新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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みなさん、今回のお話で、ある程度の物語は整理され、更なる戦いへと向かいます。

はたして、シュバルツ・ブルーダー、キョウジ・カッシュ、東方不敗マスターアジアの3人が、この世界で起こした騒動は、どれほどに影響しているのか?

はたまた、デビルガンダムの行方は?

まだまだ謎は深まるばかりです!!

それでは、ガンダムファイト、レディー、ゴー!!



第31話 動き出す世界

 

連合の艦隊から完璧な勝利を収めたオーブ軍。

 

 

 

彼らの世界の評価は、二極化していた。

 

 

 

一方は、世界を混乱に陥れるテロリストであり、世界の平和を乱す破壊者である。

 

 

 

もう一方は、世界を救う救世主であり、連合の横暴を食い止めた勇者である。

 

 

 

どちらの評価でも言えることだが、彼らは最早世界に注目されている。

 

 

 

アスハの部隊は、非凡な存在である、と。

 

 

 

連合に刃向かえる実力を示したことは、連合の加入国からは危険視され、敵対国や反抗的な国からは支持される。

 

 

 

だからこそ、連合もザフトも、無視できない力の保持者だと、彼らに注目する。

 

 

 

アスハ邸の会議室で、キョウジとカガリ、バルドフェルドにトダカ、アマギ。

 

そして、キラとマリューが集まっている。

 

 

 

キョウジは、海外の情勢を確認しながら、穏やかな笑みを浮かべる。

 

 

 

「ーーキョウジ、そろそろ教えてくれんか?

 

次はどうするんだ?」

 

 

 

皆を代表して、バルドフェルドが口を開いた。それに、キラ達がゴクリと唾を飲みながら、彼を見る。

 

 

 

すると、キョウジは気楽に構えながら、肩を竦めて笑うと答えた。

 

 

 

「別に、何もしないさ」

 

 

 

「「「ーー何ーー!?」」」

 

 

 

その言葉にカガリ達、オーブの者がざわつくも、バルトフェルドは冷静に手で皆を制し、キョウジの次の言葉を待つ。

 

 

 

「それにしても、連日連夜。新聞やニュースは今、オーブのアスハ軍の話題で持ちきりだな」

 

 

 

当の本人は、まるで世間話をするかのように告げ、バルトフェルドに目でコーヒーを催促する。

 

 

 

バルトフェルドは呆れたような目になりながら、特製のブレンドコーヒーを淹れる。

 

 

 

たまにハズレもあるようだが、キョウジは気にせずに飲んでいる。バルトフェルドの淹れるコーヒーは、独特なものだ。

 

キョウジはむしろ、その変化を楽しんでいる。

 

違いの分かる男の出現にバルトフェルドも、まんざらではないようだが、努めてしかめ面をしながら、コーヒーを淹れ、差し出す。

 

 

 

「ーーそりゃそーだろ」

 

 

 

香りを楽しみながら、コーヒーを飲むキョウジにバルトフェルドは、笑みを噛み殺しながらも、真面目な口調で、同意した。

 

 

 

「そうかな? まだ、初戦なんだよ? こんなにも簡単に世界がこちらを向くとはね」

 

 

 

コーヒー片手に気軽な雰囲気でニュースや新聞を見据えるキョウジの正面に回り込み、バルトフェルドは告げた。

 

 

 

「お前にとってはそうかもしれんが、なにせ相手はこの地球を支配しているといっても過言じゃない、地球連合だ。

 

しかも、指揮官はあの「蛇の目」で、戦力は戦艦20隻以上の大艦隊だ。

 

キラのフリーダムがもともと有名ではあれど、その神話がまた塗り替えられる事態なんだからな」

 

 

 

指摘されたキラは困惑気味にキョウジを見るが、彼は穏やかな笑みを浮かべてキラを見つめ返した。

 

 

 

「キラのフリーダムは、本当に優秀だな。アレがあるだけで、話も注目も盛り上がる。

 

だが、注目されるだけじゃ意味がない。

 

 神話で民衆の目はごまかせても、政治や国を動かす者たちまではごまかせない。

 

こちらは防衛しかしないから、敵に打撃を与えるのは難しい。連合にとって戦力的には脅威でも、自国領には、攻めこんで来ないと言う安心感があるだろうな」

 

 

 

このキョウジの言葉に、皆が顔を俯かせる。キョウジはそれを気にした素振りもなく、続ける。

 

 

 

「攻撃は最大の防御という言葉があるが。

 

俺たちの場合、常に他国に虐げられず、他国を侵略せずの理念がある。

 

これがある以上、表立っては敵本拠地に乗り込むことも、こちらから攻撃を仕掛けることもできない。

 

専守防衛では、脅威足り得るか、という問題がある。

 

連合側に友好的な行動を取られた場合、オーブの理念で拒否することができるか否かが肝要か。

 

どの道、今のままでは、オーブは本当に脅威にはなり得ない」

 

 

 

キョウジの言葉に皆は何も言えずに立ちつくす。しかし、それすらも気にせずにキョウジは話を続ける。

 

 

 

「では、どーするか? 何もしないのが、一番さ。

 

話は話を大きくし、脅威になり得ないはずのオーブは、脅威になる。

 

人は、噂を好み、話を大きくしたがる。

 

ならば、どこまでが真実で、どこからが嘘なのかを分からなくすればいい。

 

そして、ザフトと連合の動きを見ようか」

 

 

 

キョウジは、静かに告げながらも、一つのメモ紙に書き始める。

 

 

 

「デュランダル議長には、交渉の手紙を,

 

連合の方には、カガリから、こちらから攻める意思はないとの表示を出した」

 

 

 

メモ書きには、簡単な三つの円と矢印が描かれ、円にはザフト、連合と中に記載する。

 

 

 

「デュランダル議長には、やや高圧的にさせてもらったよ。

 

プラントにいる全てのオーブの民を返してもらう、とね。

 

連合には、カガリから誠心誠意の非戦意志を伝えてある。

 

もちろん、他の国にも拾える国際チャンネルでね。

 

当然、プラントは今のオーブの情勢を考えれば。民を返すことこそ、危険だと主張し。

 

連合は、ならば同盟を結べと告げてくるだろう」

 

 

 

コーヒーを一口啜り、満足げな笑みを浮かべるキョウジにバルトフェルドもニヤリと返す。

 

 

 

「しかし、だ。

 

例えば、面子を潰されたブルーコスモスの盟主は、黙って同盟を告げてくるか?」

 

 

 

これにキョウジも、微笑みを浮かべながら、語る。

 

 

 

「そこで、こちらから、同盟を結ぶ際の条件を提示する。

 

一つ、オーブは、貴軍に危機が迫れば助け舟を出そう。

 

一つ、オーブは、戦闘には参加しない。あくまで、専守防衛である。

 

一つ、オーブの資源はオーブのものであり、緊急時以外は、そちらには手を貸さない。

 

ーー大きく言えば、この辺りが妥当かな?」

 

 

 

そう告げた後、一言を続ける。

 

 

 

「ーー 1つでも違えれば、同盟を破棄する、とね」

 

 

 

「怒り狂うブルーコスモスが目に浮かぶな」

 

 

 

向かいで苦笑いを浮かべ、バルドフェルドはいう。

 

 

 

「それが狙いさ。通常なら、島国であるオーブに、経済制裁を加えて、兵糧攻めが妥当だが、オーブは輸入に頼らなくていいからね、経済制裁は効かない。

 

間違いなく、大艦隊を組んでのゴリ押しで攻めて来るだろう」

 

 

 

自信ありげに話すキョウジに、トダカが口を出した。

 

 

 

「また、例の霧発生装置か?

 

しかし、不殺もいいが、捕虜の食料はどうする?

 

実際、前回の戦いで捉えた捕虜を遣り繰りするのにも、君が用意した食料がなければ、たちまち食料難になっていた。どうやって用意したのかは分からないが、資源や土地は有限だ。

 

捕虜をいたずらに増やすのは、私は勧めない」

 

 

 

彼の言葉に、笑みをやめ真剣な表情になるとキョウジは真摯にトダカに目を合わせながら、答えた。

 

 

 

「トダカ一佐が、そう考えるのも無理はありません。

 

もとより、捕虜を増やしたところで、オーブには何も利益はない。

 

今回は、霧発生装置を改造し、違うものを用意しました」

 

 

 

「ーーなんだと? また、何を作ったんだ」

 

 

 

苦い顔をするトダカに、キョウジは微笑むと、パチンと指を鳴らした。

 

 

 

そして開かれた会議室のドアから出てきたモノ達に、皆が驚愕した。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

地球連合独立機動軍第6部隊ーーファントムペイン。

 

 

 

ガーティ・ルーのブリッジ内で、モニターの中からの通信に、ネオ・ロアノーク大佐は事務的な受け答えをしていた。

 

 

 

「ーーミネルバだが、強力な部隊のようだな。既に、ガルナハン要塞とスエズが落ちた」

 

 

 

「申し訳ありません。私の力不足のために」

 

 

 

「全くだーー。と言いたいが、そうでもなかろう。ザムザザーやゲルズゲーの性能を真っ向から破るのだ。

 

普通の部隊ではない」

 

 

 

珍しくモニターの中の人物はネオを責めることはなく、逆にネオを労うかのような言葉を吐いた。

 

 

 

「ーー閣下?」

 

 

 

モニターの中の彼は、物憂げに頭を押さえると、溜息をつきながら、答えた。

 

 

 

「蛇の目が負けてね、相手はMSが10に満たない、オーブのアスハの私軍だ。

 

フリーダムとアークエンジェルが編成されているとはいえ、向こうには打撃が一切なく、300あるMSのうち50と10を数える艦隊が全て落とされた。

 

母艦が落とされたため、残りのMSは帰国せざるを得ない。だが、あの蛇の目がいて、これだけの大艦隊をたった10に満たない部隊が倒した。

 

考えられるかね、ネオ?」

 

 

 

「ーーい、いえ」

 

 

 

ネオをして、そう答えるしかない。

 

 

 

事実ならば、もはやそれは人智を越えた奇跡か何かだ。

 

 

 

「君たちには、ミネルバの追撃を任せていたが、一旦オーブに向かってくれ。

 

性懲りも無く、奴らはこちらに非戦の意思と同盟を結ぶ際の条件を提示して来た。

 

これを真に受ければ、我々のメンツは丸潰れだ。わかるかな?」

 

 

 

「ーーは! 直ちにオーブへ向かいます!!」

 

 

 

「頼むよ。それとだ、君たちが戦闘に参加するのは、第二陣からでいい。

 

初陣で連中の出方を探り、ニ陣で君たちが斬り込め」

 

 

 

「ーーは!」

 

 

 

「期待している、ネオ・ロアノーク大佐」

 

 

 

そう告げられて、ジブリールからの通信が途絶えた。

 

 

 

「ーー大佐、オーブへ?」

 

 

 

「ああ、向かわにゃならんだろうな。それにしても、どうなってんだ?

 

ジブリール卿の変化は。あんな物分かりの良い、鋭い男じゃないだろ」

 

 

 

「ーーわかりません。よほど、オーブに片腕の蛇が破れたのが、ショックだったのでは?」

 

 

 

「ーーなんだか、それもピンと来ないな」

 

 

 

頭をかきながら、呟くネオに、イアンも頷く。

 

 

 

「ジブリール卿の身に何かあったとしか」

 

 

 

「ーー何かって、何だよ?」

 

 

 

「さあ?」

 

 

 

舵をオーブに向かって切りながら、隊長と副長は、連合基地に帰還したウィンダム達のオーブでの戦闘データを確認していた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

猫を撫でながら、薄暗い部屋の中で、彼は紅茶を飲む。

 

 

 

 猫を撫でる手をやめ、男は薄暗がりの中、自分の前にいる二人の男に話しかけた。

 

 

 

 二人とも黒髪を長く伸ばしており、それぞれ鉄仮面とサングラスで目元を隠しており、両者ネクタイを締めた正装をしている。

 

ただし、鉄仮面の男は軍服で、服の上からでもその隆起した筋肉の出で立ちがわかる。

 

 

 

「君たちの予測通りになったな?」

 

 

 

 猫を撫でる男ーージブリールは、二人の男に話しかけた。

 

 

 

「ーー当然だ、私達には、彼らの動きが手に取るように分かるからね」

 

 

 

「さあ、ここからです。楽しみましょう?」

 

 

 

鉄仮面とサングラスの男は口元に上品な笑みを浮かべる。その瞳には、暗く冷たい炎が宿っている。

 

 

 

「ーー頼もしい限りだ」

 

 

 

それに満足気味に微笑むと、ジブリールは陶然と世界地図を眺め始めた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

スエズ基地を制圧したザフト軍。

 

その功績を称えられ、ミネルバ隊は英雄のような扱いを受けていた。

 

特に作戦に参加した、先の大戦の英雄アスラン・ザラ率いる赤服の部隊は、本部待遇を受けていた。

 

盛り上がる式典とパーティに、まだ若いミネルバクルー達は舞い上がり、食事やパーティを楽しんだ。

 

 

 

ドレスやタキシードと言った正装に身を包み、ディナーを行う。

 

 

 

皆が舌鼓を打ち、幸福と勝利に酔う。

 

 

 

「お姉ちゃん達、ホントに凄い!」

 

 

 

「はいはい、分かったから。あんまり騒がないの。目立つじゃない。ただでさえお偉方からのご挨拶で肩凝りそうなのにーー」

 

 

 

メイリンのはしゃいだ笑顔をなだめながら、苦笑いを浮かべてゲンナリしているルナマリア。

 

その横では、レイがそつなく周りの挨拶を返している。

 

 

 

「ーー? レイ、シンは見てないの?」

 

 

 

「ああ。俺も見てない」

 

 

 

「もう、何処に逃げたのよ!」

 

 

 

不満そうに口を尖らせるルナマリアに、レイが苦笑を浮かべた。その横で、メイリンが興味深そうにルナマリアを見る。

 

 

 

「ーーお姉ちゃん、シンが気になるの?」

 

 

 

「別に、何もないわよ。ちょっと元気無さそうだったから、からかってやろうと思っただけよ」

 

 

 

「ふうん?」

 

 

 

何処かしら、目を背けるルナマリアに、メイリンが口元に笑みを浮かべて見ている。

 

 

 

それを横目で見ながら、レイは心の中で呟いた。

 

 

 

( シンもいないが、アスランとシュバルツ殿もだ。何かあったか?)

 

 

 

そんなことを頭で考えながら、他の人と話をする、レイである。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

パーティ会場の熱が、届かぬテラスにて、シンは夜空を見上げていた。

 

 

 

「戦争は、ヒーローごっこじゃない、か。ホントにそうだ。正義の反対は、違う正義でしかない。

 

悪なんかじゃなかった」

 

 

 

シンは、夜風にその身を任せながら、手摺に自分の身を預ける。

 

 

 

「何をしている? パーティの主役が」

 

 

 

穏やかな声がかけられ、シンが振り返ると長身の覆面をした忍者が立っていた。

 

 

 

「ーーシュバルツさん」

 

 

 

「部隊を預かるアスランも、お前もいないせいで、ルナマリアとレイが大変そうだぞ」

 

「ははは、後で何か奢らなきゃな」

 

 

 

明るく笑うシンの横に立ち、シュバルツも同じように天にある月を見つめる。

 

 

 

「ーー何を悩んでいる?」

 

 

 

発せられた言葉に思わず苦笑いを浮かべて、シンはシュバルツを見た。

 

 

 

彼は、静かにシンの目を見ている。

 

 

 

「何ていうか、俺は強くなりました」

 

 

 

「ああ、それは間違いない。まだまだ未熟ではあるがな」

 

 

 

「ーーだけど、俺の力は、誰かを傷付けるだけで。勿論、自分のしたことに後悔はしてません。でも、だけど!

 

俺には、痛いぐらいに、奪われた人の気持ちがわかるんです!!

 

平和に暮らしていて、明日が来ることを疑ってなかったのに、奪われてーー!!

 

憎むな、なんて誰が言えます? 子どもを奪われた父親は怒り、母親は嘆く。

 

憎んで、憎んで、当たり前じゃないか!!!」

 

 

 

テラスの手すりを殴りつけ、シンは叫んだ。

 

 

 

「ーーでは、何故、レジスタンスを止めたのだ?」

 

 

 

「分かりません。あの司令官が、俺の話を聞いてくれて、自分を犠牲にしたからかも。

 

彼らにだって、守るものがあるって、わかっちまったから」

 

 

 

シンの言葉に黙って頷き、シュバルツは更に耳を傾ける。

 

 

 

「俺は、今の今になるまで、何にもわかってなかった。連合にだって、正義があるなんて。

 

あんな人が、いるなんてーー。でも、俺は軍人で、ザフトで、俺がやらなきゃ皆がやられちまうから。

 

でも! こんな祝いを受ける気分じゃないんです!!」

 

 

 

「ーーシン」

 

 

 

「俺は、何が正しいのか、分からなくなりそうで。敵討ちだって、間違ってない。奪われたのは、間違いないんだ。でも、奪ったら、また奪い返されて。

 

そうして、殺しあって全てを終わらせるのが、本当に正しいのか?

 

シュバルツさん、俺は、何をすれば!!」

 

 

 

 純粋な思いを胸に放たれた言葉は、たまたま涼みに来たアスランをも立ち止まらせた。

 

 

 

 夜の静寂が支配する中、静かに温かな双眸を向けてシュバルツはシンの赤い瞳を見据える。

 

 

 

「シンよ、よくぞそこまで悩み、よくぞそこまで気づいた!」

 

 

 

「あなたや、キラさんやアスランさんのおかげです。俺だけじゃーー」

 

 

 

「馬鹿者、謙遜するな。今のお前は明らかに、強くなった。心も体もだーー」

 

 

 

 うつむこうとするシンにシュバルツが声をかけ、止める。

 

 

 

「シンよ、先ほどの答えだがな。

 

 私がどのようにすれば良いか、と答えるのは容易い。私なりの答えもある。

 

 だが、それはお前自身が導かなければ意味のない答えなのだ」

 

 

 

「俺自身の答えーー?」

 

 

 

 思わず繰り返すシンにうなずき、シュバルツは続ける。

 

 

 

「良いか。

 

 人は常に悩む生き物だ。悩むこと、考えることをしなければ、人ではない。

 

 お前なりの答えを出すのだ、シン。

 

 お前の、レジスタンスへの思いも、連合の兵士たちへの思いも、決して間違ってはいない」

 

 

 

「俺の思いは、間違っていないーー?」

 

 

 

 頼りなげな瞳で問いかけるシンに、シュバルツは深くうなずき、覆面の下で優しくほほえむ。

 

 

 

「シン、憎むことをやめることなど、人にはできぬ。理不尽な裏切りを、罪なき人を奪われた悲しみも、痛みも、私にもわかるよーー」

 

 

 

 微笑みながら放たれた言葉は、どこか、普段の厳しさの中に優しさを持つ、シュバルツとは違う。

 

 とても、優しくて穏やかな、そんな笑みだ。

 

 

 

「シュバルツさん、あなたはーー。あなたも、誰か大切な人を?」

 

 

 

 シンの言葉に穏やかな瞳を向けるだけで、シュバルツは語らない。

 

 だが、シンにはそれで十分だった。

 

 

 

「私もただの人間に過ぎない。憎しみにこの心を支配され、悪魔を生み出してしまった過去もある。

 

 失望したか?」

 

 

 

 シュバルツは笑いながら、自分の過去を軽く述べてくれた。

 

 それがどれほど辛いものであったかかは理解できないが、少なくとも目の前にいる青年は、自分と同等かそれ以上の苦しみを味わってなお、こうしているのだとシンにはわかった。

 

 

 

「ーーいえ、尊敬します。やはり、俺の師匠はあなたしかいない。これからも、見ていてください!!」

 

 

 

「ああ、言われなくてもそのつもりだ。お前はどこか放っておけない」

 

 

 

「それって、シュバルツさんの弟さんと似てるからですか?

 

 どんな人なんです、弟さんって」

 

 

 

 シンの何気ない言葉に、シュバルツは静かに微笑むと、腕を組み懐かしげに弟の話を始めるのだった。

 

 

 

(他人が教えるのではなく、自分で導かねば意味のない答え、か)

 

 

 

 シュバルツとシンの会話を聞いていたアスランは、静かにその言葉に微笑むと、夜空を見上げた。

 

 

 

 現状の問題は何一つ、良くはなっていない。

 

 

 

 それでも、彼らなら、この困難な状況でも共に乗り切れるはずだ、と。

 

 

 

 アスランは人知れずうなずき、上司であるキラに報告しに自室へと帰るのだったーー。 

 

 

 

 

 




みなさん、お待ちかね〜

連合の本格的な攻めに対抗するため、皆があっ、と驚くものを発明するキョウジ。

一方、宇宙に上がったラクス達に、悪魔の洗礼を受けたギルバート・デュランダルの手が忍び寄るのです。

危機に陥ったラクス達を救ったのは、みなさんご存知のあの男!!

真っ赤に燃える右手を掲げ、勝利を掴めと轟き叫ぶではありませんか!!

次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第32話に、レディ、ゴー!!
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