新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
ところがシュバルツの圧倒的な強さを前に、彼らは手も足も出ないままにいたずらに翻弄されてしまうのです。
そこにある明鏡止水の境地とはいったいなんなのか。シン・アスカたちは新たな力を得ることができるのでしょうか。
それでは! ガンダムファイト! レディーゴー!
波のさざめく音、風の啼く声に耳を澄ませながら、シュバルツ・ブルーダーはゆっくりと顔を上げ、海面上に空中停止(ホバリング)する三機を順に見つめた。
前方にシン・アスカ、左後方にルナマリア・ホーク、右後方にレイ・ザ・バレルがまったく同じ距離を空けて陣形を展開し、この黒装束のガンダムを囲んでいるのだ。新造艦ミネルバを代表するパイロットたちだけあって、若輩ながらもその機影を通して彼らの気迫がシュバルツには伝わってくる。
通信音が軽快に鳴り響いた。
『模擬戦を始めます。準備はいいかしら?』
艦長タリアの言葉に、シン、ルナマリア、レイがそれぞれコクピットからうなずく。それをモニターで横目見、シュバルツもまた、タリアに目で応じたのちに居並ぶエースパイロットたちに言い放った。
「私の方もいつでも良い。さあ、かかってくるがいいっ!」
「それでは模擬戦、始めっ!」
凛と鋭い号令のもと、ミネルバ隊の模擬戦が始まる。
発端は、レイの一言だった。
「シュバルツ殿。約束通り、我々にあの動きを教えていただけるのでしょうか?」
シュバルツの着艦を機に、いつになく積極的に他人を呼びとめたレイの表情は、険しく決意に満ちたものだった。シュバルツがふり返れば、レイの後ろにシンとルナマリアもいる。向けてくる意思の種類こそ三者三様だったが、その彼らを順に見たあと、シュバルツは陣頭のレイを見下ろした。
「む、ザクの動きをか? だが、私の動きはMS用のものではない。あんな機体を無視した戦い方では、すぐに負けるぞ」
「あんな無茶苦茶な動きは無理でもっ! 基本的な動きだったら、私たちも学べるんですよねっ?」
「たしかに君たちのMSも私のMFと同じく、人体を模した構造をしているから、ある程度は教えられるが」
ルナマリアの指摘に、シュバルツが思案顔でうなずいた瞬間、シンが眉間に力を入れて食いついてきた。
「なら、教えてください! 俺、もっと強くなりたいんですっ!」
「――いいだろう。私で良ければ、力になろう」
その約束だった、と言外に肯定するシュバルツの穏やかな表情に、若きパイロットたちの瞳が輝く。
こうしてシン、ルナマリア、レイの3人は、シュバルツとの模擬戦に挑むことになったのである。
戦いの口火を切ったのは、レイのザクファントムだった。
白い一角ザクがビームアックスを振りかぶり、ガンダムシュピーゲルの黒い体躯に斬りかかる。だが、掻いたのは空だった。シュピーゲルは号令がかかる前と同じ態勢、両腕を組んだまま後ろにのけぞっただけでビームアックスをかいくぐっている。
「踏み込みが足りん」
「っ!」
「レイ、どけ!」
割り込むようにインパルスが躍り出て、ビームサーベルを薙ぎ払った。シュピーゲルの胴をはね斬る鋭い一閃だ。だが、斬ったそれが淡い蜃気楼となって消えていくのを見て、シンは目を瞠った。
「なっ!」
残像だ、と胸中でシンがつぶやいたとき、五機に分裂したガンダムシュピーゲルが、インパルスのモニター画面に映し出されていた。
「えっ!?」
「ちょっ、ちょっとちょっとー、そんなのありぃい!?」
「ルナマリア、なにを言う。敵がどのような攻撃をしてくるかなど、手合わせするまではわからん。要は、それを破る腕が、お前たちにあるのかどうか。それだけのことだ」
「くっ!」
動揺を見透かされて、シンは鋭く歯噛みする。ここで文句を言ってもシュバルツのような一流パイロットにはなれない。それくらいは理解できる。
(落ち着け、シンっ。必ず本体は一人だけのはず。だから、それを見極めるには――)
まったく同じ機影、同じポージングで腕組みしている五機の黒いガンダムが、シンの目の前にはある。熱源センサー、その他計器類のすべてが、五機の実在を裏付けてくる。
冷静に、冷静にと自分に言い聞かせるも、現実がシンを途方に暮れさせた。
「どうやればいいんだ……。どっからどうみても、全部本物に見えるぞ、五機とも!?」
「ここまでデタラメな人だとは思わなかった……」
「ていうか、物理法則無視してるしぃーっ!」
「これぞ我がゲルマン忍法の真髄、我がネオドイツの科学力、お見せできて光栄だ」
どこか諦観や自棄の入ったパイロットたちの言葉に、シュバルツは喉を鳴らして微笑んだが、完全に立ち往生する彼らを見るや
「ふむ、分身の術はお前たちではまだやぶれぬか」
つぶやいて分身を解いた。
五体あったガンダムが霞のように消え、中央の一体だけが残ったとき、
「よし。ならば来るがいい! 今度は避けはせん」
シュバルツはそう言って、両腕に搭載されたシュピーゲルブレードを展開し、二振りの刀を交差させるようにして構える。その流れるような一挙手、一投足、すべての動きに無駄が一切なく、素早い。
シンが思わず唸った。
「くっそぉ! あきらかに実力差があるな!」
「あんなのデタラメ過ぎよ! どうするのよ、シン!?」
「か、かわさないっていうんだから、なんとか、手はあるはずっ! レイ、なんかないのかっ!」
「いまのところは、シュバルツ氏を出しぬける策がまったく浮かばない」
こんなときでも冷静なリーダーのレイが真顔で答えてくれるが、言動内容は珍しく弱々しい。
シンが顔をそらしながら「ですよねー……」などと小声でつぶやいてしまったのが聞こえたのか、小型モニターのなかでルナアリアが地団駄を踏みながら、拳を握りしめて叫んだ。
「くぅぅぅ、だからって三機まとめてなにもできないなんてことになったら、あたしたちの面子丸潰れよっ」
「くっそぉ。とりあえず、あの動きを少しでも覚えるんだっ!」
現状でできる唯一の情報収集方法。シンが導き出した答えに、シュバルツは柔らかな声でつぶやいた。
「フフ、ドモンとの修行を思い出すな……」
同時、打ち込んでくるインパルスに、シュピーゲルもブレードで迎え撃つ。
「でぇやぁあああ!」
ビームの弾ける音、たしかな振動が手許に伝わって、シンは奥歯を噛みしめた。両機が袈裟懸けに斬り合い、鍔迫り合いへともつれこんだんのだ。互いに拮抗する両者の刃とビーム。そのときコーディネイターの優秀な頭脳は、軍学校で習った対物兵器とビームの相性に関する項目を思い返していた。
シンの細面に、一筋の冷汗が垂れ落ちる。
「シュ、シュバルツさん。そのブレード、実体剣ですよねっ?」
「そうだが?」
「いやっ、なんで……っ、ビームサーベルを止められてるんですか?」
「む? 当たり前だろう? これぐらいはできる」
「え? あっ、あれっ、できるとか、できないとかじゃなくてっ、物理法則的に、ビームを実体で止めるってアンチビームコーティングとか、そういう、こと……かなぁ?」
シン・アスカは考えた。いままで経験したこと、座学で学んできたこと、すべての経験、知識をフル稼働して考え抜いた。だが答えは――
ルナマリアが冷めた表情で、モニター越しにレイを見る。
「ねえ、レイ。あれアンチビームコーティングされてると思う?」
「ここまでデタラメだったとは」
レイはシュバルツから片時も目を離さず、表情も崩さず、ただ目を丸くして、茫然とつぶやくだけだった。
「どうする? 模擬戦、まだ続ける? シン」
「あ、あたりまえ……っだろ!」
虚勢を張ったところで、ブレードを下したシュバルツが眉を上げた。
「少し心を落ち着けてきたほうがよいのではないか、シン。そんなにわたしのブレードで止められたのが不服か?」
「い、いやぁ。不服とかそういう問題じゃなくて……俺たちの常識、まったく通じないんだなって、いや、ホントに思っただけですよ……」
「馬鹿者っ! 自分の考えや物差しだけで、物事を判断するんじゃない。いま目の前に起こっていることすべて、事実や現実として捉え、そのうえでどう対処するかを練る。それが一流の戦士というものだ」
「シュバルツ殿。おっしゃっていることはわかるのですが……」
「あまりにむちゃくちゃすぎると、その現実を受け入れられないっていうのも、わかりませんかね?」
控えめに主張するレイと、口端を震わせながら作り笑いをするルナマリアの言葉は、シュバルツには届かない。
「か、艦長……っ。白兵戦であの機体についていけるものなんでしょうか……」
ミネルバのメインモニターをブリッジで観戦しているクルーたちは、あまりの動揺にざわついていた。
副官のアーサーの硬い声音に、タリアは艦長席でうつむいて、とがった顎先に指を添え低く唸る。
「むしろどうやってついていくのかをわたしが訊きたいところよ。あんな動きに」
「ですよね……」
「あれについていけるパイロットなんて、この世界にだれもいないわ、きっとね。だからこそ、なんとしてもこのMFの弱点を見るために、模擬戦でシンたちにはがんばってもらわないとならないのよ。欠点のない存在など、この世にはいないのだから」
冷静な女性艦長の現実的な意見は、アーサーにとって心強いが、洋上で黒いフォルムを優雅に光らせる未知のガンダムを見つめていると、『欠点』など本当に存在するのだろうか、という素朴な疑問が根強く残った。
紅い防護盾をかかげて、インパルスガンダムが突っ込む。シュピーゲルからすれば、インパルスの盾が目くらましとなり、サーベルを抜いたシンの動きは捉え切れないはずだった。だが、インパルスが打ち込んだ刹那、洋上に浮かんでいたはずのガンダムシュピーゲルが眼前から完全に消失(ロスト)している。
「消えたっ!?」
思わず息を呑むシンに、すかさずレイの叱責が飛んだ。
「上だっ、シン!」
同時、ザクファントムの砲身が、インパルスの頭上に向かって轟いている。
(飛び越えられたのかっ!)
シンが状況を把握した刹那、二発のビームライフルが薄れゆくシュピーゲルの陰影をかすめていった。
「なっ!?」
「どこを見ている、わたしはここだ!」
残像。レイも遅れて事態を把握したとき、白いザクファントムの胴体が蹴られ、海面に叩きつけられている。水柱と盛大な水音が立った。
「えぇえいっ!」
掩護するように鋭く咆えたルナマリアが、巨大な砲身オルトロスの照準をシュピーゲルへと素早く定める。ついで、砲身からの強烈な反動で赤いザクが激しく揺れる。野太いビーム光線が放たれ、それをシュピーゲルは展開したブレードを正面に突きだすことで静かに応えている。
(どうする気だ――っ!?)
シンが眉をひそめたのもつかの間、まるでさざ波が岩礁に割かれるかのように、オルトロスのビーム砲が左右に分かれ、霧散していった。
「えっ!?」
息を呑んだパイロットたちに、シュバルツの落ち着いた声が響いた。
「兵器などに頼っていては、それ以上の実力を持つ者に到底及ばぬ。お前たちはまだそのMSと一体化となっていない。お前たちの機体と、自分の身体を一心同体とするのだ。機体を道具としか見ていなければ、到底できはしないぞ」
「モ、MSを通してそういうことを感じろってことですか?」
「その通りだ。風の音、海の音、鳥の声、空気の流れ、それらをMSを通して理解し、感じるのだ」
「そ、そんなのできるわけ……」
「そうかな? では、実践して見せよう」
顔をひきつらせたルナマリアが、思わず反論した途端、
「シュピーゲル・アンデア・ユングス・ブルート!」
シュバルツの叫びと共に、シュピーゲルの胸の部分から青い光の玉が現れ、『鏡』の文字を浮かばせる。
「えぇえええっ!?」
「なっ?!」
「これはっ、あのときの!」
三人の若きパイロットたちに緊張が走る。
そしてシュピーゲルの胸部にあった光の玉は、シュピーゲル全体を飲み込むほどに大きくなり、その光が消えると同時に、そこには、二つ角の赤いガナーザクウォリアーが立っていた。
「えぇえええっ!? あたしの機体ぃい!?」
「ど、どういうことですかっ」
「MSでできんかどうか、わたしが証明してやる。さあ、遠慮はいらん。攻撃してくるがいい」
自分の姿を真似られた、ルナマリアはおっかなびっくりの表情をころころ変えながらも、ともかくガナーザクのオルトロスの巨大砲身を構えた。
「うぅうう、ならっ、いきますよぉおお! 当たれぇえええ!」
同時に、鏡に映しこんだように同じ体勢でオルトロスを構えるシュバルツのガナーザク。
一瞬後、ビーム砲が弾ける。オルトロスの発砲タイミングは示し合わせたかのようにまったく同時だった。
そのとき、ミネルバのブリッジには鋭い緊張が走った。
「解析、急いで!」
タリアの号令を皮切りに、素早く操作盤(コンソール)を叩く音が艦内に響く。
ルナマリアの妹、メイリンがはっと顔を上げた。
「ルナマリア機のオルトロスとまったく同じです!」
「ルナマリアの機体との相違点はないの?」
「スピード、出力、機動力、すべてルナマリア機と同じ……? こんなにっ」
「こ、ここまで真似れるものなのかっ」
メイリンが提出した解析データを見つめながら、ミネルバクルーたちに衝撃で息を呑んだ。
「きゃぁああああっ」
「ルナ!」
オルトロスの強烈な砲撃が、ルナマリアの赤い機体をかすめ、はるか水平線の彼方に吸い込まれていく。
咄嗟に防御態勢を取ったガナーザクウォリアーだったが、これを愛機としているルナマリアの衝撃はひとしおだった。
「どういうことなの、まったく同じオルトロスだったんでしょっ!?」
『射撃のタイミングまでまったく同じよ。けれど、シュバルツ殿の放ったオルトロスは、ルナマリアのオルトロスを上回った。どういうからくりなのかしら』
艦長の冷静な声が聞こえて、ルナマリアは緊張で喉を鳴らす。唇の渇きは、そんなものでは癒えない。
目の前で両腕を組んで直立しているガナーザクウォリアーが、静かに答えた。
「からくりなどなにもない。強いて言うならば、明鏡止水の心」
「明鏡止水?」
「わだかまりややましさのない澄んだ心。それが、人に己の限界を超えた力を与える。MSにおのれの血を流すことも出来るということだ」
世の理を解く高僧のごときシュバルツの言葉に、一同が呆けているときだった。
白い一角ザクがライフルを抜き、不意打ち気味に二発、シュバルツに向けて撃ったのだ。
「お、おいっ、レイ!」
シンの動揺もそのままに、ビームライフルの光線が遥か彼方まで走っていく。
悠然と佇む鏡のザクウォリアーは、棒立ちの状態で、首を左右に振るだけでこのライフルをかわしたのだ。
「っ!」
次にレイがまばたいたとき、ビームアックスが白いザクファントムの首許に突きつけられている。
いつ踏み込まれたのか、それすらも見えない。
「くっ」
「信じる気になったか」
呻くレイと、食い入るように見つめているシンを見て、シュバルツが口許をゆるめてビームアックスを下ろした。
「す、すげえ……っ」
思わず感嘆の声をもらしたシンが、目の前の出来事を反芻する。同じ機体、同じ性能でありながら他を寄せ付けない人機一体の境地。明鏡止水。
それがどんなものかはまだシンには夢のようにしかわからない。だが、目の前にあるガナーザクウォリアーが、シンには希望の光に見えた。
「シュバルツさん! その技、俺に教えてください!」
「シュバルツ殿、わたしにもぜひ」
「わたしのザクウォーリアでもそれができるってことですよね!?」
ほぼ同時に放った三人の言葉に、シュバルツは静かに問いかけた。
「わたしの修行は厳しいぞ。ついてこれるか?」
「俺はもっと、強くならなきゃいけないんです!」
「無論です」
「あんなかっこいい動きができるんだったらわたしも、どんな努力だってしますっ」
変化した姿の、赤いザクが小さくうなずく。MSであるのに、それはまるで人間と対峙しているような、自然な動きだった。
「よし、よく言った! ならばっ。まずは機体を降りろ!」
「……えっ?」
予想だにしない言葉を受けて、三人は唖然として固まった。
「艦長! しばらくこの三人を借りるぞ!」
『シュバルツ氏、どういうことです?』
さしものタリアも状況を読み切れず、怪訝に眉をひそめている。
だが彼女と同じく、判断能力に優れたシュバルツの決断は、すでに次の行動へと移っていた。モニター画面に周辺の地図が映し出され、その詳細なデータに目を走らせている。
「修行ならばガンダムに乗らなくてもできる。むしろ明鏡止水の心を学ぶならば、余計な一切合財を捨てねばならん。この近くには無人島があるようだ。そこで一週間ほど時間を貰おう」
『い、一週間!?』
顔をひきつらせるアーサーを置いて、シュバルツは早くもきびすを返す。
「緊急事態があればいつでも言ってくれ」
『か、艦長。一週間もこの辺で滞在するのでしょうか……』
『それはちょっと無理よね』
考え込む声音になったタリアに、シュバルツは首を静かに振った。
「問題ない。ミネルバ隊はそのまま作戦行動を続けてくれればいい。なにかあればコールをくれれば、数秒でそちらに向かう」
『あなたが言うと冗談に聞こえないわね』
「なぜそこで冗談と受け取られたのか、不思議なのだが」
『どうしてそこで心外と言う表情になるのか不思議だわ。まあ、あなたに関してはいろいろ疑問を持たない方がいい、ということはよくわかったことだし。シン、レイ、ルナマリア。艦長命令です。一週間ほどシュバルツさんと修行しなさい』
水を向けられたルナマリアが、たじろいだ。
「えっ、無人島……ですよね? 食糧とか、シャワーとか」
「ルナマリアよ。いやならやめておくか」
「俺は行きますっ」
「わたしも、その動きぜひとも」
一も二もなく食らいつく少年たちの真剣さに、ルナマリアの脳裡にさきほどのオルトロスの打ち合いの衝撃が蘇る。ためらいはあった。不安も、迷いも。
だが、
「っ~~~~、しょうがないわね! 行きます! 行きますよ!」
「話は決まったな。では、しばらくよろしく」
静かなシュバルツの落ち着いた声は、人を導く温かさと力強さに満ちている。
「い、いいんですか、艦長っ」
ミネルバのメインモニターから一部始終を見ていたアーサーは、戸惑って女性艦長を見やる。
艦内から主要なMSとそのパイロットが、一時的にすべていなくなってしまうのだ。彼の動揺は無理からぬことだった。
「もともとダメ元だもの。問題ないわ。それにもし彼らが達成できたなら、我が艦は一気に戦力が増強されるはずよ。たった一週間でね」
「あの三人、無事に帰ってこれるでしょうか……」
計略に長けた艦長の判断に、アーサーは一定の信頼を寄せながらも、シュバルツについていく若い背中たちを不安げに見やる。
タリアが小さく苦笑して、首を横に振った。
「命に別状はないでしょう。シュバルツ・ブルーダーがいるのならね」
こうしてミネルバ隊から一時離脱することになった若きパイロットたちは、存在からなにからなにまでデタラメな謎の男、シュバルツとの修行に励むことになったのである。
みなさん、お待ちかねー!
デビルガンダムとの激闘を終え、わずかばかりの休息を得たキラたちとキョウジ!
彼らは悪魔を倒す手がかりを探るため、シャイニングガンダムの戦闘データを解析することを決めるのです! そこにはキョウジやシュバルツさえも知らない記録が眠っており、はたしてその謎が意味する真実とは――!?
次回、機動武闘伝Gガンダム SEED Destiny第15話に、レディー、ゴー!