新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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さて皆さん。

シン達は、シュバルツの提案により、修行を受けます。

彼らの腕がどれだけ上がったのか、今回の連合艦隊との戦いで、推し量れることでしょう!!

それでは、ガンダムファイト、レディー、ゴー!!




第17話 新生 ミネルバの戦士達

 

 大西洋海上ーー

 

 

 

オーブ近海に未だ、ザフト艦ミネルバは存在した。

 

 

 

シュバルツ達が修行する諸島から離れ、一路はカーペンタリアへと向かう。

 

 

 

タリアは、ゲイツRを二機、カタパルトに置き、パイロットを予め搭乗させていた。

 

 

 

「ーー艦長、何故そんなに険しい顔を?」

 

 

 

「気づかないの、アーサー?この先は、オーブから追い出されそうになった際に、連合の艦隊が展開していた場所よ」

 

 

 

 

「あの時は、シュバルツ殿が水柱の術を使って助けてくれたんですよね!! 凄いですよね、忍者って!!」

 

 

 

目を輝かせながら言う副長に、タリアは白い目を向けながら、告げた。

 

 

 

「すぐに、他国のパイロットをあてにしない。それに、今は、シュバルツ殿はおろか、シン達もいないわ。7日前に展開されていた連合の部隊がいたら、どうなると思う?」

 

 

 

 

「シュバルツ殿なら、救援要請をすれば、一瞬で来てくれるでしょう! 我々の理解の外の方ですし!!」

 

 

 

自信満々に言うアーサーに、タリアは頭を抑えた。

 

 

 

アーサーの言うとおりなのだが、それをアテにしていては、ダメだと言いたかったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連合軍の空母にて、指揮官はレーダーに反応があったことに会心の笑みを浮かべた。

 

 

 

「ここに待機していれば、ミネルバがくると思っていたぞ! オーブの連中からは上手く逃げたようだが、我々は、そうはいかん!!」

 

 

 

指揮官の言葉が終わると同時に、モニターにザフト新造艦、ミネルバが登場した。

 

 

 

「よし! 奴らを倒し、我らの手柄とするのだ!! 出撃準備だ!! 時代遅れのMSなど、我が連合が誇る最新型MA『ザムザザー』に敵うはずがない!!」

 

 

 

 

艦影を確認後、切り札を切る。

 

 

 

圧倒的な数と、性能で、完膚なきまでに叩き潰す、と指揮官は自身に気合いを入れた。

 

 

 

 

 

ミネルバも当然、状況に気付いていた。

 

 

 

「まずいわねーー。空母4隻にMSが50以上、大艦隊ね」

 

 

 

「艦長! 連合艦隊は、更に巨大MAを展開しています!!」

 

 

 

「ーー性能がどれだけのものかは、分からないけど、この圧倒的不利な状況では仕方ないわね。シュバルツ殿たちに救援要請して!!タンホイザー起動! 正面の戦力を薙ぎはらうわよ!!」

 

 

 

 

メイリンの報告に頷くと、タリアは救援要請とミネルバの主砲の発射命令を同時に行う。

 

 

 

「ーー艦長!? 地上で、陽電子砲を!?」

 

 

 

狼狽えるアーサーを一瞥した後、敵艦隊を睨み据えた。

 

 

 

「まずは、生き残るためにやれることをやりましょう。照準、目標は敵の大型MA!!タンホイザー、ーーてぇ!!」

 

 

 

 

ミネルバの艦首下がスライドし、正面に据えられた巨大な砲身が姿をあらわす。

 

 

 

同時に、タリア艦長の号令で、青白い光と赤い光を同時に放ちながら、撃たれる一本の極大なビーム砲。

 

 しかし、強大なビーム砲は、MAの正面に現れた光の盾に防がれる。陽電子砲は、海面を蒸発させながら、完全に止められてしまった。

 

 

 

 タリア艦長は、すぐさま発進待機させていたゲイツR2機と補助パイロットを出撃準備を命じた。

 

 彼らは、シン達の様なエリートの赤服ではない上に、機体も旧式のゲイツRである。

 

 

 

「ちくしょう、何てついてないんだよ! よりにもよって、こんな時に当たるなんて!!」

 

 

 

「ぼやくなよ、やるだけやろう」

 

 

 

 補助パイロット達が互いに励ましあいながら、武装のビームライフルを構えて、カタパルトに機体を載せる。

 

 

 

 その時だった。

 

 

 

「ーー艦長、ブリッジ正面に機体が四機!! ガンダムシュピーゲル、インパルス、レイ機とルナマリア機のザク、全機そろい踏みです!!」

 

 

 

 メイリンの報告どおり、そこにガンダムシュピーゲルが腰に手を当て、胸を張って立っている。その左右にシン、ルナマリア、レイが控えている。

 

 

 

 彼――シュバルツから、通信が入ってきた。

 

 

 

「ふっ、どうやら間に合ったようだな」

 

「救援要請を出して、本当にわずか十秒で来るなんて……」

 

 

 

 夢を見ているかのように呆然としているタリアの横で、メイリンが姉に声をかける。

 

 

 

「お姉ちゃん! 大丈夫なのっ?」

 

 

 

「ふっふっふっふっふ、問題ないわ。いまのあたしは一週間前のあたしより、はるかに強い!」

 

 

 

自信満々に笑いながら答えるルナマリアに、シュバルツは一つ頷き、シン達3人を見据える。

 

 

 

「その意気だ。いまのお前たちならば出来るっ! 私はお前たちの戦いをここで見させてもらうぞ!」

 

この言葉に、一週間前には無かった強い絆を示すかのような、熱のこもった視線をシン達は返してきた。

 

 

 

「はいっ!!」

 

「成果を見ていてください、シュバルツ殿」

 

「俺たちはできる! 俺たちは――っ」

 

 

 

ルナマリア、レイ、シンが答えながら、3人は同じ言葉を力強く発した。

 

 

 

『強いっ!』

 

 

 

 

 

同時に出撃する三機ーー。ガンダムシュピーゲルはそれを満足そうに見つめていた。

 

 

 

その様をブリッジのモニタ越しで見ていたタリアやアーサーは、微妙な表情になりながらも、話し合う。

 

 

 

「あの三人に、いったい何があったのかしら……」

 

「さあ……?」

 

「と、とにかくっ、頼りになりそうですね……」

 

「だといいのだけれど」

 

 

 

あまりの3人の変化に、現実をつい忘れて話し合う艦長と副長。

 

 

 

その隙をつくかのように、ミネルバのブリッジに向かって連合の巨大MAーーザムザザーの陽電子砲が放たれた。

 

 

 

小回りの効かないミネルバでは、咄嗟に避けることもできない。

 

 

 

しかし、艦板にいるレイとルナマリアは、冷静だった。

 

 

 

「ルナマリア、任せる」

 

「オッケーィッ!」

 

 

 

オルトロスを構えるルナマリアは、静かに一つ瞬きをすると、キリッと目に力をこめる。

 

 

 

「そこねっ!」

 

 

 

放たれた陽電子砲に向かい、赤いガナーザクウォリアーは、オルトロスの引き金を引いた。

 

 

 

思わず、タリアは制止の声を上げる。

 

「無茶よ!? 相手はタンホイザーにも匹敵する陽電子砲なのよっ!?」

 

 

 

あきらかに倍以上の太さの陽電子砲を相手に、オルトロスのビームが中央で激突した。

 

 

 

ミネルバのブリッジにいる誰もが、もうダメだと諦めた時、信じられないことが起こった。

 

 

 

バシュゥウウンッ

 

 

 

そんな消滅音と共に、2つのビーム砲が細やかな粒子を散らせながら、相殺したのだ。

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

その光景に、タリアだけでなく、敵である連合軍ですらも呆然としていた。

 

 

 

一MSの携帯用ビーム砲が、戦艦の主砲にすら使われている陽電子砲を相殺したのだ。

 

 

 

彼らは、悪夢を見ているかのように、愕然としていた。

 

 

 

その隙を、今度はルナマリアがつく。

 

 

 

「見えた、そこっ!」

 

 

 

もう一度、オルトロスを撃つルナマリア。

 

 

 

「し、シールド展開!!」

 

 

 

なんとか陽電子リフレクターを張る。

 

 

 

菱形を幾つも編んだ形のビームシールドは、先にはミネルバの主砲さえ、防いだのだ。

 

 

 

たかが、MSの一撃を防げないわけがないーー。

 

 

 

先の現象は、単なる偶然だ。

 

 

 

そう無理やりに納得させながら、前を見る連合兵。

 

展開されるリフレクターの、隙間をわずかに貫きながら、

 

糸のように細くなったオルトロスが、ザムザザーの肩口に当たり、霧散した。

 

 

 

「ーーな、なんだと!!?」

 

 

 

たとえ、か細い蚊のような一撃に落ちたとはいえ、最強の盾とも言える陽電子リフレクターを、貫いてきた事実。

 

 

 

連合兵達は、戦慄した。

 

 

 

 

 

 

 

「くっそぉー! まだ甘いかっ!」

 

 

 

しかし、MSや力学、物理学の観点から見ても非常識極まりないことをやってのけた当人ーールナマリア・ホークは不満だった。

 

 

 

「シュバルツさんなら今ので、貫けましたよねっ」

 

 

 

悔しそうにしながら、ルナマリアは直立不動で後方に立つシュピーゲルを見る。

 

 

 

しかし、シュバルツから返ってきた反応は、肯定的だった。

 

 

 

「いや、素晴らしい成果だ。ルナマリア! よく相手を見、相手の弱点を捉えそこを攻撃している」

 

 

 

ルナマリアの修行の成果に、シュバルツは満足そうに頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

「おのれ!! なんなんだ、こいつらは!!」

 

臆することなく、連合兵のウィンダム達が一斉にビームを撃ってきた。

 

 

 

四方八方から放たれる包囲攻撃に、ミネルバクルーが息を飲む。

 

 

 

そんな中で、ルナマリアを制し、白いザクのパイロットーーレイ・ザ・バレルが右手のビームライフルを構えて言った。

 

 

 

「今度は俺がーー」

 

 

 

手元が見えない程のスピードでザクファントムがビームライフルの引き金を引き、連続で速射する。

 

 

 

マシンガンーーいや、ショットガンの様に、ビームライフルは四方八方に一砲身から同時に放たれ、取り囲んで放ってきた連合のビーム砲に向かう。

 

 

 

レイの放ったビームライフルは寸分たがわず、ミネルバに直撃するビーム砲だけを全弾落とした。

 

 

 

その光景に、今度こそこの場にいる者たちがざわめき始める。

 

 

 

奇跡とも言える光景を目の当たりにさせられているのだ、当たり前と言えば、当たり前のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ!? ……あっ」

 

 

 

数多のビーム砲を撃ち落とす偉業を成し遂げたレイは、自身の機体が持つ違和感を敏感に感じ、持っているライフルを見据えた。

 

 

 

砲身が焼けつき、使い物にならなくなったビームライフルがそこにあった。

 

 

 

「しまった……! やはりまだ未熟……。銃身の限界を見ていなかった」

 

 

 

銃身を落しながら、レイは己の未熟を悟る。

 

 

 

「仕方ないわね……じゃあ、あたしのビームライフル貸したげる」

 

 

 

ビームライフルを食い入るように見ながら、打ちひしがれている同僚に、ルナマリアは腰に差してるビームライフルを渡した。

 

 

 

「ちゃんと大事に扱いなさいよ、レイ!」

 

「わかっている。……MSは、道具ではないのだ……」

 

 

 

渡されたビームライフルを大事そうにザクファントムが抱え、レイは自分に言い聞かすかのように呟く。

 

 

 

「そうだ。レイ、その意気だっ! MSを通し、ライフルの限界を悟るのだっ!!」

 

 

 

シュバルツは、その姿を見て激励を飛ばす。そして周りを見渡した。

 

 

 

「さて、これで護りはよし。ならば」

 

 

 

その目は、空戦ができるからと、単身で敵陣営に切り込んだシンのインパルスを遠目に見て頷く。

 

 

 

「あとはお前が決め手だ、シン!」

 

 

 

 

 

 

 

ビームサーベルを抜き斬撃を放ちながら、敵を切り裂いていくシンのインパルスガンダム。

 

 

 

敵は数に任せた戦い方で、インパルスを常に取り囲んで攻撃をしてくる。

 

 

 

またしても、一機のウィンダムを切り落としたインパルスガンダムの後ろから、別のウィンダムがビームライフルの引金を引いた。

 

 

 

「ーーもらったあ!!」

 

 

 

そう叫び、引き金を引いた瞬間には、ウィンダムのパイロットは目の前からMSが消えたように見えていた。

 

 

 

「えっ!?」

 

 

 

「遅いっ!」

 

 

 

インパルスは、バーニアをふかしながら、弧を描くようにしてウィンダムの背後に旋回していたのだ。

 

 

 

「俺はここだー!」

 

 

 

熱く燃える魂に準ずるように叫びながら、シンはウィンダムを斬り捨てた。

 

 

 

更に切りかかってくるウィンダム二機をビームサーベルで切り落とし、ライフルを三発撃って、その後方でこちらにビームライフルを構えていた三機も、頭を狙って撃ち落とした。

 

 

 

 

 

 

 

次々と倒していく理不尽なまでのシン達の強さに、味方であるはずのタリア達でさえ、混乱していた。

 

 

 

「な、なんなの……いったい何が起こってるのっ……!」

 

「シンもレイも、お姉ちゃんも……いったいどうなってるのっ??」

 

「あ、あの三人……たった一週間でどんな修行を!?」

 

 

 

タリア達の困惑を通信越しに聞いて取ると、ガンダムシュピーゲルは、ブリッジに向き直った。

 

 

 

「ふっふっふっふっふ、一週間あれば、彼ら3人にはこれぐらい、充分だったと言うことだ。修行を問題なくこなしてくれたぞ。あの頃のドモンより素直な分、吸収も早かった」

 

 

どこか懐かしむように目を細めながら、穏やかに笑うシュバルツに、胡散臭いものを見るかのような表情で、タリア達はモニター越しに一歩ひいた。

 

 

 

 

 

「お、の、れぇええっ! なんなんだあいつらはっ!? あんなやつらがいるなんて、聞いてないぞっ!? ミネルバのMSはバケモノかっ!」

 

 

 

連合兵は、悲鳴のような声を上げながら、カトンボの様に飛び回るインパルスガンダムに向かってビーム砲を放つ。

 

 

 

 

 

シンは、冷静に敵MAの攻撃に対処しながら、周囲のウィンダムを落としていく。

 

 

 

シンの奮闘ぶりを見ながらも、ルナマリアはオルトロスの照準をザムザザーに合わせた。

 

 

 

(陽電子リフレクター(ビームシールド)を既に展開されている……ということは、いまあのMAを撃っても貫けないわね……粒子の流れを見ないと。粒子の流れを見て、オルトロスでも貫ける瞬間を見つけないと、有効打は与えられない)

 

 

 

 

 

 

更に集中力を高めて、粒子の流れを読んでいくと、通信が入ってきた。

 

 

 

「待てよ、ルナ! こいつはおれが落とす!」

 

 

 

ーーシンだ。彼は、勝気な瞳を敵に向けると、果敢にMAに挑んでいく。

 

 

 

「俺は強くなったんだ! 俺一人でも、こいつは落せるっ!」

 

「調子に乗るなよ、シン!」

 

 

 

その時、厳格なシュバルツの声がかかった。

 

 

 

「確かにお前は強くなった。しかしっ! お前はまだ未熟っ!この一週間でお前たちに教えたのは、明鏡止水の基本的なことだ。要は、お前たちの修行はまだ完成していないのだ!」

 

 

 

 

 

「だからって、こいつに手こずってるようじゃ、この先には進めないっ!」

 

 

 

 

 

シュバルツの諫言を理解しながらも、反論を述べるシン。

 

 

 

その姿にかつての弟を重ね、シュバルツは笑った。

 

 

 

「ならば、見せてもらうぞ。貴様の闘いぶりを!!」

 

 

 

「ーーはい!!」

 

 

 

シュバルツの言葉に強く頷いて返しながら、シンはビームライフルを三発ザムザザーに撃つ。

 

 

 

3つのビームは、完全にビームシールドに防がれてしまった。

 

 

 

(こいつ、シールドを展開している最中は攻撃をしてこないっ! 狙うなら、やつが攻撃してくる一瞬を撃つか、それとも接近戦に持ち込んで、粒子の利かない距離でビームライフルで打ち抜くか、ビームサーベルで斬り込むか! 手段なんていくらでもあるっ!)

 

 

 

 

 

そのシンの思考を読んだかのように、レイが呟いた。

 

「たしかに手段はいくらでもあるが、それを実行する腕がなければ意味がないぞ。シン」

 

「シンなら大丈夫っ! よね?」

 

それにルナマリアが笑いながら、明るく、しかし力強くシンに語る。

 

それを受け、インパルスガンダムが右手を上げて親指を立て、答えた。

 

「任せとけっ!」

 

 

 

 

 

インパルスガンダムは、ビームサーベルを抜いて、MAに攻撃をしかける。

 

 

 

「調子に乗るなよ! このMAこそが、連合の、主力機なのだぁああ! ザフトのMSなどではない、MAこそが連合のあるべき姿なのだ! このザムザザー、貴様らごときに敗れるものかぁあ!」

 

 

 

言いながら、熱で赤く染まったヒートクローで攻撃を仕掛けてくるザムザザーに、シンはニヤリと笑った。

 

 

 

「そうか。シンが接近戦を挑んでくるなら、やつも接近戦をするしかない。コレで、陽電子砲は使えない」

 

 

 

シンの狙いを悟り、レイが口を開く。

 

 

 

「シールドを展開された状態では、遠距離からの攻撃は完全に防がれてしまう。唯一、シールドを突破可能なのはルナマリアのオルトロスだがーー」

 

「そこで手を出したらシンに怒られるってことね」

 

「困ったことにな。しかし、大口を叩いた以上はシンはこれをやり遂げなければならない」

 

 

 

レイとルナマリアは、お互いに言葉を交わし、頷きあう。

 

 

 

その背後で、シュバルツはシンが相対する敵の巨大MAを改めて観察していた。

 

「あのMA、あの巨体でなんという反応速度。これは、おそらく射撃をする者、格闘をする者、そして移動をする者の三人で連携させて動かしているのだな……。複座式というやつか。ーーやっかいだな」

 

 

 

 

 

 

通常、あれ程の巨体であれば、反応が遅れるのが当たり前だ。

 

しかし、連合のMAは、その例に当てはまらない。

 

シュバルツが気配を感じてみれば、砲撃に一人、格闘を一人、最後の一人は移動や回避を担当しているようだ。

 

 

 

動きの速いフォースインパルスに接近戦を挑まれてなお、いい勝負を繰り広げている。

 

 

 

そこまで見抜き、今のままならシンの苦戦は免れまいと知りながらも、シュバルツは不動のままだった。

 

「三つの眼、か。ならば、その三つの眼をいかにしてかいくぐるか……。シン! 見せてもらうぞ!」

 

 

 

厳しくも決して目をインパルスガンダムから離さないのはシュバルツ・ブルーダーなりの気遣いであり、一戦士への礼儀であった。

 

 

 

 

 

シンがビームサーベルをちらりと見ると、サーベルがエネルギー切れを起こし、一気に細くなると同時に刀身が縮んでしまい、最後にはきえてしまう。

 

 

 

「チっ!」

 

 

 

舌打ちすると同時にビームライフルを構え、引き金を引く。

 

 

 

「ーーあっ!?」

 

 

 

その時に更にビームライフルの弾丸までも尽きていることを知るのだった。

 

 

 

 

 

「修行が足りんぞ……シン」

 

 

 

その姿にシュバルツが首を横に振る。その隣から、ルナマリアが声を張り上げて詰る。

 

 

 

「全然ダメじゃない、シン! 明鏡止水の境地なら、道具の残弾数とか、ビームサーベルの残り具合くらいわかるでしょ!? 自分の身体の一部なんだから!」

 

 

 

「う、うん……。そうだな……。俺もまだ修行が足りないんだな」

 

ルナマリアの隣にいるレイは何故か、自分のビームライフルを見ながら口ごもっていた。

 

 

 

 

 

同僚達からの手厳しいエールを受けるシンだが、大ピンチは変わらない。

 

ビームサーベルは使えず、ライフルも弾切れを起こしている。

 

 

 

「くっそぉー!」

 

 

 

半分ヤケクソになったシンは、ビームサーベルを敵に向かって投げつけた。

 

 

 

「なんのつもりだー!」

 

 

 

MAのパイロットは、左のクローで柄だけのビームサーベルを弾く。

 

 

 

弾かれたと同時に、左手にあるライフルも投げつけるシン

 

 

 

 

「ーーケッ、悪足掻きをしやがって!!」

 

 

 

当然、先と同じように、ザムザザーは左手のクローでライフルの銃身を弾く。

 

 

 

次の瞬間、シンのインパルスがザムザザーの頭上に現れ、右の足を思い切り振り上げていた。

 

 

 

「ーーえ?」

 

 

 

ドカァッ!!

 

 

 

連合のパイロット達がポカンとするのと、インパルスガンダムの右のカカト落としが炸裂するのは同時だった。

 

 

 

シンは、サーベルとライフルをMAの正面に投げつけることで、敵を油断させ、かつ両腕を使わせたことにより、本命の直接打撃である踵落しを見事に決めたのだ。

 

 

 

そのやり方に、思わずルナマリアとレイが口を開いた。

 

「あっ!」

 

「格闘……かっ!」

 

 

 

見事にカカト落としを決め、ザムザザーは海面へと落ちていく。

 

 

 

「どうだぁ!」

 

 

 

インパルスが、ガッツポーズを取ると同時に、蹴り落とされたザムザザーが、バーニアを噴射。間一髪、海面上にて態勢を立て直した。

 

 

 

「な、なにぃいい!? なんだ、あのパイロットは!?」

 

「武器がなくなったら素手で攻撃してきやがったぞ!」

 

「なんて野蛮な奴なんだ!」

 

 

 

ザムザザーに乗る3人のパイロットは、常識はずれな行動の上に強いミネルバのパイロット達に、うんざりしてきたようだ。

 

 

 

更に間隙を縫ってシンがミネルバに叫ぶ。

 

 

 

「メイリン! ソードシルエットだ!」

 

「り、了解!! ソードシルエット、射出します!」

 

 

 

射出されたソードシルエットは海面上を滑空する。

 

それを敢えて換装せずに、シルエットの後方に回り込み、両翼に付けられた大剣の左側の一振りをしっかりと握りしめる。

 

 

 

実体剣とビームサーベルが一体化した大剣エクスカリバーは、小回りが利かない分、威力は折り紙付きである。

 

 

 

それを両手で持ち、正眼に構える。

 

 

 

思わずルナマリアが声を上げた。

 

「そんなのありっ!?」

 

「賢い選択だ。MAは小回りが利かないから格闘戦に弱い。だがソードシルエットに換装しては、あれほど機動力を持った空中戦はできない。だからシンはソードシルエットのエクスカリバーだけを取り外して自分の武器にしたんだ」

 

対してレイが肯定的な意見を述べる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザムザザーが、左の爪をインパルスガンダムの胴目掛けて放ってきた。

 

紙一重で見切りながら、空振りで伸びた左の爪を二の腕の辺りから斬りおろす。

 

「いける!」

 

 

 

続いて右の爪を放ってきたザムザザーに、右手で片手逆胴薙ぎを放って爪の付け根ごと切り捨てる。

 

 

 

「やれる!!」

 

 

 

連合兵が、この光景に怒りの声を上げた。

 

「くそおおお!」

 

バーニアをMAが逆噴射させ、インパルスガンダムから距離を置いたと同時に陽電子砲を放とうとする。

 

 

 

「俺ならできるぅうう!」

 

 

 

これに対し、シンは両手持ちに構えたエクスカリバーをザムザザー向けて突き出しながら、バーニアを全開にして、一気に距離を詰める。

 

 

 

放たれた陽電子砲。

 

 

 

しかし、一週間前に微動だにすることなくオルトロスを割って見せたガンダムシュピーゲルのように、インパルスガンダムのエクスカリバーがそのビームを割って、突き進んでいく。

 

 

 

「ばかなぁあああああ!」

 

 

 

連合兵が、絶望や失望、驚愕が入り混じる断末魔を上げた。

 

 

 

ズシュウッ

 

 

 

エクスカリバーは、見事にザムザザーの正面から背面へと貫いている。

 

 

 

「これが、修行の成果だ!」

 

 

 

シンは、言い捨てると同時に、一刀両断に切り捨てる。

 

 

 

宙で真っ二つに切り捨てられた巨体は、大西洋の海面へと落ちていった。

 

 

 

「へへっ、まあーーこんなもんだな!」

 

 

 

得意げに笑うシンに、ミネルバのブリッジは勝利の歓声を上げた。

 

 

 

その時だった、インパルスガンダムに第三者の通信が入ってきたのだ。

 

 

 

「ほう、なるほど。貴様磨けば光るやもしれんな」

 

 

 

インパルスガンダムのシンが後ろをふり返った時、アーモリーワンで強奪されたザフト製の三機のガンダムを従えた、黒い巨大なツノを持つ赤い羽根のガンダムがいた。

 

 

 

「ーーあんたは、東方不敗!! マスターガンダム!!」

 

 

 

 

 

「ーーそう! これぞ我が東方不敗マスターアジアの真の姿、マスターガンダムよ!!腕を上げたようだな! 小僧!!!」

 

 

 

 

この海域に、これまでにない、とんでもない激戦が繰り広げられようとしていたーー。

 

 




みなさん、お待ちかね〜!!

圧倒的な力で連合艦隊を打ち破ったシンのインパルスガンダムとレイ、ルナマリアのザク。

しかし、連合はマスターアジア率いるファントムペインが出てくるのです。

マスターの弟子となった三機のガンダムパイロットとの激戦を繰り広げ、次第に追い込まれるシン達。

ところが、シンは彼らとのファイトを通し、眠っていた力に目覚めるのです!!

次回、機動武道伝GガンダムSEED-Destiny-第18話に、レディー、ゴー!!
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