エピローグは三人称+短めです。
ドリームトロフィーリーグ。それは、本格化の「上がり」を迎え、トゥインクルシリーズを引退したウマ娘たちの受け皿であり、よりショービジネスに特化した「レース」ではなく「ウマ娘」の祭典。
例年、ドリームトロフィーに所属するウマ娘は、「本戦」に位置付けられるサマードリームトロフィー、ウインタードリームトロフィーへの参戦に向けて「予選」とも言えるレースに参加することとなる。
一般に、テレビ局や企業が主催となる予選レースは、本格化を終えたという事情からエンターテインメント性に特化した種目が多い。怪我の予防や疲労を残さないという観点から、本戦を除くレースは多くがファンのための「ショー」であることが大半だ。
そこに、待ったをかける者が現れた。
曰く、ドリームトロフィーに所属するウマ娘は皆「本格化を終えた」という意味で同条件である。そのため、トゥインクルシリーズと比べて速度にこそ劣るがより技巧的な走りを魅せることができるのではないか。
併せて――本格化の「上がり」や未成熟さを理由とした能力格差は生まれないため、本当の意味で「最も強いウマ娘」を決めるのに最適なのではないかと。
多くの反対意見は出たが、
世界最強を決めるレース、「JAPAN WORLD CUP」を開催する、と。
・・・≠・・・
『さあ――間もなく始まります、世界最強決定戦を謳う大レースJAPAN WORLD CUP。実況は赤坂、解説はかの無敗三冠ウマ娘のライバル、チョクセンバンチョーでお送りします』
『よろしくお願いします』
晴れ晴れとした秋の空のもと、東京レース場に大勢のファンの歓声が轟く。
予選レースとしては異例の大観衆に見守られる中、ひとり、またひとりとレース場にウマ娘が脚を踏み入れた。
1枠1番、シンボリルドルフ。
1枠2番、ピーピードーナッツ。
2枠3番、スペシャルウィーク。
2枠4番、トウカイテイオー。
3枠5番、ハリウッドリムジン。
3枠6番、デイブレイク。
4枠7番、ニンジャスナイパー。
4枠8番、ピンクフェロモン。
5枠9番、サバンナストライプ。
5枠10番、モンジュー。
錚々たる顔ぶれであり、いずれもその世代の中心を担ったと言って過言でないほどの実力と実績を誇る名ウマ娘。
ひとり現れるたびに会場が揺れ、盛大な声援が張り裂けんばかりに空気を叩く。
それでも、この日最も会場を沸かせたのは――紛れもなく、最後のひとりの存在だった。
『そして、6枠11番。長きに渡る沈黙を破り、このウマ娘が帰ってきました。――――無敗の三冠ウマ娘にして生涯無敗を誇る生ける伝説、ギンシャリボーイ!!』
現役時代とは異なる落ち着いた雰囲気の「和」を基調とした勝負服。かつての面影は薄くも、しかし確かな存在感は彼女が紛れもなく「ギンシャリボーイ」そのひとだということを如実に示していた。
いつ、帰ってきたのか。
今までどこに行っていたのか。
そうした野暮な疑問が次々と浮かぶが、観客が選んだのは純粋な歓声と、祝福の言葉だった。
『当時の勝負服とは異なる印象ですが、チョクセンバンチョーさん。いかが――あれぇ!?』
そして――祝福以上に、本来直情的で感情的な
待っていたぞギンシャリ、などと叫びながら解説席を飛び出した彼女は、そのままターフに飛び出して行ってしまったのだ。
『これは……いいのでしょうか!?』
「面白いからオッケーです」
『いいようです!』
普通のレースならば、こんなことがありえていいわけがない。
しかしこのレースはどちらかと言えばエキシビションマッチに近い自由度の高い枠での催しだ。
何より、
『――世界で最も強いウマ娘は誰なのか選びぬかれた11人……いえ、12人による頂上決戦!』
ファンファーレが鳴り響く。
華美な装飾は必要無い。娯楽性も必要ない。
ただ、全力をもって走る姿だけが、心に訴えかける最上のエンターテインメントに昇華される。
『JAPAN WORLD CUP――今、スタートしました!!』
――勝利へ。
夢を叶えたその先にも、道は続く。
○ 後書きについて
活動報告に後書きなどを掲載していますので、興味があればご確認ください。
○ 支援絵について
最終話前に狩猟系ナメクジ様より支援絵(JWC出走表)を頂きましたので紹介させていただきます。
【挿絵表示】
AIを使用して生成した画像を加工して作成されたとのことです。
細かい点で実際の描写と異なる部分等ありますが、イメージ画像と考えていただければとのことです。
完結までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。