新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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さて、みなさん。

オーブの戦域についに現れた魔人達。

彼らの悪意が、優しく可憐な少女へと向けられた時、私達の想像のつかない展開が待っていたのです!!

それでは、ガンダムファイト、レディィィイ!!

ゴォオオオオオオッ!!!

第38話



第38話 動き出す魔人 混沌への序曲

 

とある、無人島の森の中でーー

 

 

 

 ガンダムと呼ばれる機体のコクピットから、1人の男が声をあげた。

 

 

 

「ーーおい、チャップマン!!

 

 ウルベ達から指令が来てんぞ!!」

 

 

 

 パンクルックをした長髪の男ーーミケロ・チャリオットは、自身と生い立ちや考え方、性格の全てが正反対とも言うべき、男に声をかけた。

 

 

 

 話しかけられた壮年の男ーージェントル・チャップマンは、パラソルをさして簡易型のテーブルと椅子を置いて、腰掛けている。

 

 

 

 彼はコーヒーを口に含みながら、新聞を片手に目だけをミケロに一瞬向けると、目を新聞の紙面に戻しながら、答える。

 

 

 

「ーー断れ。

 

 つまらん戦いに興味はない。誘拐などという下世話な趣味は、あやつらの駒を使わせろ」

 

 

 

「ーー何で俺様がてめえの指図を受けなきゃならねぇのか、甚だ疑問だが。

 

 俺たちは、DG細胞を奴らに管理されてるんだぞ?」

 

 

 

 表情を険しくしながら、ミケロは鋭い視線をチャップマンに返す。

 

 

 

「ーーそれが、どうした?

 

 DG細胞の力は、興味深いが、それだけでドモン・カッシュを倒せるなどと、思うのか?」

 

 

 

 新聞とカップをテーブルに置き、自身のライフルを手入れしながら述べるチャップマンに、ミケロが忌々しそうに応える。

 

 

 

「ドモン・カッシュに復讐するためにも、ここでくたばる訳にはいかねーんだよ」

 

 

 

「ーーフン」

 

 

 

 チャップマンは銃を置き、葉巻に火をつける。

 

 

 

「ーー吸うか?」

 

 

 

「葉巻は趣味じゃねーよ。それとチャップマン、俺たちへの指令は、ガキの誘拐じゃねー。

 

キョウジ・カッシュとマスターアジアの足止めだとよ」

 

 

 

「マスターアジア?

 

奴が、あんなチッポケな島国に来ているのか?」

 

 

 

 チャップマンが、はじめてミケロに顔を向け、問いかける。それにミケロはニヤリと笑い、応えた。

 

 

 

「流石のあんたも、唯一土をつけられた相手の名前には敏感だな」

 

 

 

「ーーフン。ただの誘拐を俺に命じてくるならば、問答無用で断る予定だったが。

 

 良いだろう。マスターアジアが相手ならば、不足ない」

 

 

 

 即座にチャップマンはモビルトレースシステムを起動し、ジョンブルガンダムを動かす。

 

 

 

「ゆくぞ、ミケロ」

 

 

 

「ーーケッ、俺様に命令してんじゃねーよ!」

 

 

 

 二機のガンダムが、オーブの海域へと飛び立っていった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ジブリール邸の中庭で

 

 

 

 ウルベ・イシカワは、静かに笑いながら、手元にあるモニターの中で必死に争いあう二つの勢力を見据える。

 

 

 

「ーーさて、始めようか。ウォン」

 

 

 

「ええーー。ランタオ島で良い手駒のガンダム達が手に入りましたからね。ミケロとチャップマンにはマスターアジア達の相手をしてもらいましょう」

 

 

 

「フフ、貴様という男は、本当に嫌な男だな」

 

 

 

「あなたほどではありませんよ、ウルベーー」

 

 

 

 互いに冷酷なーー酷薄なーー笑みを浮かべながら、ジブリール邸の庭の前に立つ。

 

 

 

 彼らの前には、三体のガンダムがあった。

 

 

 

「では、頼みましょうか。

 

 マーキロット、シジーマ、ロマリオ」

 

 

 

「ーーう、ウウゥウーーっ!!」

 

「あ、アアアァッ」

 

「ぐ、ぅ、うぅウウゥウッ」

 

 

 

 ウォンの言葉に、3メートルはあろうかというギリシャ人、顔色の悪い頬骨の張ったインド人、そして小太りのピエロの姿をした男が、唸り声を上げながら応えた。

 

 

 

 彼らは、第13回ガンダムファイト決勝に勝ち進んだ猛者ーー。

 

それぞれ、

 

 

 

 ネオギリシャは、古代のギリシャ神話の主神の姿を模した戦士マーキロット・クロノスのゼウスガンダム。

 

 

 

ネオインドは、下半身が蛇の女神の姿を模した蛇遣いチャンドラ・シジーマがコブラガンダム。

 

 

 

ネオポルトガルは、丸いコマの様な胴体にピエロの顔を入れたロマリオ・モニーニがジェスターガンダム。

 

 

 

 ランタオ島のバトルロワイヤルでDG細胞の犠牲となった三体のガンダムとファイター達である。

 

 

 

 彼らには生前の理性などなく、生ける屍として復活した呪われたガンダム達。

 

 

 

「では、はじめましょうか。

 

 悪魔の宴をねーー!!」

 

 

 

「ジブリールのDG細胞も、そろそろ脳を侵し始める頃だ。

 

 そうなれば、余計な疑問も抱くまい。ウォン、君の狙いどおり、我々のやりやすいようになってきたな」

 

 

 

「私達が、もっと早く手を結んでいれば、悪魔の力で元の世界をも牛耳れたのですがねーー。

 

 しかし、この世界を牛耳ることができれば、今はそれで良いでしょう」

 

 

 

「ーーああ。シャッフル同盟の連中に復讐する力を得るまではな」

 

 

 

 2人は飛居並ぶガンダム達を見上げながら、野望に笑みを深めた。

 

 

 

「ジブリールから、戦艦を一隻もらえました。

 

 我々も行きましょうか、ウルベ」

 

 

 

「ーーああ。

 

久しぶりに運動をせねばな」

 

 

 

 ジブリールの館から、巨悪の司令官と屍人のクルー達が乗るアークエンジェル級の鑑が飛び立っていった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

オーブの海域で、海面を四つ足で駆け、無双する狼のような機体がある。

 

 

 

名をガイアガンダム。

 

 

 

機体が白い気を纏い、背中に付いた両翼の、ビームブレイドが、光り輝く。

 

 

 

オーブに捕獲され、特徴的な青い翼のシェルフノズルとガンダムの顔に改修されたウィンダムが10機、ビームライフルを構えて放ってくる。

 

 

 

 そのビームライフルは、速射かつ連射する場合と、貫通力の高いビームを放出する場合とがあり、現在の連合のMSには、装備されていない高性能な射撃武器だ

 

 

 

「ーー遅い。

 

 それじゃ、私とガイアは捕まえられない」

 

 

 

 ジグザグに走り、無数に放たれるビームを紙一重で避け、一気に踏み込むと、両翼のビームブレイドで切り裂いていく。

 

 

 

「ーー1つ、2つ、3つ!!

 

 まだまだーーっ!!!」

 

 

 

 次々とウィンダムを落としていくガイア。

 

 目指す先は、バリアを張ったコーナーポストの一角。

 

 ステラの目には、ハッキリとバリアを作る粒子の流れが見えている。

 

 明鏡止水で強化したライフルの一撃ならば、貫通できる瞬間を狙い撃てる。

 

 

 

 何体かのウィンダムを蹴散らし、絶好の角度、位置、タイミングにガイアを置くステラ。

 

 

 

「ーーこれで、終わり!!」

 

 

 

 高速移動の四つ足から、二足歩行の人型に変形すると、右手にあるビームライフルを構えて、引き金をひく。

 

 

 

パシュンッ

 

 

 

 放たれたビームは、見事に外側に貼られたバリアを貫いて、コーナーポストのど真ん中を撃ち抜いた。

 

 

 

ズガァッ

 

 

 

ブゥゥゥンッ

 

 

 

 コーナーポストは破壊され、伸びていたビームロープは消滅していく。

 

 

 

「ーーやったよ、ネオ!!」

 

 

 

 満面の無垢な笑顔で、ステラ・ルーシェは自身の成功を喜んだ。

 

 

 

 

 

 当然、ムラサメ隊とウィンダム隊の対決も変化が訪れる。

 

 

 

「でかした、ステラ!!」

 

 

 

 ネオが、叫ぶやいなや、オーブ本土へと自身のウィンダムを向かわせようとして、ムラサメの隊長機に止められる。

 

 

 

「ーーち!」

 

 

 

 突如、ムラサメから通信が入る。

 

 

 

「やるねぇ。

 

 まさか、こちらのバリアをあんな手で破るとは。

 

 マスターガンダム以外にも、切り札があったか。

 

 驚いたよ、正直ーー」

 

 

 

「東方先生を知ってる?

 

 まさか、お前が!?」

 

 

 

 マスターと同じ世界の住人か、と言おうとして、否定された。

 

 

 

「いや、俺をあんな非常識な連中と同じにせんでくれよ。

 

 あれは、規格外だろ」

 

 

 

「そりゃ、そーだな。

 

 あんたには、できるなら投降してもらいたい。色々聞きたいんでな」

 

 

 

「俺もだ。

 

 昔の知り合いにお前さんに良く似た奴がいてね。

 

 ちょっと教えてもらいたい、投降してくれんかな?」

 

 

 

 飄々と返す男に、舌打ちし、ネオは言った。

 

 

 

「バリアは、もう無いんだ。

 

 守れんぞ、オーブは!!」

 

 

 

 すると、男はやはり、飄々として返す。

 

 

 

「ああ。

 

 普通ならば、バリアを破られた時点で負けだろうな。だが、それすらも考慮していてね、ウチの参謀は」

 

 

 

「ーー何?」

 

 

 

瞬間だった、消え始めていたバリアの一角に、丸い球体、10体のハロが海面から陸上に登ると、トーテンポールの様に、縦に積み重なっていく。

 

 

 

「ーーまさか!?」

 

 

 

ネオが目を見開くと同時に、ハロ達からビームロープが伸び、コーナーポストを繋いで行くと、消えていたバリアが再生したのだ。

 

 

 

「ーーま、マジかよ」

 

 

 

「親切心からだが、ーー同じ手は、通じないよ。

 

参謀の防衛MSには、学習プログラムが付いていてね」

 

 

 

ムラサメの隊長機の言葉に、舌打ちしながら、サーベルを切り払い、ステラの援護に向かおうとするも。

 

 

 

ジャギィッ

 

 

 

自身の背後に気配を感じ、モニターで後方を確認すると、新たなムラサメ隊の隊長機が、ビームライフルを構えてその場にいた。

 

 

 

「ご無事ですか、バルトフェルド」

 

 

 

「いいタイミングだ、アマギ」

 

 

 

「砂漠の虎に借りを作れるとは。

 

 キョウジさんに感謝しなければーー」

 

 

 

 微笑み合う両者。

 

 

 

 対するネオは絶望的な心境だった。

 

 

 

 4対3で互角だったウィンダム隊とムラサメ隊だが、ここに来て、敵のムラサメが一気に7機に増えたのだ。

 

 

 

「ーーさあ、どうするね?

 

 連合の隊長くん」

 

 

 

「ーークッ!」

 

 

 

 絶対絶命の危機に唸るしかできないネオ。

 

 その時、四つ足で獣の如く、空や海を駆けるガイアが現れた。

 

 

 

「なに!? アレはガイア!?」

 

「ーー空中や海面を駆けるだと!?」

 

 

 

 驚きに目を見開く二機のムラサメにガイアが両翼のブレイドを展開する。

 

 

 

「ーーネオから、離れろ!!」

 

 

 

シュバァッ

 

 

 

 咄嗟に距離を空け、回避する二機のムラサメ。

 

 

 

「ーーすまん、ステラ。

 

助かった!」

 

 

 

「ーーうん。でも、バリアが」

 

 

 

 礼をステラに述べると、彼女は微妙な表情で返す。それにネオも表情を歪ませた後、目つきを変える。

 

 

 

「仕方ないさ、取り敢えず。

 

 ここは、撤退しかないーー。ん?」

 

 

 

 言うと、退避のコースを取ろうとする。その時だった。

 

 

 

 ネオ達の退避ルートに、いつ現れたのかは、不明だが、連合の戦艦ーー漆黒のアークエンジェル級が一隻、浮かんでいた。

 

 

 

「ロアノーク隊長、連合の艦です!

 

 識別信号も、間違いありません!!」

 

 

 

「ーー援軍?

 

 だが、何故!?」

 

 

 

 部下の報告に、ネオは訝しがる。ファントム・ペイン以外にこの作戦は、漏らしていないのだ。

 

 

 

 疑問に頭を傾げるネオだが、部下からの言葉に一旦考えるのを辞める。

 

 

 

「隊長! いまはとりあえずあの連合籍の艦に救援を求めるべきです!

 

 戦力はこちらが不利なのですからーー!!」

 

 

 

「それはそうだがーー」

 

 

 

 腑に落ちない事はあるが、戦力差を考えれば、背に腹は代えられない。

 

 

 

 ネオは、アークエンジェル級の漆黒の船に語りかけた。

 

 

 

「こちら、地球連合独立機動軍ーーファントムペイン、隊長のネオ・ロアノークだ。貴艦の所属を教えてくれ。

 

 協力して、オーブを攻略したい!」

 

 

 

 ネオの通信からしばらくして、声が返ってきた。

 

 ネットリと絡みつくような嫌な声は、通信越しにでも、相手の厭らしさを際立たせている。

 

 

 

「ファントムペイン……。

 

 この部隊で間違いないようだな。

 

 ネオ・ロアノーク大佐、今までよく戦ってくれた。

 

 我々の艦は、そうだな。大天使に倣って「アズラエル」とでも告げておこう。

 

 ところで、頼みが一つあるのだが、聞いてもらえるかな?」

 

 

 

「おい! この戦場のど真ん中で、何そんな悠長な話をしてるんだ!

 

 そんな場合じゃないことくらい、見りゃわかるだろう!」

 

 

 

 芝居掛かった相手の言葉に、ネオが苛立つ。

 

 すると、第三者の声が通信に入ってきた。

 

 

 

「ウルベ、そんな風にからかうのは、いけませんね」

 

 

 

 ウルベをたしなめる風の男も、決して友達になりたい類の笑みを浮かべていない。

 

 

 

「すまないな、ウォン。

 

 だがつい、からかいたくなるのだよ。

 

 人間という、劣等種を見てしまうとね」

 

 

 

劣等種という差別的な言葉を使う連合鑑の乗組員。考えられるのは、自分達の後見人と同じ種類の人種。

 

 

 

「ブルーコスモスか!? だが、連合の制服じゃない!?」

 

 

 

 ネオの言葉に、ウルベと呼ばれた鑑の責任者らしき男はモニター越しに、厭な笑みを浮かべている。

 

 その服装は一見して、軍服だと分かるが、ネクタイをしていることからも、どちらかと言えば式典用の制服と考えられる。

 

 だが、明らかに連合加入国の制服ではない。何より、顔半分を隠す鉄の仮面が、ネオには気に入らなかった。

 

 まるで、醜い本心を隠すために仮面をしているようだと、ネオはモニター越しに感じていた。それは、ジブリールの比ではない。

 

 

 

「この世界の艦の性能とやらを見せてもらうとしよう。ローエングリン砲スタンバイ、撃て」

 

「我々が用事があるのは一人です。あなたがたは排除させていただきましょう。目撃者は消したほうがなにかと都合がいいですからね」

 

 

 

 瞬間、アークエンジェルの足に見立てた、砲塔がスライドしてあらわになる。

 

 その砲身が向けられた先は、ネオ達の部隊だ。

 

 

 

ズドォアッ

 

 

 

 容赦なく放たれた陽電子砲は、今まで戦死者ゼロだったこの海域に初めて犠牲者を出した。

 

 

 

 射線軸にあったウィンダム達が、ネオを除いて直撃し、霧散して行ったのだ。

 

 

 

「どういうつもりだ、貴様らっ!」

 

 

 

 ネオは憤りを露わにした。戦場で人が死ぬのは、当たり前だ、だが。

 

 部下達は、味方の戦艦に意味もなく、狙われ、殺されたのだ。

 

「ステラ!」

 

 

 

 怒りを露わに、ウィンダムのビームサーベルを引き抜く。その彼を庇うように、カオスガンダムが前に出た。

 

 

 

「ネオは、ステラが守る!」

 

「生意気言ってんじゃない!」

 

 

 

 瞬間だった、2人の男はニヤリと厭らしい笑みを浮かべ、カオスガンダムのパイロット、純粋な少女に話しかける。

 

 

 

「見つけましたよ、ステラ・ルーシェ」

 

「デビルガンダムのために、その身を捧げて頂こう。ステラ・ルーシェくん」

 

 

 

 彼らの言葉にあからさまな悪意を感じたネオは、怒りの表情のまま、問いかける。

 

「デビルガンダム? わけの分からねぇ、話をしやがって!!

 

 なんの話だ!?」

 

 

 

 その時だった、ネオのウィンダムとガイアガンダムを庇うように、オーブのムラサメ隊が、前に出たのだ。

 

 隊長機らしき男から、通信が入る。

 

 

 

「おい、連合の隊長機! その子を連れて逃げろ!」

 

 

 

 いきなりの展開に、さすがのネオも頭が混乱し始めていた。無理もない、仲間の船に撃たれたと思いきや、今度は敵のはずのオーブ軍に守られている。

 

 

 

「ど、どういうつもりだ!」

 

「俺はオーブ軍ムラサメ隊隊長、アンドリュー・バルトフェルドだ。いいか、やつらに捕まるな!

 

 やつらの狙いはその子だ!」

 

「なぜオーブが俺たちを守ってくれるんだ!?」

 

 

 

 当たり前の質問に返ってきた答えは簡潔なものだった。

 

 

 

「説明をしている暇はない!」

 

 

 

バルトフェルドの答えに割って入るネットリとした声。

 

 

 

「おっと、逃がすわけにはいきませんねえ!

 

 生体ユニットとして必要なんですよ、その少女は!!」

 

「ほう。やはりオーブ軍にはデビルガンダムのことまで筒抜けか」

 

 

 

 2人の男の目の下には、六角形の金属片が浮かび、鱗のように浮き上がっている。

 

 その只ならない雰囲気に、ネオが背筋を凍らせながら、バルトフェルドに問いかける。

 

 

 

「デビル、ガンダム……?」

 

「ネオ……! どうするの?」

 

 

 

 ステラの問いに、一瞬だけ、ネオは思案すると、すぐに指示を出した。

 

 

 

「あの連合艦、あきらかに俺たちを狙ってローエングリン砲を撃ちやがった。しかも、俺の部下を落としやがって。

 

 仇を取りたいところだが……、ここはステラを逃がす方が先決だ。

 

 殿は、俺が務める! ステラは急いで、この海域を離れて、東方先生に助けを求めろ!!」

 

 

 

「やだ! ネオも一緒にーー!!」

 

 

 

「ワガママ言うんじゃない、隊長が殿を務めるのは当然のことだ!! それに敵国の軍人に護られるだけってのは、俺のプライドが許さねえんだよ!!」

 

 

 

 ウィンダムを捕まえて退こうとするステラを振り払い、ネオは、ビームサーベルを引き抜いて不気味な2人の男が乗る戦艦を睨む。

 

 

 

 

 

「ふっふっふっふっふ、では。始めましょうか」

 

 

 

 アズラエルと呼ばれた戦艦のカタパルトデッキが解放され、三つの黒い光の球が現れると、三機の機体となってデッキから射出される。

 

 

 

「さあ、ショーの始まりだ!

 

 せいぜい奏でてくれ、お前たちの絶望の声音を!!」

 

 

 

「行きなさいっ! 私の可愛いガンダム達よ!!」

 

 

 

 ウルベ、ウォンの言葉と共に、三機の独特な姿をしたガンダムが現れた。

 

 

 

「なっ!? ガンダムだと!?」

 

「連合艦に新型が!!」

 

 

 

ガンダムーー、フリーダムガンダムやカオス、ガイア、アビス等を見ればわかるが、その機体は既にC.Eの世界でも力の象徴となりつつある。

 

 

 

そんな機体が、3機も現れたのだ。

 

 

 

ネオに取って、それは正に異常なことだった。

 

何故ならば、今の連合には新型のガンダムを作るだけの技術がない。

 

 

 

だから、ザフトのガンダム3機を奪ったのだ。

 

なのに、死を告げる不吉な天使であり、前ブルーコスモスの盟主であった者の名を語る戦艦から現れた3機のガンダムは、その機動性を見せるだけで、この世界のどのMSよりも桁違いであると、理解させる。

 

 

 

ネオ達が悟る中、オーブ軍の隊長機2機も、声を上げた。

 

「馬鹿な! あの動き、あれはMF!?」

 

「シャイニングガンダムの戦闘データにあったな。

 

記録映像でみた機体と合致する。たしか、キョウジの弟たちが倒したガンダムたちだ」

 

アマギの言葉にバルトフェルドも頷きながら、自分が見た記録映像と照らし合わせる。

 

 

 

「未来世紀……つまり、俺たちとは違う世界で造られたMSだな。いや、MFと言うべきか」

 

 

 

「おい、オーブの隊長機!」

 

 

 

その時だった、オーブの指揮官であり、先ほど自分達を逃がそうとした男にネオが話しかけたのだ。

 

 

 

ネオは、バルトフェルド機の横に並ぶと、ビームサーベルを引き抜いて、盾と共に構えた。

 

 

 

「ーーネオ!!」

 

「ーーステラ、東方先生に言伝、頼んだぜ!!」

 

 

 

ネオの言葉に、ステラは目に浮かんだ涙を拭うと、キリッと眉を吊り上げ、凛とした表情で告げた。

 

 

 

「ーーうん、待ってて!

 

すぐに、師匠を呼んで助けてもらうから!!」

 

 

 

言うや、ステラは先ほどまでの迷いを切り捨て、一気にマスターガンダムの元へガイアガンダムを走らせる。

 

 

 

バルトフェルドは、このやり取りに苦笑を浮かべた。

 

 

 

「あまり賢い選択とは言えんな。

 

きみも逃げたほうがいい。あれはMFだ。MSとは出力がまるで違う。

 

僕もきみを守ってやれる自信はない」

 

 

 

「寝言は寝て言え!

 

敵に護られるなんざ、俺のプライドが許さん!!

 

 それに何より、俺だって守らなきゃならないものがあるんだよ!!」

 

 

 

これにネオも地球連合の軍人として意地を張る。

 

確かに、連合に裏切られたのは事実だが、それでも、先ほどまで領土を攻め入ろうとしていた国の軍に、命運の全てを委ねるなど、ネオにはできない。

 

 

 

その言葉に、バルトフェルドは、微かに目を見開いた後、笑みを深いものにして、問うた。

 

 

 

「お前さん、名は?」

 

「ネオ・ロアノーク。階級は大佐だ」

 

「そうか……」

 

「なんだ?」

 

「いや、そんな場合じゃないのは、よく分かってるんだが。

 

昔、連合にいた友人とよく似たことを言うやつだ、と思ってな」

 

 

 

何故か、バルトフェルドと名乗る男の言葉に、ネオも懐かしさというか、親しみを感じ、一瞬手を止める。

 

 

 

(何だ? 俺は、何かを忘れている?)

 

 

 

次の瞬間、2人に向かって、アマギが声を張り上げる。

 

 

 

「来るぞ!」

 

 

 

2人の機体ーーウィンダムとムラサメは、同時に構え、敵の方を振り返る。

 

 

 

ーーうぅううううああああっ!

 

ーーうぅううぅうう

 

ーーいひひいぃいいいひぃいいいひひひい

 

 

 

明らかに土気色の肌をしたパイロット達が赤く底光る目を剥いて、言葉らしい言葉を発さずに構える。

 

その不気味さと迫力は、正しくゾンビそのものだった。

 

 

 

「なんなんだ、こいつらは!?

 

安っぽいB級ゾンビホラーの真似事か!?」

 

「そんなチンケなモンならいいんだがな。

 

タチの悪い悪魔の手先さ」

 

 

 

ネオのヤケクソじみた問いかけに、バルトフェルドが落ち着き払って返す。

 

その横で、アマギが自身の部下達に命令を下していた。

 

 

 

「いいか、狙うのはコクピットだけだ!

 

 手や足なんて中途半端なところを攻撃しても再生されるぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

アマギの言葉に、敬礼をして応えるオーブ軍。その横で、ネオがまたしても、首を傾げていた。

 

 

 

「なに、再生ーー?」

 

 

 

先ほどまで、最低限の攻撃だけで、ほぼ防戦に徹していたオーブ軍が、問答無用でコクピットを狙う姿勢もだが、聞き捨てならない単語が出た気が、した。

 

 

 

一瞬後、馬と馬車が一体となったチャリオットを駆るギリシャ神話の様なガンダムが、腰の剣を引き抜く。

 

 

 

対峙するムラサメ7機は、戦闘機タイプに変形すると、音速で編隊を組みながら、旋回。

 

 

 

ビームキャノンを放出する。そのビームは、エネルギーの渦となり、強烈で野太い光の大砲へと変化する。

 

 

 

強烈な光砲は、3機のMFに襲いかかった。

 

 

 

「ひとつは弱い矢でも、七本束ねれば!」

 

「その威力は戦艦の副砲ーーゴッドフリートにも迫る!」

 

「これでーーどうだ!!」

 

 

 

迫り来る光の襲撃に、ギリシャの彫刻のような姿の男ーーマーキロット・キュロノスが叫んだ。

 

 

 

ーーんあああああっ!!

 

 

 

ゼウスガンダムは、右手に持った剣を雄叫びと共に横一閃に空を薙ぐ。

 

 

 

ブウンッ

 

ズバァッ

 

 

 

振り切った剣は、易々と目の前に迫ったビームの大砲を切り裂き、霧散させた。

 

 

 

「ーー無傷、か」

 

 

 

誰かの言葉に、皆が頷く。

 

やはり、兵器としてのレベルが違う。普通の機体では、MFにはまるで敵わない。

 

 

 

そんなオーブ軍を嘲笑いながら、ウォン・ユンファは話しかけた。

 

 

 

「フン、舐められたものですね。十にも満たないMSでガンダムファイターを相手にしようなどと」

 

 

 

ウォンは、モニターに映るオーブ軍から目を、3機のガンダムの内の一機に移す。

 

先ほどオーブ軍のビームを見事に防いだ、ネオギリシャのガンダムーー。

 

 

 

「わたしの可愛いゼウスガンダム、すこし相手をしてあげなさい」

 

 

 

ーーぐああああああっ

 

 

 

 

 

 ウォンの言葉に応えるように、ゼウスガンダムは雄叫びをあげると、右手に雷の球を作り上げた。

 

 

 

ーーーーさ、さぁ、裁ぃのぉおお!!雷ぃぃいい!!

 

 

 

右手に小型の光る槌が現れ、ゼウスはそれを握る。

 

 

 

瞬間、オーブ軍を守っていた雷壁を遥かに凌駕する稲妻が、7機のムラサメに迫る。

 

 

 

ガガァッ

 

 

 

「「「「「ぐあああああっーー!!」」」」」

 

 

 

 ほとんどのムラサメ隊は、今の一撃で神の怒りに触れた蚊トンボのように力を無くし、海面へと落ちていった。

 

 

 

残ったのは、稲妻を避けた、トダカとバルトフェルド機のムラサメ2機。

 

 

 

そして、同じく攻撃を避けたネオのウィンダム。

 

 

 

彼らの様子を見ながら、アズラエルの指揮官席に座る男ーーウルベは、嗤った。

 

 

 

「ほう。

 

ガンダムファイターの攻撃を避ける者が、こんな世界に居たのか。

 

中々、面白いな」

 

 

 

ウルベは余裕を持って、必死に足掻く3機のMSを見て嗤っている。

 

小さな子どもが、必死に逃げようとーー生きようと抵抗する虫の足をもいでいく様な、残酷な行為を心から楽しんでいる。

 

 

 

「ーーくそっ!一気にもっていかれたか!」

 

 

 

避けたネオが吐き捨てる様に嘆くが、隣のバルトフェルドは、冷静だった。

 

 

 

「まあいい、あのガイアのパイロットさえ逃がせば、最悪の事態から逃れられる」

 

「さっきからデビルガンダムだの最悪の事態だの、なんの話をしてるんだ」

 

「説明してやりたいのはやまやまだが、まずは目の前のやつをどうにかしないとな」

 

「ーーそれは、そうだが!!」

 

 

 

バルトフェルドの言葉に理解はできるものの、ネオは釈然としない気持ちのまま、操縦桿を握りしめる。

 

 

 

その時だったーー。

 

 

 

バギィッ

 

 

 

「ーーあぐうっ」

 

 

 

強烈な炸裂音とともに、遥か後方から、ガイアが吹き飛ばされてきたのだ。

 

「どうした、ステラ!」

 

 

 

 ネオ達がふり返ったさきで、閃光とともに2機のガンダムが現れる。

 

 

 

「こ、これはっ」

 

「ドラグーンシステム!」

 

 

 

 無数の宙に浮かぶ球が、ピエロの姿を模したガンダムの袖口から、現れていた。

 

 

 

「てめえ! よくも、俺の部下をぉおっ!!」

 

 

 

ステラを傷つけたピエローージェスターガンダムと蛇の顔を被ったコブラガンダム。

 

2機のファイターを前に、ネオ・ロアノークの怒りが頂点に達した。

 

 

 

「いかんっ!」

 

 

 

バルトフェルドは、明らかに戦闘力に差がある上に逆上したネオの無謀な行為を止めようとする。

 

 

 

ビシュンッ

 

 

 

 しかし、バルトフェルドが止めるよりも、ネオが2機のガンダムに斬りかかるよりも、早く瞬間移動でウィンダムの目の前に現れるゼウスガンダム。

 

 

 

バギィッ

 

 

 

 ゼウスの拳が振り上げられ、ウィンダムを吹き飛ばす。

 

 

 

ドッ

 

バギャアッ

 

 

 

 その後ろに居たバルトフェルド、アマギ機もぶっ飛ばされたネオを受けきれず、後方へ吹き飛ばされていく。

 

3機は、ステラ機との距離が開いてしまう。

 

 

 

「ステラぁああーーー!」

 

「ぐうううっ」

 

「なんて、パワーだ!!」

 

 

 

機体の姿勢を立て直しながら、ステラのガイアガンダムを襲うピエロとコブラを睨み付けるネオ。

 

自分達とステラの間を阻む、ゼウスガンダムーー。

 

 

 

「ううっ、あああ!」

 

 

 

ーーーースネェェイク、バインドォォオオッ!!

 

 

 

 蛇の下半身と、巨大なコブラが顎を大きく開いた口の中に顔を持つガンダムが、ステラのガイアガンダムの四肢を、その蛇の体で巻きつき、自由を奪う。

 

 

 

「ーーなっ!?」

 

 

 

 同時に、コブラを被ったようなガンダムは、その被り物を脱ぎ捨てるかの様に、分離した。

 

 

 

人型のガンダムが、ガイアガンダムの目の前に現れ、右手に持った笛の先から、ビームサーベルを生み出す。

 

 

 

ステラやネオが知る由もないが、コレがネオインドのコブラガンダムとそのサポートユニットの攻撃方法だった。

 

ガンダムファイターは、蛇使いのチャンドラ・シジーマ。

 

サポートユニットを操る彼の飼い蛇までをも、DG細胞は復活させている。

 

 

 

ガブリッ

 

 

 

突如、ガイアのコクピットがある胴の脇に牙を突き立てる巨大なコブラを模したサポートユニット。

 

フェイズシフト装甲のあるガイアには、ダメージらしいダメージはない。

 

 

 

「ネオ!」

 

 

 

ステラは、吹き飛ばされたネオと、倒されていった連合の仲間達を頭の中に思い浮かべ、目の前で自分達を嘲笑うかのような3機のガンダムを睨みつけた。

 

「許さない……、許さないっ!」

 

 

 

シュオオッ

 

ギギィッ

 

 

 

ステラは、明鏡止水で機体と反応速度を強化すると同時に、上がったパワーで無理やり締め付ける蛇の体を開く。

 

口を開いて睨み付けて来るサポートメカを睨みつけたのち、投げ飛ばすガイアガンダム。

 

 

 

ガキィッ

 

ズバァッ

 

 

 

同時に狼の姿に変身し、背中のビームブレードでコブラを真っ二つにした。

 

 

 

ドゴォッ

 

 

 

 宙で爆発するサポートメカに見向きもせずに、ガイアガンダムの正面に斬りかかってくるコブラガンダム。

 

 咄嗟にMS形態に戻ったガイアはビームサーベルで斬りかえす。

 

 

 

バチバチバチィッ

 

 

 

火花を散らす、2つの光の刃。

 

 

 

ーーーーふっふっふっふ、ほっほっほっほっほ

 

 

 

 理性を感じない甲高い声で嗤うコブラガンダムのパイロット、チャンドラ・シジーマ。

 

 

 

ギィンッ

 

 

 

 強烈な一閃に、後方へ切り払われるガイアガンダム。

 

しかし、その勢いに逆らわずに吹き飛ばされると、クルッと機体を反転させ、ビームサーベルを横薙ぎに払った。

 

 

 

ズバァッ

 

 

 

 その剣の先には不気味なピエロを模したジェスターガンダムが狂気の高笑いを浮かべながら、現れていたのだ。

 

 

 

ーーーーひゃーっははははははっ!!

 

 

 

ビュンッ

 

 

 

 ジェスターガンダムは、ガイアの横薙ぎを前に踏み込むと同時に屈んでかわし、両手の拳を握ると、高速連打のワンツーを繰り出す。

 

それは、ガンダムマックスターのバーニングパンチを模したもの。

 

 

 

バギバギバギィッ

 

 

 

 高速の左右の連打に天高く舞い上がる、ガイアガンダム

 

 

 

「ーーくうっ」

 

 

 

 天頂で、機体の姿勢を整えるステラ。

 

 その時だった、赤い光が、アズラエルから放たれ、ガイアガンダムに当たった。

 

 

 

カアアッ

 

 

 

「ーーああああっ!!

 

な、なにーー!?」

 

 

 

機体には、損傷が無いが、ステラの苦しみようは普通じゃ無い。

 

よく見れば、放たれた赤い光は、先ほどコブラの姿をしたサポートメカに噛まれた部分ーーコクピットのすぐ横に集まっている。

 

 

 

ネオは、通信を必死に入れた。

 

 

 

「ステラ、どうした!?」

 

 

 

明鏡止水を発動していれば、ある程度の攻撃は、防げる。

 

しかし、彼女の苦しみ方と、この光が物理的な攻撃では無いことが、ネオに嫌な汗をかかせる。

 

 

 

「ネオ、助けてーー!

 

この光、いやーー! 怖い!!

 

ステラが、ステラじゃ、なくなるーー!!」

 

 

 

「なんだとーー!?

 

マインドコントロールシステムか!?」

 

 

 

赤い光を受けたガイアから放たれるエネルギーは、底無しに上がっていく。

 

 

 

同時に苦しんでいたステラ・ルーシェのあどけなさを残す顔は、悪鬼のように歪んでいく。

 

 

 

「う、うおおおおーーっ!!!」

 

 

 

ステラが、口から放ったのは、獣をも退ける迫力を持った雄叫び。

 

 

 

「ステラーーーーー!!」

 

 

 

ズドォアッ

 

 

 

強烈な赤い光の柱を立て、ガイアガンダムが仁王立ちしていた。

 

彼女から、完全に理性と人格が失われた瞬間だった。

 

 

 

「くっ、こいつら……!」

 

「なんという、卑劣な真似を!!」

 

 

 

あまりにも、非人道的なやり方に、バルトフェルドとアマギは、怒りを露わにした。

 

 

 

これをアズラエルのブリッジから見るウォンは退屈そうにチョコレートを食べていた。

 

ただし、口元には、見るものに嫌悪感を抱かせる類の笑みを浮かべて。

 

 

 

「ふっ、口ほどにもありませんねえ。

 

こうも思い通りに行くとは……!」

 

 

 

「いや、MFを相手にあそこまでの動きができるのだ。充分だろう。生体ユニットとしては合格ラインだ。

 

バーサーカーシステムも兼ねて、いろいろ試してみるとしよう」

 

 

 

ウルベは、冷酷にして酷薄な笑みを浮かべながら、ウォンに笑いかける。

 

するとウォンも、我が意を得たりとばかりに笑い、ゼウスガンダムを向いた。

 

 

 

「中々、楽しそうですね。

 

さ、回収しなさいゼウスガンダム」

 

 

 

「クソッ!」

 

 

 

自分達のことなど、まるで眼中に無いかのような振る舞いに、ネオは赤い光を纏うステラを背に庇うようにして、ウィンダムにサーベルを構えさせる。

 

 

 

悠然と3機の亡者達は、ステラの方へと近づいてこようとする。

 

これに、バルトフェルド、アマギも自身のムラサメにビームサーベルをもたせて、構える。

 

 

 

「彼女を連れ去られるわけにはいかん!

 

 あの悪魔の機体を蘇らせることになってしまう!!」

 

「了解です、バルトフェルド殿!!」

 

 

 

いくらカスタマイズしているとはいえ、量産機である3機でMF3機の相手はできない。

 

 

 

( どうする!?

 

この状況を、どうすれば凌げる!?)

 

 

 

バルトフェルドが、思考する横で、ネオが静かにつぶやいた。

 

 

 

「ステラ、すまない。

 

だが、お前だけは必ず逃してみせる!!」

 

 

 

3人は覚悟を決め、亡者のMFと向かい合う。

 

 

 

ーーううううううっ

 

ーーああああああっ

 

ーーへへ、へへへひへへひへええ

 

 

 

3機の亡者達は、まるで彼らの覚悟を嘲笑うかのように無防備に前に出てくる。

 

 

 

その時だったーー。

 

 

 

ズドォッ

 

 

 

亡者の内の一機ーーゼウスガンダムの胸部が、あさっての方向から放たれた青紫の光弾に、撃ち抜かれたのだ。

 

 

 

「な、なんだっ!?」

 

 

 

思わずそちらを見ると、赤いマントの様なウイングバインダーを広げた機体が、あった。

 

 

 

バサァッ

 

 

 

「この技は、東方先生!? いや、違う」

 

 

 

逆光になっていて、ハッキリとは見えないが、マスターガンダムの羽と酷似しているものの、丸みを帯びた白い顔は、マスターガンダムのソレとは似ても似つかない。

 

 

 

「あれは!? なんだ、あの機体は?」

 

 

 

記録映像にあったゴッドガンダムの顔だ。

 

咄嗟にバルトフェルドは、副操縦士であるハロに機体の解析をおこなわせる。

 

 

 

「このエネルギー反応は、まさかーー!?」

 

 

 

そこから出たデータは、バルトフェルドのよく知るキョウジの放つ波動によく似ていた。

 

そう、オーブを襲ったあの悪魔のものだったのだ。

 

 

 

同時に、ネオも気づく。

 

「あれは、東方先生と戦っていたガンダム……

 

あんな一撃ーー石破天驚拳ーーを食らって、まだ生きてたのかよ!?」

 

 

 

愕然とするネオの前に、現れた悪魔の機体は、20メートルを越える自身をウルベ達やゼウスガンダムと、ネオ達の間に割って入る様に悠然と前に出る。

 

 

 

「これはこれは。役者がそろったというべきかな?」

 

 

 

マスターガンダムの翼と両腕、ゴッドガンダムの胸から上を合わせた見た目の機体は、彼が選んだ最強の姿。

 

 

 

赤い髪を気になびかせ、鋭い瞳で彼は、モニターに現れた亡者達の奥にいるアズラエルを睨み付けた。

 

 

 

「ウルベ、ウォン……。貴様ら、まだ生きていたのか」

 

 

 

現れた炎の様な赤い髪をウットリと眺め、冷たい翡翠の瞳は、興奮に濡れていた。

 

 

 

「ああ、焦がれて焦がれたよ。

 

私はね、誰かに会うのをこれほど、待ち望んだことはない!!

 

再び、我がものとなれ!!

 

そして、今度こそ、すべてを支配しようぞ!!」

 

 

 

司令席から立ち上がり、興奮に目を見開きながら、ウルベは両腕を大きく左右に広げて、宣言した。

 

 

 

「ーーデビルガンダムよ!!」

 

 

 

 

 




みなさん、お待ちかね〜!

デビルガンダムの生態ユニットとして、ステラを選んだウルベとウォン。

しかし、デビルガンダムこと、Dは彼らを排除しようとファイトを挑むのです!!

次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第39話に!

レディー、ゴー!!
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