新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
我らがシュバルツ・ブルーダーと、宿敵マスターアジアの決闘です!!
彼らのファイトが、今後物語にどのような影響を与えるのか?
それでは!!
ガンダムファイト!!
レディー、ゴー!!!
激戦に次ぐ激戦に、敵も味方も完全に飲まれていた。
シン達にとって、スティング達にとっても、あまりにも違う次元の戦いは、互いにあった敵対感情すら、薄れさせている。
「戦い方がガンダムが変わるごとに全然変わってる!?」
「動きも癖も、すべてが違うわ!」
「変身してるのは、あの忍者なのに、こうも変わるもんなのかよっ」
シンとルナマリアに、アウルも拳を握りしめている。
「いや、驚くのはそこだけじゃない。あの忍者に模倣されている連中のレベルが、とてつもなく高いってことだ」
「そしてそれを軽々と打ち破る、あのマスターと言う男……」
「でも、あの忍者にはまだまだ、引き出しがありそう」
シン達に比べれば、まだ冷静なスティング、レイ、ステラの3人。
しかし、彼らにしても、この先の展開までは予測できない。
サイサイシーが仕切り直しだとばかりに、気合いをいれて構える。
「次はオイラがいくぜ! 舞影脚!!」
一瞬でマスターの頭上にジャンプしながら足が何本にも見える速度で蹴りを放つドラゴンガンダム。
「フンっ、身軽なことよ」
次々と繰り出される蹴りと軽々と跳び上がる体術にマスターをして関心する。
「しかし、身軽なだけでは、わしに触れることすらかなわんわ!!」
言いながら、両手で蹴りを捌きつつ、僅かな間隙を縫って自身も跳躍。
同じ目線まで跳び上がると、後ろ回し蹴りを放つ。
「一撃が軽い、貴様の攻撃では、ワシにダメージらしいものも与えられんわ!!」
その蹴りは、ガードしたサイサイシーを後方へ吹っ飛ばすほどに強烈だった。
「くっ! なんてパワーとスピードとキレだ!
さすがは兄貴と互角のファイトを繰り広げた東方不敗マスターアジア!!
まともにやり合っても、勝ち目なんかない!!」
後方に弾き飛ばされながらも、サイサイシーは気丈にも顔をマスターガンダムに向け、睨みつける。
同時に、宙で体制を見事に整えると、肩口から一振りの長柄を取り出した。
「宝火教典ーーーー!」
ビームフラッグを発生させ、長柄を両手で目の前に構え、振り回していく。
「ぬっ?」
瞬間、マスターガンダムの周りを、取り囲んで浮いていたフラッグがマスターを中心に円を描きはじめた。
「十絶陣ーー!!」
次の瞬間、次々とマスターを固定する為にフラッグ達が足元に突き刺さる。
「ーーくらぇい!!」
すかさず、竜を模した右腕の拳ーー竜の口から、火炎を放つ。
フラッグの檻に炎が触れると、巨大な火柱がマスターガンダムを囲むように上がった。
「ぬぉおおおっ!?」
「「「師匠っ!」」」
珍しい東方不敗の悲鳴に、スティング達が声を上げた。
構わず、サイサイシーは肩口から一振りのビームフラッグを抜き、宣言する
「とどめだ、マスターアジア!」
炎の竜巻の中心に向かって一気に駆け抜け、両手持ちで構えた槍で突きを放つ。
「うぉおりゃあああ!」
「つけあがるな、小僧! フンっ!」
くるりとマスターガンダムは炎の竜巻の中で回転し、サイサイシーの槍の突きをギリギリのところで脇に避けると同時に、遠心力たっぷりの右の手刀を裏拳気味にドラゴンガンダムの横面に放つ。
バギィ
まともに喰らって思い切り顔を仰け反らせながら、後方に弾き飛ばされるドラゴンガンダム。
「フンっ! 身軽にして技のキレも大したもの。
だが、攻撃に重みがまるで感じられぬわあああ!」
背中から海面に着水するドラゴンガンダムに、再三のダッシュをして距離を詰め、右の貫手を振りかぶる。
「トドメ!」
ガアアアンッ
放たれた手刀はしかし、右手で肘の辺りを掴まれ、止められていた。
「ぬうっ!? 貴様は」
「サイサイシーの攻撃は軽いか?」
ドスの効いた低い声と、熊を連想させる鋭い目。
ぐぐぐぐぐ、めきめきめきぃ
掴まれた腕が悲鳴を上げるほどの握力。
漆黒のカラーに無骨で重厚な体格のガンダムがそこにいた。
「ーーチィッ」
マスターが舌打ちと同時に、手を振り払うと、無骨なガンダムが腕を広げて組み付いて来たので、咄嗟に両腕を広げてマスターも組みかえす。
互いにガッシリと相手の手をつかみあい、組み合う。
完全な力比べの姿勢だった。
「ならばーー!!」
重厚なガンダムが、マスターガンダムを軽々と押し返していく。
「ぬぉおおっ!?」
「この俺と力比べをしてみるか。
ーーーーマスターアジア?」
体勢を崩され、忌々しそうに舌打ちしながら、マスターガンダムは相手の名を告げた。
「ネオロシアの、アルゴ・ガルスキーか!!」
重厚なガンダムの名はボルトガンダム。
ギリギリッ
互いにガッシリと四つに組み、力比べを行う。
「ぬうんっ!」
ボルトガンダムが気合いと共に、マスターガンダムを投げ飛ばした。
「ぬうっ!」
宙で体勢を整え、バーニアを全開にして、マスターは、右の拳を振りかぶる。
同時にボルトガンダムもその場から右の拳を振りかぶった。
バギィッ
ぶつかり合う拳と拳。
「ーーぬぅお!?」
しかし、弾き飛んだのは、ダッシュの勢いをプラスしてまで威力を上げたマスターガンダムだった。
「師匠がパワー負けしたっ!?」
アウルが見たものを信じられず、息を呑む。
東方不敗の面相に、覇気がこもった。
「ぬぅっ! お、の、れぇええええ!」
身を屈め、一足飛びに踏み込んだマスターガンダムが腰を入れてボルトガンダムの顔面を打つ。
すさまじい衝撃が疾風となって駆け巡り、強烈な轟音が響くも、正面から受けたボルトガンダムは、首を左右に振って関節部を鳴らすだけだった。
「ぬう!?」
「はああああ!」
ボルトガンダムの重厚な機体が、さらに一回り、膨らんだようにも見えた。
右拳を振り切った勢いのまま、肩部の球を突きだし、猛然と駆るボルトガンダムのタックルをまともに受け、マスターガンダムがなすすべもなく後方へ弾き飛ばされる。
ざざざざざっ
マスターは両手を海面につき、ひっかくようにして後方に弾き飛ばされる自分の機体を止める。
「はああああーー!!」
腰だめに構え、ボルトガンダムが気合いを入れた。
「この勝負、手加減せん!!」
アルゴの熊のごとき咆哮が、マスターの全身を震わせる。
「おのれ、アルゴ・ガルスキー。
このわしに、ダメージを与えるとは…。
ならば!!」
構え直すマスターに、ボルトが語りかける。
「マスターよ。お前の拳は、俺には効かんぞ」
「フン、笑わせてくれるわ!!」
マスターガンダムが一気に羽根を広げてボルトガンダムの懐に飛び込む。
振り下ろされるボルトガンダムの拳、それを紙一重でさばき、
「ぬぉおおおあ!」
無数の拳を叩きこむ。
それらは、的確に急所にヒットし、頑健な城を思わせるボルトの体躯を、揺らがせる。
バキバキバキィッ
「ぬおっ!?」
「一撃が効かんのなら、効くまで殴りつけるのみよ!」
「ぐうう」
拳打のむしろと化したマスターの猛攻に、ボルトガンダムが両腕をクロスさせて小さく固まる。
しかし、その巨体が徐々に、後ろに揺さぶられていく。
「かはあ!」
たまらずのけぞったボルトガンダムを前に、マスターが凶悪に口端を引きつらせた。
「ほぅ。わしの攻撃を五撃喰らって、首をのけぞらせるだけとは大したものよ。だが!!」
バギィッ
鞭のようにしなったマスターガンダムのハイキックが、ボルトガンダムの側頭に決まった。
「そこは既に、わしの蹴りの間合いよ」
「ぬううっ」
たたらを踏むボルトガンダム。
ついにマスターガンダムの技巧が、ボルトの堅固な防壁を貫いた瞬間だった。
「つ、つよすぎる……っ」
冗談のような戦いを目の前にしていても、マスターの異彩ぶりは如実にシンたちの心に衝撃を与えてくる。
東方不敗がニヤリと嗤った。
「さあどうする。シャッフル同盟は、これでネタ切れか? シュバルツよ」
「フン、気の早い爺さんだぜ。もう勝ったつもりとはな」
むくりと立ち上がるアルゴは、左肩を前に突き出す、ショルダータックルの構えを取った。
肩口から放たれる鉄球ーー、
「ーーぬんっ!」
マスターは、脇に一歩退けることで、この巨大な質量を避ける。
ボルトは、避けられたことなど意に介さず、腰から続いてビームチェーンを抜き放ち、鉄球へと結びつける。
巨大な鉄球を軽々と振り回す、その怪力は正に脅威。
「グラヴィトン・ハンマー!!」
遠心力を加え、鉄球を投げつける。
まともに食らえば、どんな機体も粉々にされるであろう、問答無用の質量。
「フンっ」
バーニアを全開にし、側面に走ることで、次々に放たれる鉄球を避けるマスターガンダム。
「パワーだけの男の攻撃などなんになる!?」
水飛沫が上がり、グラビトンハンマーが海面に突き刺さった瞬間ーー
鏡転同血の輝きが、辺りを照らし、チボデーの声が響き渡る。
「ーーなんと、あの一瞬で変わるだと!?」
驚くマスターに、チボデーが闘志をむき出しにし、ガンダムマックスターが黄金の光を纏う。
「さあ、いくぜええ! 俺たちのコンビネーションを見せてやる!
豪ぉぉおお熱ぇぇええつ、マシンガアアアンッパァンチッ!!」
ガンダムマックスターが後方に大きく跳び上がり、着地と同時に放たれる紫の炎を纏った右ストレート。
一度に十発のストレートとなり、それは放たれる。
「ぬうっ!?」
咄嗟にマスターガンダムは、背部のウイングバインダーを広げ、後方にダッシュする。
追撃してくる10発のパンチは、波を穿ち海面を裂きながら、猛スピードで正確に迫り来る。
「ぬぉおおお! こざかしい!」
クルッと反転し、ダークネスフィンガーを右手から前方に放ち、シールド状に展開する。
「フンっ、この程度で!」
ガガガガガガガガガガァアアッ
僅かに、後方へ下がるも体制は崩さずに受けきる。ニヤリとマスターが勝ち誇ったその時だった。
「ぬ?」
「受けよっ、我が奥義! ローゼスハリケェエエンッ!」
赤い花弁が一斉に海上に散ったかと見る間に、ビットによる竜巻が巻き起こり、マスターガンダムを上空に突き上げた。
「フンっ、その程度ではわしにダメージを与えることなど」
中空で反転し、鋭くかまえるマスターが、カッと目を見開く。
ネオフランスが誇る騎士のガンダムが、ネオチャイナを代表する龍へと、その姿を変えている。
「天に竹林、地に少林寺っ! 目にもの見せるは最終秘伝!」
一足飛びに跳ね上がったドラゴンガンダムは、あでやかな蝶の翼を悠然と広げ、マスタ―ガンダムを睨み据えた。
「真・流星胡蝶剣っ! アニキのゴッドフィンガーを破った技だ! あんたに止められるかぁああああ!!」
「つけあがるな! 超級! 覇王! 電影弾ぁぁああんっ!!」
両者、己の肉体に気の光を纏い、体当たりでぶつかり合う。
バギィィィィッ
まともに激突した二つの奥義は、その余波で海面を揺らし、空の雲を吹き飛ばす。
「うおおおおおおお!!」
二つの光の玉は、ドラゴンガンダムの方が、押している。
「ーーぬう!? 流石は少林寺最高奥義! 正面突破は困難か…。
ならば!!」
力押しでは勝てないと悟るやマスターガンダムが、動いた。
「ぬあああああ!」
超級覇王電影弾を解除し、その纏っていた気を外側へ放つことで、ドラゴンガンダムの纏う気を相殺させ、ガラ空きになった顔を回し蹴りで蹴り飛ばした。
一歩間違えれば、マスターが気に飲み込まれ、ドラゴンガンダムの奥義を食らっていたであろう。
正に、一か八かの勝負だった。
「うぉっ!」
どぼーん
完全に無防備な状態から海面に叩き落されるドラゴンガンダム。
しかし、海面に叩きつけられる瞬間に、またしても鏡の光が生じ、ボルトガンダムに変化した。
「炸裂、ガイアクラッシャアアアアア!!」
ボルトガンダムは、見事に体勢を整えると、落下の勢いを加えて海面を右拳で殴りつけた。
すると海面が剣山のように鋭く伸び、マスターガンダムに襲い掛かった
「ぬぅっ!?」
「ーー終わりだ、マスターアジア!!」
このタイミングでは防ぎようがない。
「ーーつけ上がるな!!」
瞬間、マスターアジアは、腰に両拳を置くと、
明鏡止水ーーーー人機一体の境地を解放した。
黄金の気を全身に纏い、輝くマスターガンダムはその圧倒的な力でガイアクラッシャーから生じた剣山の波を消し飛ばした。
「フン! お遊びは、これで終いにしてくれるわ!!」
全てを凌駕する圧倒的な光を纏い、マスターガンダムが同じ光を纏うボルトガンダムに突っ込む。
その右手には、紫の光が輝いている。
「ダアアアアクネス! フィンガアアアアア!」
アルゴは技を放った直後で、咄嗟に避けることができない。
そうーー、アルゴでは、だ。
「さすがだな! 東方不敗マスターアジア!」
一瞬後、太陽を思わせる赤い炎の弾がアルゴの全身を包み込み、日輪を思わせる光の輪を背にした、トリコロールの機体がマスターの前に構えていた。
「ぬっ!?」
「爆熱! ゴッドフィンガアアアアア!」
その機体ーーゴッドガンダムが、右手に炎を放ちながら、
正拳突きの要領で突き出す。
「ぬぅうう! ふん!」
ガシィィッ
咄嗟にマスターガンダムは、相手の頭部ではなく、ゴッドガンダムのフィンガーに自分のフィンガーをぶつけて組み合う。
「ファイターはシュバルツか……」
先に聞こえた声と、拳から感じる相手の気で、マスターアジアは、ゴッドガンダムのファイターがシュバルツ本人であることを確信した。
「シャッフルの彼らにも、貴様へのリベンジの機会を与えたかったのでなーー」
「情け深いことよな。もっとも、その技を更に磨かせる為の芝居とも取れるがな」
「ーーそれもある、が。1ファイターとして、彼らの無念を代わりに晴らしたかったのが、本音だ」
「ーーふん」
互いに語り合いを辞めると、ダークネスフィンガーとゴッドフィンガーの力をぶつけ合う。
「ぬぅうううああ!!」
「はああああああ!!」
シュバルツのゴッドガンダムが、明鏡止水の境地に達し黄金色に輝く。
「「はあああ!!」」
際限なく高まり合う両者の気は、海を割り、空に嵐を呼ぶ。
やがてーーーー
「爆発ぁつっ!!」
「ヒィートッ! エェェエエンドッ!!」
限界まで高めあった気を爆発させる。
ズガォウアッ
はっきりと大気が爆発した音が辺りに響き渡り、強大な爆発を起こす。
その爆発の中心地から、一瞬後、弾き飛ばされるゴッドガンダムとマスターガンダム。
「ぬうっ!」
「ーーふう」
吹き飛ばされながらも、互いに背後のバーニアをふかし、空で体制を整え、睨みあう。
「「ふっふっふっふ」」
黄金のハイパーモードが切れるマスターガンダム。
同時にシュバルツのゴッドガンダムもガンダムシュピーゲルに戻った。
「やはり一筋縄ではいかぬか……。ガンダムシュピーゲル、いやシュバルツ・ブルーダーよ」
「…フ。私もそう思っていたところだ。マスターアジア」
構えを解いたのは、ほとんど同じタイミングだった。
マスターガンダムはいつものように両腕を組むと、
「フンっ。この勝負、あずける!」
「ああ、ここで決着をつけてしまうには少し惜しい」
一方的に言い放った言葉を、シュバルツは率直に返してくる。
拳を交わし合い、理解し合えたからこその問答に、マスターは心地よさから喉を鳴らした。
「そういうことだ。貴様の弟子どもがどれだけの腕になるか、わしも楽しみに見させてもらうとしよう。――ゆくぞっ! スティングッ、アウルッ、ステラッ!」
背後をふり返って鋭く呼びかけると、すぐに幼き少年少女たちが答えてくる。
「はいっ、師匠!」
「あの忍者がとんでもないやつだとは思っていたが……これほどとはっ」
「すごいね、師匠……!」
三者三様のその反応に、マスターはわずかに目許をゆるめると、すぐにいつもの覇気に満ちた表情に戻ってマスタークロスを一閃した。
「また会おうぞ! ミネルバよ! 異世界のファイターどもよ!」
「ふうううううう」
マスターが帰還すべき戦艦をあずかる連合指揮官、ネオは、苦悩とも、緊張が途切れたあとともつかない、重いため息を長々と吐いていた。
「あ、あの、大佐……」
「ああ、わかってる。わかってる。皆まで言うな。わかってる」
遠慮がちに話しかけてくる部下に手のひらを見せて、首を横に振る。頭痛がするのは気の迷いだと思いたい。
瞼にこびりついた、この非常識な決闘は、ネオの胸に熱く語りかけてくる、感動的ですらあった純粋な闘いだったことなど全力で忘れたいのだ。
しかし――、
深々とため息を吐いたネオは、ガーティ・ルーが映すマスターアジアの光点グリッドを見つめて、しみじみとつぶやいた。
「あのじいさんが超人だってことは、わかっちゃいたが。ほんっっとにとんでもねえなぁあああ」
そう、あらゆる意味で。
このさき、連合上層部やプラント、はてはオーブにまで彼らの存在が伝わったとき、はたしてなにが起こるのか、途方もない力と力が、どのような決着を見せるのかは、もはやネオには知る由もない。
シンは間近で至高の戦いを目にし、拳を固く握りしめていた。
「あのレベルにならなきゃ、あの黒い角のガンダムは倒せないのか……っ!」
途方もない話のように、いまは思える。
はっきり言って、シンが想定できる範疇を完全に超えてしまっている事態だ。無理もない。
傍らでルナマリアが呆けていた。
「まじ? 気が遠くなるんだけど……」
「恐るべき男だな、東方不敗マスターアジア」
レイは語調こそいつもどおりの静かなものだが、その青い瞳は珍しくも細かく揺れている。
しかし、ミネルバが誇るエースパイロットたちは、こちらに帰還してくるシュピーゲルを見つめて、瞳を輝かせるのだ。
ガンダムファイトの、その最高の熱に触れたがために。
シンたちの母艦たるミネルバの面々は、もはや絶句するしかなかった。
「か、艦長……いまのデータ」
どうにかアーサー・トラインが本来なすべき任務を思い返して、傍らを見やる。
ブリッジの中央に座するタリアは、艦長席の肘掛に寄り掛かり頭を抱えていた。
いつも冷静沈着で完璧に見えるこの女性指揮官には、珍しい姿である。
「記録映像だけ、残しておいてちょうだい。もっとも、本国はなんの冗談だって思うでしょうけど」
タリアの肉厚の唇からも、深いため息がこぼれた。
まさに激闘を繰り広げた洋上はすでにいつもの静けさを取り戻し、素知らぬ顔で陽光を照らし返していた。
みなさん、お待ちかね〜
キラとキョウジに退けられたデビルガンダムは、オーブ近海の海域にて、自己再生と自己進化を行います。
そんな中、シュバルツとの激闘を終えたマスターガンダムの気配を感じ、勝負を挑むのです!!
次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第22話に、レディー、ゴー!!!