月の少年のSecret book   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
歩夢ちゃん、誕生日おめでとう。
今回は他の2年生組も一緒に入れてみました。
楽しんでいただけると嬉しいです。

それではどうぞ。



記憶8 上原歩夢

とある日の虹ヶ咲学園の学食にて。

 

「「「「「…………」」」」」

 

普段は昼食の時間になると賑やかな学食だが、ある一箇所のテーブル席だけは暗い雰囲気が漂っていた。そこには5人の少女が座っていた。

 

上原歩夢(うえはらあゆむ)高咲侑(たかさきゆう)宮下愛(みやしたあい)優木(ゆうき)せつ()鐘嵐珠(ショウ・ランジュ)の5人である。

 

「「「「「…………」」」」」

 

5人はこの世の終わりのような表情になっている。通りかかる他の生徒の中には5人のあまりの暗さにビクついている者もいた。

 

では何故、現在進行形で5人がこのような表情になりつつ、暗い雰囲気を出しているのか? それは数十分前の出来事である……

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

遡る事、数十分前。

 

「やっと終わったー」

「そうだね。席が混まない内に早く行こっか」

 

午前中の授業が終わり、お昼休み。

歩夢と侑は昼食を食べる為、学食に向かっていた。ちなみに2人共、今日はお弁当である。

 

「あ! 愛ちゃんだ」

「せつ菜ちゃんとランジュちゃんも」

「歩夢、ゆうゆ」

 

学食に着くと、ある一箇所のテーブル席に見覚えのある3人を見つけた。歩夢と侑が声をかけると、愛が2人に返事をした。

 

「「……」」

「せつ菜ちゃんとランジュちゃん……どうしたの?」

「せっつーとランジュ、お弁当を忘れてきちゃったんだって。……ま、愛さんもなんだけどね? その事に気がついたのは、ほんとについさっきなんだけど……」

「あ、愛ちゃん……?」

「……あ、大丈夫、大丈夫。…ちゃんと持って来たつもりだったんだけどなぁ……」

 

暗い表情をしながら、侑の質問に答える愛。

なんでも2人がお弁当を忘れてきてしまったので、愛が分けてあげようかと思ったのだが、自分もせつ菜と嵐珠と同じ状況になってしまったらしい。

 

「うう、私とした事が……不覚です……」

「自信作だったのにぃ……」

「「……((な、なんて声をかけてあげればいいのか、分からない……))」」

 

表情こそ見えないが、せつ菜と嵐珠の声からして、落ち込んでいるのは確かだった。何せ2人が作る料理は独創的な為、歩夢と侑からすれば正直言って複雑だった。

 

「じゃあ私のお弁当を分けてあげるよ! 実は作り過ぎちゃってさ」

 

落ち込んでる3人にそう提案し、鞄からお弁当を取り出す侑だったが……

 

「…………あ、あれ?」

 

鞄の中を何度も探すが、弁当箱が見当たらないのだ。何かの間違いかと思った侑は、鞄ごと中身を広げるが、出てくるのは教科書や筆箱等、授業で使う物だけであった。

 

「……ごめん。3人共。私もお弁当……忘れちゃったみたい。最悪なんだけど……」

「……」

 

あれだけ自信をもって言ってた自分が恥ずかしいと呟きながら落ち込む侑。そして慰めるかのように彼女の肩を無言でポンポンと叩く愛。

 

「みんなそんなに落ち込まないで? 私のお弁当、分けてあげるよ」

 

落ち込んでる4人に元気を出してもらおうと歩夢は鞄の中から、弁当箱を取り出そうとしたが……

 

「…………あ、あれ?」

「「「「歩夢(さん)……?」」」」

 

何やら様子がおかしい歩夢を見て首を傾げる4人。そんな4人をよそに歩夢は必死に鞄の中にある筈の弁当箱を探すが見当たらない。

 

「……ごめん。私も忘れちゃったみたい……」

「「「「……」」」」

 

それを聞いた4人は何も言えなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

という出来事が起こったのが数十分前。

 

「「「「「…………」」」」」

 

偶然にも5人全員がお弁当を忘れてきてしまったのである。

 

「……おーい。5人共、生きてる? もしもし~?」

 

すると聞き覚えのある声がしたので、5人は振り向く。そこには藍音学院の制服姿の悠里が居た。何やら呆れた表情をしているが。

 

「悠里ぃ~~~!」

「悠里、聞いてよぉ~~!」

「ちょ、ちょっと何!? どうしたの!?」

 

半泣きになりながら悠里に抱きつく嵐珠と侑を見た悠里は驚きながらも2人を落ち着かせた。

 

「……お弁当を忘れた?」

「う、うん……そ、その、私も持ってくるのを忘れちゃったみたいで……」

「……(それはもう、天文的確率だと思う)」

 

歩夢から理由を聞かされた悠里は、5人全員がお弁当を忘れるのは天文的確率だなと思った。

 

「…今から買いに行くとかは? 購買もあるんでしょ?」

「悠里さんは私達に荒れ狂う購買に行けと言うのですか? 装備なし状態で激昂金獅子を狩りに行けと言ってるのと同じですよ?」

「……ごめん。僕が悪かった。ちなみに僕は最近、その狩りゲーはやってないよ?」

 

虹ヶ咲学園の学食には、購買もあるので、そこで買えば?と提案した悠里だが、せつ菜の言葉を聞いて直ぐに謝った。確かにお昼時に混んでる購買に買いに行けというのも酷な話である。

 

まぁ……せつ菜の例えもどうかと思ったが。

 

「「お~にゃ~か~しゅ~い~た~!」」

「ヤバい。ゆうゆとランジュが壊れた……」

「あ……悠里さんの右肩に、フレンチトースト……」

「せつ菜ちゃん、あれは陰謀だよ。誘惑に負けちゃだめ! …あ……でも悠里くんの左肩にチョコチップスコーンが大盛り……」

「……歩夢ちゃんも何言ってんの?」

 

語彙力がおかしくなってる侑と嵐珠を見た愛がなんとか落ち着かせるが、せつ菜も正直言ってヤバい。何だったら歩夢もヤバい。

 

「……このままだと5人が空腹のあまりに野生の本能目覚めそうだなぁ。持って来て正解かも」

 

そう言うと悠里は、鞄の中からカラフルでお洒落なお弁当を5つ取り出す。そしてそれを歩夢、侑、愛、せつ菜、嵐珠の5人に渡した。

 

「はい。これ食べて午後の授業も頑張ってね?」

 

そう言って悠里は用事が済んだのか、よいしょと言いながら席を立つ。

 

「あ、でも悠里くん、お弁当箱は……」

「ん? 返さなくていいよ。そのお弁当箱も元々5人にあげようと思って持って来た訳だし。お礼みたいなもんだから気にしないで?」

 

歩夢の言いたい事が解ったのか、返さなくてもいいよと言う悠里。

 

「それじゃあまたね」

 

そう言い残し、悠里は学食から去っていった。

 

「「「「「…………」」」」」

 

とりあえず渡されたお弁当箱を開ける5人。それぞれが違う中身だった。

先ずは歩夢。桜でんぷんがかけてある米や玉子焼き、蛸さんウインナー、極めつけは兎の形をした林檎があった。次に侑。歩夢のお弁当と似た感じだが、こちらは卵をふんだんに使った料理が多く入っていた。

愛のは、彼女が和食が好きな事もあってか、煮物やだし巻き卵が入っていた。

せつ菜はなんと俗に言うキャラ弁だった。某狩りゲーに出てくる『眠鳥』のアイコン風の海苔、飛竜の卵的な形をした茹で卵等、マニアしか解らないものばかり。そして最後に嵐珠。肉が好きな事もあってか、スタミナ系のお弁当だった。栄養バランスも考えてか野菜もキチンと入っていた。

 

「た、食べようか。悠里くんが作ってくれたんだし……」

「「「「そうだね(ですね)(ね)!」」」」

 

歩夢の言葉に早速と言わんばかりに悠里の手作りお弁当を各々が口にすると……

 

「「「「「お、美味しい(です)……」」」」」

 

あまりの美味しさに5人は、なんか一瞬、天国が見えたぞと同時に悠里の料理スキルが高すぎではないか?と思うのであった。




読んでいただきありがとうございます。
なんとか間に合って良かったです……(苦笑)
とりあえずこれで2年生組の誕生日回、全員1周目が無事に終わりました。
次から2周目になります。
次回の投稿は、海未ちゃんの誕生日になると思います。
頑張りますので、よろしくお願いします。
本日はありがとうございました。
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