新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny 作:カンナム
ドモン・カッシュの奮闘劇は、しばらくお休みです。
改めて自分達の置かれている状況を確認するキラとバルドフェルト達。
マスターとDの対決も一先ずの区切りをつけます。
一方、ガルナハン基地の攻略作戦を組み立てるアスランとシン達。
オーブ、連合、ザフトに与するそれぞれの未来世紀の者達は、どのようにこの世界の根幹に絡んでいくのか?
それでは、ガンダムファイト!
レディー、ゴー!!
アスハ邸の地下MS基地にて、先の戦闘を生き延びた面々は今回の作戦を振り返っていた。
「初戦は僕たちの勝ちですね」
キラの言葉に皆が頷き、マリューがそれに続く。
「本当に信じられないわね。
あれだけの大艦隊を相手に、わたしたちだけで……敵にも味方にも人的な被害なく勝利することができるなんて」
「ぼくも長年『砂漠の虎』なんて言われながら戦ってきたが、こんなに気分のいい勝利は初めてだ」
「たしかに。こんな勝利があるなんて、昨日までは夢物語のように感じていたな」
「わたしもです」
これを受け、バルドフェルド、トダカ、アマギが次々に感想を述べた。
「だけど、これでぼくたちは完全にオーブに、いや世界に進む道を示してしまったことになりますね」
キラが、深刻そうに眉をひそめる。それにバルドフェルドが答える。
「それは、今更だろう。キラ。
現状はとりあえず、オーブの国家反逆罪というのを、撤回できるかどうかの瀬戸際だということを危惧すべきだな、俺たちは」
「そうですね。カガリは?」
「早速だが、スカンジナビア国家と会談に勤しんでいるようだ。
キョウジはザフトのギルバート・デュランダル宛に書状を書いていたらしい。ただ、これも現状どうなるかはわからん。
いくらカガリのオーブ代表という傘があっても、国家反逆罪の印をセイラン家達から付けられているんだ。
交渉もうまくいくかどうか。世論を味方につけられるかが、鍵だな」
「外交か……。僕達も、なにか手助けできればいいんですけど」
「その辺は政治屋でない俺たちではなぁ」
バルトフェルドの言葉に皆うなずき合い、顔を一瞬見合わせる。
「ところで、バルトフェルド殿が保護された少年はどうした?」
重くなった場の空気を変えようと、アマギがバルトフェルドに声をかけた
「いまは医務室でゆっくり休んでるよ。あんなところで親御ともはぐれて、可哀想に」
「でもおかしいわね。どうして避難勧告どころか避難指示をしていたはずなのに、逃げ遅れがいたのかしら?」
「人間のやることだ。ミスもあるさ。あってはならんミスだが、今回はそのミスを取り返せた」
顎に手をやり、眉根を潜めて考えるマリューに、バルトフェルドが手で制しながら、答える。
トダカもまた、先の戦闘で気になった点を挙げる。無論、この作戦の立案者にして、今回の戦闘の立役者。
あの謎の青年についてだ。
「それにしてもキョウジ殿には驚かされる」
「たしかに。彼の科学技術やMSも驚異的ですが、それよりもあの戦いぶり、敵の尋常でないMS乗りを一方的にまで叩き潰した……。すさまじいとしか言いようがありません」
これにアマギもうなずきながら、同調した。
「あのときのキョウジさんは、なんだか怖かったわね」
マリューの頭には、一方的に敵を踏み潰して笑うキョウジの姿があった。
「怖い、ですか? 確かにいつもとは違いましたけど、ぼくには普段のキョウジさんと、本質は変わらないように思えましたけど」
キラは小首を傾げながら、マリューの言葉をやんわりとだが、否定する。
これにバルトフェルドが苦笑を漏らした。
「そりゃあキラが大物なのか、俺たちが節穴なのか。どっちかだろうな」
「だが彼の実力はあまり見せびらかすものではありませんね。政治家どもが見れば、それこそ。
外交交渉などで彼を使いたがる者は多いでしょう」
「……大人しく使われてやるタマとは思えんがね」
トダカの言葉に、ブルーコスモスの盟主が自分と声が似ていると聞いただけで、妙な笑みを浮かべたキョウジを思い返しながら、バルトフェルドは嫌な汗を流した。
ーーーーーー
オーブ近海の名も無き諸島にて。
デビルガンダムとマスターガンダムの一騎打ちが、半日以上にわたり、未だ繰り広げられていた。
ドゴォッ
ズザザァッ
鈍い音があたりに響き渡り、マスターガンダムはガードした状態で後方へ退く。
構えながら、デビルガンダムーーDが笑ってガードを固めたマスターに問いかけた。
「どうしたマスターアジア。大口を叩いた割にはたいした抵抗もできんようだが?」
これにマスターは、右拳を腰に置き、左手を開いて前に突き出す構えを取り、吐きすてる。
「ふん、ぬかしよるわっ。ならば!」
眦を吊り上げ、素早いステップを刻みながら、マスターは叫んだ。
「そのような大口を叩くのは、このわしを捉えてからほざくが良い!!
酔舞! 再現江湖デッドリーィィィッウェイブ!!」
マスターガンダムの姿が陽炎のように揺れる。その様に唸るD。
「その技を撃てるということはだいぶ体力が回復してきたということか。だがーー」
両拳を腰に置き、突っ込むデビルガンダム。
右拳を振りかぶり、マスターガンダムの顔めがけ、ストレートを放つ。
ビュウンッ
放たれた右ストレートは、紙一重で空を切る。
「ーーフンッ」
ビビュウンッ
拳蹴打の雨あられを放つデビルガンダム。
それをまるで舞い散る木の葉のように、質量を感じさせない動きで、
放たれる拳の風圧を受けるだけでマスターガンダムはその攻撃を紙一重でゆらりと躱して見せる。
「ーーこれはっ!」
この動きに対峙するDはおろか、観戦しているネオ達ですらも目を見開いた。
「わしの酔舞再現江湖をただ攻めるだけの技と思うたのが貴様の間違いよ。
ほぉれほれっ! わしの動きを真似られるのなら、この流れる水のごとき動き!
舞い散る木の葉のごとき動きを捉えてみせぃっ!」
「ーーフンっ」
デビルガンダムは、右手を開いて、顔の横に持ってくると気を集中し始める。
「我のこの手が翳りて吠える。すべてを屠れと高まり狂う! 暴裂! デビルフィンガァアアアア!!」
ガシィィッ
放たれた青紫の光を放つデビルフィンガーは、ユラユラと揺れて動くマスターガンダムの影をついに、捉えた。
ビュウンッ
瞬間、捕らえたはずのマスターガンダムの影が消える。
同時にマスターアジアの声が側面から聞こえてきた。
「勝機っ! ダァアアクネス、フィンガァアアアア!!」
がら空きの脇腹に側面から放たれる紫の光をまとったマスターガンダムの右手。
一撃必殺のダークネスフィンガー。
しかし、Dはこれを読んでいた。
「甘いぞ、マスターアジア!」
言いながら左手に青紫の光をまとったデビルフィンガーを放つ。
右手と左手で、組み合う両者。
紫と青紫の光が、辺りを照らしながら、大地を隆起しながら、互いに押し合う。
「ぬぅうううううっ!」
マスターが、この動きに唸り声を上げた。
「馬鹿な! こやつ、これほどの力を!」
対峙するDがニヤリと笑い、足腰を踏ん張りながら吠える。
「そんな脆弱な足腰で、我が力を止められると思ったか!
デェェェエッド、エンドォォオッ!!」
「ーー何だと、こんな馬鹿な!?」
巨大な爆発が両者の間に置き、マスターが悲鳴を上げながら爆発の中に消える。
「ーーぬうううっ」
右腕を抑えながら片膝をつき、うずくまるマスターガンダム。
マスターアジアは、自分の機体よりも頭二つは背が高い機体を睨み上げる。
「お、のれっ!」
「さあ、マスターアジア。二度目の敗北の時間だ。そしてこれでーー」
Dはマスターガンダムを見下ろしながら、右手を振りかざす。
その右手がDの気を受け、青紫に燃える。
「二度目の人生も、終わりだぁあああっ!!」
「ーーぬぅっ!」
振り下ろされる右手を睨み据え、唸るマスターガンダム。その時だったーー。
「「「ししょーーっ!!」」」
ビビィンッ
緑色のビームが三本、デビルガンダムの顔を撃つ。
デビルガンダムは顔面にビームライフルを受けるも、のけ反りすらせずにそちらを向く。
そこには、マスターアジアがこの世界に来て得た三人の弟子ーー三機のガンダムがいた。
「ししょーはやらせないっ!」
「師匠っ! ここは俺たちが!」
「早く逃げてくださいっ!」
それぞれ、ガイア、カオス、アビスというガンダムを駆るまだ十代の少年少女たちである。
彼らは『エクステンデッド』と呼ばれる連合ーー「ブルーコスモス」による強化兵であった。
「雑魚が。
お前たちのような連中がそろったところで、なんになる?」
Dは嘲りを強く含んだ笑みを浮かべて、三機のガンダムに自機を向けた。
これに東方不敗マスターアジアは、三人の弟子に向かって声を張り上げる。
「馬鹿者どもがぁっ! 早く逃げんかっ! これは命令じゃ!!」
しかし、普段はマスターの一喝を受ければおとなしく言うことを聞く彼らも、今回は違った。
「やだぁああっ! ししょーは、ステラたちに生きる喜びを教えてくれた!!」
「俺たちに、親のいる喜びを教えてくれたのは師匠だっ!」
「ぼくたち、あいつらに連れていかれて薬とか、機械で頭を狂わされてっ、それでもいま!
こうしていられるのは師匠のおかげなんだ!!」
ステラ、スティング、アウルの3人の叫びに、マスターは唸る。
「ぬぅっ……。馬鹿者どもがっ!
ネオ、なにをしておる!
早くこやつらを回収せんかぁっ!」
弟子達が言うことを聞かないと悟ると、こちらを伺っているであろう戦艦に向かって声をはりあげる。
しかし、いつもどおり何処か飄々とした声は、東方不敗の予想に反した答えを返すのだった。
「そいつは聞けませんなぁ。東方先生」
声と同時に放たれたのは、ビームライフルの弾丸。
「ーーぬっ?」
デビルガンダムの肩口を緑色の光線が撃つ。
デビルガンダムがそちらに顔を向けると、高速機動で現れた紫のウィンダムが一機あった。
「あなたはもう俺たちにここまで関わっちまった。なら最後まで責任取ってもらわないとね」
仮面を付けた男の不敵な笑みに、ステラの表情が明るくなる。
「ネオーー!」
「馬鹿者どもがっ」
もはや、こちらの指示を聞くものが誰もいないと悟り、マスターアジアは吐き捨てた。
「馬鹿者で結構!」
「師匠から未熟者とか、馬鹿者って呼ばれるのは、慣れてるよ!」
「それでも、ステラたちはししょーを守りたいの!」
スティング達の言葉を受け、マスターが目を見開く。その横で、話を聞いていたデビルガンダムは、邪悪な笑みを浮かべた。
「フン、滑稽なやつらだ。
マスターアジアを守る?
貴様らごとき雑魚が、命を懸けたところで数秒程度しかもたんだろうに。――それをな。犬死というのだ」
Dの言葉に、スティングは皮肉気に笑い、アウルとステラは必死の形相になってガンダムを構える。
「へっ、そうかもな」
「だけどさ。ぼくたちってとっくに死んでんだよね」
「ーーブルーコスモスにさらわれたから」
彼らの言葉に、ネオがコクピットの中で顔を顰める。
「お前ら、あんまり俺を泣かすんじゃねえよ……」
その後ろで四つん這いになりながら、黒いガンダムが動く。
「喝ぁああっ……馬鹿者がぁっ!
貴様らはっ! もう、ひとつの命であろうがっ!
ただの1人の少年として、貴様らは生きてゆくのだっ!
このような年寄りのために、貴様らの命!
散らすなどあってはならんっ!」
猛虎のような咆哮を上げながら、立ち上がるマスターガンダム。
これを受け、Dもまた笑う。
「ほう。まだ立つか、マスターアジア」
「かわいい弟子が三人も、わしのために命を懸けようというのだ。
寝ておれんわ!!」
マスターは気合いを入れて構えるも、やはりその足腰は何処か心もとない。
それを静かな笑みを浮かべて見据えたDは、1人つぶやいた。
「フーー、なるほど。
この世界にも居たか。
他人のために命を懸けるあのガンダムファイターたちのようなやつらが」
何処か穏やかな、温かみすら感じる表情を一瞬だけDは浮かべるも、すぐに邪悪な笑みをその口元は象る。
「ぬぅっ!?」
Dの興味の対象が自分ではなく、弟子達に向けられていることを悟ったマスターアジアは、険しい表情でDを睨み据える。
対するDは、両手を広げて、3機のガンダムを迎えるように言い放つ。
「小僧ども、喜ぶがいい!
貴様らすべて、この我が取り込んでやろう。
貴様らはこのデビルガンダムとともに生きるのだ!」
Dの放つ言葉の意味は分かりかねるが、放たれる邪気の濃厚さに、ネオは呻いた。
「くっ!
やっぱりヤバそうなやつだったか!
スティング、アウル、ステラ!
ヤバくなったら、とりあえず東方先生連れて逃げろよ!!」
「ーーネオ!」
「東方先生の気持ち、お前らはきっちり受け止めとけーーーー。これが俺がお前らにできる責任の取り方だ」
ステラの悲鳴に近い叫びに、穏やかな笑みを浮かべ、ネオはデビルガンダムを睨み据えた。
ネオのウィンダムを支援砲撃するために、ガーティ・ルーも配置に着く。
「ーーさあ、来い! 化け物め!!
殿はウィンダムーーネオ・ロアノークとファントムペインが請け負った!!」
そう叫び、ビームライフルを構えたその時ーー。
「ーーえ?」
ネオは、思わず間の抜けた声を上げた。そう、背後から、目の前の悪魔の邪気すら上回る、とてつもない鬼気を感じたからだ。
「いま、なんと言うたーー? デビルガンダムよ」
「ーーなに?」
想像に反して、静かな声が黒い鬼を思わせるガンダムから放たれている。
デビルガンダムをして、一歩後ずさる程の鬼気。
それはーー導火線に火が付いた爆弾の静けさだ。
「もう一度ほざいてみよ。
貴様、よりにもよってワシの眼の前で、我が愛弟子達を取り込むだと?
この、たわけがぁああああっ!!」
咆哮を上げると同時に両拳を腰に置いて気を解放する。
瞬間、人機一体の明鏡止水の境地に達した、マスターガンダムは、その全身に黄金の光を纏う。
「えぇええええっ!?」
可哀想な程に狼狽えるネオのすぐ側で、地面が起こり、黄金の気柱が、天を衝いた。
「あぁあっ、あぁあああぁああっ!?」
その圧倒的なパワーに、ネオもガーティ・ルーのブリッジ内も騒然となる。
黄金の気柱を立てた、マスターガンダムは静かに赤く輝く両の眼をデビルガンダムに向けた。
「こ、これはっ!
明鏡止水、ハイパーモード!?
馬鹿なっ!
我は、確かに貴様から気力を奪い取ったはずっ!?
こんなにも早く気力が回復するはずはない!!」
圧倒的な鬼気を放つマスターガンダムの眼を向けられたデビルガンダムは、後ずさりながらも、このあり得ない現象に目を見開いた。
「ししょー、ししょーっ!」
「「師匠っ!」」
目に涙を溜めて喜ぶステラと、瞳を輝かせ、拳を握って笑顔で師を呼ぶスティングとアウル。
マスターガンダムは、黄金の気をまといながら、ゆっくりと歩いてネオやスティング達の前に出ると、デビルガンダムに向かって右手を突き出した。
「よく見ておけ、我が弟子たちよ。
これぞ流派! 東方不敗がぁ! 最終奥義ぃいい!」
マスターは瞳を閉じ、気を集中させながら、左拳を腰に置き、膝を曲げて腰を落とす。
「ぅ、ぉ、ぉおおおおっ! や、やべええええっ! 離れろぉおおおお!」
ネオの言うように、黄金の光の塊となったマスターガンダムは、ガーティ・ルーの計測器をアッサリと凌駕した。
当たり前だが、周りの騒ぎを無視し、マスターアジアは右腰に両手を置いてたわめ、気を高める。
「石破! 天驚拳ェエエエエエエンッ!!」
限界まで高めた光の玉を、前方に両手を突き出して放つ。
それは、紫の文字で「驚」と書かれたデビルガンダムをも軽く飲み込み、全てを吹き飛ばす黄金の光線に変わった。
「ならばっ!
ダブル! デビル、フィンガァアアア!!」
青紫に輝く両手を突き出して、壁を作り、黄金の光線を受ける。
ーーーーーー拮抗は一瞬。
ズドォオウアッ
「うぉおあああああああっーー!?」
黄金の光線にデビルガンダムの作った光の壁は、押し消され、一瞬で水平線のかなたまで、吹き飛ばされた。
その威力は凄まじく、光が通り過ぎた衝撃波で、海面は割れ、海底が一瞬、陽に照らされる。
あんまりな光景に、たっぷりと沈黙した後、イアン副長は自分の上司に声をかけた。
「ロ、ロアノーク大佐……。ご、ご無事ですか?」
通信口から聞こえた声は平常で、仮面の奥の表情は読み取れない。
「ああ……。死ぬかと思ったがな」
何処か、悟ったような口調に、イアンは思わず胸を震わせた。
「そうですか……! ご無事でなによりです!!」
いつも以上に熱い感情のこもったイアンの激励に何処か寂しげな笑みを浮かべ、ネオは返した。
「ありがとよ。
……なあ、イアン。俺、要ったかな?」
その言葉に、思わず目頭を押さえそうになりながらも、イアンは努めて明るく、明るく答えた。
「もちろんです、大佐っ……! 大佐がいたからこそっ!」
「ありがとよ、イアン……さ。この海域を離れようか」
ネオの受けた傷をおもんばかり、イアンは早急に船の舵を切る。
「「「師匠ぉおお!!」」」
3人の涙ながらの呼びかけに、マスターアジアは勝ち誇った笑みを浮かべる。
「フンっ、馬鹿者どもがっ。わしがあの程度でくたばるわけがあるまい!
わっはっはっはっはっは!」
盛り上がる師弟を尻目に、ネオは部下のウィンダムやダガー隊と後始末をしながら、さっさと帰艦準備を行う。
その時だった。
「ネオよ!」
マスターガンダムからの通信に、ネオが脱力というか、理不尽を覚えながら返す。
「はいはい、なんですか? 東方先生」
「ーー礼を言う」
「ーーえ?」
一瞬、この超人に何を言われたのか理解できず、ネオは仮面の奥の目をまん丸に見開いた。
「貴様らに救われたわーー」
背を向けながら言う東方不敗に、ニヤリと笑みを返し、ネオは言った。
「ーー俺たち仲良くやれそうですね。東方先生」
「フンっ、意外に熱いところがあるではないか」
「あなたに感化されたんですよ。ガーティ・ルー! この海域を離れるぞ」
こうして、マスターアジアとファントムペインを載せた船、ガーティ・ルーは、激戦を繰り広げた海域を離れていくのだった。
間も無く彼らには、オーブでの連合艦隊の惨敗の報告が、ロード・ジブリールより来るのだった。
ーーーーーー
一方、こちらは、ミネルバのミーティングルーム
薄暗い部屋の中、モニターの青い光が作戦を立案するアスランの顔を照らす。
「これより、ローエングリーンゲートの攻略作戦を開始する。各員、配布された資料に目を通してくれ」
すると、シンとレイ、ルナマリアがまるで打ち合わせをしたかのように全く同時にページをめくる。
その一糸乱れない動きに、アスランはおろか上司であるタリア達も目を見開いた。
「ーー? 何か?」
「い、いやーー。さ、流石に赤服の部隊だな、シン」
部隊の練度はもしかしたら、2年前の自分達さえも上回るかもしれない、と正直に見直すアスラン。
「ーーはあ?」
しかし、見直された理由が本気で分からないらしく首を傾げるシンに、苦笑を浮かべて、アスランは作戦を指示し始めた。
「じゃあ、改めて。
ローエングリーンゲートの攻略戦を始める」
アスランの言葉に頷きながら、シンが渡された資料を見ながら事前に調べたことを口に出す。
「ーーローエングリーンゲート。
ガルナハン基地は、深い渓谷に設立されていて、強力な陽電子砲を正面に配置した一見単純だけど合理的な基地配備だ」
隣でレイが頷き続ける。
「ーー加えて、お前がオーブ近海で倒したザムザザーというMAによく似た機能を持つ、ゲルズゲーと呼ばれるMAも配置されているようた」
「ーーつまり、こちらの陽電子砲は威嚇以外にはならないってことよね。明鏡止水なら?」
3人のやり取りに、アスランは苦笑を浮かべた。
「ーーお前達、何処でそんな正確な情報を」
「え? 基本ですよ。敵を知り、己を知らば、百戦危うからずです」
シンの言葉に、ルナマリアとレイが頷いて答える。
「ーー現状、穴らしい穴は一切ない。MSを使おうにも、ローエングリーンゲートと、リフレクターのMAがいる限り攻め込むのも難しい」
「ーーシュバルツ殿ならば、この地形を逆に利用できるだろうが、俺たちにはまだ、そこまでの技量はない」
「ーー私の明鏡止水を使ったオルトロスでも、リフレクターを破るのは困難」
3人は、ジッと目の前に立つアスランを見据えた。
「ーー俺たちが何をできるかは、実戦でお見せします。だから、この戦いに勝つ作戦をください!」
アスランが、燃える赤い瞳を見据えて苦笑した。
「ーー参ったな、お前達。頼りになりすぎだ。
不甲斐ない隊長かもしれんが、よろしく頼む」
こうして、ミネルバのスエズ攻略の為の礎となる、ガルナハン基地攻略戦が展開されるのだった。
みなさん、お待ちかね〜。
ガルナハンのローエングリーンゲート攻略戦に、シンはアスランの作戦どおりコアスプレンダーで出撃します。
シュバルツ・ブルーダーが、ブリッジで観戦する中、強力なMAが次々と現れるのです!!
次回、機動武道伝Gガンダム SEED Destiny 第30話に。
レディー、ゴー!