新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
にべもない妻に、ドモンがついに声を張り上げた。
それにレインが顎に指をやり、考えながら答えた。
「ーーそうね。
多分、シャイニングガンダムとゴッドガンダムなら、ギアナ高地の時の繋がりや、アルティメットガンダリウム細胞で共鳴できるから、ドモンがゴッドガンダムに乗って明鏡止水の境地を使えば、シャイニングガンダムの所へ行くこと自体は可能よね」
ただし、同じ世界であればの話だが。
次元を越えた前例がないので、確実とは言えないし、行けたとしても、ドモンやゴッドガンダムに二度と会えなくなる可能性もある。
ーーあり得ない。
レインやライジングガンダムにとって、それはあり得ないことだった。
しかし、今にも泣きそうと言うか、駆け出しそうな夫をみて、何も感じないほど、レインは鬼ではない。
「ーーカッシュのおじ様。いいえ、お父様に相談してみましょう。亜空間回路に詳しいお父様なら、次元の壁を越える方法を教えてくれるかもしれないわ」
「ーーそうか!
ありがとう、レイン!! なら、早速父さんに!!」
「私も一緒に行くからねーー」
振り返り出て行こうとするドモンににべもなく、レインが告げた。
カッシュ家は、今日も平和であったーー。
さて、皆さん。
シュバルツ達と無事に合流したアスラン
一方で、カガリ達も選択を迫られます。
そう、連合からの同盟という名の脅迫を。
そんな中、キョウジは、キラとカガリに提案するのです!!
自由を勝ち取るためにーー
それでは、ガンダムファイト!
レディー、ゴー!!
時は少し遡る――
「――まずは力を示そう。自分たちには、できる力があることを世界に示そう。
連合やプラント、どちらと同盟を結ぶつもりにしろ、力が無ければ同盟相手には足元を見られる。
連合ならば、施設の運用やオーブの技術は欲しいだろう。
ザフトならば、オーブの人材が必要だろうね」
オーブ本島にあるカガリの屋敷に会した一同は、カガリの隣に立つ客人、キョウジ・カッシュに首を向けて円陣を組んでいた。
ここにはカガリが真に信頼できる者だけが集まっている。准将キラ、アークエンジェル艦長マリュー、副艦長バルトフェルド、海軍司令官トダカ一佐、イズモ級多目的宇宙艦艦長アマギだ。
会議室の長机にはオーブ近海のホログラムが投影され、室内をほのかに照らしていた。
青白い光を頬に受けるキョウジが、落ち着いた声で続けた。
「作戦はまず、連合との同盟の返事を延ばす。おそらく連合のブルーコスモスは、ホトトギスが鳴くまで待たない。力づくで鳴かせようとするか、潰しにくる。そのときの攻撃理由は、おそらくオーブの軍事力だ。オーブは、連合に従属せずに強大な兵器を隠している恐れがあるという口実――動機を作るだろうね。ユニウス条約に違反するフリーダムの存在は、彼らにとって渡りに船。こちらはそれに備えておけばいい」
「つまり、フリーダムを連合がオーブを攻撃する餌にしようっていうのか? こちらから手を出す形ではないが、本当に連合は――いや、ブルーコスモスの連中なら脅迫してきかねん」
「連合がいつ、どこで攻撃してくるのか。そのくらいの情報は握っておかなければ、カガリの私軍で圧倒的戦力差を覆すことはできませんよ。バルトフェルドさん。
――ホログラムを見てください。この光の点線は、連合商社がおもにオーブ入国の際に使っている海路です。そのなかでも、大連隊が通れるルートを割り出しました。地元の漁師さん方の話によれば、この海域は潮の流れが非常に早い。二つの海流がぶつかるので、魚も大量に採れるとか。
間違いありませんか? トダカさん」
「確かに、そのあたりは常時海流がぶつかり、潮の満ち引きによって波の激しさが増す。魚も波が激しければその流れに餌を求めて集まるだろう――それが、なんだと?」
「恥ずかしながら、俺は連合の水上艦艇や潜水艦については渡されたカタログ以上のことは詳しくありません。だがオーブ軍で使われているイージスシステムが連合製なら、トダカさん。仮に連合軍がこのルートで侵入してきたとき、こちらで水上展開しているオーブ軍を察知できるのはどのあたりですか?」
キョウジは海図を示し、オーブ軍の位置をペンでマークする。
そのあと、色違いのペンを受け取ったトダカは、思案顔を浮かべながらも海図にペンを走らせた。
「――そうだな、我々オーブ軍の潜水艦や海上艦のレーダーならば、おそらくはマークサンマル・距離はグリーンまでならば見れるはずだ。仮にタケミカヅチでレーダー索敵したとすると、だいたい、この辺りか」
「では、空戦に対する索敵は? マリューさん、アマギさん」
水を向けられた二人は、それぞれアークエンジェルとウズモ級の多目的宇宙艦の目を色分けされたペンで海図に示した。
最外縁を描くのは、やはり主力艦アークエンジェルである。わずかに並んでタケミカヅチが続き、イズモ級は一番近くまで寄られなければ気付けない。
微笑むキョウジの隣で、カガリは息を呑んだ。まさしくいま目の前にある海図が、キョウジがカタログから割り出した各艦の視界を示す海図と、まったく同じだったのだ。
「ーーなるほど。では、今から俺が配るアンテナと端末を艦に装着させてください」
「キョウジさん、これは?」
「本当はあまり気が進まないんだが、俺が作ったものだよ。この世界の船の索敵よりもほんの僅かだけ優れている」
言いながら、キョウジは右手をかざし、海図の隅に置いたコンピューターでアンテナを起動させた。
「トダカさん、使用してみてください」
「ーーこれはっ!」
操作盤とレーダー画面が一体になった簡易小型端末を見つめて、トダカが息を呑む。アンテナは、実験的にカガリ邸の屋根に取り付けられたものだ。馴染み深いレーダー画面の縮尺目盛が、ひとつ増えている。つまりこのアンテナの索敵範囲は、オーブ軍の中でも最高峰に位置するタケミカヅチよりも二百メートルほど優れていることになる。
「実戦配備できるのか? 固定されているものと、動くものでは、勝手が違うぞ」
興奮を抑えようと努めたが、声の端が震えていた。
索敵対象もそうだが、こちらも動くのだ。アマギの不安は当たり前のものだった。
「すでに、キラ准将に確認してもらっています」
皆の視線がキラに向くと、キラは曖昧な笑みを浮かべた。
「ーーなんていうか、僕たちよりの性能にまで、大分スペックを落としてもらってーー」
「その分、他のものをご用意できましたよ」
淡々と自信有り気に笑うキョウジに、皆が絶句した。
「――君は、一体、何者なんだ? 准将にまで、認めさせる程の科学知識やアンテナの作成技術を、一体どこで?」
「昔、趣味で弟とMSを組み立てたことがありまして。その時の杵柄です」
次に渡されたのは、奇妙な浮きを装備した砲弾だった。
「俺の国(世界)で作られている霧発生装置です。アンテナの経費を抑えられたので、作戦に必要そうなものも作ってみました」
笑いながら述べる彼は、周りが血の気を引いていることに気づいているのかーー?
「その霧は特殊なもので、レーダーの類もジャミングし、殺します。
肉眼なら5メートル見えたら良いところでしょう。
無論、俺が作ったアンテナとレーダーならば、問題なく索敵できますが」
この言葉に再び皆がキラを見ると、彼は居心地悪そうに笑いながら、こたえた。
「はい。間違いありません」
「「「「ーーーーーーっ!?」」」」
言葉もないとは、まさにこの事だろう。
キョウジはそんな皆の反応を気にもせずに、続けて語りだす。
「皆さんにお願いがあります。
完膚なきまでに、連合を叩き潰してください」
「ーーおいおい、キョウジ。敵がどれだけの数で来るかーーー」
「おそらくは、2年前オーブのマスドライバー『カグヤ』を強奪しに来た時程度の数です。
ブルーコスモスは、いつでもそれぐらいの連合艦隊を動かせると推定しています。
つまり、俺たちがこれから挑む相手は、このぐらいは容易くできる相手なんです」
バルドフェルドの言葉に、間髪入れずに返す。
またしても周囲は、黙らされる。
「それだけの数を相手に、MSのパイロットが10に満たないこの部隊で喧嘩を売り、完膚なきまでに勝利しなければなりません」
キョウジの口調は穏やかであるが、その目や発言内容は、厳しく妥協がない。
「皆さんは、イージス艦や戦闘機の類に至るまで、一つ足りとて落とされてはいけません。
また、オーブの国土に連合を一歩たりとも踏み入れさせてはなりません。
生きて帰るなんて、語るまでもない。
この部隊に配備され、参加する以上の鉄の掟です」
――戦争で、人が死ぬのは当たり前。
――後進の為に落とさねばならん命もある。
それらの意見をキョウジは、目で封殺する。
オーブの理念を通すには、『普通』ではいられないのだ。
ーーーーーー
海洋国家オーブにて
いま、アスハ派である軍人達が、靴を揃えていた。
数は、50人ほどーー。
オーブ軍約十五万人のうち、0.0003パーセントに満たない人数である。
本土防衛軍のなかでも真に信頼のおける者、さらには口頭での有志募集をたった数日間で行うとなれば、無理もないが、MSを操れる人間は、この内でも10人を切っていた。
それが、今のカガリの支持者であり、オーブの現状だ。
「ーーすまない。
キラ、みんな。これが今の私の支持者達全てなんだ」
事前に話していたとはいえ、集まった人々をガラス越しに見据えて、カガリは申し訳なさそうに目を下げる。
オーブ代表の支持者が、僅か50人程度では、話にならないのは、子どもでもわかることだ。
「謝らないでよ、カガリ。50人も来てくれたんだ。僕たちと一緒に夢を見ようとしてくれる人が。
充分だよ」
キラの励ましも、カガリには辛いことだった。
軍人である彼らにも、生活があり、家族がある。
いくら職務とはいえ、オーブを二つに分けるような真似をしている自分を支持させている事実。
ロゴスやデビルガンダムという脅威とこれだけの人数で挑まなければならない事実。
そして、連合との同盟を破棄した所で、国が晒される脅威が増えるだけという事実。
何一つ、今から自分たちがすることは、国や民のためにはならないのではないか、そんな疑問がカガリの頭には湧いては消える。
弱い自分に苛立ち、振り払おうにも、命や国の重さが、彼女を縛り付ける。
「カガリーー」
血を分けた双子ゆえか、キラには彼女が苦しんでいるのがわかる。
だが、すでに道は進まなければならない場所に来ていた。
今更、立ち止まれない。
キラは、目を閉じーー自分にも言い聞かせる。
震える膝を、必死に止める。
ロゴスを討つーー、それを成功させた後に、デビルガンダムを囲うデュランダルとも対峙しなければならない。
どれだけ困難か、考えなくても分かる。
それでも、自分は選んだんだ。
「また、考えているのか? キラ、カガリ」
必死に自分を奮い立たせようとするキラ、先の見えない恐怖と不安で涙さえ流しそうなカガリに、穏やかで温かな声がかけられた。
「ーー私たちだけなら、構わないんだ。覚悟もある。だけど、ダメだ。
国や民の生活がーー。
軍人達にだって、帰りを待つ人がいるのにーー」
震えながら、涙を流しながら、カガリは声の主ーーキョウジ・カッシュに向かい自分の考えを述べた。
ここまで来て、何をーー。
そう思う人間は、この場にはない。
皆が、カガリと同じ不安を持っている。
連合との同盟を結べば、目先の不安は解消されるだろう。キョウジは、穏やかに頷きながら、カガリの前に立つ。
「ーーカガリ」
怒鳴られると思っていたのか、カガリは意外そうに目を丸めてキョウジを見た。
「君は、オーブという国が大事だよね。そこに住む人々の命が」
「ーー当たり前だ。私は、幼い頃から、お父様にそう教えられてきた」
誰よりも敬愛し、大切に思っていた父は、先の大戦で自分たちに全てを託し、逝った。
言わば、このオーブという国は、民の命は、カガリにとって、父の形見であり、分身でもある。
それを自らの手で守れない現実は、彼女には余りに辛いものだった。
「ーーだけど、カガリ。連合と同盟を結べば、何が待ってると思う?
今までのようにーー君のお父さんが生きていた頃のような生活ができるかな?
オーブの軍人達は、どうなるだろう?
ブルーコスモスの息のかかった連合軍は、オーブに住むコーディネーターの人達をどうする?」
「ーー同盟なら、私たちの生活までは」
「これは、普通の同盟じゃないんだ。
力関係の大小がある以上、対等ではないし、強制されている時点で、正当でもない。
同盟ーーという言葉に騙されてはいけない。
要は、支配だ」
その言葉を穏やかながら、淡々と返すキョウジに、皆が息を呑んだ。
「それが、連合ーーいや、ブルーコスモスだろ?
色々調べたが、彼らはコーディネーターを滅ぼすためなら手段を選ばない。
2年前のアラスカの連合基地地下のサイクロプス然り、ムルタ・アズラエルによるオーブのマスドライバー略奪の為の侵攻然り、ね」
キョウジの言葉に誰もが、何も言えない。
そんなことはない、とはーー。
「俺たちがこれから行うことは、ロゴスを討つことだけじゃない。
手段を選ばないブルーコスモスの息のかかった連合から、どうやって国を守るのか?
カガリ。君が今からすることは、君を信じてくれた兵士たちを共犯者にすることだ。
連合という一大勢力にケンカを売るんだから、悪党の方がいい」
「おい、キョウジーー」
「連合との同盟の危険については、先に語ったとおりだ。対してプラントとの同盟に関しては、こちら側に利がある。
例えばーープラントにこう交渉してみてはどうかな?」
困惑気味に止めに入ったバルトフェルドを視線で制し、キョウジは一つ咳をすると、芝居掛かった仕草で語り出した。
まるで目の前にギルバート・デュランダルがいるかのように振るまう。
「2年前の戦災に遭った人々を匿っていただき、本当に感謝しています。
つきましては、彼らの働き口と住む場所がようやく整いました。
オーブに帰国したい方々に是非ともご連絡ください」
その後に自分たちの方を見て告げた言葉が、絶句させるものだった。
「オーブの技術を得たプラントは新しい技術を導入し組み立てているはずだ。
2年なら、ちょうど浸透し始め、お互いの技術の発展を科学者や技術者なら考える。
だが、このタイミングで帰国したい者はして欲しいと訴えれば、どうだろう?
まだ2年しか経っていない彼らは、国への懐かしさから、帰国する。
当然、技術者が一気に抜ければ作成中だった技術も、とんざする。
だから、オーブに帰国した後も、その技術者たちをプラントへ派遣することを認める代わりに、同盟を提示する。
少なくとも、お互いに技術を提供し合える分、連合よりは建設的だし、対等だろう」
キョウジの説明を受け、カガリは目を大きく見開いた。
「――それでは、お父様の理念に反する!」
「オーブはなにごとも中立であれ、だね。だがカガリ、君は理念のためなら戦災に見舞われ、プラントに避難した国民を見捨てるのかな? オーブを出れば、もう彼らはオーブの民ではない?」
その言葉を聞いて、カガリはハッとした。
思い出すのは、ミネルバで出会った赤い瞳の少年ーーシンだった。
蒼白になったカガリの顔を見て、キョウジは静かに微笑んだ。
「そうだね、カガリ。
君のまっすぐで純粋なところが、民衆を惹きつける。でも、それだけじゃあダメだ。君たちが守りたいもの、譲れないものを守るためには、覚悟を決めなきゃならないこともある。そのために君はいま、なにをしなければならない?」
カガリはしばらく目を丸くしてぱちぱちと瞬いていたが、凛と眉に力を込めるや、「ありがとう、キョウジ……っ」と零してガラス戸を開け、集まった人々の前に立った。
「ーーみんな、本当に私たちと来てくれるのか?
私たちは、下手をすれば国を守るどころか滅ぼすかもしれないんだぞ?
そんな私たちに、本当に力を貸してくれるのか?
命を、預けてくれるのか!?」
カガリの切実な言葉に、陣頭に立った、白髪が混じり始めた壮年の男性トダカが、帽子を脱ぎ、告げた。
「ーーカガリ様、確かに、カガリ様のおっしゃる言葉の難しさは、理解しているつもりです。
しかし、国を焼かれたことを、私は忘れておりません。私の目のまえで、無残に殺された家族のことを。
生き残った少年の慟哭を、私は忘れられません。
この国が、あのような輩と同盟を結べば、必ずあの少年のような被害者が増えるでしょう。
私は、私達は、貴女に従います、カガリ様!」
彼の強い言葉に、皆が次々と頭を下げ、カガリの名を呼ぶ。
「ーーすまない。みんな」
涙を流しながら、カガリは辛うじてそう告げた。
感極まった少女は、だが首を左右に振って乱暴に白い軍服の袖で顔を拭う。
彼女は宣言する前にもう一度、キョウジを見ると、優しく微笑み力強くうなずく彼を見て、大きくうなずき返した。
――本当は、彼女もわかっている。
『いま、なにが必要なのか』を。
そのための覚悟を、この気高い精神たちを前に、ついに決めたのだ。
力強く前を見据えた国家代表は、凛々しく言い放った。
「ーー私たちは、当たり前の部隊では意味がない。雲をも掴まなければならない部隊だ。
オーブを守り、ロゴスを倒し、プラントにも世界にも中立国家であるオーブの在り方を示し、確立しなければならない!
そのためには、敵を倒し、こちらは無傷であることを思い知らせなければならない!
私は力を振るう覚悟を決めた! 力だけでも、想いだけでもない、完全中立国家となるためにだ!
理想論?
それがどうした!
現実は違う?
当たり前だ、そんなことは!
だが、だからこそ、示さなければならないんだ!
ーーオーブに手を出せば、どうなるかを!
連合やプラントに示すことができなければ、オーブは一生、食い潰され利用される! 過去のブルーコスモスーー連合のやり方、そしてプラントへの国民の移住が……我々の敗戦が、示している!」
そして、カガリは作戦を語る前に、この部隊の有り様と覚悟について、ハッキリと宣言した。
「いいか、私たちは勝つ!
勝って、世界に脅威と取られようとも、力を示すんだ!
世界が手出しできないほどの力を有し、示せば二度とオーブは狙われはしない!
下に見られ、連合に強制されることも、宇宙に国民を上げなければならない事態にもならない!」
そう、彼女も本当は知っていた。
北アフリカでレジスタンスとして活動していたとき、世界をこの眼で見てきたのだから。
彼女は、机を叩き、宣言した。
「ーーいいか、私たちは!
『自由』を勝ち取るんだ!
オーブという国に、本当の意味での『自由』を与える戦いだ!
分かったら腹を決めてくれ!
私とともに、このカガリ・ユラ・アスハとともにオーブの理念を体現する部隊になる腹を!」
こうしてオーブーー海洋国家でありながら、中立を謳う国の存亡をかけた僅か50人に満たない部隊が成立されたのだった。
ーーーーーー
そして、今ーー
オーブの領海には、圧倒的な軍事力を持った地球連合軍の艦隊が、アークエンジェルを含めた僅か2隻しかないオーブ軍と対峙していた。
地球連合は、再三に渡る同盟要求を延期され続けたことに、痺れを切らし、オーブに兵を出したのだ。
ユウナ等、オーブで連合との同盟を支持していた大多数の政治家は、これにパニックを起こし、すぐさまカガリに同盟を飲むように働きかけてきた。
「ーーカガリ様、セイラン家のウナト様とユウナ様から通信が入っております」
「ーーわかった。繋げ」
カガリは、静かに椅子に座り直し、モニターを見る。
「ーーどういうつもりなんだ、カガリ! 審議を放っておいて軍を出し、連合と対峙するなんてーー!!」
「カガリ代表。ーー直ぐに、兵をひき、連合を迎え入れてください。同盟を結ぶ相手の機嫌を損ねるおつもりですか?」
ユウナ、そして父であるウナトからの言葉に、カガリは冷たい目を向けた。
「ーー私は同盟には反対したはずだが? 議会にもきちんと意見を通してきた。
お前たちだけの同意で、連合とは同盟を結べない。
まして、他国の審議や2年前の惨事や国内の状況さえ鑑みずに、いきなり軍隻を10も寄越すような連中とは、到底無理だ」
「ーー同盟を結べば、彼らは兵をひくだろ!!」
「こんなやり方をする奴等と同盟をして、食い潰されるつもりか、ユウナ?」
ユウナの叫びに、カガリは冷静だった。
ユウナの知るカガリとは、まるで別人だ。
「ーー同盟を結ぶにしろ、こんなやり方しかできないような連中とは、会談もできない。
こちらから、同盟を破棄する」
はっきりとした宣言が、オーブのカガリ・ユラ・アスハ代表の口から示された。
「ーーカガリ、君は連合に、今オーブを攻めさせるのか!? 僕たちは、逃げる準備さえしてないんだぞ!!」
ユウナがその言葉に、顔を青くさせ、抗議する。
そんな中、オープンチャンネルにしていた通信に連合艦隊からの通信が入る。
「ーーほほう、やはりオーブは何を考えているのか、よく分からん国だな。
同盟を結ばないのであれば、仕方ない。青き清浄なる世界のために、我々の進む道の障害となりそうなものを、排除しようーー」
ニヤリと無機質な笑みを浮かべて、宣言する士官に、ウナトが声を張り上げた。
「ーーお待ちください! 連合の士官どの!! これはカガリ・ユラ・アスハという個人が勝手に企てた、絵空事!!
オーブの意思ではありません!!」
「ーー父さん、何を!?」
ユウナが思わず声を荒げる、その横でウナトの言葉に、ますます愉快そうに、モニター越しの連合士官は笑う。
ウナトと彼は互いに見つめ合い、語り合う。
「ーーおやおや、オーブ代表ではないのかな? 彼女は?」
「ーーオーブとは何の関わりもありませぬ。オーブという国を私物化し、自分の理想を民に押し付けるだけの国賊でございます」
「ではーー、排除しても問題ないかね? この国賊を」
連合士官の言葉に、議員たちやユウナが、騒めくのを無視し、一瞬だけ歯を食い縛ると、ウナトは首を縦に振った。
「ーー無論です。国家反逆罪として、直ちに処刑を行いましょう!!」
「ーー結構。では、オーブのことゆえ、傍観するつもりであったが、乗り掛かった船だ。わたしの部隊で潰してあげよう。
同盟国オーブに巣食う、獅子身中の虫をね」
ニヤリと笑いながら、進軍を開始させる士官に、ウナトが声を上げた。
「ーーお言葉ですが! 同盟国である以上、私達の軍と法律で彼女達を裁かせていただきたい!!」
「部隊を招集する時間も惜しい。これっぽっちの小さな部隊など我々で充分だ。貸しにしてあげよう」
容赦なく、士官は船を前進させ、空には大覆い尽くすほどのウィンダムがある。
「ーー逃げられでもすれば、話にならないだろうしね」
ウナトの抗議も虚しく、一斉射撃が展開された僅かな部隊のオーブーーいや、アスハ軍を攻撃する。
圧倒的な物量。
圧倒的な数であったーー。
およそ、オーブ本国の半分にも匹敵するほどの戦力で、連合軍は同盟を急かしに来たことになる。
ーーーーーー
オーブの青い空を、大天使の名を受けた一隻の船が舞っていた。
「ーーキラ君、この作戦では貴方が要よ。いつも通りで悪いけど、お願いするわね」
「ーー分かってます。いや、この作戦は、皆さんが要です。僕を含めた、みんながーー!!」
「ーーええ、そうね!!
ブリッジからのマリュー艦長の通信に微かに微笑み、キラは鋭い目になって外を見る。
愛機フリーダムとともに開いたカタパルトデッキに向かい、彼は宣言した。
「ーー希望の未来を勝ち取るために!
力を貸してくれ。フリーダム!!
キラ・ヤマト! ーーガンダム!!
行きます!!!」
オーブの青い海と空に、青き翼のガンダムが飛び立つ。
その背後には、オーブの海を一望できる高台で、光の戦神が腕を組んでいた。
みなさん、お待ちかね〜!!
オーブを少人数で守り抜くという土台無茶な戦い。
はじめは連合も、10に満たないキラ達のMSを見て、その3倍程度の数の拙攻隊を用意してきます。
しかし、キョウジの作り出したアンテナや霧の発生装置が、思わぬ活躍を見せ、加えてキラのフリーダムの実力に連合はついに本隊をぶつけてくるのです!!
次回機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第25話に!!
レディー、ゴー!!!