新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
俺が異世界に行くのを認められない!?
何故だ、レイン!!」
最強の男・キングオブハートは今、最大の強敵を前にしていた。
「何故? どうして、私がそれを許すと思うの、ドモン?」
レイン・カッシュ。
ドモンの幼なじみであり、妻である。
「シャイニングガンダムが、兄さんと一緒に居るんだ! 兄さんやシュバルツは、生きてるんだ!!
迎えに行かなきゃ!!
だからーー!!」
「駄目よ、ドモン」
にべもない妻に、ドモンは弱り切った視線を向ける。
妻は、普段は穏やかだし、ある程度は自分を立ててくれるが、一度ダメだと言い出すと、中々首を縦には振ってくれない。
主に、ドモン自身の身に危険が及ぶことは、断じて許さない。
「ライジングガンダム。ちゃんと、ゴッドガンダムを押さえておいてね」
家事片手間に、自分の愛機に告げると、ライジングガンダムは、きっちりゴッドガンダムの背後に回りこんだ。
目を輝かせ、ライジングガンダムが頷く。
その横で、観念したようにゴッドガンダムが、項垂れていた。
「レイン! 兄さんとシュバルツがーー、シャイニングガンダムが、待ってるんだ!!」
「私だって二人とシャイニングガンダムが心配だし、会えるものなら会いたいわ。
でもね…いい、ドモン? 異世界なんて、帰って来れる保証のない場所に、大事な夫を送り出す妻なんかいないの。
100%帰って来れる保証があるなら、考えてもいいけれど、 今の状態のまま、どうしても行くと言うなら、私もついて行くわよ?」
「何を言ってるんだ!
お前のお腹には、俺たちの大事な子どもが…!!」
「じゃあ、ダメよ。認めない」
ギアナ高地にある掘っ立て小屋で、夫婦のそんなやり取りを、4人の青年が見ている。
「…ヤッパな! 説得は、無理だな」
「でしょうね。ドモンでは、レインさんには勝てません」
「アニキも諦めて、他の方法を探すしかないね!」
「ふふ。ーーしかし、異世界か。本当にそんなものがあるとはな」
彼らは、ドモンの掛け替えのない親友にしてライバル、そしてシャッフル同盟の仲間である。
チボデー・クロケット、ジョルジュ・ド・サンド、サイ・サイシー、アルゴ・ガルスキーの4人だった。
4人は、ドモン達の痴話喧嘩をBGMに、晴れた空を見上げた。
未来世紀は、今日も平和である。
さて、みなさん。
我らがシュバルツ・ブルーダーとミネルバ隊の元にアスラン・ザラがオーブ軍の援軍として駆けつけます。
そこで彼から放たれた驚愕の真実とはーー!?
それでは、ガンダムファイト!
レディー!! ゴー!!!
連合との激戦を繰り広げたミネルバは、補給を受けようとカーペンタリア基地へその身を寄せていた。
久しぶりの友軍基地への立ち寄りに、クルー達の表情も晴れやかなものになる。
ある者は買い物へ、ある者は娯楽施設へと向かう中、一際元気な声が響く。
「もう、お姉ちゃん! 早く行こうよ!!」
「待ってよ、メイリン! 私、 修行が……!!」
ルナマリアとメイリンのホーク姉妹が、休日に揉めていた。
ここ、カーペンタリアで、プラントが誇る歌姫ラクス・クラインが慰安ライブを行うのである。
そんな中、カタパルトが開放状態になり、海を一望できるミネルバのMSデッキで、メイリンは姉の腕を引っ張るーー
「修行なんかどうだっていいじゃない! 買い物とか、ラクス様のライブとか、色々あるんだから!!」
「ちょ、ちょっとメイリンーー!? あたしは、明鏡止水の境地に一刻も早く達したいのにぃ〜!!」
力関係は妹の方が上らしく、ルナマリアは抗議の声を上げながら連れて行かれた。
「ーーメイリン! 思ったとおり、グッジョブだ!」
「ああ。作戦は成功だな。これ以上ルナマリアに先を越される前に、何としてもーー!!」
「ーー当然だろ!!」
男のプライドにかけて、シンとレイは固く手を結んだ。
「ーーやれやれ、意地の悪い奴らめ…あとでルナマリアに謝るんだぞ?」
「分かってますよ、それより早く!!」
「シュバルツ殿、修行を!!」
そんな必死の形相で修行をねだる少年たちの目を見てーーーー。
「フーッ……お前たち…わだかまりや、やましさしか無いじゃないか……」
首を横に振りながら、ため息を大きくつくシュバルツであった。
その時だったーー
ギュゥウウウンッ
修行を始めようとする3人の元に、赤い戦闘機のような機体が空いたカタパルトデッキ目掛けて突っ込んできた。
「ん? この気配はーー」
シュバルツは冷静に、近づいてくる気配の主を悟る。
「マジかよ、こっちに来る!?」
「シュバルツ殿! シン!! 退避だ!!」
対してシンは、いきなり現れた機体に半分パニックを起こしていた。
レイは冷静に避難指示を飛ばす。
赤い機体は、見事に空いていたMSデッキに飛び込み、着艦した。
「ーーほう、中々の腕だ。あのスピードで正確に機体をスペースに入れるとは」
「関心してる場合じゃないですよ! いきなり突っ込んで来るなんてーー!!」
顎に手をやり、したり顔で頷く覆面忍者に、シンが抗議の声を上げる。
そして、着艦した機体のコクピットから出てきた人間に、ズカズカと足音を立てながら向かっていった。
「文句言ってやる!!」
その背を追い、レイもシンに続いて向かっていく。
こちらは、シンがやり過ぎないように止めるためだろう。
シュゥゥゥゥッ
コクピットから綱を下ろし、降りてきたパイロットの背にシンが声を張り上げた
「ーーおい! いきなり機体を着艦させるなんて、どういうつもりだ!? 非常識にも程があるぞ、あんた!!」
自分たちも、生身でMS発着用のカタパルトデッキにいる事には触れないシンである。
「ーーすまない、こちらも緊急だったんだ」
振り返りながら答える声は、どこかで聞いた覚えがある。
「ん? あんた、どっかで?」
「シン、よせ。彼はフェイスだ」
眉根を寄せて首をかしげるシンの腕を、レイが引いて抑える。
赤服のノーマルスーツの胸には、独自の判断で行動を許される証ーーフェイスの金飾りが光っていた。
そんなシン達の脇を通り過ぎ、新型の機体のパイロットはシュバルツの前に立つと、フルフェイスのヘルメットを脱ぎ一礼した。
「お久しぶりです、シュバルツさん」
「やはり。君だったか、アレックス」
腕を組んだシュバルツは、目元を和らげ、穏やかに頷く。
「ーーしかし、なぜ君がザフトに? オーブはどうしたんだ?」
「ーーそれについて、この船の責任者にも説明しなければなりません。一緒に付いてきてくれませんか?」
いきなりそんなことを言い出したアスランに、シンが食ってかかる。
「なんであんたにシュバルツさんが付いていかなきゃならないんだよ?話なら、ここでもできるだろ?」
「ーーよせ、シン。フェイスの権限がある以上、彼のやる事に我々は口を挟むべきじゃない」
「なんでオーブに亡命して、アスハの護衛してた人が、ザフトに復隊すると同時にフェイスになって、しかもミネルバのMSデッキに新型の機体と共に来たのか。気にならないのかよ、レイ」
シンのストレートな言い分に、アスランが苦笑した。
「身も蓋もないが、確かに言われてみればその通りだな」
肩を揺らしながら愉快そうに笑うアスランに、馬鹿にされたと感じたシンは顔を真っ赤にさせる。
「ーーあのなぁ!!」
「君の言うとおりだ、シン。確かに、昨日までオーブ代表のボディガードしてた奴が、いきなり現れてフェイス面しちゃ腹も立つだろう。まったく、やっとまともにツッコんでくれる奴があらわれてくれたか!本当に、ありがとう」
「ーーは?」
何故か、喉に引っかかった骨が取れたような、爽やかな顔をしているアスランに、シンの方が疑問の声を上げた。
「ーーいや、こちらの話だ。気にしないでくれ」
「は、はあーー」
先の怒りも完全に消え、呆気に取られたシンに、咳払いをした後、アスランはシュバルツに向き直った。
「ーー俺の本当の名は、アスラン・ザラ。現在は、オーブのキラ・ヤマト准将の指示でザフトへ復隊し、ミネルバへ応援に駆けつけました。オーブの客人であるシュバルツ殿と、代表の恩人であるミネルバの方々を護衛するよう、准将から指示を受けています」
「ーーキラが、准将にか」
アスランの説明に、シュバルツが眉間に皺を寄せ、唸る。
その横で、シンが声を上げた。
「キラさんが!?」
オーブの慰霊碑で会った彼が、オーブ軍の准将でいる事にも驚きだが、彼からの命令でアスランがザフトに復隊した事も驚愕すべきことだった。
「ああ。君にもよろしくって言ってたよ、シン」
「で、でもオーブは!!」
内心は嬉しいシンだが、オーブ軍の行動には疑問がある。
シュバルツを引き渡すように言ってきた海域の時、オーブの領海の向こうでは地球連合の部隊が待ち構えていた。
「ーー連合と同盟を結ぶ方向に進んでいる。ただし、カガリ代表とキラ准将は大反対していてね。オーブの理念を信じた国民を裏切り、なんの説明もしないまま同盟を結ぶのか!ってね」
どこか誇らしげに言うアスランに目を丸くしながらも、シンは顔を輝かせた。
「ーーキラさん!」
その横で、レイが声を上げる。
「しかし、セイラン家他全ての有力議員が連合との同盟を結ぶ方向に進んでいるはず。いくらカガリ代表やキラ准将が反対したところでーー」
「君は世論に詳しいな。ーーそこで、俺の出番だ。俺はカガリのボディガードであり、キラの右腕として少佐の地位をもらっている。加えて、ザフトのフェイスの地位がある」
アスランがレイに向き直り、話をする。
「ーーなるほど……キラ准将の右腕が、オーブ代表の命令でザフトのフェイスになり、ミネルバに同艦すれば」
「オーブも迂闊に手出しはできなくなる、か」
その説明に、レイとシュバルツが頷く。
「ーーしかし、これではオーブを二つに分けてしまうことにならんか?はたして、前線に来る兵士達がこのような事情など聞かされて来るかどうかーー」
シュバルツの疑問ももっともだ。
「ーー詳しい話はタリア艦長としてください。私達がこれ以上口を出せる話じゃない」
「ーーそうだな。タリア艦長への説明の際、同席していただけますか、シュバルツ殿」
「わかったーーオーブからの客人という私の立場を考えれば当然だな」
レイが水を向け、アスランとシュバルツは一旦会話を切る。
シュバルツとアスランが艦長室の扉に向かうのを、案内が終わり見送るシンとレイ。
「ーーアスハは国の代表だろ? 代表が反対してんのに、何でオーブは同盟を結ぶんだ?」
「ーー政治は個人の意見や判断では動かない。国の利害関係もある。海洋国家であるオーブは、連合の加入国との貿易が主な収入源だ。おそらくは、アスハ代表を無視した他の議員のやり方だろう」
「それは、アスハと国民に対する反逆じゃないか!! 手討ちにしちまえよ、そんな奴ら!!」
「ーーシン、時代劇の見過ぎだ」
相棒の最近偏り出した知識に、レイが頭を抑える。
余談であるが、シュバルツの影響で、忍者に興味を持ったシンは、日本の時代劇をよく見るようになっていたのだ。
艦長室に来たアスランとシュバルツ。
彼らの報告と議長から預かってきたという自分用のフェイスの金飾りを見合わせ、タリアはため息をついた。
「ーーつまり、アスラン少佐はオーブ軍でありながら、フェイスの権限を持って、ミネルバの護衛をしてくださる、という訳ですね?」
「ーーはい。身勝手なことは重々承知していますが、現状では、これ以外にカガリ代表のあなた方への意志表示ができないのです」
「ーーそれは構わないのだけれど……分かっているのかしら?あなたやカガリ代表のしていることは、オーブという国を分けることなのよ?それも下手をすれば、連合が攻め入る口実さえ与えかねない程のーー」
責めるかのようなタリアの指摘に、アスランが背筋を伸ばし、正面から目を見据えて言う。
「艦長ーー連合にも話のわかる方はたくさんいます。戦争を望んでいるのは、一部の人間です。大多数の人は、戦争に嫌気がさしています」
「一部の人間?」
「軍事産業複合体ーーロゴスです。自分は彼らを連合からあぶり出す為に、この船に同席させていただきます」
「あなた、ロゴスをーー!?」
彼の告げたことは、個人が世界に喧嘩を売るような、途方もない話だった。
「分かっているの? ロゴスは実体があるのかすら分からない軍事産業複合体なのよ?決して表には出ずに、裏から戦争を操る団体なのよ?それをあぶり出すなんてーー!!」
地球連合を裏から操り、ブルーコスモスの温床ともなるロゴスを撃つなどーー
そんなことができれば、とっくにできている話だ。
できないから、未だに存在する。
簡単に滅せるような存在ではないのだから。
「すまないが……アスラン、タリア艦長。ロゴスとは、どんな存在なんだ?」
すくっと、律儀に右手を上げ質問するシュバルツに、タリアが僅かながらトーンダウンして答えた。
「民間人の貴方が知らないのは無理もないわ。我々ザフトの間でも、噂の域を出ない存在だもの」
「その名の通り、軍事産業複合体です。簡単に言うなら、戦争を商売にする死の商人の組織」
アスランもタリアに続いて説明する。
彼らの説明に、シュバルツはなるほど、と一つ頷いた
「昔、シュウジ達と共に倒した犯罪集団『カオス』のような秘密結社か」
「カオス? 奪われた3機の内の1機がどうかしたの?」
シュバルツの呟きにタリアが反応した。
それにシュバルツは一瞬目を丸めた後、笑う。
「ーーそうか、マスターの弟子の1人の機体がカオスと言うのか! ふふ、奇妙な縁だな、東方不敗よ」
僅かに覆面から見える目元を緩ませ、笑ってみせるシュバルツに、アスランとタリアは首をかしげた。
ーーーーーー
時は少し遡る。
アスランが、プラントでセイバーガンダムを受け取り、オーブに入った際、オーブ軍の可変型MSムラサメにスクランブルをかけられ、問答無用で危うくオーブから追い出されるところだった。
「ーー待ってくれ! こちらに戦闘の意志はない!! 貴軍で整備されているザフト艦ーーミネルバと合流したいだけなんだ!!」
「ミネルバは、つい先日に出航した! もういないミネルバをダシに使うなど間抜けすぎるぞ!! これが最後だ、この通告を無視すれば攻撃をーー」
ムラサメのパイロットからの無慈悲な通信が伝えられていた時、第三者の声が割って入ってきた。
「待ってください!!彼は、オーブ軍のアスラン・ザラ少佐です」
「ーーキラ!? それにフリーダム!?」
青い翼を持つ機体は間違いない。
ヤキンドゥーエを戦い抜いたフリーダムだ。そして、先ほど割り込んできた声の主もーー
「ヤマト准将! しかし、こいつはザフトのーー」
「連合との同盟は、まだ正式なものじゃないし、彼は実際にカガリ代表の護衛をしているアスラン・ザラ少佐です。問題ありません。彼は、このまま僕が案内しますから、あなたがたは任務に戻ってください」
「「「ははっ!」」」
キラの言葉に、3機のムラサメのパイロットがモニター越しに敬礼すると、去っていった。
「キラ、これは一体?」
「それを説明したいから、今から僕とカガリの所に行こう。色々話したいことがあるんだ」
「わかったーー」
ーーーーーー
アスハの屋敷に着いたキラとアスランは、MSデッキにお互いの機体を収容し、客間に向かう。
アスランは、カガリの屋敷に向かう道中でキラから現在のオーブの状況を聞いた。
「それじゃ、カガリは孤立しているのか」
「うん、完全にね……カガリの意見に耳を傾ける議員は、今のオーブにはいない」
「それじゃ、カガリやお前はどうするんだ? 」
「今、話せるところから話すとしたら、連合との同盟をやめさせる為に、やれることをやる。例えば、連合との繋がりの薄い国との貿易交渉。プラント最高評議会との国交も視野に入れてる」
客間に入り、向かいのソファに座るキラの言葉に、アスランは目をギョッと見開いた。
「本気で言ってるのか、キラ!? プラントと同盟を結べば、オーブはーー」
「間違いなく連合ーーいや、ブルーコスモスの攻撃対象になるね。でも、それは今の状況も変わらないよ。連合との同盟を拒否すれば、間違いなくブルーコスモスはプラントと同じくオーブを撃つと思う。連合とプラント、どちらを選んでも結果は同じなら、僕たちは戦争を止める為に戦う。戦争を引き起こそうとする連合のやり方には同意できない」
キラの言葉を反芻しながら、アスランは対面の席に着く。カガリは所用で遅れているらしい。
コーヒーを出してくれた給仕が教えてくれた。
だから、アスランは自分の頭の中にある疑問点をキラにぶつけていった。
「ーーキラは、デュランダル議長をどう思う? つい先日に、ラクスを暗殺しようとしたザフトの部隊がオーブに現れたらしいな?」
「ーーアスラン?」
「ーーデュランダル議長の手元には、議長のラクスーー偽者がいた」
アスランは頭を抱えていた。
「ーー連合もザフトも、きな臭いことは変わらない。表向きには、連合から一方的な攻撃を受けたことになってはいるが」
イザークの議長への評価、議長の傍にいたミーア、そしてザフト脱走兵の軍事力。
どれもが、きな臭い。
「誰を信じ、誰を選んでも、正解がない気がするーー」
「ーーアスラン」
キラもアスランの苦悩に頷く。
「ーー僕も、誰を信じていいのかは正直分からない。だけど、イタズラに戦火を広げる連合のやり方に同意する訳には行かない。オーブの理念を貫く為にも」
「確かに。いまの所プラントは、自分達からは攻撃を仕掛けてない。何よりミネルバには、カガリや地球を救ってもらったーー」
アスランがキラの言葉に頷いた時、第三者の声が割って入った。
「ーーデュランダル議長を信じる必要はないよ。利用すればいい。連合からの攻撃を避ける為にね」
どこかで聞いた覚えのある声だが、どこで聞いたか思い出せない。
つい最近の話のはずだが……とアスランは首を傾げた。
現れたのは、2メートル近い長身にワイシャツと黒のパンツ、青いコートを着た黒髪の青年だった。
「はじめまして、アスラン君。俺の名はキョウジ・カッシュ。キラ達の参謀役をさせてもらっている」
「ーー参謀?」
アスランの問いかけに軽く頷き、続ける青年。
「ーー君には、まずミネルバと合流してもらいたい。俺たちの目的の一つに、ロゴスを討つことが挙げられるからね」
キョウジ・カッシュと名乗る青年の作戦に、アスランはその壮大さと大胆さと緻密さに目を大きく見開いた。
自分やキラでは、まずできない。
広い視野を持ち、柔軟性に富んだ、見事な軍略を彼は展開していた。
得体の知れない青年に全てを託すのは、疑問がないわけではなかったが、現状彼以上の案は考えられなかった。
何よりアスランには、なぜか彼の声に温かみと親しみを感じられた。
言葉だけで信じることができるカリスマ性(これはデュランダル議長にもある)も感じるが、それだけではない。
自分は知っているのだ、彼は信用していい、と。
しかし、どこで彼を知ったのか思い出せず、結局、懊悩するアスラン。
「ーー綺麗事や理想論だと笑いたい者は笑わせればいい。俺たちにはできる能力があるんだ、世界は変わる可能性があるんだ、と。その者達が無視できないほどに示せばいい。その時にわかるさ。誰が信じられるのかが、ねーー」
穏やかな笑みを浮かべながら、どこか不敵な表情で、彼ーーーーキョウジは笑った。
ーーーーーー
一連の事を思い返し、アスランはタリアを見据える
「ーー夢物語かもしれません。俺たちの言ってることは、イタズラに人に夢を見させた結果、信じてくれた人を裏切る事になるかもしれないーー!それでも、俺たちはやり遂げてみせるーー!!」
タリアは、その目を真っ向から見返し、フーッとため息をついた。
「ーー思いや気持ちだけで、理想が実現できたら素敵だけど、貴方の言ってることは感情論です。具体的な指針が何一つーー」
「ーーいや、その意気だ!」
タリアの言葉を遮り、アスランに声をかけたのはシュバルツだった。
「確かに夢物語のようなことかも知れん。それでも、力なき人々が涙を流すのを見過ごせぬならば、その想いが強いならばーー!! 必ずやり遂げてみせよ、アスラン!! 私もあらん限りの力を貸そう。組織を相手に情報を集めるのは得意だからな」
「ーー最初から当てにしていました。キョウジさんの計画では、貴方の掴む情報こそが鍵だと」
そう言いながら、アスランはメモをシュバルツに渡した。
中身を確認し、シュバルツの目が覆面越しに強張る。
「ーーフフフ、キョウジめ!全く、人使いの荒い奴だーー!!」
はたから見ればただのメモ書きでしかないソレを、シュバルツは大事そうに懐にしまう。
そして、覆面の下で不敵な笑みを浮かべたのだったーー。
こうして、オーブ軍アスハ派のアスラン・ザラ少佐が、ザフトのフェイス権限でミネルバに復隊することになった。
みなさん、お待ちかね〜!!
カガリ達の奮闘空しく、オーブは連合との同盟に踏み切ろうとします。
ところが、中々返答をして来ないオーブに苛立ったブルーコスモス率いるファントムペインが、オーブ軍へと恐喝を兼ねた攻撃を行うのです。
その時、自由の翼と光の武士が、オーブ軍を守る為に現れたではありませんか!?
次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第24話に!
レディー、ゴー!!