新機動武闘伝 GガンダムSEED Destiny   作:カンナム

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 みなさん。

 ドモン・カッシュとデビルガンダムの対決は、ひとまずの決着です。

 ですが、今度はウルベとウォンがジブリールの命により、巨大MAと死者の軍を率いて侵略を開始するのです。

 これにザフトはミネルバ隊を、オーブはアークエンジェル隊をそれぞれ出撃させるのでした。

 それでは、ガンダムファイト!!

 レディイイイイイイイ!! ゴォオオオオオオ!!

第44話




第44話 絶望の軍勢 死人の進撃

ーー北アメリカ大陸の岩山にて

 

 

 

 マスターガンダムと共に身を隠していたマスターアジアは、静かに一部始終を見届けると、口元に笑みを浮かばせていた。

 

 

 

「なるほど、ドモン。貴様はわしの教えを離れ、そのような技を編み出しておったかーー」

 

 

 

 血がたぎる。

 

 

 

 未だ見ぬ強敵の出現にマスターアジアこと東方不敗は、闘気を昂らせていた。

 

 

 

「どうやらワシも全盛期の強さを越えねばならんようだな。再びドモンとファイトするためにも!!」

 

 

 

 マスターアジアは自らの流派を見直し、技を磨くという修行が始まった。

 

 

 

ーーそして一方、ミネルバにて

 

 

 

「すごい強さだな。ドモン・カッシュか」

 

 

 

「ああ。相手のザフトの選手も強かったが、それをまったく寄せ付けない圧倒的な力の差だった」

 

 

 

「シュバルツさんでも、あの人に勝てないんですか?」

 

 

 

 シン、レイ、ルナマリアの言葉を聞きながら、シュバルツは覆面の奥の目じりを下げていた。

 

 

 

「ドモン、強くなったな。素晴らしいガンダムファイターになったものだ」

 

 

 

「シュバルツさん?」

 

 

 

 シンがシュバルツの様子がおかしいことに気付き、思わず顔を伺うと、シュバルツは覆面の奥の顔に笑みを刻んだまま答えた。

 

 

 

「今、この世界で二番目に強いガンダムファイターが、倒されたDと言う兵士だ。当然、それを打ち負かしたドモンは、まごうことなく最強だろう。現時点の私では、どう逆立ちしても勝てん」

 

 

 

「……マジですか?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

 どこか誇らしげに笑うシュバルツに小首を傾げながらも、彼ですら敵わないという言葉にシンはショックを受けていた。

 

 

 

「修行しなければならんようだな、私もーー」

 

 

 

「ーーえ? もしかして、まだ強くなるんですか?」

 

 

 

「当たり前だろう? 弟に簡単に負けるような兄ではいたくないからな」

 

 

 

 穏やかに笑うシュバルツに、シンが目を見開いた。

 

 

 

「弟って……、この人が!? この無茶苦茶強い人が、シュバルツさんが言ってた弟さん!!? ぜ、全然印象が違う……!!」

 

 

 

 隣ではアスランがシュバルツを見据えて口を開いた。

 

 

 

「カッシュ……? キョウジと同じ姓なんだな。弟、か」

 

 

 

「ああ。私とキョウジのーー自慢の弟だ」

 

 

 

 この言葉を聞いたとき、アスランの頭の中にひらめくものがあった。シュバルツの声に見た目に見覚えがあったのはーー。

 

 キョウジと初めて会ったときに感じた既視感の正体が判然としたのだ。

 

 

 

「シュバルツ、貴方とキョウジは兄弟なのか?」

 

 

 

「どうだろうな。片割れと言った方が適切かな」

 

 

 

「ーーえ?」

 

 

 

 穏やかな笑みを浮かべてシュバルツはアスランに応えると今一度、勝利したドモンを優しく見据えた。

 

 

 

一方、オーブ首長国連邦では

 

 

 

 ネオがあきれたような表情でつぶやいた。

 

 

 

「おいおい、マジかよ。東方先生が苦戦したあの赤い奴を、一方的に打ちのめしやがったぞ」

 

 

 

「どんなバケモンだよ、あのドモンって奴は」

 

 

 

「ちょっとーー強すぎなんじゃね?」

 

 

 

 ネオに続き、東方不敗マスターアジアに弟子入りしているスティングやアウルも、ドモン・カッシュのあまりの強さに言葉もない。

 

 

 

「ああ。信じられんだろうが、上には上がいるもんだな」

 

 

 

 こう語るのは、バルトフェルドだった。

 

 

 

 彼は気分を落ち着ける意味でコーヒーを豆から作り始める。

 

 

 

「お、いいね。一杯もらおうかな?」

 

 

 

「私も、いただけるかしら?」

 

 

 

「なら、俺も頼むぜ」

 

 

 

 これにキョウジ、マリュー、ネオが声を上げ、バルトフェルドは「はいはい」と二つ返事で作り始める。キラはそんなキョウジの隣に立つと、問う。

 

 

 

「キョウジさん、ドモンさんに会いに行かないんですか?」

 

 

 

「今は、他にやることがあるからな。それからでいいさ。ドモンに会うのはな」

 

 

 

 そんなキョウジにカガリは顔をうつむかせながら、キラの隣で告げる。

 

 

 

「すまない、キョウジ。あたしが、もっとしっかりしていたら、お前はーーこの国から」

 

 

 

「気にするなよ、カガリ。これは俺がしたいと言いだしたことだ」

 

 

 

「でも!! あたしがもっとウナト達を抑え込めていれば、アスランもシュバルツも、お前も!! お前たちだけじゃない、みんなだってーー!!」

 

 

 

 ポンッとカガリの頭に大きな手が置かれ、優しく頭を一つ撫でる。

 

 

 

「カガリ、人一人の力なんてたかが知れてる。だからこそ、人は互いに助け合うんだ。もっと仲間をーー俺たちを信じろ」

 

 

 

「ーーキョウジ」

 

 

 

「な、みんな?」

 

 

 

 キョウジがおどけて、振り返ると皆が力強い笑みを浮かべながら、首を縦に振る。

 

 

 

「ーーでも、何が目的なのかしら? デュランダル議長は、こんな真似をしてーー」

 

 

 

 マリューの言葉に、皆が口を閉ざし考え込む。ネオも眉間にしわを寄せて続いた。

 

 

 

「まったく、デュランダルは世界をどうしようとしてんだ? ガンダムファイターの存在をここまで大々的に明らかにするなんてよーー」

 

 

 

 過剰な力と力のぶつかり合いを見せれば、当然世界は動く。動かざるを得ない。

 

 

 

 ガンダムファイターの理不尽なまでの強さを見せつけられて、何も感じない人間はいない。ザフトの手元であんなファイトが行われたのだ。連合は戦力の拮抗を図り、躍起になってガンダムファイターを手に入れようとするだろう。

 

 

 

 連合に加入していない国々もそうだ。連合に不当に支配された国も。

 

 

 

 たった一機で戦力を覆す圧倒的な力ーー。世界はこれらを手に入れるために、動き始めるのではないか?

 

 

 

 いや、すでにウルベやウォンがジブリールと共にいる以上、次にどんな手を使うのかーー? 

 

 

 

 ネオが眉間にしわを寄せながら考え込んでいると、その眼前にコーヒーカップが差し出された。

 

 

 

「! お、わりぃな」

 

 

 

「気にするな、自信作だ。香りを楽しみつつ、飲んでみてくれ」

 

 

 

 バルトフェルドの言葉に笑みをこぼしながら、受け取りネオは一口飲む。

 

 

 

「ーー悪くないな」

 

 

 

「そりゃ、良かった」

 

 

 

 言いながら、バルトフェルドはマリューやキョウジ、トダカたちにコーヒーを配っていく。

 

 

 

「デュランダル議長の狙いは、単純に世界の変革だろう」

 

 

 

「ーーていうと?」

 

 

 

「おそらくだが、デュランダル議長は今の世界を変えたいんじゃないかな。紛争が絶えず行われる世界に対して、ガンダムファイターの力を明らかにし、無関係な人間はザフトがこの二機を管理しているように思う」

 

 

 

 キョウジの考察にキラが意見をした。

 

 

 

「待ってください。ムウーーじゃない、ネオさんが言ったように下手をしたら戦争が激化するんじゃないですか?」

 

 

 

「簡単に排除できる脅威ならするだろうが、まず無理だってあの映像を見たら子どもでもわかるだろう?」

 

 

 

「確かに。映像が加工されたものか疑って分析してみても、現実だとわかるでしょうしね」

 

 

 

 キョウジとキラの間に今度はネオが割って入る。

 

 

 

「待てよ、冷戦の可能性もあるだろ? プラントに対する地球の資源交流の全てを連合が押さえればーー」

 

 

 

「オーブが交渉しやすくなるな」

 

 

 

 にやりと邪悪に笑いながら告げるキョウジに、ネオが思わず絶句する。

 

 

 

「お前ら、こんな参謀のもとでーー?」

 

 

 

「ようこそ、ロアノーク。無法地帯へ」

 

 

 

 逃がさんぞ、と言わんばかりのバルトフェルド、アマギ、トダカの笑みがそこにあった。

 

 

 

「お、俺……早まったかな?」

 

 

 

「だ、大丈夫よ! 私たち、犯罪者とかじゃないから!!」

 

 

 

「いや、そのフォローどうなんだ?」

 

 

 

 マリューの言葉にネオが微妙な表情になる。そこでいったんキョウジは表情を真顔に戻し、言った。

 

 

 

「ところで、ネオ達はアークエンジェルに乗艦してもらうことになるんだが、機体の方は大丈夫か?」

 

 

 

「ああ。お前さんらのおかげで、すっかりウィンダムもオーブ仕様に変身したよ。スティングのカオスも修復できた。問題はアビスだな」

 

 

 

「フリーダムとアビスに関しては、データがないんで修復しようにもできなかった。すまないな」

 

 

 

「かまわんさ、代わりにムラサメをもらえたしな。アウルなら使いこなすだろう」

 

 

 

 顔をスティングとアウルの二人に向けると力強い笑みを浮かべ、頷いてきた。

 

 

 

「それで、ステラという少女なんだがーー」

 

 

 

「なにか、分かったのか?」

 

 

 

 キョウジは静かにうなずくと、モニターを起動させ、ある連合の基地の上空写真を映し出す。

 

 

 

「ユーラシア連邦の連合基地の一つにジブリール派の息がかかっているのがある」

 

 

 

「……連邦西部の独立運動をけん制するために作られた臨時基地か」

 

 

 

 次の写真で、ネオの目つきが明らかに変わった。アークエンジェルの同型艦を黒塗りにした一隻が、中に入っていくのが写されている。

 

 

 

「『アズラエル』だな……!! なら、この基地の中にステラは!!」

 

「早速、助けにいこうぜ!!」

 

 

 

 ネオの言葉にアウルも腕をまくりながら言う。それをキラが止めた。

 

 

 

「臨時基地とはいえ、いきなりアークエンジェル一隻で挑んでも作戦を考えないと厳しいよ」

 

 

 

「でもさ! ステラが待ってんだよ!!」

 

 

 

「うん。助けたいのは、僕も同じだから。失敗しないように慎重に行こう」

 

 

 

 キラの言葉にアウルも視線を下に向けると、しぶしぶと頷いた。

 

 

 

「助かるぜ、いつも止めるのは俺の役だったからな」

 

 

 

「スティング」

 

 

 

「キラ、あんたの実力をあてにさせてもらうぜ。俺が強くなるためにもな」

 

 

 

 不敵な笑みを浮かべて言うスティングにキラは苦笑を浮かべるしかなかった。

 

 

 

「それで、キョウジ。何か策はあるのか?」

 

 

 

「実は、ドモン達のファイトが放送された後、ユーラシア連邦西部は、ザフトに独立運動の協力要請をしたんだ」

 

 

 

 バルトフェルドの言葉にキョウジが淡々と返す。これにネオが渋い顔になる。

 

 

 

「ーーまじかよ。それじゃ、連合は」

 

 

 

「当然、独立運動を許すはずもない。対戦術兵器として巨大なMAを一機、作り上げている。名はデストロイガンダム。ハッキングしてデータを読み取ってみたら、実質エクステンデッド専用の機体みたいだ」

 

 

 

 キョウジの言葉にアウルが目を見開いた。

 

 

 

「それって、ステラのことかよ!!」 

 

 

 

「好都合じゃん。ステラにそのMAを奪取してもらってオーブに合流するように伝えればーー」

 

 

 

「バーサーカーシステムって言うので脳波をコントロールされてなけりゃ、その手もあるんだがな」

 

 

 

 スティングの提案をネオが否定する。

 

 

 

「なあ、ネオ。ステラの奴、また人殺しさせられんのかよ?」

 

 

 

「ああ。このままだと、ステラの心は完全に消されちまう」

 

 

 

「ーーくそっ! どうにかなんないのかよ!!」

 

 

 

 スティングの無念そうな声に、キョウジが静かに告げる

 

 

 

「手はある」

 

 

 

「本当か!?」

 

 

 

 これにネオ達だけでなく、キラたちも目を見開いていた。

 

 

 

「バーサーカーシステムには受信装置が必要だ。それを破壊することができれば、彼女を元に戻せる。ただし、DG細胞に感染させられている可能性もあるから、ワクチンを用意しとかないといけないがな」

 

 

 

 言いながら、キョウジは手元から一枚の折りたたまれた大きな紙を取り出し、机に広げる。これにネオが目を見開いた。

 

 

 

「これはーーデストロイってMAの設計図、か?」

 

 

 

「お前さん、本当に存在が理不尽だよな」

 

 

 

 ハッキングに成功している以上、機体のデータを取るのは容易いようだと、深く追及するのを諦めたバルトフェルドがいた。

 

 

 

「冗談はさておき、システムの受信装置を仕掛けるならコクピットのすぐ脇になる」

 

 

 

 キョウジは赤いペンを持つと、胸部にある三連ビーム砲の脇に印をつける。

 

 

 

「この位置だ。ただし、フェイズシフト装甲に陽電子リフレクターを備えているから、射撃系の武器は一切通らない。アークエンジェルのローングリン砲もだ。くわえて火力の桁が違う。下手をすれば何もできず、近づけずに一方的に落とされるぞ」

 

 

 

 機体特性をきちんと把握しているキョウジの説明に、攻撃の要たるキラ、スティング、アウルが意見を交換しあう。

 

 

 

 その時だったーー。

 

 

 

「キョウジ、大変だ!!」 

 

 

 

 別室で執務を行っていたカガリからの声だった。カガリは作戦会議室に足を運んでくると、写されているモニターをテレビ中継に変える

 

 

 

「お、おい。いきなり何をーー」

 

 

 

 ネオがそう告げようとしたとき、辺り一面が火の海になった軍事基地が映し出されていた。

 

 

 

「!? これはーー!!」

 

 

 

 立ち上る煙の向こうに見えるのは、漆黒の巨大なMAだった。まさに今、話をしていたユーラシア連邦西部にあるザフト軍駐留基地である。

 

 

 

「ーー動いたか、ウルベ」

 

 

 

 キョウジは冷たい刃のようなきらめきを瞳に宿し、一切の感情を廃した声でつぶやいた。

 

 

 

ーー二時間後

 

 

 

 オーブ軍アスハ派私設部隊ーー『アークエンジェル』は、デストロイと呼ばれる巨大MAを打倒し、パイロットであろうステラ・ルーシェの救出を目的として、オーブ本国を出港した。

 

 

 

 

 

 

 

 一方でザフトの部隊が壊滅に追いやられていることでミネルバ隊にもプラント本国より応援要請が送られていた。

 

 

 

 ブリッジで確認する戦闘と呼ぶにはあまりにも一方的な虐殺行為に、ある者は目を覆い。ある者は憤りに震えていた。

 

 

 

「なんだよ、これはーー!! なんなんだ!!」

 

 

 

 シンの言葉はこの場にいる全ての者の心境だった。

 

 

 

「むごいーー。兵士でないものまで皆殺しか」

 

 

 

 シュバルツの目にも怒りの炎が宿っている。その時、アスランとタリアがブリッジに入ってきた。

 

 

 

「みんな、聞いてくれ。これから俺たちはあのMAの殲滅に向かうことになる」

 

 

 

「わかりました。あんな奴、俺たちでぶっ潰してやりましょう!!」

 

 

 

 シンがすぐさま応え、両隣のレイとルナマリアも力強い瞳で頷いてきた。

 

 

 

「だが、今回の作戦に一つオーブから依頼があった。パイロットを救出してほしい」

 

 

 

「? どういうことですか?」

 

 

 

 ルナマリアが小首を傾げながら問いかけると、アスランが資料と思われる記録媒体を持ち出し、ディスプレイにセットする。

 

 

 

 映し出されたのは映像で猛威を振るっていた巨大MAの設計図と一人の少女の写真だった。

 

 

 

「ーーこの子、たしか。地球連合のステラ? この子が、こんな真似を!?」

 

 

 

「うそでしょ? どういうことなの?」

 

 

 

 シンが屈託のない笑顔で自分に話しかけてきた少女を思い浮かべる。隣のルナマリアも困惑気味だった。

 

 

 

「シュバルツ、貴方ならわかると思いますがアレにはバーサーカーシステムが組み込まれています」

 

 

 

「……なんという、卑劣な真似を」

 

 

 

 アスランの一言に、シュバルツの全身から怒気があふれている。

 

 

 

「なんですか、バーサーカーシステムって?」

 

 

 

「簡単に言えば、特殊な脳波で人の感情をコントロールするシステムだ。つまり、彼女は自分の意思を完全に操られている」

 

 

 

「な、なんだって……? なんで、そんな酷い真似を!?」

 

 

 

 アスランの説明にシンが目を大きく見開いた。

 

 

 

「戦争だからだ、シン」

 

 

 

「! レイ?」

 

 

 

 レイは底冷えのする瞳でモニターに映し出された映像を見て、つぶやくように話す。

 

 

 

「人の命を道具としかとらえず、欲望のままに傷つける。だからこそ、俺たちは戦争が起こらない世界を作らなければならないーー」

 

 

 

 レイの言葉にアスランも頷く。

 

 

 

「そうだ。こんな非道な真似を許すわけにはいかないーー! 何としても、パイロットを救出しなければ」

 

 

 

「当たり前です! ステラ、待ってろよ!!」

 

 

 

「意気込むのはいいけれど、作戦を考えなければ勝ち目はないわ。陽電子リフレクターに、フェイズシフト。超火力のMAも厄介だけれど、もう一つ厄介な存在がある」

 

 

 

 タリアの表情が深刻なものになり、シュバルツを向く。シュバルツも意を得たりと頷いた。

 

 

 

「私の知る者がいるのだな? 敵にーー!」

 

 

 

「ええーー。ウルベとウォン、そう言えば貴方なら分かるとオーブの参謀という青年から言われました」

 

 

 

 タリアの言葉にシュバルツの目が鋭く細まった。

 

 

 

「今回の作戦、私も参戦させてもらうぞ」

 

 

 

「え? でもシュバルツさんの力はーー!」

 

 

 

 シンが目を丸くしながら、言う。過剰な戦力になりかねないシュバルツの力は、ミネルバクルーの総意でできる限り隠すようにしていたのだ。

 

 

 

「今回の敵は、そんなことを言っている場合ではない。敵にウルベとウォンがいるのならばな」

 

 

 

「作戦会議は30分後に行います。各自、準備を済ませておいてください」

 

 

 

 タリアの指揮のもと、ブリッジの面々はいったん解散となったーー。

 

 

 

 

 

 ユーラシア連邦西部にて、ザフトの駐留軍があった街はすでに何も残っていなかった。

 

 

 

 燃え上がる町、積み重なる瓦礫ーー。

 

 

 

 生きたまま消し炭となった人々ーー。

 

 

 

 まさにーー地獄だった。

 

 

 

「なかなか、良い玩具ですねぇ。デストロイガンダムですかーー」

 

 

 

 その性能にニヤリと笑みを浮かべながら随伴する『アズラエル』のブリッジからウォンは手を叩く。

 

 

 

「ジブリールも中々面白い真似をする。彼女の生体ユニットとしてのテストにこんな戦術兵器を寄越すとはな」

 

 

 

 ウルベの語る目の前に映し出された巨大なMAの脇には、デビルガンダムに倒されたはずの三体のMF--ゼウス、コブラ、ジェスターのガンダム達が護衛として存在している。

 

 

 

 ザフト軍に勝ちの目など万に一つとて無い絶望的な状況だった。

 

 

 

 彼らはそのまま、周辺の都市を焼き払いながら、ベルリンに向かって虐殺と破壊を楽しんでいる。

 

 

 

「死体は全てDG細胞に感染させておけ。雑兵は多い方が役に立つ」

 

 

 

「これだけの数がいれば、物量も十分でしょう。素直ないい子になりましたね、ステラ」

 

 

 

 すべてを殲滅し終えたデストロイガンダムのコクピットをモニターに映し出し、ウォンはいやらしい笑みを浮かべる。

 

 

 

 そこにいたのは、瞬きすらせずに血の涙をながしている少女だった。

 

 

 

「可哀想に、ステラーー。殺したくなかったんですよね。フフフフ」

 

 

 

 どれだけの人が死んだのだろうーー。

 

 

 

 逃げ惑う人々

 

 

 

 子をかばう母親

 

 

 

 それらを無情に消していく、破壊の光ーー。

 

 

 

「ーー誰か、ころし、て。ステラをころし、て……」

 

 

 

 血の涙を流しながら、ステラはそれだけをつぶやいていた。

 

 

 

 死の天使『アズラエル』は多くの人々を悪魔の先兵へと誘い、巨大なMAと三機のガンダム、無数のデスアーミーを連れてベルリンへと到着した。

 

 

 

 その有様はまさに、死者の軍。

 

 

 

「さあ、本番ですよ! すべてを食らいなさい!! ステラァアアア!!!」

 

 

 

「ーーウォン、盛り上がっているところ悪いが。どうやらお待ちかねのようだ」

 

 

 

 ウルベの言うとおり、ザフトは既に軍を展開して、迎撃態勢を取っていた。

 

 

 

 その中央に浮かぶのは、ザフトの最新型戦艦『ミネルバ』

 

 

 

「光栄ですね。数々の奇跡を成し遂げたミネルバ隊と戦えるとはーー」

 

 

 

 ウォンが皮肉気に笑みを浮かべる。

 

 

 

 ミネルバの甲板には、すでに全MSが出撃していた。

 

 

 

「久しぶりだね……シュバルツ・ブルーダー。いや、キョウジ君」

 

 

 

 皮肉気な笑みをウルベも浮かべてモニターに映る忍者を模したガンダムに語り掛ける。

 

 

 

「ウルベよ。貴様のような地獄の亡者にこれ以上人々の命を蹂躙させはしない!!」

 

 

 

「ーー覚悟しろよ。あんたらだけは、絶対に許さねぇ!!」

 

 

 

 シュバルツとシンの言葉を皮切りに、ミネルバ隊のMSが死者の軍勢に対し、構えを取ったーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 みなさん、お待ちかね~!!

 無数のデスアーミー達と戦うレイとルナマリア。

 シュバルツは死人と化した三体のMFと戦い、実質シンとアスランの2人がデストロイガンダムを迎え撃ちます。

 しかし、数の上で圧倒的に不利なミネルバ隊

 彼らの危機に駆け付けたのは、オーブのアークエンジェルでした。

 次回、機動武道伝GガンダムSEED Destiny 第45話に!
 
 レディー、ゴー!!

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