて。次はどこに回ろうかと悠里は考えてたのだが……

 

「ヘイ! ()()()2()()()()()()()()。俺らと遊ばない?」

「「……」」

 

確かに嵐珠は美少女だ。そんな事は幼い頃に出逢った時からそう思ってるし、性格の善し悪しも含めてだ。だから彼女がナンパされるのも仕方ないし、嵐珠も慣れたくないが慣れてるらしい。

しかし、しかしだ。性別が男である筈の悠里までもが、ナンパされた、となると話は別である。

 

「は? 僕は男ですけど?」

「え……す、すみません……」

 

冷ややかな視線で悠里がそう伝えると、男達は去って行った。

 

しかし、ここからが問題だった。

 

その後も何故かナンパされたのである。2回目は嵐珠のお陰で切り抜けた。3回目は悠里がドスの利いた声と殺気も含んだ眼のハッピーセットで追い返した。4回目は……悠里がキレた。当然マジギレである。

 

「このゲロカスがっ!!! 今日はランジュと遊園地を回るっていうのに、お前ら目玉と腸をぶちまけられたいのっ!? ナンパしてると見境がなくなんのか!! ああ"っ!?」

 

その後はもう大騒ぎで、何処に隠れていたのか、謎の黒服達が慌てて飛び出して怒り狂う悠里を抑えた。

そしてナンパしていた男達は顔がぐちゃぐちゃになるくらい泣きながら、『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……もうナンパなんてしません……』と何度も言いながら黒服達に連行されて行った。

 

「……(世の中の女性がナンパされる気持ちが解った気がする。)」

「ねえ悠里、次はコーヒーカップに乗りましょう!」

 

そんな悠里に気を遣ってか、嵐珠がコーヒーカップに乗ろうと誘ってきた。

 

「……うん、乗ろうか」

「それじゃあ行くわよ!」

「(あれ? そういえば何か忘れてるような気が……ま、いっか)」

 

この時、悠里は思った。何か重大な事を忘れているぞと。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「思いのほか、空いてるね……」

「早く乗りましょ!」

 

関係者に案内され、コーヒーカップに乗る悠里と嵐珠。カップの中心にある円盤を悠里は握り、ゆっくりと回す。すると、その動きに連動してカップが回転を始める。

 

「おー、回る回る……」

「悠里、今度はランジュも回してみたいわ!」

「ほいほい……」

 

この後、悠里は後悔した。何故この時もっと早く思い出さなかったのだろう、と。

 

「……(うわー、回るのが速過ぎて景色が見えないやー)」

「楽しいわ! もっと早く回すわよー!」

「ちょ! まっ! ランジュ! これ以上は流石に……ぎにゃあああああああ!?」

 

話をしよう。想定外の腕力というものをご存知だろうか? 女性といえど、生まれつきや練習次第で鍛えられた腕力は並みの男性を上回る事がある。

その腕力を全力で駆使して、コーヒーカップを嵐珠はこれでもかと回す回す。

そして他のカップに座っている客は、一台だけその異常的な速さに圧倒され、ただただ茫然と超高速で回り続けるカップを眺めるだけだった。

 

「強度も硬度も特注品なのに、どうやったら壊せるんだい? 君達は?」

「す、すみません……彼女も楽しくなって悪気はなかったんです。ほんとにすみません……(そういえば、ランジュにコーヒーカップを回す時の力加減をするのを言うの忘れてた)」

「ご、ごめんなさい……」

 

軽く現実逃避しながら、悠里と嵐珠は関係者に謝り続けている。

その理由は、嵐珠がカップを回し過ぎて緊急停止装置が作動。慌てた関係者達が点検をしたところ、悠里と嵐珠が乗ってたカップは取り換え決定の判断が下されたのだ。

 

弁償も悠里は覚悟していたのだが、関係者がコーヒーカップの設計を変えるから、弁償はしなくてもいいと苦笑いしながら言ってくれた。

 

「ランジュ、楽しくてつい回しすぎちゃったわ……」

「確かに楽しんでたもんね。うう、なんかちょっとだけフラフラする……」

「少し休みましょ。悠里、ランジュの腕に掴まって」

「大丈夫、大丈夫。ちょうど落ち着いてきたから」

「そう? それならいいけど、無理そうだったら早めに言いなさい」

 

ほんとはまだちょっとだけフラフラするが、嵐珠に余計な心配をさせたくなかった悠里は大丈夫だと答えた。

 

「……気遣ってくれてありがとね。ランジュ」

「当然でしょ! 悠里はアタシの()()()()なんだから!」

「……(そういうところなんだよなぁ)」

 

笑顔でそう言いながら、悠里の右腕に腕を絡ませてくる嵐珠。そんな彼女を見てなんかズルいなと悠里は思った。自分は嵐珠には絶対に言わないが、幼い頃に彼女の笑顔に救われた事がある。だから自分だけの秘密なのだ。

 

「それじゃあ気を取り直して、次はどのアトラクションに乗るの?」

「それなら、次はあれに乗りましょう♪」

 

そう言った嵐珠が指差した先を見ると、ジェットコースターだった。

 

「やっぱり遊園地といえばジェットコースターよ!」

「…ジェットコースターか。鉄板だね。うん、いいよ。乗ろっか?」

「それじゃ、決まりね! 早く行くわよ! 悠里と二人っきりの忘れられない思い出、もっともっと作るんだから♪」

 

そう言うと嵐珠は、悠里の手を引きながら早く早くと連れて行くのであった。

 

余談だが、ジェットコースターには自信があった悠里だが、予想以上に速すぎた為、終わった後に気絶してしまい、目が覚めるまで嵐珠に膝枕されて介抱されるのは別の話。




読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
次回の投稿は、歩夢ちゃんの誕生日になると思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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