新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
しかし、守備隊についたイザーク達は、この戦いを納めたものに、不審の眼を向けるのです。
はたして、どうなっていくのかーー!?
それでは、ガンダムファイト、レディー、ゴー!!
地球連合からの一方的とも、言いがかりとも言える戦線布告。
それから僅か一時間足らずで、プラントの前には、連合の戦艦10隻と、60機はあろうと言うダガーの後継機、ウィンダムが展開されていた。
彼らは、攻撃目標をプラントにして既に接近している。
ナスカ級ーーボルテール艦を指揮するイザークは、自身のブレイズザクに搭乗し、悪態をついた。
「ーーふん、やはりこうなるか」
「連合も一枚岩じゃないからな〜」
「そんなことは、分かっている! だが、いつまでもブルーコスモスに振り回されているのが、俺は腹ただしいだけだ!! 連合もザフトもな!!」
相方の言葉に吐き捨てながら、操縦桿のグリップを握る。
「そういや、イザーク。ラクスからプラントに上がるって暗号通信が来たらしいな?」
「ーーうむ。ラクス様のことだ、無事にクライン派とも合流できるだろう。明日にもこちらに来るそうだ」
「ーーそのことなんだが。ラクス達は、傭兵団に護衛を依頼したみたいだぜ」
「何? 金で如何様にも動く傭兵などより、私を頼ってくだされば、ディアッカくらい、何時でも護衛に差し向けたものをーー」
「悪かったな、ぐらいでよ!! つうか、最近の俺の扱いの雑さは何なんだよ!?」
歴戦の猛者となった2人には、この程度の数は大した脅威ではない。
普段通りに、会話しながらも、連合ーーいや、ブルーコスモスの本命を探る。
「ーー イザーク。マーク・フタマル・デルタに30機のウィンダムを発見。間違いない、核ミサイル搭載型だ」
「ーー本当にワンパターンだな、ブルーコスモスってのは。よし、正面の部隊は、シホに任せる。
他のものはシホに付け。
ディアッカは、俺と核搭載型を殲滅するぞ!」
「ーーやっぱ俺だけ、労働条件過酷なんだよね〜」
そうボヤくディアッカのザクに何故か暗号通信で、後輩のシホからメッセージがあった。
可愛らしい後輩が、自身への激励をくれたかと、メールを開けてみたところーーーーーー
『ディアッカさん、羨ましいーー。隊長と2人きりーー。いつもいつもいつもいつもいつも……』
( ーーこえ〜よ、おい!?)
思わず、出撃準備しているシホを見ると、彼女は素知らぬ顔で作業していたものの、青ざめたディアッカの表情を見て取ると、静かに笑みを浮かべてきた。
彼女の表情と、普段からのイザークへの懐き方を鑑みて、ディアッカは思った。
( なんで、俺ばかり!?)
世の理不尽に、嘆くディアッカであった。
だが、異変は起こった。
いつまで経っても、出撃命令が下りないのだ。
待機命令のみが下され、部隊が展開されることはない。
「ーーおい、イザーク。こいつは」
「本国に報告しろ!! このままでは、プラントが落ちるぞ!!!」
しかし、イザークが本国へ打診するも、返答は待機せよ、のみだった。
「何を考えているんだ! 本国の連中は!?」
地球連合艦隊ーー
「ーー敵は部隊を展開しませんね」
「好都合だ、宇宙に住むゴミどもめ。クルセイダーズを出撃させろ!!」
連合の指揮官の指示で、別動隊のクルセイダーズと呼ばれた核ミサイル搭載型ウィンダムが、部隊を展開した。
「くたばれ、蒼き清浄なる世界のために!!」
放たれる無数の核ミサイルーー。
プラントに放たれるのを、モニターでも確認できたーー。
しかし、次の瞬間、連合もザフトも、思いも寄らない形で、ミサイルは防がれた。
突如、爆発する核の火。
プラントに放たれる寸前で、止められていた。
「何だーー!?」
クルセイダーズのパイロットにも、突然のこと故、理解できない。
彼らの前には、何処から来たのか、いつ現れたのか?
トリコロールの10機のガンダムタイプのMSが、立ちはだかっていた。
「ーーなんだと!? 核ミサイルが全て落とされた!?」
「艦長ーー、前方に熱源が生まれます!!」
「何だーー!?」
彼らがモニターを確認した時、銀色に輝く30を越える光の玉が渦を巻きながら、宇宙空間に現れた。
光の玉は、大きくなって弾けると同時に、MSを形どる。
「なんだ、こいつらは!?」
「分かりません!! しかし、クルセイダーズの前に阻んでいる部隊と同型機です!!」
「ーーこいつらが、核ミサイルを落としたのか? だが、数の上では、こちらが有利だ!!
全軍に告げる、アンノウンはザフトの機体と断定!!
速やかに排除せよ、蒼き清浄なる世界のために!!!」
指揮官の指示で、一斉に連合製MSーーウィンダムが仕掛けた。
一方、ボルテールで待機命令のあったイザーク達にも当然この映像は流れていた。
「ーーなあ、イザーク。いきなり現れたMS、似てねえか? あの忍者の変身したヤツに」
「ーープラントの半分を一瞬で消しとばした機体か。確かにな。だが、ディアッカ。
こいつら、確かに忍者が変身したガンダムに顔はソックリだが、胸部のデザインが異なるぞ」
イザークは、答えながらも冷静に記憶の中にある、日輪を背負った機体を思い浮かべる。
「加えて、あのバックパックと両腕は、色をトリコロールにあわせて変えているが、ジンのそれだな。
いや、ジンハイマニューバ二型ーー、テロリストの連中が使っていたタイプだ。
武装も同じだしな」
ディアッカは、自身のMSに記録されていたデータとアンノウンのMSを比べて、言った。
「テロリストが使った機体と同型機を、テロから救った機体に似せて作り変えた? 何の冗談だ!?」
ディアッカから差し出された写真をモニターで見比べ、イザークは激怒した。
議長室のモニターで、彼らもアンノウンのMSを確認していた。
「デュランダル議長、これはーー!」
ザフト軍の人間である護衛に、デュランダルは静かに笑いかけた。
「何、彼らは私の擁する特務隊でね。彼らに任せてもらえないかな?」
「は、はあ」
所在無さげに立つ軍人に微笑みかけた後、プラントの周辺を模した宇宙図を広げた卓の上に、チェス盤を置いて、駒を40程、適当に配置する。
その駒は全て、チェスのナイトと呼ばれる黒の駒だった。
「議長ーー?」
「いや、気にしないでくれ。チェスの駒を動かして、気持ちを落ち着けているんだ」
言いながら、デュランダルは駒を動かす。
側から見れば、何の意味もないような事だ。
勘のいい者がいれば、分かるだろう。
デュランダルが置いたチェスの駒の位置に、アンノウンのMSが出現していることに。
だが、それがどれだけ、荒唐無稽かは、気付いた人間が一番分かる。
デュランダルの駒を置いた位置に、MSが現れるなど。
アンノウンのMSの部隊は、互いの位置を完璧に把握し、どのように連合が展開しているのかを理解していた。
「サトー隊長、この機体ならば、これだけの数はいらなかったのでは?」
部下のーーいや、元部下の言葉を受けて、サトーは自嘲気味に笑った。
「デュランダル様のご命令だ。新たに手に入れたチェス盤の動きを見たいらしい。我らは、その通りに配置されているにすぎない。
それにしても、ウィンダムか。デビルガンダム様に捧げるのにちょうど良い。
生きの良い餌だ」
獰猛な肉食獣のような笑みを浮かべ、人間であった頃の憎しみも加えて、サトーはトリコロールのガンダムタイプの部隊を指揮し始めた。
次々にウィンダムから放たれるビームライフル。
サトーは、その無数のビームを敢えてスラスターを全開にし、真っ直ぐ突っ込むことで、敵に的を絞らせず、一気に距離を詰める。
そして、射程内に入った瞬間、右手に持ったビームライフルの引き金を引いた。
放たれたビームは、寸分違わずウィンダムの胴体にあるコクピットを貫いていく。
瞬く間に3機のウィンダムが爆発する。
サトーの動きは、ナチュラルはおろか、コーディネーターでも反応できないほどの、スピードだった。
放たれるビームを宙で旋回して躱すと同時に、次々とコクピットに引き金を引いて落としていく。
「ーーふん、つまらん。コレでは勝負にすらならん。やはりーー」
サトーはそう言うと、ライフルを捨て、腰の刀を抜き放つ。刀を両手持ちにして構え、スラスターを全開にし、一気に敵に近づいていく。
「ーークッ、速い!?」
「マヌケめ。機体の性能は素晴らしいが、ナチュラルではそんなものか」
サトーは、刀で両腕を切り落とした後、左手をウィンダムの胴体に当てる。
「ジェットストライカーとやらのエンジンだけ頂き、残りは生け贄としよう」
瞬間、銀色の光がウィンダムを包み込む。
「ーーなんだ、何なんだ!? う、うわああああーー!?」
パイロットは悲鳴をあげながら、光の中へと消えていく。
光が晴れた時、銀色の球が浮かんでいた。
その球は、サトーの機体の胸に嵌められた緑の球型のクリスタルに吸い込まれた。
瞬間、機体のバックパックの羽のバーニア部が変化し、ウィンダムのジェットエンジンの形をとる。
羽を模したバーニア部は、ロケットの様に尖ったものになっていた。
「ーーさて、早速試すか!」
瞬間、サトーの機体は、音速をも超えるスピードで、一気に距離を詰めていき、刀で敵を切り裂いていく。
一部始終を見ていた、連合艦隊のブリッジは、混乱に継ぐ混乱をきたしていた。
「何なんだ、この部隊は!?」
「2番艦、3番艦、共に撃沈!! MSも半数を切りました!!」
「ーーおのれ!!」
歯を食いしばり、出せるだけのMSを出そうとする。
しかし、彼らの眼の前に、ガンダムタイプの顔が迫っていた。
「ーー貴様らの命も、貴様らの機体も船も、全ては我らが王のもの。
さあ、デビルガンダム様の贄となれ!!!」
言うやいなや、両手持ちに構えた刀が振り下ろされ、艦を真っ二つにしてしまう。
他の船も、次々とサトーの同型機が撃破していく。
勝負は、完全についたーー。
その様を、小惑星のデブリに紛れて、イザークとディアッカのザクファントムが、見ていた。
「間違いない。機体の動きはスピードの桁が違うが、パイロットの癖はあの時の奴と同じだ。奴は、ユニウスセブンを落下させようとした、テロリストだ」
「コクピットと動力炉やられても、まだ再生できるのかよ、ゾッとするぜーー」
「と、言うことはこいつらの中に、俺の部下たちもいるのか」
イザークの言葉に、ディアッカは肩をすくませた。
「やめとけよ、取り込まれた時点で敵になってたろ?」
「ーー分かっている」
何処か寂しそうにしながらも、イザークはデブリから出る様なことはせずに、記録映像を残していく。
彼とて、ユニウスセブンでの戦いで理解しているのだ。
この敵の異常さを。
「ーーディアッカ、記録映像を保存後解析して、映像をクリーンナップしておけ。
今回の策を講じたのは、デュランダル議長だ」
「ーーかつてのテロリストが、今やプラントを守る忠実なガーディアン、ね?」
含みのある表情で言い放つディアッカに、コクリと頷いて、イザークも呟いた。
「今回のユニウスセブン。もしかしたら、議長は知っていたのかもしれんな。
この訳の分からん機体のこともな」
「ーーやれやれ、いつになったら、争いはひと段落つくのかね?」
ディアッカの軽口に、何も返さず、アンノウンの部隊を見ていると、敵を殲滅したのち、アンノウンは一斉に並ぶと、胸のクリスタルを光り輝かせ、銀色の光の球になって消えていったーー。
「忽然と現れ、忽然と消える、か」
「正に、神秘の機体だな」
「ーーふん。一機だけでも捕獲しておきたいが、急いては事を仕損じるな、ボルテールに戻るぞ、ディアッカ!!」
「ーー了解だ!!」
こうして、プラントは、謎のMSの一団に救われた。
しかし、イザークやディアッカの、デュランダルへの疑惑はより一層、増えることとなったのである。
みなさん、お待ちかね〜!!
シン達としばらく別れたミネルバですが、彼らを襲うため、大西洋海上において、連合の巨大MAに現れます。
絶対絶命の危機に陥るミネルバですが、彼らを救いに、修行をひと段落させたシン・アスカが現れ、新たなる力に目覚めるではありませんか!?
次回、機動武道伝Gガンダム SEED-Destiny- 第17話に、レディー、ゴー!!