新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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「皆さん、驚きの展開です。デビルガンダムによって跡形もなく吹き飛ばされたガンダムシュピーゲルが、謎の光と共に復活したではありませんか」

何処とも知れぬ空間で、その男はスツールに腰掛け、長い脚を組んでいた。
男の頭上からスポットライトが細く降り注ぐ。下は地面ではなく平らな床であること以外、この場所がどこであるのか、わかるものはない。
年齢もよくわからない男だった。黒く刈り込んだ丸い頭、丁寧に蓄えた口髭、くっきりとした丸い碧眼だが、右目は眼帯で覆われている。体格の良さからか、派手な赤いスーツが不思議とよく似合う。
男はどこか物憂げに目を伏せながら、低く、よく通る声で語った。

「そして、シュバルツをガンダムファイターと呼んだ三機の謎のガンダム。彼らの語る師匠という人物は、一体何者なのでしょう。

また、アレックス・ディノこと、アスラン・ザラの前にも、ザフトの新型ガンダムが現れたではありませんか!!

さて、彼らの運命は、どのように紡ぎ出されていくのか!?」

突如、男が立ち上がった。赤いジャケットを脱ぎ捨て、右手にはどこからともなくマイクが、左手には右目を覆っていた眼帯が握りしめられ、その両腕が広げかかげられる。
男は満面の笑みで『あなた』に言った。

「それでは! ガンダムファイト! レディぃいいっ……ゴー!」



第4話 必殺

トリコロールカラーのガンダムタイプの機体。

 

 

 

アレックスは、突如現れたその機体のザフト兵に厳しい表情のまま告げた。

 

 

 

「俺は、オーブ軍所属のアレックス・ディノだ。非公式だが、オーブ代表のカガリ・ユラ・アスハの訪問の護衛をしている。保護をしていただきたい」

 

 

 

「オーブ代表!? なんで、そんな…!?」

 

 

 

その突然の言葉に動揺する、インパルスのパイロット、シン・アスカ。

 

 

 

しかし、そんな彼らの目と鼻の先で、信じられない光景が広がっていた。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「おい、ステラ。アウル。こいつは俺たちの手に負えねえ奴だ。 撤退するぞ!!」

 

 

 

「了解、スティング。間違いないね」

 

 

 

「わかった」

 

 

 

先ほどの立ち会いで、実力差を理解した三人は、全力で逃げる算段を行う。

 

 

 

対するシュバルツは、振り切った自身のブレードを確認し、一つ頷く。

 

 

 

「私のシュピーゲルブレードで切れぬとは、とてつもない硬さだな。ならばーー!!」

 

 

 

フェイズシフトの機能を知らないシュバルツは、ブレードを展開させたまま、両腕を交差させ、自身の脇にブレードを広げたまま、高速に回転させる。

 

 

 

 

 

「行くぞ、シュトゥルム・ウント・ドランク!!!」

 

 

 

 

 

「やらせるか、撃てぇ!!」

 

 

 

 

 

まるで竜巻のような風を纏いながら迫り来る、シュピーゲルに、三機のガンダムは協力してビーム砲の雨を斉射する。

 

 

 

しかし、バシュシュンッと、言う音と共にビームは回転するシュピーゲルに当たると弾き飛ばされてしまう。

 

 

 

「う、嘘だろ、こいつ!」

 

「師匠より、早い!!」

 

「やべえっ!?」

 

 

 

三人が、叫ぶのと、機体が巻き込まれるのは、同時。

 

 

 

竜巻と化したシュピーゲルに、連続で切り刻まれ、弾き飛ばされる。

 

 

 

<<< うわああああ!!! >>>

 

 

 

一瞬の出来事だが、あちらこちらから火花を散らしながら、天高く巻き上げられ、背中から地面に叩きつけられる、三機のガンダム。

 

 

 

「 ハイドロゲイン消失、機体稼働率60パーセント低下。なんて威力だ!!」

 

 

 

フェイズシフトを苦もなく切り裂いて見せたシュピーゲルの必殺技。

 

 

 

そのあまりの威力に、スティング達の機体は動きを鈍らせていた。

 

 

 

「このまま、捕獲させてもらうぞ。ちょうど迎えの機体も来たようだしな」

 

 

 

ブレードを収め、シュピーゲルは構えを解いた。そのあまりの強さに、アレックスもシンも、全く動けなかった。

 

 

 

その時だった、突如圧倒的な光がシュピーゲルに迫る。

 

 

 

「! シュバルツ!!」

 

 

 

「ぬ、おおお!!」

 

 

 

咄嗟に光を受け止めるシュピーゲルだが、その光は更に強く輝いていく。

 

 

 

彼の脳裏に弟やその師が放っていた技が響く。

 

 

 

ーー 流派、東方不敗が最終奥義!! 石破天驚拳!!ーー

 

 

 

「ーー!? この技はまさか!!?」

 

 

 

黄金の光線がシュピーゲルを飲み込む程に大きくなり、シュバルツは咄嗟に光を横に受け流してみせた。

 

 

 

 

 

「な!?」

 

 

 

「あんな、強烈なビームを!!」

 

 

 

「素手で流した!? なんてデタラメな!!」

 

 

 

カガリ、シン、アレックスが揃って呆然とする。

 

 

 

 

 

ズドォッ 強烈な衝撃と共に、コロニーの障壁に穴が開き、気づけば先のガンダム達も、この強烈な技を放った気配の主も、姿を消していた。

 

 

 

「この私をして、圧倒されるほどの気とは。今のは、まさか!?」

 

 

 

心当たりのある人物は、ひとり。

 

 

 

「ならば、この戦い。想像を絶する苛烈さになる!!」

 

 

 

自身の宿敵とも言える相手。この世界に来ている。雌雄を決しなければならない、強敵が。

 

 

 

プラントに大穴を開けた先の一撃。

 

 

 

強大なビーム砲に見えて、その実は気と呼ばれる武闘家のエネルギーをトレースし、具現化させたものだった。

 

 

 

そこまで理解し、シュバルツはアレックスのザク。シンのインパルスガンダムに向き直る。

 

 

 

「我々は、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハの護衛として来ています。ザフトの正規兵殿。どうか、保護をお願いしたい」

 

 

 

シュバルツの丁寧な物腰に、先の強さも相まって、シンは動揺から立ち直れず。

 

 

 

「え!? えっと、その…!! ちょっと待ってください!! あんた、…じゃない!! 貴方達が、アスハの護衛で、オーブから来たのはわかりましたが、俺も任務が…!!」

 

 

 

そこまで言って、敵にプラントからの脱出を許したことを思い返す。

 

 

 

「しまった!! あなたの強さに忘れて、奴らを!!」

 

 

 

「シン! 何をしている?」

 

 

 

「もう、シンったら。無駄話をしてる場合!?」

 

 

 

その時、白と赤のザクがインパルスの後方から現れた。同時に巨大な戦艦もだ。

 

 

 

「アスラン、あの船は!」

 

 

 

「ああ。議長が言っていた、ミネルバだ」

 

 

 

突如、シュバルツのシュピーゲルが、青い光に身を包み、光の粒子となって姿を消してみせた。

 

 

 

残ったのは、生身のシュバルツただ一人だ。

 

 

 

シュバルツは、その並外れた身体能力で軽々とアレックスのザクのコクピットに、ハッチも開けずに戻った。

 

 

 

「どうやら、無事に保護されたようだな」

 

 

 

「え? シュバルツさん、今、機体をどうやって?」

 

 

 

「私達の世界では、ガンダムは常にファイターと共にあるのだ。必要のないときは、こうして誰にも見えぬように隠している」

 

 

 

「いや、どう見ても消えたように見えたんだが。あの巨大な質量が…」

 

 

 

さも当たり前のように告げるシュバルツに、アレックスは頭痛を感じながら、話す。

 

 

 

このファイターは、実力も桁違いだが、その愛機も常識が通じない存在らしい。

 

 

 

半ば、諦めたようなアレックスだが、カガリはそんな彼の気も知らず、シュバルツの能力やガンダムに素直に感心していた。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

ミネルバの艦内でも、先ほどインパルスが見ていた戦闘データを取りだし、解析。

 

 

 

ガンダムシュピーゲルの猛威がモニターに叩き出されていた。

 

 

 

赤と白のザク。

 

 

 

ルナマリア・ホークとレイ・ザ・バレルの機体と合流した際、光の粒子となって跡形もなくなった光景も、きちんと納められている。

 

 

 

「アーサー、どう思う?」

 

 

 

「い、いや、私は悪い夢を見てるんでしょうか? グラディス艦長」

 

 

 

ザフト新造艦、ミネルバ艦長のタリア・グラディスは、保護した三人の人物と、ザフトの最新鋭機を三機まとめて叩き伏せたデタラメな機体のデータを見て頭を痛めていた。

 

 

 

これから、正体不明の一団から、盗まれた新型の三機を取り戻さなければならないのだが、その問題さえも、霞んで見えるほどデタラメな存在だ。

 

 

 

「素晴らしい、の一言だね。バックパック無しに最新鋭機と渡り合ったザクのパイロットもだが、あの正体不明のガンダム。明らかに連合やザフト、オーブのどれにも属していない。技術体系が全く違う機体だ。

 

ガイア、アビス、カオスの三機が、ああも一方的にやられてしまうとは」

 

 

 

世界は広いな、と呑気な口調で、ブリッジに居座る最高評議会議長の態度も、タリアの頭痛の種だった。

 

 

 

「彼らは、格納庫かな。 迎えに行っても構わないか? タリア」

 

 

 

「オーブ代表のカガリ姫と護衛のナイト2人ですもの、行かなければならないでしょうね」

 

 

 

ならばと席を立つデュランダルにアーサー副長が慌てた。

 

 

 

「何も議長自ら向かわなくても!!」

 

 

 

「いや、このくらいはさせてくれ。プラントに彼女を招いたのは私だし、軍人でない私がここにいても、役立てることはない。オーブからの客人を何の説明もなく、軟禁状態にしては、失礼に値するからね」

 

 

 

穏やかに笑いながら、ギルバート・デュランダルは、ブリッジから出て行った。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

何がおかしいのか、とタリア・グラディスは去っていったギルバート・デュランダルを冷めた目で見やる。

 

 

 

表情こそ抑えてはいるが、あの男の興味は今、オーブの2人のナイトにしかない。

 

 

 

不愉快に思い、吐き捨てるように息を吐くと、

 

 

 

「艦長、まずいですよね? このまま、奪取されてしまったら?」

 

 

 

アーサー副長は、表情を青ざめ、あからさまに取り乱しながら、タリアに問いかける。

 

 

 

ザフトの最新鋭機が奪取され、その機体にてアーモリーワンは、テロ攻撃を受けた。

 

 

 

始末書どころの騒ぎではない。

 

 

 

「ばさばさ飛ぶわね、上層部の首が」

 

 

 

オーブのナイトである謎のガンダムの活躍のおかげで、ブリッジの注目はそちらに行っているが、正直、芳しくない。

 

 

 

アーモリーワンを護衛する為に宙域に展開されていた、艦隊からの連絡もない。

 

 

 

プラント内でこれだけの騒ぎが起こりながら、援軍がないこと自体、異常なことだ。

 

 

 

基地局との通信もできない。

 

 

 

タリアは、最悪のシナリオを想定していた。

 

 

 

すなわち、すでに護衛艦隊は、謎の部隊に壊滅させられているのではないか、というものだ。

 

 

 

そして、その想定は間も無く、寸分違わぬ事実として認識されるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

「予定の時刻より、遅れていますね」

 

 

 

「問題ないでしょ、あいつらならな」

 

 

 

艦隊の残骸が浮かぶ中、ミラージュコロイドと呼ばれるコーティングを展開した船が一隻身を潜めていた。

 

 

 

 

 

かの部隊は、軍事産業複合体ロゴスの直属部隊。

 

 

 

地球連合に所属はしているが、正規の軍ではない通称ファントムペイン。

 

 

 

正式名称は、第81機動軍。

 

 

 

ユニウス条約に違反する船の名は、ガーティ・ルー。

 

 

 

 

 

それを預かる黒の軍服を着た仮面の男は、副隊長であり、艦長でもある男に笑いかけた。

 

 

 

「だいたいさ、あいつらだけでも十分なのに、反則な御仁が一緒なんだぜ? あの御仁がこちらに協力してくれて、不可能な任務なんてあるかい?」

 

 

 

「……そうですね」

 

 

 

表情が硬くなり、冷や汗を流す副官を見て、気持ちは分かると苦笑いをする仮面の男。

 

 

 

ネオ・ロアノークと言う。階級は大佐。

 

 

 

高い指揮能力とモビルアーマーやモビルスーツの操縦はベテランの域だ。

 

つい先ほども、連合の隠密用MSスローター・ダガーを自身も駆り、部下を4機使用して、3隻のザフトの護衛艦と1隻の旗艦、30機のザクを殲滅していた。

 

その彼をして、潜入させた中の一人は、非常識な超人だと認めざるを得なかった。

 

 

 

派手な彼の技は、果たして隠密向きなのか、甚だ疑問ではあるが、指揮能力ならば、自分よりも上であり、冷静な判断を行うので、彼の出番がない方が安心である。

 

 

 

逆に彼が出なければならないような状況になれば、隠密などそっちのけで敵の部隊を全て殲滅してしまうだろう。

 

 

 

ネオとしては、あくまで隠密として作戦を遂行したいので、必要以上の戦闘は避けたいが。

 

 

 

何より、アレだけの能力を持っているのだ。

 

 

 

正直、爆弾を抱え込んでいる気分であった。

 

 

 

そんなことを考えていると、前方のプラントの頑強な隔壁を紙のように吹き飛ばしながら、黄金の大出力のビームがガーティ・ルーの脇を通り過ぎていった。

 

 

 

ガーティ・ルーそのものを飲み込む程に強大なビームの正面には、紫色に輝く光で『驚』とかかれていた。

 

 

 

「大佐、今のは」

 

 

 

「知らねえ!俺は、何も見てねえ!!」

 

 

 

取り乱しまくるネオをそっちのけで、高速で接近する機体があった。

 

 

 

 

 

「馬鹿者。何を取り乱しておる。さっさとハッチを開けぬか。こやつらの回収をしてきたぞ」

 

 

 

巨大なツノを持つ、漆黒の機体。

 

 

 

赤いウイングバインダーは、マントのようになり、それを展開すると、3機のザフトのガンダムがいた。

 

 

 

「師匠、ありがとうございます」

 

 

 

「ほんと、師匠が来なかったら、僕ら」

 

 

 

「ありがとう、師匠」

 

 

 

3人の少年達の声にネオは機体を無事に回収できたことを喜ぶ。

 

 

 

巨大な大穴のことや、それを誰がやったかについては、全く考えない。

 

 

 

考えないったら、考えない。

 

 

 

作戦は、成功したのだ。

 

 

 

もうさっさとこの宙域を離れようと、ネオは副官達に命じる。

 

 

 

彼らも硬い表情であったが、何故かことさら笑顔で明るく返事をする。

 

 

 

「そうか、お前らもか」

 

 

 

「 当たり前でしょう。あんなのを誰が信じるというんです」

 

 

 

「だよねー。プラントなんて、アレにかかったら、一発で落とされんだろうな…」

 

 

 

今、目の当たりにした真実を、それ以上追求する気にはなれない、ネオ・ロアノークであった。

 

 

 

「いや、貴様らはよくやった。特にスティングは周りをよく把握し、きちんと逃げる算段を行なっていた。

 

アウルもまた、敵の動きや実力を察知すれば、すぐに転身した。

 

ステラも2人に合わせて良い動きをしていた。

 

 

 

しかしだ、戦うよりも先に、ワシは言うたはずじゃ。

 

 

 

まずは逃げよ、とな。

 

 

 

よって貴様らには、更なる修行を言い渡す。覚悟せい」

 

 

 

「そ、そんな、師匠!?」

 

 

 

まるで死刑宣告を受けたような表情の3人の中、必死に食い下がるスティング。

 

 

 

「貴様らは、まだまだ未熟。ならば一人前のガンダムファイターになれ。

 

そのガンダム達を誰よりも使いこなすのだ、そして、自分達の生き方をその拳で表現できるようになるのだ

 

それまでは、ワシの修行が止むことはない。覚悟せい!!」

 

 

 

腕を組み、告げられた言葉に、3機のガンダムは主の有様を体現するかのように、ガックリと肩を落とした。

 

「がんばろ、アウル、スティング」

 

 

 

落ち込んだ2人にステラが声をかける。その様を見て、師匠と呼ばれた長い灰色の髪を根元から三つ編みにした中年の男は笑う。

 

 

 

「女子(おなご)のステラが一番気骨があるわ!!男子たる貴様らは、もっと精進せぇ!! わっはははははは!!」

 

 

 

「東方先生、そろそろ艦に入ってください。どうやら追っ手が来たみたいだ」

 

 

 

艦内からのネオの通信に、東方不敗マスターアジアは笑う。

 

 

 

「ほう、流石はシュバルツ。彼奴が相手では、ワシとて、それ相応の準備をせねばならん。ひくぞ!!」

 

 

 

「へーい(シュバルツ?)」

 

 

 

どちらが部隊長かわからないやりとりをしながら、ガーティ・ルーは、機体を収容したのち、全速でその場を離れていった。

 

 

 

東方不敗マスターアジア。かつて、未来世紀においてデビルガンダムを使い人類抹殺を図った大悪党にして、ドモン・カッシュの武術の師である。






みなさんお待ちかね〜!!

ザフトの新型艦ミネルバに救われたシュバルツとアスラン達。

しかし、新型を奪われたザフトは、敵の正体を見極めるため、追撃を行います。

しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、シュバルツのよく知る男でした!!

次回起動武闘伝GガンダムSEED DESTINY第5話 宿命の強敵! その名はマスターアジアに!

レディー、ゴー!!
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